脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

また 心惹かれたもの

2023年09月23日 | 私の右脳ライフ
暑さを避けて外に出てみると、心惹かれるものに出会います。
近所に酔芙蓉の群生があります。フヨウはずいぶん前から咲いていますが、お目当ての酔芙蓉の群生は毎年花が少し遅かったことを記憶していて、もう9月も終わりに近いと、慌てて見に行ってきました。
酔芙蓉の花。





酔芙蓉は朝咲き始めは白色、夕方にはピンクに色づいて一日の命を終える花。
メシベの柱頭がこんなふうになっていることを知りませんでした。もっと大雑把にみていたのですね。
普通の芙蓉はどうなっているか?見に行きましたとも。



シゲシゲ見てみました。こちらはまあ普通ですよね。
庭にハイビスカスローゼスが咲き始めました。1メートルを超えるような草(寒さが越せなくて一年草扱いです)に蕾がたくさんついています。





メシベがどうなっているか観察してみました。平たくて受粉しやすそう。よくみると受粉してます!

ハスの花は清廉、高貴な感じがありますがオシベがメシベに向かう様は動物的で、初めて気がついた時には息を飲みました。
パッションフルーツは、メシベの方が高い上に、オシベは葯が下向きになっているので、葯を摘んで毎日受粉させないといけないのです。
自然に囲まれて暮らすことは、草の勢いに負けそうになりながらでも、生活に変化を生じさせて季節の移り変わりや発見の喜びにつながりやすいことでもあります。
紫色の花が目立っています。
紫御殿。歳上の男性の友人が「僕はこの花は苦手だな。どんどんのさばるから」と言われたことが
この花をみるたびに思い出されます。「O野先生。のさばってもお花は可憐ですよ」といつも言い訳をしてしまう私です。
トレニアと教えていただいて、そう呼びならわしていましたが、去年FBに友人が「夏スミレ」と書かれていて、その言い方を勝手にいただきました。和風に呼ぶと和風に見えるところが面白い。

ブルーサルビア

今マイブームのバタフライピー
7月半ばから、花の摘み取りができるようになったのですがだいたい10個未満。それから夏枯れっぽくなって。それが最近では20個くらいに盛り返しています。

屋久島の志戸子ガジュマル園からはるばる連れ帰ったサクラランの鉢植えがようやく新しい芽を伸ばし始めました。元気になるのに1ヶ月以上かかりました。新しい部分の方が大きくなってきました。

この子のふるさと。屋久島志戸子ガジュマル園。

7〜8センチもあるこんなサクラランのお花は、いつになったら咲くでしょうか。
蔓性といえばひっそりと大きくなっているキジョラン。アサギマダラが卵を産む植物です。三重で知り合った鳥本さんが送ってくださいました。


アサギマダラの幼生は、体内に毒を持っているため、それをアピールすることで捕食から逃れる術を選んで、みるからに毒々しい派手な色彩だそうです。とにかく見てみないと何もいえないと楽しみにしています。
金時草の花の蜜が成蝶の食餌になるのですが、金時草畑の真ん中にキジョランを植えてあります。アサギマダラがきっとびっくりするだろうと目論んでいるのですが、さて仕上げを御覧じろというところです。

この夏はあまりにも暑くて、部屋に引きこもっていました。夏眠していたわけではありませんが、やはり外に目を向けた方が刺激的だと実感しました。あ、私にとっては。ということで、何に興味関心を持つかは、他ならぬ自分の前頭葉が決めることですから、十人十色です!














心惹かれたもの

2023年09月21日 | 私の右脳ライフ
富戸定置網の漁師さんから、素敵な写真をいただきました。どう考えても独り占めはもったいない…許可を得てご紹介します。
9月14日の朝、「年二度のプライスレスな日でした」の添え書きと共に写真が届きました。
朝4時ごろ、まだ暗い中を出港するのです。定置網の設置場所に着いたところでしょうか。都会の夜景の素晴らしさにも感動しますが、この見事さ。夜明けの気配と輝く星と。
定置網の灯りは人工的なものですが、あまりにもこの海の景色に馴染んでいると思います。
プライスレスな日の意味は、お月さまとお日さまが同時に見える日という意味なのですって。
沈みゆくお月さま



東に目を転ずれば、今日の天気を約束する日の出の幕が切って落とされたシーンが始まっています。

漁師さんたちは毎日のようにこの夜明けのシーンを見ることになるのですが、多分その度に感動していると思います。
写真からでもその荘厳さが伝わってきます。理屈抜きに人は自然の一部として生きてる…
ちょうど時を同じくして、釣果(定置網は釣りませんから違う言い方があるのでしょうね)も素晴らしいものだったそうです。
大カジキ

キハダマグロ。ヒレがこんなに黄色なのですね!初めて知りました!

