脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

機能訓練教室での集団かなひろいテストからわかること

2009年08月24日 | 二段階方式って?

「機能訓練教室で、かなひろいテストを実施しました」というお知らせがありました。成績一覧です。
Photo

これだけの情報で、どのくらい個々人の状態が把握できるかを見てみましょう。
NO1
備考によるともう20年も前から車いすの生活を続けていらっしゃいます。良く維持されてきたというのが第一印象です。
かなひろいテストは、スピードも注意分配力もOKですが、内容把握が不十分です。
立方体模写が不合格ですが、どの程度なのでしょうか?
立体視はできているのかどうか?今、描けなくなり始めているのかどうか?
そのまえに、事故によって手指の運動機能に問題は残らなかったのかどうか?

事故以来、この正常ではありますがちょっと落ち気味という脳機能レベルで継続してきたのかどうか。そこが一番大切な視点です。

20年頑張って生活してきたにもかかわらず、最近脳機能の老化を加速するような生活上の変化が起きてはいないかどうかをやはり確認する必要がありますね。
そのためにはMMSを実施しなくては、踏み込んだ生活指導ができません。
事故直後から脳機能検査が行われてきていると、比較がたやすいのですが・・・
2009_0824_111000p1000012_2(花高40センチも)

NO2
たまたまNO1の方と年齢が同じなので、かなひろいテストの成績比較がやりやすいですね。
この方のかなひろいテストの特徴は、誤答の多出現。正答数<見落とし数。正答数はわずかNO1の方の1/5。
内容把握は問題ありません。
総合的に見て、思い込みが強く対応に苦慮することが多いのではないかと思われますがどうでしょうか?

30年以上も杖歩行の生活ですから、行動範囲も生活実態も限定されるでしょう。にもかかわらず、現時点の成績を保っていらっしゃるという見方もできるのですが、もちろんこの方も、この脳機能状態が最近の変化であるかどうかが一番の問題点になります。

                        オンシジュームの長い花穂(花長1メートルも)2009_0824_111100p1000011_2
NO3
16年間義足でどのような生活をなさって来られたのでしょうか?
かなひろいテストがとても難しかったことがうかがえますね。これは最近急に変化したことなのでしょうか?
もう少し生活状態が具体的にわかると、いいのですが。

NO4
筋ジス発症してから、そろそろもう40年ですよ!
頭が下がります。
ご本人の不撓不屈の精神と努力にも。
ご家族の励ましにも。
手工芸を楽しまれているからこそ、立方体模写が可なのでしょうね。これからも4番さんらしく生活なさいますように祈ります。

香りがいいので花ジンジャーは咲き出すと毎日部屋に飾ります2009_0824_111400p1000010

NO5 NO8 NO9の方々は、脳卒中がどちら側の脳に起こったのかが不明です。
右麻痺ならば、左脳が障害されたことを意味しますから、いつも失語症はないのかどうかを考えてあげる必要があります。
失語症があれば、かなひろいテストはとても難しくなります。

ところが、いわゆる認知機能を脳の高次機能という言い方がありますが、それならば「前頭葉機能は、最高次機能」なのです。
右脳が障害された場合でも、かなひろいテストをはじめとする前頭葉機能に影響を受ける場合が、臨床的にはよく見受けられることも知っておいてください。

NO6
この方は右片麻痺があるということです。障害された部位は左脳ということですから、失語症の有無がまず問題になります。
かなひろいテストができないことは、単に失語症の影響だけなのかどうか?
それなら立方体模写がなぜできないのか?
右麻痺の影響で、細かい作業が不得手だけなのかどうか?
発病はいつだったのか?最近の生活には変化がないのかどうか?

