脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

「忘れちゃった」のではなく・・・

2012年03月29日 | 前頭葉の働き

今日の写真は修善寺です。2012_0328_135000p1000098

ようやく修善寺寒桜が満開になりました。

伊豆は河津桜を筆頭に桜便りが早くから聞かれますが、この修善寺寒桜も早咲きの桜です。

今年はびっくりするくらい遅いのだそうですが、境内に見事な大木が二本、満開の時を迎えていました。

2012_0328_135100p1000099ところで、私たちは、「あっ。忘れちゃった!」とよくいいますね。

これって、記憶力の問題なのでしょうか?

これが今日のテーマです。

学生時代の友人たち5人が、仲間の一人のうちに集まって、マーマレード作りをしました。

最初に断っておきますが、もちろんマーマレード作りも大切なら、久しぶりのおしゃべりだって大きな目的です。

マーマレード作りベテランの友人が、やるべきことをてきぱきと教えてくれます。

ナツミカンの皮を剥く人、小房の甘皮から実をとりだす人、皮を薄切りにする人、とこれは誰から言われることもなくごくごく自然に役割分担し、自画自賛ながらそれぞれの仕事の手際もとてもいい!

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当日は、手はみかんの皮抜きなどの仕事が忙しく、口はおしゃべりが忙しくて写真をとりませんでした。
左の写真は、今日、私が一人で復習した時のものです。

このように、ナツミカンの外の皮が一山。

ペクチンがたくさん含まれているので、とろみをつけるために種も使いますから、種の塊も出現。

もちろん実も使いますから、実の山もできます。

そして、こればかりは捨てるしかない小房の甘皮。

友人が言ったのです。
「実は、崩れやすいように二つか三つに割っておいてね」

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実の山を見ると、割っていない実がいくつか見つかります。

お互い指摘しあっては
「あっ、忘れちゃったぁ」という言葉が何回かでました。

このような失敗は日常的に起きることですが、これは記憶力の問題と理解してはいけません。

「覚えられない」または「覚えていられない」というように記憶力の問題ととらえるよりも「自分の持っている注意分配能力を越えて、同時にいくつかのことをすると、失敗を起こしてしまう」と考える方が実態の説明としたらあっています。

つまり前頭葉の問題!
歳をとってくると誰でも、前頭葉機能のうち注意分配能力は、直線的に低下します。
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「久しぶりの友との語らい」
「マーマレード作り」

この二つの状況の理解は十分できているのですが、ともすれば「友との語らい」に注意が集中してしまうと・・・・・

そうです。実を割ることに注意をわけることができなくて、その結果割られていない実が混じることになるのです。

包丁で手を切った人がいないだけ、マシだったと思いましょう。

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左の写真は、山椒の実の塩漬けを作る時に起こした私の失敗例。

「実感!前頭葉機能低下(正常範囲ですが)」 に詳しく書いてあります。

「忘れちゃったぁ・・・物忘れはボケの始まり??どうしよう・・・」と恐れを抱かなくていいことを、山椒事件とマーマレード事件からお話ししたかったのです。


人事異動

2012年03月27日 | 二段階方式って?

春は人事異動のシーズンですね。
認知症予防活動に従事して、その中でも確かな手ごたえを感じている保健師さんたちは、こんな思いで仕事に向かっているのです。

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「今回、人事異動がありまして、私は包括支援センターという別部署に異動になりました。

この認知症予防事業については、愛情を持って精一杯やってきたので、とても残念です。後ろ髪をひかれる思いです。」

その後には、担当を外れるというのに、今年度の認知症予防事業についてのお願いが書き連ねてありました。

また、このようにがんばり過ぎてしまって疲れ切っている保健師さんもいます。

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「実は、3月末をもって退職することになりました。

大きな理由は、自分の職場での力量が意識している以上に追いつかず、心身の器が壊れそうな感じがして、このまま仕事を続けるのが困難に感じたためです
自分の今後の予定は、4月にゆっくり考えつつ、また、どんな形でかはわかりませんが、保健・福祉の仕事に携われれば幸せかなと感じております。」
そして高齢者たちが元気で発表会をした時には、
「涙が溢れるのを必死でこらえていました。」

12年も前になるでしょうか?!あなたの町で「ボケ予防教室」を開いたのは。
市内各地のいくつかの教室が、さまざまに形を変えながらも「認知症予防=脳の健康維持」という理念は保って継続してきていたのです。
脳の機能検査はしていませんが、皆さんほんとにお元気でした。
それはあなたをはじめとする保健師さんたちの力です。

脳機能から見た認知症予防は、まさに保健師さんたちに最も求められる脳の健康づくりという生活改善指導でした。よくがんばりました!