マグロの大漁旗!見事!

富戸港までは車で7分。こんなに近いところに「魚が獲れるところがある」という幸せはいつも感じています。

あまりにも暑いので、庭に出るのも億劫になっていましたが、なんと!
ハイビスカスローゼル咲いていました。友人が苗をくれたのですが、「ハイビスカスティーを作るんです。花が咲いた後の萼から種を出して使います」という説明を聞きながら、私は、あの色は綺麗だけど酸っぱいハイビスカスティーは、普通のハイビスカスから作られると思っていましたから、花を楽しみにしていたのです。

かわいい。底紅があまりにもくっきりとしていてお化粧をしているお稚児さんの笑顔が浮かんできました。
蕾もかわいい。
今度は、種を出してお茶にしてみましょう。
ついでに目をやると、ハワイ土産のカヒリジンジャーも咲いていました。道の端に一面に群生しているのはハワイらしい風景なのですが増えすぎて有害植物にされています。トロピカルな印象とは違ってヒマラヤ原産なのですけれど。


トロピカルといえば、極楽鳥花。

実はこの極楽鳥花も強い植物です。ほとんど根がなくても、大丈夫付きます。地植えだと次々に花を咲かせますが、切花にすると蕾を引っ張ってやらないと咲けないんです。


がんばって外に出るとこんなに小さい花が。

5ミリくらいでしょうか。Picture Thisによるとキツネノマゴですって。
ハマユウ。ハワイではスパイダーリリー。なるほど
デュランタ宝塚

食欲を満たすことも、脳を満たすことも、どちらも同じくらい大切で楽しいことです。
久しぶりに伊豆ホテルのランチに行きました。イタリアンからフレンチに変わっていました。
シェフが始めましての気持ちを込めたに違いないと思う一皿から始まりました。
前菜の前に露払い役かな?


記録的に暑かった今年の夏も過ぎ行こうとしています。














講演会の準備-講演で話すということ

2023年09月12日 | エイジングライフ研究所から
母校の同窓会桜蔭会東京支部から頼まれて、講演をすることになったのは夏の前でした。まだまだと思っていたのですが、そろそろ期日が近づいてきたということでしょうか、講演会のお知らせのチラシが届きました。
講演の日はずっと先ですが、ちょうどこの講演会の依頼と同じころに長野県木曽地区の保健補導員等連絡協議会からも講演依頼があって、講演趣旨やプロフィールなど同じものを送りました。そのチラシも到着。

私の講演は、聞かれる方によって講演の内容が違うということはありません。なるべく自分が体験した具体例を挙げて理解していただきやすいようにします。さあそろそろ取り掛かりましょう。

講演用のパワーポイントを作りながら気が付きました。実は打ち合わせの時「著書の紹介を」といわれたのですが、「講演と小冊子だけでいいです」とお答えした経緯がありました。「かくしゃく老人」のスライドをチョイスした時に気づきました。

このごくシンプルな(そして当たり前すぎる)、たった一枚のスライドを作り上げるためには「いきいき百歳ボケる脳ボケない脳」という本にまとめあげるほどの実践があったのだなあという素朴な感動でした。



その前に。前頭葉の注意集中・分配力の機能は、18歳から20歳代前半にそのピークを迎え、その後はなだらかに低下し続けます。

と、説明すればその通りですが、このグラフを作るためには小学校・中学校・高校それぞれ1校のすべての生徒に検査をして導き出された数値が必要でした。小学校と中学校は私が一人で検査をし評価もしたのです。ちなみにその時幼稚園でも試みましたが、幼稚園児にはこの検査の実施はできませんでした。
一つの学校の生徒全員ということは、さしあたって問題にすべきバイアスはないと考えていいと思います。地域性だけは多少影響があるかもしれません。
信じられないほどの直線的な能力の伸び。数学者は「まるで作ったよう」といい、恩師の波多野完治先生は「この能力については、プラトーがないということが真実なのだから、そのまま理解すればいいでしょう」とおっしゃいました。普通、学習効果を考えるときには、成績に反映されない平坦な時期があるものなのです。注意集中・分配力は学習効果の及ぶ能力ではないということですね。