                                       S輔君5歳の力作(磁石)
2009_0822_164800p1000017
NO7
この方のかなひろいテスト不合格は、前述の「右脳障害でも、最高次機能であるかなひろいテスト成績には影響がでる」という実例かもわかりません。
あるいは、脳卒中後にそのまま生活が単調になってしまって脳の老化が加速された状態かもわかりません。
もちろん、脳卒中とその後遺症にもめげず、生活を工夫しがんばってこられたのに、新しく脳の老化を加速させる要因が勃発して、その影響を受け始めているところかもわかりません。

二段階方式の力は、あくまでも個別生活指導にありますが、そのためには前提条件として個別の脳機能検査が必須ということがよくわかりますね。

 
                                                                    


中ボケの夫を妻が虐待?ここにも側頭葉性健忘が

2009年08月19日 | 側頭葉性健忘症

先日の勉強会で話題に上った「高齢者虐待」のケースです。

夫婦二人暮らし。
夫の認知症が進んで(たぶん中ボケレベルでしょう)、通所しているデイサービスのスタッフが、さまざまな注意事項ややってほしいことを妻に伝えるのに、まったく実行されない状態が続いたそうです。(内容は具体的に聞いていません)

カヒリジンジャー
2009_0817_170000p1000022_2 心をこめて指導していても、何となく得心して聞いてくれていない場合や、高齢者との人間関係の悪さがベースにあって「とてもこの人に介護は頼めないなあ」と感じることがありますね。

ところが、この妻の場合は夫との関係性に特別の問題も見出されないうえに、聞き方はまじめで真剣にきちんと聞いてくれるのです。それなのに、全然実行されないことが繰り返されたのです。

スタッフは、キツネにつままれたようだったに違いありません。
そして結論。
「これは妻による夫への虐待が行われているということかもしれない」

相談を受けた保健師さんが妻に対して脳機能テストを実施したそうです。

鉄則を思い出してください。
「夫婦二人暮らしで、一方が小ボケになっても片方は正常でいられる。一方が中ボケになったら、ほとんどの場合片方は小ボケになってしまう」

つまり、小ボケの可能性があると考えて脳機能テストを実施したのです。小ボケの人は聞いているようでいて、理解力や判断力が落ちていますから、実行に至らないことはよくあります。
オンシジューム(シャーリーベービー)2009_0817_170500p1000025_2

テスト結果はMMSは22/30、低下順は正常。
それならば、中ボケ?ということが考えられますが、この妻の場合は脳機能の状態が、通常の老化が加速されたタイプとまったく違っていたのです。

かなひろいテスト、完璧に正常。
正答数も多く、内容把握も可能。
老化が加速されていくときにまず低下するのは、前頭葉機能ですから、この妻は老化が加速されたタイプではないことになります。

テスト結果を見るよりも前に、この保健師さんは気づいたそうです。
「もしかして、側頭葉性健忘?(マニュアルC ページ参照してください)」
根拠は、表情が豊か、反応がきびきびしている、当意即妙な受け答えができるでした。これはすべて前頭葉の働きですから!                ハナジンジャー2009_0819_123300p1000001_2

それだけにデイサービスのスタッフは、「前頭葉が働いているので、いかにもちゃんと聞いてくれているのに、海馬が働かないために覚えていられないだけ」ということがこの妻に起こっているとは思ってもいなかったでしょう。

覚えていられないために、やるように頼まれたことができなかったり、やってはいけないと念を押されたことをやってしまったりしたんですね。

悪いことに、その時々の反応はとてもボケている人のようには見えない(ボケていないんです。新しく覚える記憶に障害があるだけです)ために、余計誤解を生じたという「高齢者虐待?事件」でした。


高齢者虐待?いつも物差しは脳機能!

2009年08月18日 | 二段階方式って?

保健師さんと電話で話しました。
またもや二段階方式の有用性に気付く話題だったので報告します。

Photo_2 娘が65歳のお母さんの頭を殴って警察沙汰。
「高齢者虐待に違いない」ということで、保健師さんがかかわったケースです。

家庭事情は結構大変で、もともと子供三人の娘一家に、昨年から娘の実母が同居を始めた。一方で娘夫婦は離婚。離婚とは言っても、別居しながらも週末、元夫が来宅したりする。

さらに、小2の末っ子は、アスペルガーかADHDの疑いがあるといわれていて、夏休み明けに精密検査が予定されている状態。Photo_5 

事件の発端は、夏休みにお父さんが来ることになっていたのに、所用で来れなくなった。
そこで小2の男の子は、おばあさんに強くねだってお父さんの所に連れて行ってもらった。(我慢できないところが、この子の一つの問題)
ところが、お父さんは不在だった。Photo_4
そこで祖母は、買い物その他で孫の機嫌を取った。(「甘やかし」かもわからないが、そうするしか収拾がつかなかった可能性もある。この点も、この子の問題を示唆する)