最後に
「自分もボケないように、人生を楽しめるよう、歩んでいきたいと思います。」

そうです。自分の健康や幸せがなくて市民のことだけ考えるのは間違っていると思います。どうぞお幸せに!!
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こういう思いを持って、仕事をしている保健師さんたちがいるのです!
他の事業のことはよくわかりませんが、認知症予防の事業に関して言えば人と人との関わりがその基礎にあります。

その時にこのように深い思いを持って対応できる保健師さんがいることは、その町の宝だと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 


3月の右脳訓練ー小雨模様の東京国立博物館

2012年03月26日 | 私の右脳ライフ

TVの美術番組で、開催予告を見かけてから
ボストン美術館 日本美術の至宝展 」に行きたかったのです。

2012_0323_134600p1000091興味がありそうな事柄に、ピンとアンテナを立てる習慣は大切です。興味や関心がなければ、通り過ぎていく刺激や情報が何とたくさんあることでしょうか!
これは前頭葉の機能ですから、前頭葉を目覚めさせておくということです。

キャッチした情報が全部生かされるということはありませんが、平板な日常生活の中に、さざ波が広がる感じといえばいいのでしょうか。
前頭葉がくすぐられる感じ、と言い換えてもいいでしょうね。

興味と意欲は持っても、実現までには時間がかかることもあります。先日の直島行きには「行きたい」と思ってから5年くらいかかっています!

2012_0323_134200p1000087この日の上野は小雨に煙っていました。柳が柔らかに青めいて緑のスクリーン。その柳越しには満開の紅梅や白梅が。

明治初期の廃仏毀釈の騒動や大名家の没落などで、散失してしまいそうな作品を、有名なフェノロサや岡倉天心が収集しボストン美術館に持っていってしまった(と、書きたくなります)訳ですが、その里帰り。

私は、混雑が予想される展覧会には開場前に到着しておいて少し待つようにします。
そして、第一グループで入場します。最初の展示を少し飛ばして誰もいない作品の前で見るのが好きです。

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この展覧会の目玉とされている作品群はどれもこれも見事で、左脳の「言葉」で説明しようとしても無理。これは皆さんの右脳、「感性」で感動してもらわなくっちゃ。

一応上の「ボストン美術館 日本美術の至宝展 」をクリックして、作品をご覧ください。

東京博物館の敷地には、素敵なシーンがいくつも転がっています。
本郷の東大にあるのは「赤門」ですが、これは「黒門」。
「赤門」は加賀前田家のお姫様の腰入れの時に建てられたものですが、この「黒門」は因州池田家江戸上屋敷の正門だそうです。

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満開の梅の向こうに見えるのは、法隆寺宝物殿。

先日奈良へ行ったので、ここの仏様を今までにない目で見ることができました。
以前は「小さくてかわいい仏様」と思っただけでした。

重文が勢ぞろい。
そのほとんどが「観音菩薩像」でした。持仏として、身近に置いて大切に信仰されたのだろうと自然に思えました。
奈良の正倉院と並び称せられる宝物殿。7世紀のものがたくさんあるのだそうです。
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時間さえあれば、何時間でも見ていますし、その建物や周りを見るのも好きです。

駅に戻る途中、国立科学博物館にクジラのモニュメントがあるのに気付きました。
子どもと一緒に、ここにも何度か行きましたが、いつも同じ道で帰っていたのです。

道を変えることも、楽しみの発見につながりますね。
前頭葉満足!の一日でした。


続ー軽度認知症から“予想外”によくなったお姑さん

2012年03月20日 | 認知症からの回復

散歩途中にシャッター。伊豆高原の3月末
3月16日に書いた「軽度認知症から“予想外”によくなったお姑さん」に登場した、当のお嫁さんから、メールで返事がきました。(久しぶりの電話のおしゃべりを書き起こしたのが先日のブログでした)

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「こんにちは。
まいりました! 絹子さんの記憶力!!
それにしても、文章になって読むと自分の考えが客観的に入ってきて 良いですね。
私って やるじゃん!! 、、、これは、ひとえにチャボ先生の 愛読者である結果だね。