話を戻すと、年齢が進むにつれて能力が低下することは正常老化とでもいうべきものですから、つまりは高齢者の場合はその正常老化の範囲内に収まっていれば、問題はないわけです。
それならば、超高齢・百歳以上の方々の注意集中・分配力はどのようになっているのか?予想からいえば、当然ながら加齢とともにさらに成績低下が起きてくるわけですから、不合格者は多いに違いない。どの程度できる方がいらっしゃるのか?ちゃんと合格ラインに到達できる人たちはきっと例外に違いない。キチンと脳機能検査を実施したうえで合格した人たちの生活実態はどのようなものなのだろうかというテーマは、テーマというよりも個人的な興味みたいなものだったかもしれません。
1991年、東京、神奈川、静岡、愛知の超百歳高齢者全員(819名)にお手紙を出して、お元気そうな返信をくださった方を個別訪問(71名)して、脳機能検査と生活歴、生活実態を聞いてまとめた論文を3本書きました。それを一般向けに書いたのが「いきいき百歳ボケる脳ボケない脳」です。
注意集中・分配力が、年齢を加味したうえで合格ラインだったのはたった13人でした。その13名が例外なく「生きがいがある・趣味を楽しむ・交友を楽しむ・運動習慣がある」生活実態を、100歳になっても維持していらっしゃいました。

一方で認知症を気にして相談される方たちは、例外なくこの注意集中・分配力の明らかな低下がみられます。脳の後半領域のテストであるMMSEが合格している人たちの中にもたくさんいました。その人たちの生活実態は、これまた例外なく「生きがいなく・趣味・交遊もなく・運動習慣がない」
このあまりに対極的な結果には、想定内ではありましたがやはり驚かされました。つまりこんなにも、脳機能と生活実態はリンクしているということです。元気な脳を持っている人は「生きがいがある・趣味を楽しむ・交友を楽しむ・運動習慣がある」という生活実態を語り、脳の老化が早まってきている人は「生きがいなく・趣味・交遊もなく・運動習慣がない」という生活実態を訴える。
「きっかけに負けて」ということが鮮明になるにはさらに多くの高齢者の、脳機能と生活実態、それに直近の生活ぶりという情報の蓄積が必要でした。
銀杏

「臨床から得た」ということばがチラシに入っていますが、まさに体験を通したお話ができることが私の講演の特徴だと思います。他の文献から作るスライドはない。ということは研究する態度が足りないということでもありますね。

質問が出た時のために、最近話題の認知症治療薬「レカネマブ」と「若年性認知症」に関しては、回答用に備忘録としてのスライドを作りました。自験例でない話の時は、慎重の上には慎重を期して情報を集めます。自験例と比較して、説明ができ納得できるかどうか。まずは自分でチェックするのです。「レカネマブ」に関して現時点での問題点が理解できたと思いましたから、ここにあげておきます。ちょっと専門的ですが質問が出た時点で、状況に応じて口頭で解説するつもりです。

レカネマブの問題点(1.5年間の投与実験)
目的:治すではなく進行抑制。従来の開発薬より早期にAβ(アミロイドベータ)除去できるように働きかける。
対象:MMSE22~30。早期といわれているが二段階方式で言えば小ボケから中ボケ前半。発症してから3〜4年というところ。
副作用:脳出血17.3%(従来薬32.5%よりは改善したが高すぎる)脳浮腫14%。
コスト:年間薬価385万円(アメリカの薬価)。
月一度点滴のために通院(医療従事者への負担増も)。
年二度MRIによるチェックが必要。
選別時に、要Aβの沈着がない証明にPET(高価)か腰椎穿刺(高侵襲)。
副作用を防ぐためにアポリポ蛋白4の遺伝子チェック(高価)。
早期、若年から投与を開始して、いつまで投与するか。
アメリカでは個人保険が主なので保険会社の拒否があるが、日本は皆保険…
27%の進行抑制:CDRで偽薬群1.66低下。投与群1.21低下。0.45/1.66×100≒27%の進行抑制ができたが、投与群でも悪化している。
・CDRは、観察による評価なのでバイヤスがかかる。
・CDRは、1~2の変化で初めて臨床的意義があるとされる。そもそも最低評価は0.5。
・今回の統計処理は個人内での変化ではなく集団の平均化。
Aβ原因仮説に疑問:従来の創薬はAβの減少には成功しているが、認知機能の改善が見られない。これまでにかかった開発費用は数十兆円と言われている。Aβの沈着が本当の原因なのか、どうか?
元来2002年に提唱された仮説にすぎないのに、Aβ原因が前提となっていることにエイジングライフ研究所は大きな問題点を感じている。