夜分帰宅した母親が事の顛末を聞いて激怒。
孫をかばった祖母の頭をバットで殴って警察を呼ぶことになった。

というような事件でした。しかもこれが初回ではないというおまけ付き。

子供に対する日常的な虐待もあるのではないかということになったために児童相談所にも話を持って行ったところ
「今回、子供は暴力を受けていない(祖母がかばったためですが!)ので、管轄外。アスペルガーその他の鑑別に関しては今後かかわりを持つが、今回の事件は認知症の母親に対する娘の虐待行為ととらえるべき」強く主張されたそうです。Photo

児童相談所の方から「認知症」といわれたのです。
ボケに関しては、保健師さんのほうがはるかに理解は深いはずですよね。
当然二段階方式で、認知症の有無・レベルなど客観的に測定したそうです。

なんと、MMS30点満点
かなひろいテストの正答数32.なおかつ最後まで読み通し、内容把握もできたというのですから、脳機能に問題はありません。Photo_2

事の判断もできず、身を守ることもできない高齢者に対する虐待というのではなく、娘による家庭内暴力の側面がいちばん強いように思いました。感情をコントロールできないで暴発させてしまう・・・
保健師さんも同様の見解でしたが、精神科受診をなかなか納得してくれないだろうと思案顔でした。

この65歳の祖母は、去年急病を発症した際、別所帯だった娘に連絡をして救急入院の手はずをとることができたり、高齢の姑の世話を一人で続けていました。
今回も本人が意識的に孫をかばって負傷しているのですから、普通に言われる高齢者虐待とは違います。2009_0814_071600p1000020_2

脳機能テストって便利です。
いつも言うように、何のために脳機能を測るかというと生活をどのようにしているのかを知るためです。
ボケがらみだと、できない、困っていることを知ることが先決になりますが、今回のように困っていないという証明もできるんですね。


遅ればせの実務研修会報告(東御市と十日町市)

2009年08月16日 | 各地の認知症予防活動

第一期実務研修会の後、お会いした保健師さんたちの声をお伝えします。

2009_0710_132500p1000084_2 長野県東御市のK池保健師さんです。
「研修会の時はどうなるかと思ったけど、つまりあまりにも勉強すべきことが多かったということなのですが。
帰ってからやってみると、やり方にしても聞き方にしても、参加の前とは違っていることがよくわかりました。

なんというか深いんですね。
これからもがんばってやっていきたいと思います。

なんだか、テストするのが楽しみなような気がします」

2009_0805_120800p1000174_2 新潟県十日町市
左からM落保健師さん・T中保健師さん・T端保健師さん。

T端保健師さんは、今回一緒に脳機能検査と生活指導をしましたが、さすがにベテラン!
テストはさすがにまだ慣れていないのですが、それでも安定感があるのが経験というものでしょうか?生活指導になってからの包み込むような聞き方にも感心しました。
長くかかわっていたほかの保健師さんですら知らないような家族の話なども出てきて、皆さんがびっくりされましたね。

Dsc01653

Dsc01651 生活指導は、ご本人が状況を理解するだけでなくその気になってくれないと意味がありません。そのためには面接時のテスターとテスティの人間関係が大きく影響します。
脳機能テストや生活指導を通じて「良い(悪い)と評価を下された」というのではなく「理解してもらえた」と感じてもらうことがベースです。

「そういうことが起きたら、確かにあなたの生き方が変わってしまう(脳の使い方が変わってしまう)ということが、私にはわかります」このレベルにまで話を聞いていくことが、生活指導には必要です。そこまで話を聞いていくときに「このテスターはわかってくれているから何でも話せる」という関係性を作ることが前提になるのです。

Dsc01658 保健師さんの中には、ほんとに上手に自然に関係性を作り上げることができる方々がいますが、実は脳機能テストを先に実施することが、かえってテスティの心を開かせるのではないかと思うことはよくありますよ。