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知識は 本当に大切ですね。
本を読んでなかったら ここまで具体的には できなかった。
それに、認知症の人、という認識の前に、意見の合わない姑、、、と長らく思っていたから
小さな 具体的なことを 聞いてないと同居しても 関係は遠ざかっていたと 思えます。」

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 認知症の始まりが、どのような実態なのかをお知らせしておくことは、とても大切なことだと、あらためて思いました。(右欄カテゴリーの「正常から認知症へ」にはたくさん書いてあります)

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とくにしゃべれるタイプの人だと、その言葉の力に、家族は振り回されてしまいます。
「ああ言えば、こう言う」・・・・・・・でもちょっとずれてるよね!
「言い訳は上手」・・・・・・・・・・・・でも、やってることが変なのよ!
「とっても立派なことを言う」・・・確かにおっしゃるとおりですけど・・・
 
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家族は「ボケていてほしくない」という希望を持っていますから、この言葉を信じて「これだけのことが言えるのだからボケていない」と楽観的に対応するグループと、モンモンとしてしまうグループに分かれていきます。
 

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直接的な対応や世話をしない人たちは、信じるグループ。ただし、このグループからは認知症から引き戻す力は生まれません。
対応が密な、さしずめ多くのお嫁さんはモンモングループ。
 直接的な対応や世話をしない人たちは、信じるグループ。ただし、このグループからは認知症から引き戻す力は生まれません。
対応が密な、さしずめ多くのお嫁さんはモンモングループ。
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その時に、「私の胸を穿つこの言葉は、この状況を的確に判断して出てきているのではなく、何十年も使ってきた日本語が漏れ出ている」
「状況判断の前頭葉が、能力低下を起こしているのだから仕方がないと認めてあげよう」と思えたら、対応が変わると思うのです。
その先に回復へつなげる力が出てきます。
 
多分、彼女のメールはそのことを言っていると思います。
 
 

 

 

 

 

 

 


軽度認知症になっているのか?右脳障害の後遺症か?

2012年03月18日 | 右脳の働き

東日本大震災から1年ということで、TVのニュースなども関連番組がよくありますね。先ほど「民生委員の役割の見直し」というテーマで被災地からの取材を交えた番組が放映されました。

2012_0311_153200p10000053.11を期して新しく開設したもう一つのブログ
「認知症の早期診断、介護並びに回復と予防のシステム」で、つい最近、血管性痴呆のことを取り上げました。(N10・N11)右欄下部からも入れます。

そこで、後遺症と認知症とまぜこぜにして考えているということを書きました。

これは、先日のNHK 朝の情報番組「あさいち」放映された認知症の特集で取り上げられた血管性認知症の考え方に対して、エイジングライフ研究所の考えを明らかにする目的もあって書いたのです。

2012_0312_095600p1000006話はそれますが、ついでに一言。

この特集では、手術で治る認知症ということで、「正常圧水等症」と「慢性硬膜下血腫」を詳しく解説していました。

解説は正確だったと思います。

問題点は一つ。このような認知症を二次性認知症といいますが、その頻度がいくらくらいあるのかという説明が、どう考えても足りなかったと思います。

多く見積もっても、数%ですよ!

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世の中にある大多数の認知症は
「高齢者が、何らかのきっかけで、生きがいも趣味も交友もなく、運動もしない。つまりナイナイ尽くしの生活を続けるうちに、脳機能の老化が加速されて、だんだんボケてくる」タイプです。

それをアルツハイマー型認知症といいます。

このタイプが軽く90%は超えるのですよ!

珍しいシクラメンの実

2012_0316_090500p1000006手術で治すことができる二次性認知症と、普通のアルツハイマー型認知症とには決定的な違い、それも誰でもがわかるはっきりとした違いがあります。

それは、症状の進行の速さが全く違うという点です。
二次性認知症はいったん症状が出始めたら、誰でも病院に行きたくなるように早く進行します。この豆知識がありさえすれば、治せる認知症を見逃すことはないはずです。

手術で治せる認知症は、そのようなタイプの認知症があることを知っておきさえすればいいのす。本当の認知症の予防は繰り返し述べてきているように、「脳全体を自分らしく使う生き生きとした生活を続けていくことだということ」を理解しなくてはいけません。