若年性認知症に関しては、このブログでも詳しく書きました。
「共生社会の実現を実現するために認知法基本法」前提の誤り
講演会質問に対する回答用に簡単にまとめましたからそれも、紹介しておきましょう。
若年性認知症の問題点
・共生社会の実現を推進するための認知症基本法( 6月)の認知症者の尊厳保持、意見反映を重視。認知症が重度化すれば意見が言える人はいない。
・若年性認知症の定義を65歳以下発症とする大間違いがある。
・アルツハイマー病は珍しい自験例としてアルツハイマー博士が発表。「老年痴呆」と違い若年発症。急速に悪化。死後剖検で老人斑・神経原繊維変化・脳萎縮が顕著。
・アルツハイマー病に対し従来の「老年痴呆」をアルツハイマー型認知症とした。死後剖検で同一所見が見られるため。
・その後、アルツハイマー病早発型・晩発型という病名に。経過は無視。死後、病理学的に診断された結果の病名。
・早発型・晩発型が取れてさまざまな呼称。アルツハイマー病、アルツハイマー型認知症、若年性認知症。
・側頭葉性健忘症の誤解。1995年46歳で「認知症」とされたクリスティーン・ブライデン(豪州政府高官)は「私は誰になっていくの」を著作し認知症者の能力をアピール。国内でも「認知症」と診断された人達が発信を始める。
・側頭葉性健忘症を誤診。DSM基準は記憶障害が必須のため、記憶障害があるので認知症と診断してしまった。
・廃用性機能低下によるアルツハイマー型認知症は、前頭葉機能から低下。側頭葉性健忘症は前頭葉機能健全。意見を発信している人たちは側頭葉性健忘症であって「認知症」ではない。

日本のみならず世界の誤解を解くのに、講演後の短い時間で納得していただけるものでしょうか?
質問は楽しみにしているのですが。


女子旅で思い出作り

2023年09月04日 | 私の右脳ライフ
暑い盛りに女子旅を楽しみました。
ユニークなメンバー、といおうか急拵えの3人組。平均しても後期高齢者です。
一人は大学の同級生。ということは知り合ってからそろそろ60年近くなる!と、ここに書きながら驚いています。Sさんは請われて大学で「教育学」の先生をしていますが、お付き合いが半世紀以上!これはもう半分「歴史学」の領域ですね。
もう一人は、次男が幼稚園の時お世話になったK先生。指折り数えてみたら44年前の出会いでした。これまた長いお付き合いですねえ。
東部幼稚園の写真が見つかりました…広い園庭の素晴らしい幼稚園でした。

「Dちゃんの集中力。自分にはできるはずと思って取り組む姿勢がすごかった」といってくださいますが、私にとっては幼稚園にお迎えに行った時に「今日の事件。主役Dちゃん」の報告に驚かされたことが何度もあったことを白状させてください。

この一見つながりがない3人で、前々回投稿の「温もりの家 脳トレ倶楽部」に揃ってお邪魔したのです。「続けて浜名湖で一泊しましょう!」と言い出したのは私ですが、すんなり決まってしまうところにメンバーの女子力の高さが感じられ、旅が始まる前から上首尾が確信されました。

奥浜名湖のホテルに近づいた時、ギリギリ日没に間に合うところで、私はちょっと気を揉みましたが、初対面のお二人は話が弾んで景色は添え物。
ホテルは夏休みで満室。「最後の一室です」と予約できた部屋は珍しく和室仕様でしたがチェックイン後もお話は盛り上がりっぱなし。ヨギボーのソファがあって、友人が解説してくれました。

