脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

微笑み粘土作品でひと休み

2007年07月25日 | 私の右脳ライフ

田辺ヒデキ作品展に行ってきました。木粉粘土製の人形展なのです。表情がなんとも言えず、笑いが自然にこぼれる作品ばかり。
田辺さんともお話しましたが、発言の一つ一つが膝を打ちたくなるものでした。
「そう!そういう生き方がボケ予防に大切なんです」
21kg

お願いあと5kg       せめて2kg      とりあえず1kg

作品と発言をお知らせしましょう。
「僕は、作品を見てくれた人が幸せになって欲しい。そのためには自分が幸せな気分でないといけません」
                      幸せな前頭葉
「どこかに笑いやほほえましさを感じて欲しい」
                   ユーモアこそ前頭葉
「理屈じゃないんです。感じる心とでも言うのかな~」
                左脳じゃないよ右脳だよ
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 無題                 「作品製作のヒントは、日常の中にあります。そのつもりで見ていくことが大切。自分の視点が大切です。はっとさせられることってたくさんあります」                  自分らしい前頭葉
                     赤ちゃんかな?青ちゃんかな?

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動物の皮を使うんだったら、植物の皮も使ってあげよう

「人形つくりが忙しくて、同時進行的にいくつも作ります。効率よくなるように工夫しながら。こういうことはいいですよね?」
「その作業のときと、構想を練っているときとは、脳の働き方が違いますよね。より自分が表現できていると感じるのは?もちろんどちらも前頭葉ですが。」
「もちろん、アイディアを形にしていく過程!」
独創性・創造性はかなひろいでは計れない前頭葉

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月よりだんご
「手先を使うとボケないって言いますよね」
「そうでしょうか?一日中雑巾を縫わせ続けるというのはどうでしょうか?」
「そうか。楽しくなくっちゃだめなんですね!じゃあ、僕は合格だ」

そうです。田辺さんは脳を健康的に使っていらっしゃいますとも!


お見舞い申し上げます

2007年07月17日 | かくしゃくヒント

大雨に続く台風4号で、天気予報の降水結果の赤い棒グラフを見るたびに九州の町村のことが気がかりでした。
二段階方式を導入している市町村はもちろん、私が講演で伺ったところも、何箇所もあってニュースを聞くたびにドキドキしていました。
皆さん方に、心からお見舞い申し上げます。
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高校の同期会で上京。日比谷公園

頴娃町は行ったことはありませんが、大丈夫でしたか?
宮崎県北部は、諸塚村の様子が報道されましたが、北郷村や五ヶ瀬町や日之影町はどうだったのでしょうか?

宮崎県南部は、ニュースではあまり出ませんでしたが・・・

天草の保健師さんとは先週話したばかりでした。天草も大雨だったそうですね。(テスト実施法の勉強会はうまくいきましたか)

ブログでお見舞いしましょうと思っていたら、今度は地震!
十日町市はあまりのことにご挨拶もしにくい気になっています。
小布施町は、隣の中野市の名前が出ましたし、安曇野市はもっと遠い松本でも揺れたと報道されました。
皆さんどうぞお大事になさってくださいね。
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御茶ノ水ニコライ堂         鎌倉鶴岡八幡宮七夕飾り
地震といえば、阪神大震災の時に出会った老婦人のことが忘れられません。
夫を見送ってマンションで一人住まいというと、当然脳の老化を加速させるマイナス要因ですよね。(もちろん生きがいがあれば別ですが)
出かけることも、することもなく一人住まいを続けるうちに、小ボケレベルになっていたのです。そこにあの大地震。地震がさらに追い討ちをかけたと考えるほうが普通でしょう。
ところが、たまたま、そこのお宅には水が出たのです。近所の人が集まり頼りにされ始めたことが、復活の第一歩。半年もしないうちにもと以上に元気な生活を取り戻されました。

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円覚寺前の人力車夫     縁切り寺に入るには評定を受ける必要があったそうですよ!
生活歴を聞き取っていく時に、ともすれば「何が起きたか」を聞こうとしてしまいます。
「何が起きたか」ではなく「そのことが起きた結果、生活はどのように変わったか。脳の使い方はどう変化したか」を前頭葉の出番を中心にして聞いていくことが不可欠なのです。