さぁ話を元に戻します。2012_0316_084700p1000003_4

仮設住宅に暮らす車いすのご老人を訪問して、民生委員さんが
「避難するようなことが起きても、心配しなくていいんだからね」と話しかけるシーンでした。

その車いすの方は、左手を肩からつって、無表情で元気のない雰囲気で画面に映っていましたが、はっきりと涙ぐみました。

私たちの前頭葉は、もうそれだけで
「この方は、この災害で大きな痛手を負われている。それでもこの言葉を聞いてこのような反応ができるなんて・・・(きっと何でも判断できるだろう)」と判断するでしょう。

一方で、その直前、画面にその方をとらえた時には、その無表情さと元気のなさから
「あれっ。これはもしかしたら・・・(震災から1年。認知症が始まっているのかも)」と判断したはずです。

私はどちらとも、判断できません。2012_0316_085000p1000005

それは、左腕を肩からつって車いすに座っているということは、9分9厘、右脳の障害を意味しているからです。

右脳障害の人は、とりわけ表情が悪いという特徴があります。

さらに、右脳の後遺症の一つに「感情失禁」と言われるものがあります。特別悲しくもないのに涙を流して悲しがる。そのくせケロッと立ち直る。これは右脳障害の場合に顕著に表れるのです。

左脳障害の場合には例外的にしか現れません。左脳障害の人は、状況を判断して本当に悲観的になって涙を流すのです。

2012_0316_085000p1000004数秒間の画面上に認められた「涙」の意味が不明?
いつ右脳障害が起こったのか?
その後の暮らしは?
震災後の暮らしは?
左脳の機能障害も起きてきているのか?
(起きていれば認知症は始まっている)
前頭葉はどこまで働いているのか?
(年齢相当より大きく低下していれば、認知症は始まっている)

脳の形ではなく、脳の働きを見てあげないと、この方を理解することは困難です。
脳卒中後にしろ、認知症にしろ、脳の働きを、もう少し客観的に詳しく知ろうとする動きがなぜないのでしょうか?
よりよく見るのも、より悪く見るのも間違い。

本当の理解の先に、本当の援助が見えると思います。


小布施町脳のリフレッシュ教室交流会―競演

2012年03月17日 | 認知症予防教室

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毎年、毎年楽しむ姿勢がはっきりしてきていると思います。

それと、それぞれの町の工夫が光ります。
この交流会で触発されて来年のプランが磨かれている面もあると思うのですが、さてどうでしょうか?

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今年は10年目ということで、市村町長出席のもと皆勤賞授与式が行われました。

町長さんのごあいさつ

「高齢化は27~28%と進んでいるが、10年目に入った介護保険のカーブはそんなに大きくない。

若い人を招き入れることも考えているが、とにかく皆さんお元気でいてほしい」

楽しそうな様子を見てください。
写真下の1行コメントは左が上行、右が下行です。

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ABK48がライバルとか!ステージいっぱい使ってOBS12結成記念公演
北信五岳のプラカード登場から、凝った趣向でした。柴又寅さん一家の登場

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歌詞からギャグが次々に。ああ面白い虫の声→青も白い?
寸劇「騙されないぞオレオレ詐欺」!もちろん恒例「ふるさと」合唱

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この趣向は初めてでした。アブラハム体操。恥ずかしそうな人もかわいい。
努力賞の手話付き合唱「夕焼け小焼け」寸劇での数珠が栗とは!

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「銀座カンカン娘」のはずが「小布施のクリクリ娘」と一ひねり
キヨシのズンドコ節。お面とスカーフで個性的に

2012_0224_152100p1000094_2左の飯田は、かきくけこの人生宣言

感謝します。
気配りします。
工夫します。
健康に気をつけます。
好奇心を持ちます。

「花には水を。人には愛を」私がプラス
「脳には、いいだん会脳リフ教室」


上松川は元気いっぱいの炭坑節。写真がないのは、私も踊らされたから。
踊らされたと書きましたが
「踊るアホウに観るアホウ、同じアホなら踊らにゃ損損」
まったく同感!脳は使ってナンボのものですよ。




小布施町脳のリフレッシュ教室交流会

2012年03月17日 | 認知症予防教室

恒例の小布施町脳のリフレッシュ教室交流会の報告です。

2010_0226_132300p10000211この写真は2010年の交流会の時のものです。

交流会の開始時刻と、バンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケート決勝のキムヨナ選手と浅田真央選手の演技が重なってしまいました。
誰も声をかけないのに会場に用意されたテレビに見入っている皆さん。