三人の感想はそれぞれちょっとずつ違っていて、
「使えると思います!」
「生活指導で踏み込んで聞くのがちょっと難しい」
「面白そうです」

がんばってください。質問いつでも受け付けます。


遅ればせの実務研修会報告ー北海道岩見沢市

2009年08月14日 | 各地の認知症予防活動

先にブログ「私の前頭葉機能低下」で告白したように、実務研修会の時に、参加者の皆さんの感想を尋ねることも写真を撮ることも忘れ果てていました。
北海道岩見沢市からメールをいただきましたのでご紹介します。
K上保健師さんとイワくんとO橋保健師さんです。

Photo
昨年、教育大学岩見沢校の方々と協力し、オリジナル健康体操を製作しました。
岩見沢で行われている「百餅まつり」と「100歳までも健康でハッピーに」という意味をこめて、「ひゃっぴい体操」と名づけました。一緒に写っている着ぐるみは、体操普及員の「イワくん」です。
市民に体操を普及するため、職員とイワくんは土日も活動しています。詳しくは岩見沢市のホームページ
に載せています。

さっそく「ひゃっぴい体操のホームぺージ」を見ました。
CDやDVCの貸し出しもあり、グループ対象で出張教室もありで、岩見沢市として力を入れていることがよくわかります。
岩月先生も、今年岩見沢に行ってくださいましたが、「元気で面白かった」とおっしゃっていました。
「体の健康保持」を指導するときに、ついでにちょっと「脳の健康保持」の話もしていただけたらと思いますが・・・

実務研修会の感想も書いてくださいました。

先日の研修会は私にとっては、今までやってきたことがどうだったか、確認することができ、とてもためになりました。
今までは、テストを正しくできたか、判定が間違えていないかということばかり気にしてどんな生活をしていたのか見えていなかったですし、生活に対する指導もできていなかったと思います。
自分自身の振り返りができてよかったです。
わからないことがあったら、また質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
2日間ありがとうございました。

質問はいつでも大歓迎です。

何にしろ、そのことを住民に根付かせることはとても大変でしょう。
「ひゃっぴい体操」もそうでしょうし、認知症予防教室などの認知症予防のための生き方の見直し教育もそうでしょう。
でも、やるしかありません!
できたら楽しみながらやっていただけると嬉しいです。


震度6と月下美人

2009年08月13日 | 私の右脳ライフ

11日には、静岡県に大きな地震がありました。震度6には皆さんも驚かれたことでしょう。
お見舞いの電話やメールなどいただいて恐縮しています。
ありがとうございました

私のところは、大室山が噴火した際流れ出た溶岩台地の上に建っています。この溶岩は粘性の強いものだったので、相模湾に流れ出した溶岩は変化に富んだリアス式海岸を形作っています。ちょうどコンクリートの打ちっぱなしのようなものだと説明を受けました。
すぐそばの「いがいが根」といわれるところの様子です。Photo 1

ちょっとした揺れだけでした。震度3くらいかしらと思っていたら、TVニュースを見てびっくり。
東京在住の息子からもすぐに電話があり「TVを見たの」と聞いたら、東京も揺れたとのことで、妙に震度6を納得しました。
でも、おかげさまでホントに何の被害もありませんでした。

東名崩落で牧之原市が有名になってしまいました。
私は牧之原の皆さんを知っているので、ほんとはお見舞いの電話をかけたかったのですが、きっとお忙しいだろうと遠慮しています。早く普通に戻れますように・・・

Photo_2 さて翌12日夕方。この辺りでは一番揺れたと言われた伊豆市の友人から
「今晩月下美人が咲きそうなんだけど、来ない?」
もちろん返事は
「喜んで!」
「でも地震は大丈夫なの?」と尋ねると、
「ちょっと棚の上のものが落ちたり、植木鉢が割れたりしたけど、大丈夫」とのことで、私の周りは格別の事はなかったようです。2009_0812_185700p1000002_3