夕食はバイキング形式で、なんでも少しずつ挑戦したいという私のポリシーに乗ってくれて、全員満腹。写真は一枚もなく(笑)
お部屋に戻っても話は続きます。
初対面なのにどうしてこんなに話が弾むのか、少し考えてみました。
1。仕事に関係していないので腹蔵なく話せる。
2。自分の考えがあって、それを出すことに躊躇がない。つまり「私はこういう思いで、こう実践し、生きてきた」という事実を話すのだから、難しさが生まれようもない。
3。言われたことを受け止めて、自分の思いを自分の言葉で返す。
このループなら無理なく続く…
翌朝のカーテン越しの朝日。
少し写真をとってきました。お二人は機嫌良くおしゃべり継続中。





本当は、前から一度は尋ねたいと狙っているぬくもりの森https://www.nukumori.jpでランチにしたかったのですが、レストラン臨時休業。
「豊田佐吉資料館と秋野不矩美術館とどっちに行きたい?」と聞くと、K先生が間髪入れず「秋野不矩美術館。だって東に帰るんだから西に行くことはないでしょう」
「はい。かしこまりました!」
こういうシンプルなやり取りは、私の生き方に合ってるんです。
浜松市天竜区二俣町へ向かいます。私にとっては天竜市二俣。私たちの活動の一つの原点である天竜市熊での5年間にわたる認知症予防活動のために何度ここを目指して車を走らせたことでしょう。あれは社会事象実験だったのです。
普通に運転して、おしゃべりも楽しみながら一人で感慨に耽っているうちに到着。(これこそまさに前頭葉の注意分配力)


「あ!藤森照信作!」館内の説明でわかりましたが、秋野不矩さんご自身が諏訪大社前宮の「神長官守矢史料館」をみて、ぜひ藤森照信さんに設計してほしいという申し出をされたのだそうです。
私は平成10年(1998年)に開館して程なく行きました。変わった建物、でも心地よいという印象は強く残ってます。その時は「藤森照信」に関心がなかったのですね。それから25年。
思いついて「藤森照信」で検索してみると、何ヶ所か見学可能な場所がありました。
そのうち、諏訪大社前宮に隣接する建物群には3度行きました。誰を連れて行っても空飛ぶ泥舟、高過ぎ庵、低過ぎ庵には歓声が上がります。

滋賀県近江八幡市にある「たねや」のラコリーナにも行ってみました。2021年は比叡山延暦寺で最澄が根本中堂をたてて布教を初めて1200年の御遠忌ということで、12月になって急遽立てた旅の計画でしたが、その途中で。


大分県直入町の長湯温泉にもできたのですね。大丸旅館に泊まって見学に行った御前湯が作り変えられたんでしょうか。
多治見のモザイクタイルミュージアムは一番最初に気になって行ってみたいなあと思った建物なのです。
そこにあげられている建物は全部知っていました。
よく動いてあれこれ興味をもって、この25年間生きてきたことだと、自分ながら妙に納得できました。もちろん未踏のこの二か所は、行けるタイミングを狙っておくことにしましょう。
高過ぎ庵を彷彿とさせる望矩庵。



写真が禁止されていましたので、少しだけ。
まず受付。ミュージアムショップが併設されていました。
屋内は白い漆喰、自然な木肌を見せる木材(天竜杉)、床材は籐のような織物や大理石と、まるで自然の中にいるようでした。靴を脱いで展示室に入るのも、「秋野さんがインドの大地を踏みしめて感じたものを表現された作品には、ゆったりと素直に清潔な心で対峙してもらいたい」という藤森照信さんの気持ちの表れなのですって。
受付の向こうに広がるスペース。奥に見える板張りのところから靴を脱ぐのです。

ロビーから外へ出る扉。

天竜市街地が望めます。

2階の市民ギャラリーへの階段。二つの顔がある建物でした。

秋野不矩
は1908年明治41年生まれ。詳しくは張り付けてあるウィキペディアを見ていただくとして、あの時代に自分で自分の進む道を決めて進んだことに、ちょっと驚きすら感じました。
友人のS子さんは高等女学校を芯に据えた女子教育の研究者でもあるので、予想以上にこの美術館訪問はヒットしたと思います。
鑑賞も終え「ランチをどうする?」という大きな問題をクリアしなくてはいけません。その時、全く阿吽の呼吸で、3人とも「受付の方に聞こう」という気持ちになりました。口には出してないのですが、気持ちは全員一致でした。そして受付の方の情報からお豆腐屋さんに行くことにしました。
このような小さなエピソードが、生き方にずれはないことを教えてくれます。
お豆腐専門店「ぎふや」四代前が岐阜から二俣に引っ越されたそうです。