地震や大雨の後始末が一段落したら、高齢者が今の生活にどのように立ち向かっているのかをわかってあげる努力を忘れないでください。
上例は例外的です。ほとんどの高齢者の受けるダメージは多大なものがあります。


器質と機能ー形と働き(続)

2007年07月04日 | 画像だけにたよらない

今日も相談ケースを通じて、CTなどの画像診断の限界と脳機能検査の実力について話しましょう。
Senmaida1 

 

 

 

三重県熊野市丸山千枚田  Busstop_1 

 

 




近所のバス停
 
83歳女性。
前頭葉テストの結果:動物名想起(3,0)
かなひろいテストは不能。
MMSの成績は14/30。
同居の嫁と夫による30項目問診票は8-3-4
一応、脳機能テストの結果と生活実態は一致しそうです。

ところがMMSの内容は、時=3 記銘=2 想起=2 
命名=0 口頭命令=0 文=0(錯書・文にならず) 
模写=0
このMMSの下位項目をみれば、普通に老化が加速されたものでないことはすぐに想像が付きますね。
言語担当の左脳の機能がはっきり障害されています。
でも、それだけではなくて構成脳である右脳の機能も悪すぎます。
A4白紙を見てください。

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以下藍色部分はは保健師さんの聞き取り。
H19年5月30日、自宅にて転倒。左側後頭部を床に強打。本人談によると、その場で家人が来るのを待っていた。2階にいた嫁が大きな音に気づき見に行くと、倒れていた。
翌日脳外科・整形外科受診。CTとるが問題なしと
6月3日頃より、ろれつが回らず、歩行も不安定。身の回りのことも気に掛けてあげないと困難。動作もゆっくりになってしまった。
6月11日二段階実施。
6月12日脳外科再受診。CT上特に問題なし。
6月18日再度違う病院にて受診。「CT上特に問題なし。年のせい」といわれる。持続する頭痛を訴えると「じゃあ、クスリ欲しいの?」と頭痛薬を処方される。
6月11日に比べ症状の進行はなし。
熊野市瀞八丁 
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瀞峡の新芽

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二段階方式でのアプローチ:
①MMSの得点と30項目の一致度を見ます。大体一致かなという所ですが、次に
②MMSの下位項目の低下順を見ます。上述のように低下順が違うわけですから、ここで、通常の老化が加速されたものではないと予測が立ちます。実はこの時点で「専門医受診」です。
③念のために、30項目との一致具合をさらに検討します。このケースは事故以降問題が出てきたということでの相談ですが、特に重度症状はいつから当てはまるようになったのかも確認しておきます。
④事故以前の生活実態の確認も必要です。つまり事故以降、急激に変化が起きたという確認です。

二段階方式では、対象相談者が私たちにできる生活改善指導の対象者と考えるためには、A脳機能テスト・B生活実態・C生活歴の意味するところが一致することが、必要だと考えています。

今回のケースは、Aは老化が加速されたとは考えられない結果であり、Bは大体相当するか?です。でもCが違うのです。「5月30日の事故」からであってMMS=14になるだけの生活歴がありません。

家族が、生活上のトラブルをはっきりと具体的に訴えているにもかかわらず
二ヶ所の脳外科で「CTが正常だから(器質的には)正常」という診断がなされました。
二段階方式には、器質的変化を調べるCTやMRIの情報はありませんが、脳機能を理解し、上記のように3条件を検討することで、家族の訴える生活実態を深く理解することができます。

 

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今後の指導方針:脳外科のDr.が「正常。治療はない」と診断されていますから、安心して脳リハビリの指導をします。

①事故以降できなくなったことを整理。言葉の入力障害・キーワードが出ない・ろれつ不全・構成能力にも軽度障害・歩行不安定など
②できないことを理解した上で、積極的に関わりを持つ必要性を指導。刺激することで改善の可能性が出てくるが、刺激しなければ改善の可能性がなくなり、後遺症として確定してしまう。
③一方でできることをはっきりさせる。言語は書字命令のほうが理解しやすいが絵カードの理解力は?ジェスチャーはどの程度有効か?右脳機能のうち、音楽・ゲームなどできることを探す。
④歩行訓練は専門医のアドバイスを受ける。
⑤慢性硬膜下血腫(マニュアルC参照)の可能性だけは考慮して見守る。

今日は、憤りを通り越してちょっと悲しくなってしまうほどの「器質重視」の報告でした。


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