到着したときにはつぼみは固かったのですが、楽しくおしゃべりして、見に行ったらほんの少し口を開いていました。
8時ごろの様子です。

                                                           また話が弾んで、10時くらいになると、玄関のドアを開けたとたんにはっきりと月下美人の香りが漂っています。花はこのくらい開花していました。3

「幻想的!」「まあ、なんて素敵なの」とロマンチックな言葉も飛び出します。

よくよく眺めているうちに、ちょっと変な気持になってきました。
「植物も生き物なんだ。子孫を残そうと必死なんだ」
「今晩のこのタイミングが一番結実しやすいということなのか??」
そういう厳粛な思いになったのに、お土産に切ってくださるというので喜んでいただいてしまいました。
Photo_5 2009_0813_000800p1000012_2
帰宅後、明るい所で写真を撮って、さあ何をしたでしょうか?

「明け方4時にはしぼんでしまうの。かわいそうだからゆでて食べるのよ」といわれていましたから
きれいに、洗って花粉を落としてさっとゆでました。

ちょっとぬめりがありますから、カンゾウのつぼみと同じように三杯酢で頂けばいいと思います。2009_0813_002200p1000019 2009_0813_002100p1000018

後の一輪は、今冷凍庫で眠っています。

土曜日にお客さんが来ますから見せてあげたいのですが、月下美人はこの方法しか保存ができない花なのです。

地震が来たばかりというのに、のんびりと月下美人を楽しんだりしていいのかしらと思いながら、そのくらい平穏だということをお知らせしたくてブログを書きました。
本当に、お見舞をありがとうございました。嬉しかったです。


貝掛温泉

2009年08月12日 | 私の右脳ライフ

「よく遊び」の続きです。(岩月先生の北海道礼文島の写真、追加です)

Photo 十日町駅に14:00着というのが保健師さんとの約束。
経路は、伊豆高原→熱海→東京→越後湯沢→十日町ですから、どこで時間をとるか。
前回は越後湯沢で時間をとって「アルプの里」で高山植物を見ました。湯沢町の観光案内をネットで調べたら「貝掛温泉」というのが目に留まりました。

友人がとてもよかったと言っていたのを思い出し、行ってみることに。
越後湯沢発13:34、十日町着13:56の特急はくたかがまず決まりました。
そこから逆算して、出発時間を決めます。

越後湯沢jから貝掛温泉への路線バスの時刻表を見ると、午前中で乗られそうなのは10:10だけ!次は11:40なのですから・・・
最寄りの伊豆高原を6:21に出発して、熱海で新幹線に乗り換えて東京に8:00に到着。上越新幹線に乗り換えて越後湯沢に9:46に着きます 。Photo_3

10:10発苗場行きの路線バスで 、20分「貝掛温泉」下車。ネットで予約しておいたので宿の送迎車が待ってくれていました。徒歩10分ですから、ちょっと歩いたほうがよかったかな・・・

川沿いの、林に囲まれた「秘湯」。
「日本秘湯を守る会」の会員宿です。135だかあるそうですが、さていくつ体験したでしょうか?

貝掛温泉
2009_0804_115700p1000158眼病に効能あらたか。上杉謙信も入ったという歴史を誇ります。
2009_0804_120100p1000159 一年通じて湯温37度。大雪の時でもそれは変わらないとのこと。

湯口の高さを生かしてそのまま源泉かけ流しというのですから、贅沢なものですね。

贅沢といえば、浴室の木組みも重厚なものでした。
(誰も入ってない時をねらって写真を撮りました)2009_0804_121100p1000161 2009_0804_114800p1000156

10:40から12:40まで貝掛温泉でゆっくり旅の疲れを落としました。
旅は始まったばかりでしたけど!