お豆腐の三種盛り

今回の女子旅は、生きている世界が重なるほど、つまり価値観にズレがないほど、関係性を作り上げるのに時間がかからないということを確認できた旅でした。
K先生は「ボケない生き方」を実践されています。なにごとにも興味津々。行動力もある。そのうえ友人も多く定期的に会って食事会もしている。実は介護のサポートをしている方もいる。趣味も多く、クラフトテープのカゴ作りはもう師範の域。
私がいただいた作品たち。

S子さんから伝言を頼まれました。
「過去から現在に至る素晴らしい生き方に感服。冗談ぽくではあっても、時々口にされる卑下した言い方さえなかったら120点」
口では卑下した言い方をしても、内心では「私はよく生きてきたと思うよ」と思っていらっしゃると私は思いましたけど(笑)






夏の思い出

2023年09月03日 | 私の右脳ライフ
今年の夏も思い起こせば、このブログにあげ損ねた小さな楽しみや喜びがキラキラしています。
バタフライピーの苗をいただきました。
「さすが豆科…枝分かれが多いのでジャックと豆の木とは違うけど、すくすく大きくなってくれること」毎日花を確認し、ドライにする楽しみが続きました。花は八重で花弁が5センチくらいあってなかなか見事です。




バタフライピー茶はこんなに鮮やかにブルーの色が出るのです。

ポリジと同じようにレモン汁を入れると赤紫に。

アイスクリームも入れてみました。
ご飯も炊いてみました。

同じ豆科の話。これは1センチもないほど小さい花です。

枝豆を初めて作っているのです。大豆の花があまりにも可愛くて声が出てしまいました。
あまり暑い日が続いたので、庭に出そびれているうちに、確かに茎のてっぺんにひとつ花が咲いていたはずのヒマワリがこんなことになっていました。

今朝の草取りで発見。長柄コミカンソウに花が咲いている!

だけでなくピッシリと実がついています。
暑さにめげていないフヨウ(近所のパン屋さんまねきねこ)

富戸港定置網のお魚到着。
ジンタ(小型のアジ)80匹くらいもあったでしょうか。30匹は酢で締めてお寿司に。残りは南蛮漬けに。
30センチ以上の鍋を使わなくては、全部を漬け込めません。

アカゼのなめろう

赤ブダイのにぎり

孫がなんとハリセンボンをとってきて、料理をしてくれました。フグ属の中で無毒グループ。ほんの少ししかない身と頭で出汁をとって、裏漉しした肝と味噌を合わせてアバサー汁(沖縄郷土食)を作ってくれました。超絶美味!

新鮮な魚は文句なしにおいしいものですが、野菜も同様。たくさんトウモロコシやゴーヤやキュウリをいただきました。


レシピと一緒に届いたゴーヤはレシピ通り佃煮。

1キロもあったキュウリはキューちゃん漬けに。

お野菜をくれた友人はビーツも作れるようになったそうです。半分冷凍、酢漬け、そのまま食べても甘味があっておいしい野菜でした。

こういうものも孫が持ってきてくれました。藻の一種なのにタンパク質を作ることができる「うま藻」https://umamo.jp/shop入りの醤油です。
刺身醤油として使うのが一番手軽でしょう。でも焼きおにぎりに塗ってみました。

おやつの報告も。宮城の友人が名古屋両口屋の錦玉羹を送ってくださいました。あまりにも楽しいのでネット注文していろんな方にプレゼントしました。

バウムクーヘンの新しい切り方にチャレンジ。

一の蔵の絹糸状モンブランアイスクリーム。

この夏はいろんなところからお菓子が届きました。
新潟から。ほんとにほんとに辛い柿の種。ラー油の中に浸かってます!柿の種を食べ終わってからは普通にラー油として使っています。

京都のこだわり葛餅が届きました。これはお抹茶でしょう。お皿にもちょっとこだわって。
東京の三菱一号館美術館の中庭に、いつも行列ができているカフェがあることに気づいてはいましたが、スルーしていました。そのエシレのお菓子が!
レモングラスをいただいたので、ハーブティーを添えました。