私はこのシーンを見て、予防活動の成果が見えたように思いました。

認知症予防教室は、「第二の人生の生き方を豊かにすること」を目的にしています。
楽しむことは悪くない。
悪くないどころか、楽しむことができたら第二の人生の大きな関門はクリアできたことになるのです。楽しむことに意欲を出してほしいのです。

2012_0224_153100p1000096左の写真は、交流会のフィナーレ。
在宅介護支援センターのスタッフの皆さんと一緒に交流ゲームを楽しんでいます。

この積極性はどうでしょうか!
素晴らしいと思いませんか!

小布施の皆さんはどちらかというと控えめな方が多かったと思うのです。地道な10年の活動が花開いたひと時だったと思います。
こういう生き方ができる人たちが増えていかなくてはいけません。そのために認知症予防教室はあるのです。

小布施の皆さんが、脳のためにいい生き方ができている証拠をもう一つお見せします。会場入り口に飾られていた作品です。2012_0224_161000p1000099
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そして耳にした言葉。ウーン。何といい発言!何といい生き方!

「北部の衆は同じものは作らんのだなぁ、なぜか」(レザーモザイク)
「これで8種類できたもんで、十二支になるまでがんばって作りたい」
「ふわふわ人形、あんまりうまくできたので、ケースを探しとるとこ」

課題は一つです。もっと、もっと参加者を増やして、このような生き方ができる人たちで小布施町をあふれさせなくては。


軽度認知症から"予想外"に良くなったお姑さん

2012年03月16日 | 認知症からの回復


今日の写真は湯河原町の幕山梅園。梅の宴は18日までというのになんとまだ5分咲き

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遠く離れた所に住む友人から久しぶりに電話がかかってきました。

「絹子さんの言うとおりにしただけなんだけど、思いがけないことになってしまって・・・」

笑いながらの言葉でしたが、ちょっとドキッとしますよね!続きを促すと面白い話に発展していきました。

「Tさん(ご主人)のお父さんが亡くなって、そろそろ2年。
お姑さんは『一人になってもこの家にいたい』と言うので、車で小一時間のところだけど、気になりながらも一応意見を通してあげてたの」

「最初は週一回は通ってたけど、実家の方にいろんなことが重なってちょっと間遠くはなってたのね」

2012_0316_142200p1000027「そのうちに糖尿病がだんだん悪くなっていって、HgA1cは7を超えてしまうし、元気もないし、いつも横になってる寝てるし」

「もちろん、このままではボケる!って思ったわ」

「それに加えて、どうしても、私たちと一緒に生活させてあげなくては!と思ったの。正直に言うと『最後ぐらいは母子一緒に過ごさせてあげたい』ってね。

ほんとに元気がなくて、そんなには長生きできないんじゃないかと思ったのよね、その時は。だって年齢が88歳ですよ!それが去年の年末」

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「今年からお姑さんを迎えるにあたって、私のしたことは
1.絹子さんの本を読み返す。

2.糖尿病の勉強をする。

3.糖尿病にいい食事作りを実行。
毎食、海藻料理とかね。

4.家の周りを歩きやすいように片づけてあげた。

5.仕事一筋で生きてきて趣味はないタイプだったんだけど、ちょこっと編み物もできるように用意した。(この友人は編み物の先生)

6.家事で一緒にできることは、なるべく一緒にした。

7.家族のための仕事として、煮物は担当。洗濯物の整理もお願い!

8.Tさんにもよく相手をしてあげるように頼んだ。

まあ、こんな程度だったかな」

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「最初は言わなくては歩かない、どころか言っても歩かない!

仕方ないから、手をとって歩くくらいだったの。

それが今では、3か月ほどしかたってないのに、朝夕、犬と散歩ですよ!」

「私が『図書館に行くので留守番をお願いね』と言ったら、最初は留守居をしてくれたのだけど、そのうち『私もつれていって』」

「今じゃあ、お気に入りの作家までできて、その人の小説を続けて借りるようになってるの」

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「おしゃれになって、洋服も欲しがるし、美容院へも行くようになったのよ」

「Tさんとも、とっても仲良しでね・・・」

ここで私はちょっとした、感情の揺らぎを感じました(笑)