大地の芸術祭in十日町市

2009年08月11日 | 私の右脳ライフ

「よく遊び、よく学べ」はまさにエイジングライフ研究所のスローガンのようなものです。

十日町市訪問の際の遊び部門の報告もしておきましょう。
十日町市はちょうど大地の芸術祭の真っ最中でした。
前日の勉強会が白熱して終了時間が延びたので、N形保健師さんはやきもき。
「十日町の自然の中の現代芸術作品も見ましょう!」と誘ってくださっていたのです。
「時間切れかも…」と心配しながら急いでくださっって、廃校になった小学校に到着したのがちょうど17:00ジャスト。小学校全体を作品にしているのです。絵本作家田島征三さんの作品「外からでも、いいから・・・」と弱気な私を連れてスイスイと入っていきます。
受付の方も、おおらかに「どうぞ、ごゆっくりご覧ください」
「なんて十日町の人たちはいい人なんでしょう」2009_0804_172700p1000163_3
2009_0804_172600p1000162 廃材を利用して、教室から体育館まで「オバケ」がいっぱい。
にぎやかで楽しくて、でもちょっと怖くて。子どもたちだったらどんな反応を見せてくれるのでしょうか。
この大地の芸術祭の後は、このまま残されて子供たちの集える場所になると聞いて、なかなかいい取り組みだと感心しました。
その後あわてて以下の作品を観ました。
六つの徳の物語

帰ってきた赤フン少年

まつだい農耕文化村センター農舞台

まつだい住民博物館

かまぼこ画廊

花咲ける妻有

大地の芸術祭ここから作品を見てください。現代芸術がちょっと理解できるかも?

鉢という集落に、200年以上前に作られた石仏がしんとした森の中に鎮座していました。2009_0804_174100p10001662009_0804_174200p1000167 

現代的なものvs苔むした石仏

緑が滴るような自然vs色にあふれた現代美術

と対立的に書きましたが、ここの自然は棚田に象徴されるように、どれほどの人手が入っているか測り知れません。そういう視点も必要ですね。

「心の花」というテーマでブナ林の中にビーズの花が咲き乱れていました。2009_0804_175600p1000168
2009_0804_175600p1000169

もともと、芸術祭発祥のころ、各地区では、そこの住民の方々が「お客さんが来てくれることがうれしい」といろいろと協力してくれたと聞きました。
そういう地区だからこそできるボケ予防活動の取り組みがあるはず。積極的に人間関係を持ち続ける意味をもう一度納得してもらわなくてはいけないと思いました。まさに「心の花」ですね


社交ダンスで生活改善指導in十日町市

2009年08月11日 | かくしゃくヒント

2009_0805_133200p1000175_2
前回のブログでお話しした、関口市長さんです。
若々しいでしょ?

聴衆の皆さんは控えめな課長さんが100人、強気な保健師さんが300人の予想だったそうですが、全部で380人くらいだったと聞きました。

人数も大切でしょうが、どのように聞いて下さるかもとても気になるところです。
十日町市の皆さんもよく聞いて下さって、話しがいがありました。

私は講演に伺う時には、前後の時間が取れるところで保健師さんたちの勉強会をします。2009_0805_105500p1000171_5

I崎保健師さんが脳機能検査の結果をもとにして生活指導しています。

後方は関係スタッフの皆さんで、テストの最初から生活指導まで見学させてもらっているのです。もちろん、御本人に「みんなに勉強をさせてください」と納得していただいた上での面接ですよ。
(この写真の掲載許可もいただいています)

I崎保健師さんが、最近の生活ぶりを詳しくお聞きして、改善すべきところを指摘しました。
とてもよく理解していただいて、面接は順調に進んでいきました。

「具体的に何を生活に取り込んでいけばいいか。どのように生活を変えていく必要があるか」という段階に至って、一般的な指導が始まります。
「趣味というかこれをやってると楽しくて時間も忘れてしまう、というようなことなんですよ。何があるでしょうねえ」

A4版白紙に書かれた文字があまりにも見事だったので
「書道をされてもいいし。筆になれたら水墨画でも絵手紙でもいいんですけど」と話し始めると、ご本人が
「ワープロやってるよ。名簿作ったりしてね」

「うーんそれならパソコン教室に行って、もうちょっとインターネットやメールができるようになるといいんですけど」というと

「ワープロのほうがややこしくなくていい」

「挑戦することが大切なんです」一応勧めながら「他に何か趣味はないでしょうか?」

「趣味と言えば昔ダンスをやったんだよ。」とニコニコ顔で言いだされます。腰痛がひどくなって、この春から手広くやっていた畑をやめたくらいですから、あわてて
「整形外科のお医者さんにどの程度OKか聞いてから始めましょうね」と言っても意に解する風でもなく
「ダンスをやるのは大体女の人ばっかりでほら壁の…というでしょ。男は下手でも歓迎されるもんだから」と意欲満々。