鹿児島のお菓子には驚きが。7月に行った時に全く気が付かなかったおしゃれなおいしいお菓子があるのですね。さつまいものお菓子はパッケージもおしゃれでしたが、食べ始めたらあまりにも美味しく、写真を撮る間も無く次々にいただいてしまいました。洗練されたせんべいの方は写真が撮れました。

沖縄一のスイカの産地は今帰仁村だそうですが、はるばる届いた今帰仁スイカ。シャリシャリでした。
こうして写真をあげていると、下さった方や一緒に食べた方のお顔がアップで浮かんできます。
おいしいものはどのようにいただいても美味しいですが、誰かと一緒だともっとおいしいことと、思い出す時に美味しさだけでなく、会話や笑顔などその場の雰囲気まで熱量を持って思い出せるということが実感されました。






























「温もりの家 脳トレ倶楽部」訪問記

2023年09月02日 | 認知症予防教室
伊豆に移る前には、同じ静岡県ですが西部の磐田市に住んでいました。当時から親しくさせていただいているA木先生から「温もりの家で、ボクたちがやっている高齢者脳トレサロンの見学にいらっしゃい」と以前からお誘いをうけていました。今回、夏休みのイベントとして大学時代の友人とお邪魔しました。

A木先生は、県職員(医師)として障がい者教育、福祉分野のお仕事をなさった後、公民館館長、特別養護老人ホーム施設長など歴任されて、今は磐田市緑ヶ丘学園(知的障がいを持つ方々の施設入所支援及び日中活動支援の施設)の隣地で知的障がい者の方々のために種々の企画 を繰り広げ、さまざまな活動を続けていらっしゃいます。
広い敷地の一段高いところに「温もりの家」はありました。さっぱりとして気持ちいい建物とお庭が居心地の良い雰囲気を醸し出しています。
門からそこに至る所には、A木先生の「来訪者を楽しませたい」という思いがそこここに見てとれました。



「僕たちは、自主的なところが自慢でね。みんなでアイディアを持ち寄ってできることを楽しみながらやっている」といわれていましたが、A木先生はアイディアマンであり、また情報に対するアンテナも高い。そのうえに知的障がいの方々を導くことがお仕事だったので、「その人にできること」という視点がいつもあって、どんな人が対象であってもこの姿勢は、その場を心地よいものにする力があります。
「温もりの家」にも、今までさまざまな取り組みがあった様子が手に取るように飾り付けられていました。









まず検温してお茶を飲んで、今日のサロンが始まります。

A木先生のあいさつやプログラムの説明がありました。プログラムにある「倶楽部制作」の文字のオンパレードこそ、この脳トレサロンの特徴なのですね。温もりの家をベースにした「脳トレ倶楽部」があってその一部門としての「脳トレサロン」。
「脳トレ倶楽部」は趣味活動として参加する人だったり、ボランティアだったりの皆さんが様々な活動をしているようです。お花畑や野菜畑。そういえばアサギマダラを呼びこみたいということで我が家の金時草も嫁入りさせましたが、うちの金時草畑よりもはるかに広い畑になっていました。はびこった竹の始末をした話も聞きました。ニンニクを使って、芽を育てたり、黒ニンニクを作ったり、とにかく脳トレ倶楽部にはさまざまの取り組みがあるのです。
いくつかの趣味の教室もあるらしいです。「若い層にもバトンを渡さなければいけないので、ボーイスカウトにも声をかけてるよ」ということばも聞かれました。
メニューが始まると一緒に楽しんでしまって、うまくレポートができませんが、フマネット運動 は初めて聞く運動でどんなものかと興味津々でした。
フマネット運動には決められたネットがあるのですが、おおきな網のようなものですから広げるにも手間暇がかかるということで、脳トレ倶楽部制作のネットは、カラフルなビニール生地にサイズを合わせて色テープを張り付けたもの。「こうすれば準備も片付けもひと手間でできる」確かに。
右が脳トレ倶楽部製作マット(奥に手作りゲームがあります)