そこで私の発言
「ボケたお姑さんのお世話とどっちがいいの?」

「そりゃあもちろん元気なお姑さん。
でもね、同居を決めた時にはほんとにいつまで持つ?って言う感じだったのに・・・予想外(笑)」

「特別何をやったというのじゃないけど、絹子さんの言う通りなのね。
上手に手を打てば、ボケって治ることがよくよくわかったわ」

2012_0316_141600p1000025ここまで読んだ方は、「そんな簡単なことで認知症が治るなんて!」と思ったかもしれません。

彼女のやったことは、確かに特別のことではないかもしれません。

でも、いくら早期に気づいても、このようにきちんと日々の生活を変えていける(運動の脳、右脳、左脳そしてもちろん前頭葉をイキイキと使う生活にかえる)人ばかりでないことは確かです。

一人暮らしになって2年ですから、この程度に、脳機能の老化が加速されている状態ならば、本人に自覚があるので、促すと動けることは動けます。

でも、軽度認知症(小ボケ)の方々は、簡単にいうとスターターがうまく働いていない状態ですから、上手に誘導してあげる環境があるかないかで大違い。

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言葉だけは一人前、やることなすことちょっと変、アチコチつじつまが合いません。
その状態のお姑さんを、彼女はとにかく動かしたのです。

嫁姑の関係はどうせどこか難しいものです。
お姑さんが理解がなくお嫁さんが一方的に我慢するというような極端な無理があったとします。
その時、このような状態に至ると、お姑さんは親身の声かけをしてもらえないのが普通です。

結論として、「こんなに良くなるなんて予想外」と笑っていえるお嫁さんの力がどんなに大きかったかと、私は思います。


NHK朝のドラマ「カーネーション」から

2012年03月14日 | かくしゃくヒント

3月14日、NHK朝の連続ドラマ「カーネーション」で主人公がしゃべったセリフが耳に飛び込んできました。

2012_0314_215700p1000002主人公はは72歳の女性。

大阪岸和田の洋裁店主。
戦争未亡人で女手一つで店を切り盛りし、オーダーメイドの洋服づくりを信条としてきた。

娘三人も洋服デザイナー(コシノ姉妹がモデル)として名をなしている。
その娘たちから、年齢を理由にそろそろ引退を勧められていた。

たまたまデザインした中高年用の洋服が評判を呼び、オリジナルブランドの立ち上げを持ち掛けられたところで骨折。介護ベッド生活中。

という設定でドラマは進行していました。

娘たちの引退勧告に対して

「夜寝るのが惜しゅうて、朝起きるのが楽しみで(そんな生活をしなくてどうする!)」

「おもろないとイヤ!おもろいのあきらめて生きていけるもんか!」

このような「おもろい」テーマは天から降ってきません。自分が見つけるのです。他の誰が「おもろない」と言っても、じぶんが「おもろければ」それでいいのです。それを決めるのが前頭葉。

探し出して、そしてやってみなくては。
そうでなくては「おもろいか」「おもろないか」を、前頭葉は決めることができません。

2012_0314_215500p1000001ところで、ここで私は、長男の会社の社是を思い出しました。
「すべてのスタートは『楽しむ』こと。『楽しい』ではなく『楽しむ』である」(クリックしてみてください)

こういうことが言える73歳(より以上)の人に対して、私たちは
「あの人は絶対ボケないね!」と太鼓判を押すものです。

それは私たちがボケるかどうかの基準を「生き方。それもイキイキとした生き方ができているかどうか」においているからです。

こういう人はたとえ骨折しても
「一か月で治るから!」と断言できる強さも楽天性も兼ねているものですね。

その後の情報番組「あさいち」の認知症の解説には、大きな?がいくつも浮かびましたが、世の中の人たちが持っている「どういう人がボケないかの物差し」が正しいというのみにとどめましょう。

3月1日から、新しいブログを始めました。
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新ブログ開設と、旧ブログ名変更のお知らせ

2012年03月13日 | エイジングライフ研究所から

3月1日から、新しいブログを始めました。
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 これに伴い、2005年から始めたこのブログの名前を、4月から「脳機能からみた、認知症の初期の見わけ方」に変えます。

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内容は、今まで通りです。具体的な症状を中心に脳機能の話などを書いていきます。

またこれに伴って、テンプレートの変更もしてみました。そしてカテゴリー分けもしましたので、右欄を見ながらもう一度読みたい記事を探してみてください。

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