脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

正常から認知症への移り変わりー花の色は移りにけりな・・・

2008年04月17日 | 正常から認知症への移り変わり

庭のジャーマンアイリスが咲き始めました。ほんとに花は季節をたがえず(多少のずれはあっても)咲いてくれますね。
小野小町の和歌です。
「花の色は移りにけりな徒(いたずら)に我が身世にふるながめせしなに」
解釈は掛詞があって難しいですよね。
前の部分は、当時のことですから「花」は当然さくらですが、とにかく花が咲き盛りが過ぎてしまったということを意味しています。
考えてみれば、突然咲く花はありません。
「つぼみが芽を出し、膨らんで、その後にようやく花が咲く」という手順を踏んで咲きますね。庭のジャーマンアイリスを10日間写してみました。4月17日から27日まで。つぼみがちらりと見えたところから最初の花がしおれるまでです。

4月17日。このつぼみから、さて何色のジャーマンアイリスが咲くのでしょうか?

そう、ボケも突然ボケるわけではありません。
エイジングライフ研究所(二段階方式)では、ボケを軽度(小ボケ)・中度(中ボケ)・重度(大ボケ)と分類します。もちろんその順に推移していくのです。「何か変。だいぶ変。いよいよ変」「指示待ち人、言い訳のうまい幼稚園児、脳の寝たきり」
それではなにを持って分類するかというと、脳機能です。脳機能という物差しを当てると、簡単明瞭に分類が可能になります。

まずジャーマンアイリスの移り変わりを見てください。色や大きさを測定しなくても見ただけでその変化がよくわかります。しかも一日一日の変化の激しいこと!
4月20日
                       
4月22日

 4月25日

さて、ボケはどうでしょうか?
見ただけでその変化がよくわかるものでしょうか? 一日一日、この花のように開花に向けての直線的な変化があるはずもありません。
むしろ、変化をはっきり感じるときがあったり、前とちっとも変わってないと思ったり。
することは変なのに、言ってることはなんともなかったり。
ボケかどうかはっきりしない期間が大体5年くらいは続くものです。

花の場合はつぼみを見ればどのくらいで咲くかわかります。これは右脳の独擅場。
つぼみを計測して、形と色を客観的に数値化する必要はありません。円錐形のつぼみの直径や長さを測り、色は明度や彩度を厳密に言わなくても、「まだまだ」とか「もうすぐ」とかわかりますね。
慣れると、つぼみが色づいてくると花色の予測も立つようになります。

花の色や形が、開花の推移を正確に表して、そして私たちはその微妙な色の違いをキャッチすることができるのです。 だからこれから先の開花予想がつきます。
ジャーマンアイリスの推移はわかりやすいですが、ボケはなかなか。だから、脳機能というものさしを使うのです。

長年やってきていて体に染み付いたような行動には、ほとんど支障がありません「話す事だけ聞いていると、何も変じゃないし昔のままです」とは、家族の皆さんが口をそろえて言う言葉です。ずいぶん進んで中ボケの加減になっても、まだそういわれます。表面的に現れた行動や発言は、もちろん脳の働きの結果です。だから、ついだまされがちな表面的なものではなく、べースの脳機能を測るというのは、当然といえば当然のことですね。

いつも言うように、脳機能を測るのはその人を理解するための方策であって、評価することが目的ではないことは、私たちがテストをするときに心しなくてはいけないことですよ。
脳機能を知ったうえで、その人をよく観察すると、小ボケレベルではどういうことをし、中ボケになるとどう変化する。大ボケでないと起こらないことなどの整理ができてきます。
4月27日真ん中がしおれています。

それをコンピュータ処理したものが二段階方式の30項目問診票です。
次回から、問診票に入っていない,細かい症状の推移をお話していきましょう。
例えば、「家族の説明」「食事つくり」「洋服の着方」などに分けて、小ボケ・中ボケ・大ボケで、どのように変化していくのかを話します。
でも、「脳機能検査をする方が確実で役に立つ」ということは忘れないでください。