ダンスができないときのためにと「他に何か・・・」といいかけたら
「カラオケも大好きで」

思わず「そう、そう。そんな楽しみ事がいいんです!たくさんあってよかった!脳をもっともっと若々しくさせましょう」と指導の声が弾みます。

2009_0805_120700p1000173 そのあとです。ご本人が如何にも楽しみだと言わんばかりに
「それじゃあこれから、がんばるぞ!」
まるで「エイエイオー」のジェスチャーがつくんじゃないかと思うような勢いで言ってくださいました。
後ろの皆さんは思わず拍手。

こういう生活指導ができるところが、二段階方式の妙味です。

YTさん あんなに頑張って生きてこられたのですから、これからは楽しみ事を精一杯楽しむように頑張ってくださいね!


関口芳史十日町市長さんへのメール

2009年08月06日 | 二段階方式って?

脳活性化ゲームの岩月先生が北海道巡業に行ってくださいました。
各地でのできごとはさておき、礼文を中心にしたお花を送ってくださいましたのでご紹介します。Photo Photo_2

私は十日町へ行きました。ボケ予防活動が地についてきています。その報告はまた詳しくするつもりですが、今日は関口よしふみ市長さんへお送りしたメールを転載します。

Photo_3 講演前30分ほどお話をしましたが、50歳になられたというお若い関口市長さんは、はつらつとなさっていること。回転(前頭葉の!)が速いこと。ユーモアにあふれた応対。フランクな雰囲気。いろいろと魅力的な方でした。

さてメールです。

関口市長さま

8月5日講演会の折には、ご挨拶をありがとうございました。
講演会での皆さんの反応などの報告はもうお聞き及びかと思いますが
「ボケても安心な町」ではなく「ボケのない町」を望んでいることは明らかです。
ところで、福祉を要求する方々には二種類の方がいらっしゃいます。
知的障害・精神障害・身体障害をお持ちの方と認知症の方です。
前者の方々は、生まれながらか事故や病気の後遺症としての障害ですから
突発的で不可避のものとして、その障害を受け入れざるを得ない。
その時、つよく福祉の援助を要求するのは当然の権利でしょう。
一方、ボケは、市長室でお話ししたように突然起きるものではなく
まして福祉の援助が必要になるまでには、数年の猶予があります。
今後福祉の分野で大きな要求が見込まれるのは、どう考えてもボケです。
そして「予防的な福祉」の対象となりうるのはボケのみという、結構希望的な図式が見えてきます。
一般的な生活習慣病予防と同様に、ボケでも一次予防(正常者への予防教育)がお金もかからないし、効果も期待できます。
松之山、川西の保健師さんがそのことを実感していることは報告いたしました。
行政側から言うと「ボケられたら財政的に応じ切れない」現実がありますが
最も幸いなのは、住民の皆さんが「ボケたくない」と切望していることです。
これほど行政と住民の希望が一致する分野はほかにはちょっと見当たりません。
というわけで、今後とも保健師さんたちが目指しているボケ予防活動に関して、ご理解いただきたいと思いメールいたしました。
若々しい市長さんを頂いて、十日町がどのような変革を遂げられるか
期待しながら応援もさせていただきたいと思っております。
エイジングライフ研究所 高槻絹子Photo_4
Photo_5
お忙しい市長さんのお目に届きますでしょうか?
地域でボケ予防活動に携わっていらっしゃる保健師さんたちにも、このメールは読んでいただきたいと思って転記しました。
高齢者の皆さんは
①自分のためにボケたくない
②家族に迷惑をかけることが忍びない。
大体ここまでは考えていらっしゃいますが、ボケてしまったら、多大な費用負担を行政に強いてしまうことまで考えてはいらっしゃいません。
私が講演をする時には、この点についてもはっきりお話をすることを決めています。
前回のブログ「講演報告」でも、理解していただけたことを書きました。
私は保健師さんの見方で~す

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