9月13〜14日と北海道岩見沢市から山口県下松市まで、広範囲からの参加者を迎えての研修会でした。
(研修交流センター1階楽器博物館のカフェ)
会場の浜松市アクトシティで初めての研修会を開いたのは、平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災の直後の2月でした。関西以西の参加者が相次いでキャンセルとなったこと、浜松には珍しく雪模様の寒い日だったこと、そのような些細なことが思い出されます。
あの時から、そろそろ四半世紀。
エイジングライフ研究所の研修会は毎回どこか印象が違うのですよ。参加している方たちがこちらが投げるボールをしっかりとキャッチしてくれていると感じる時とそうでもない時。
もちろん伝えるべき内容は共通しているのですから、その差はどこから生まれるのかちょっと考えてみました。
伝え方の問題があるとしたら、これは当然私の反省点です。工夫の余地はあると思いますが、「伝えたい気持ち」にはブレはなく、むしろ研究会を重ねる度に「この簡便な手法が、個々人だけでなく日本を救うのだから、ぜひ使えるようになってほしい」という気持ちにまで昇華していってます。
これは理屈に合わないのですが、とにかく身勝手な理由をつけてでも自分の問題を外したいのです。
自分に帰属している理由以外の理由を考えて見たかったからです。
1。参加者のモチベーションの差。現在アルツハイマー型認知症(特に予防)の仕事についているかどうか。それ以前にこのアルツハイマー型認知症に関心があるか。
参加したくて参加している人ばかりではないことに、ある時気づきました。「母子担当なのですが研修予算があるので参加するように言われました」と、悪気なくいった人もいました。
細かく言えば、研修を受けるような心理状況にない人もいるかもわかりません。もちろん体調だって同様です。業務としての参加ですから。
手技には関心を持っても、ただでも忙しい日常業務の中でどう使っていくのか?と悩ましく思ってしまう人もいるでしょう。
2。参加者の年齢の違い。新採用の方から定年間近の方まで参加されます。経験を積まないと実感できないものがあるために理解が具体的だったり、深まっていらっしゃることもあれば、フレッシュマンらしいキラキラした関心が、こちらに直接伝わってくることもあります。
3。さて、当日の天気は影響するでしょうか?幸いにも荷物の積み下ろしに困るほどの雨に当たったことはありません。と、いうわけで豪雨や雪の影響はわからないのですが、晴れから小雨までの天気であるならば、特に関連はないような印象を持っています。
ここまでよく付き合ってくださいました。
「なんか変だなあ」と思いませんでしたか?「いくらなんでも研修会の印象が違う理由としては、こじつけじゃないか」と思いませんでしたか?
(9月15日事任神社で)
研修会後に読んだ新聞記事です。
エーザイが、まだアミロイドβの影響を取り除くことで、アルツハイマー型認知症の治療までもできる薬を開発中ということが取り上げられていました。アリセプトは進行を遅らせるだけだとされていたわけですから一歩踏み込んだ創薬ですね。
一方で、同じ記事の中に、アメリカの巨大な製薬会社イーライリリー社は「アミロイドβがアルツハイマー型認知症発症の原因とする考え方からは撤退した」ということにも言及してありました。
何が原因かということを考える時には十分な注意が必要です。
アルツハイマー型認知症の重度の方の脳にアミロイドβが多く見られたからといって、アミロイドβがアルツハイマー型認知症の原因と言い切ることはできないはずです。別の原因でアミロイドβが溜まっただけかもしれないでしょう。
例えば、脳を生き生きと使わないがためにアミロイドβが排出されなかったのかもわかりません。
「『火事は煙がでる。煙が出てるから消火に行ったら、サンマを焼いていた』というようなことにならないように」と、学生時代に相関を考える時の注意を受けました。
研修会で所長が解説したように、「アルツハイマ-型認知症発症の原因として脳の使い方という意味での生活習慣」を上げるところが世界的な研究機関からも出てきたのです。
エイジングライフ研究所は、たまたま正常の方から重度認知症の方まで幅広いデータがあったこととそれが多数例であったことから、アルツハイマ-型認知症の正体がよく理解できたのだと思っています。
住民の方々に「脳の健康教育」をしていくことができるのはみなさんです。
感想を伺いました。
「マニュアル通りに、趣味や運動などを進めていたが、なぜかがよくわかった。これからはもっと自信を持って指導につなげられる」
「生活上の大きな変化をきっかけにして、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続すると、脳が老化を加速する(本来の老化と廃用性機能低下)ということはとても納得でき、具体例が目に浮かぶ」
「長く使っているうちに、少し変化してきているようなのでもう一度正確に使うようにしたい」
嬉しい感想として「使ってみたいと思います」
そうなのですよ。事例を重ねるほど、納得できることが増えていくと思います。
今回は、右脳・左脳の話で盛り上がりましたね。左利きの人で右脳障害のため失語症になった事例を紹介しましたが、ここに詳しく書いていますから一読をお勧めします。