脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

集団かなひろいテスト

2006年03月28日 | 二段階方式って?

エイジングライフ研究所の二段階方式では集団かなひろいテストは、スクリーニングテストとしてだけ使います。

保健師さんの中には、集団かなひろいテストはゲーム感覚で実施できると思って、さしあたってやってみようと思う人がいます。その結果は、
   1.不合格者が出てきてびっくりする
   2.なぜ、この人が不合格かわからない
   3.テストの信頼性がないのではと疑ってしまう
   4.どうしていいかわからないのでうやむやにしてしまう
   5.住民と保健師さん双方にテスト拒否の気持ちが芽生える
   6.せっかくのボケ予防教室の意義付けができなくなる

二段階方式の特徴は、個別生活改善指導です。
そのためには、MMSや生活実態や生活歴の聴取が不可欠です。
個別対応なしの二段階方式はありえません。

以上は、マニュアルでも研修会でも力説しているところです。
以下は、
N県T市の保健師さんから最近いただいて感激したメールです。950人の集団かなひろいテストのまとめを見せてもらった後に「まさか集団かなひろいテストをやりっぱなしにしなかったでしょうね」という私の確認に対する返事です。
よく読んでください。ちなみにこのT市は、昨年最後の研修会に参加されました。

あんな数のデータがあると、本当に心配かもしれませんが、
「個別指導あってのかなひろいテスト」を全員がしっかり理解していますので、H地区(高槻指導地区)と同じようにかなひろい→全員個別指導(不合格者はMMSも実施後生活指導、合格者は生活指導のみ)はしっかり実施しました。

実は昨年度まで、K先生の指導(あまり詳しく受けてはいませんが)でかなひろいテストを実施していたときに、スタッフの自信不足といいますか、「テストをするのはなんとなく申し訳ない」という気持ちがあったため、テストはするけど、後はうやむや・・・という間違いを犯していました。
それが大きな間違いで、逆に住民を傷つけていたこと、だから認知症予防事業が先細りになってきていたことが、高槻先生にお会いしてはっきり分かったので、看護師さんのうち、Kさんと、Kさん、Yさんたちは、臨時職員のため本当は16:00までの出勤なのですが、毎日のように超勤してくれながらも全員個別指導はしっかりやりぬきました。
大変だったけど、二段階方式に信頼を置いていますので、安心して高齢者の皆さんとお話しすることができました。
本当にやりがいがあって楽しかったです。

文中のK看護師さんが、「ほんとにマジックみたい。A=B=Cってピタリと一致するんです!自分からちゃんと説明できるんです、小ボケの人は」と興奮しながら話してくれたこともお伝えします。
 この意味がわからない人はマニュアル(特にBマニュアル)をよく読んでくださいね。


平成の大合併は一段落?

2006年03月06日 | 二段階方式って?

もう3月。新聞の見出し的には「平成の大合併は一段落」だということになりますが、私の元に届く保健師さんの声は、そんな甘いものではありません。(今日の桜の写真はここ二日間で撮ったものです)

P1000007_2 合併前から、お互いの事業の理解や同一歩調をとるためのすり合わせなどにかなりのエネルギーを使ってきています。
保健師さんのボケ予防に対する思いにも温度差があり、置かれている状況も千差万別。
それ以前に、各町で行われてきた事業の違いは、地域性とでも言うべきその町の持つ歴史や文化風習、マンパワーから生まれるものですから、なかなか埋めがたいものがあって当然でしょう。

二段階方式を導入している市町村は、合併することになってはじめて認知症予防活動が一歩先を行っていたことに気づくところが多いようです。

P1000004_3 先日伺った岩手県I市H支所でも、支所の事務長さんが「予防とか早期発見とか言っても議論がかみ合いません。旧町の取り組みが進んでいたことにびっくりしました。」と話されました。

二段階方式を導入していれば
   ①脳機能テストを基にした早期発見
   ②脳機能テストを基にした生活改善指導
   ③予防教室またその後の継続自主活動
   ④ボランティア養成
などが行われているはずです。

合併に際して上記の活動ができていれば、声を大にして「このやり方で行きましょう!」といえる(場合もある)のですが、諸事情でそこまで行ってないこともあります。
ただ、理解できてないわけでは決してありませんし、手ごたえを感じている保健師さんはたくさんいますから、「旧町でやっていた二段階方式を取り入れた予防活動を、新市でどう構築すればいいのか?」と悩むのです。

そのひとつのやり方です。P1000008

まず一般市民対象の講演会
二段階方式によるボケの理解や予防教室や継続の意義など、の基本的な話です。やはりここからスタートするのがいいと思います。

そして、モデル地区から予防教室を立ち上げて、必ず継続につなげる。

一方で保健師さんの個別生活改善指導のスキルアップを図る。具体的には実務研修会(次回は4月29日~30日・浜松市)を利用することですが、合併して大きくなった市でいっせいに保健師さんのレベルアップを図る方法を、エイジングライフ研究所でも検討中です(お問い合わせください)。
FAX:0557-54-2650

予防教室を支えるボランティア養成や教室指導者の開拓も必要です。

結局のところ、旧町で行ってきたボケ予防活動の展開と基本的には同じなのです。
今こそチャンス。
きちんと整理された考えの下でマニュアルを参考にして新しく取り組んでいきましょう。

介護保険の見直しに伴う仕事も目白押しでしょうが、「ボケ予防はありえない」とエイジングライフ研究所が誹謗中傷された10年前とは様変わりです。認知症の予防活動は保健師さんに求められています。

「地域予防展開マニュアル」をもう一度読んでみてください。


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