最初はネットを踏まないように歩くだけという簡単すぎるくらいのレベルから始まって、どんどん難しくできるところがこの運動の良さでしょう。
足の運びも難しくできるし、音楽(童謡でした)を入れることで、リズムや音に乗せて拍手をいれるような運動も足せます。皆さん小声で歌っていましたが、おおきな声で歌ってもいいでしょう。
フマネット運動第一段階

フマネット運動
十二支ゲームは倶楽部制作ですから、どんなものかと期待が高まります。

形が違うだけでなく、中に入っているものも違うので、投げた感触はみんな違います。

チームへの声援は作戦伝達のチャンスでもあります。

5タイプの球を投げて枠内の入るところ、しかも縦横斜めが揃って初めて得点になる。
投げるものが様々というところが一番の工夫。枠が予想外に動くために球の着地場所が最後まで分からない。
2グループでの対抗戦。個人の上手下手だけで決まらないところも和やかさにつながる工夫がされている。声援で盛り上がる。特別の技術が不要。
「十二支ゲーム」の名前の由来は、「枠内が単なる無地では面白くないので、ネットで見つけて十二支のイラストを使用した。足りないのはかわいいイラストを追加」自由で柔軟ですね。
左がA木先生。おん歳89歳!

体を動かした後は、倶楽部リーダーのO石さんによるクイズ「みんなで当てよう!考えよう?皆でお茶をしながら楽しむ」コーナー。座ってお茶とお菓子を楽しみながら。

Q「エレベータ 少女が一人 乗ってきた 行くのは上か それとも下か」(あ、ガール)
「三人の少女が乗ってきたら?」(さ(ん)ガール)
「動物を英語で書いてみた時に、PとAだけで書ける動物はなあに」(P AND A)
けっこう頭を使いました。笑いながら。毎回このような面白いクイズを考えてきてくれるそうです。O石さんの前頭葉は活性化されると思います。
ランチも楽しい。



ふだんはお弁当持ちより程度らしいですが、今日はギャラリー「風の家」に移動して手作りカレーライスをいただきました。
さすがに、一ひねりが効いているレストラン。

今回はA木先生のご馳走にあずかりましたが、ちょっとランチ代をはずんでも、おいしいものを食べて、楽しさの余韻の中で話も弾み次回を楽しみに散会できるとしたらこれこそが脳の活性化です。

このフマネット運動の指導のために、外部からいらっしゃったM田講師は、磐田市の御厨交流センター指導員といわれました。フマネット運動のインストラクターとしては磐田市で唯一人。HPによれば、全国でもまだ5379人ということですから、あたらしいものにアンテナをたてることができるタイプとお見受けしました。
余談ですが、このM田先生の趣味は紙工作。どういうことをなさるのか聞いてもよくわかりませんから、画像を送っていただきました。おとぎ話や昭和の一シーンを切り取って、それを立体的に作り上げるというものでした。モデルはなく「そこを自分で考えるのが楽しいんです」この意欲といい、発想といい、前頭葉機能が豊かな方だとよくわかります。
作品紹介…80センチくらいのコンパクトな大きさらしいです。どの小物ひとつもすべて紙から手作りなさってる!

この講師派遣に関しての費用負担など伺わずじまいでしたが、大きな費用が掛かるわけではありません。
脳機能が正常な高齢者が集まるほど、指導者の資質でその教室の楽しさが変わります。指導者はまず自分が楽しめる人であることが求められます。前頭葉が豊かで、発想が効き、工夫ができ、機転も利く。準備も万端なら臨機応変に対処もできる。明るく楽しい雰囲気を醸し出せる…M田先生はまさに適任者でした。

結論を先に言いましょう。
自主的な脳リハサロンがうまく機能するには、どうしてもA木先生のような企画ができるアイディアマンとM田先生のような明るい柔軟な指導ができる人が必要です。自前で揃うならばもちろんそれでいいのですが、そこを行政が後押しすることで、信じられないような費用で認知症予防ができることを知っていただきたいと思います。

エイジングライフ研究所が全国に展開した認知症予防活動は、まさにこの考えに基づいていました。行政主導で脳機能が正常な高齢者を対象にした教室を半年から一年開催し、その後は自主活動。ただし年間計画作成時の手伝いや講師派遣についてはフォローするというものでした。
特筆すべきは「脳の健康」を保持するということが教室の目的ですから、脳機能検査(脳のイキイキ度チェック)を教室の前後に実施することが必須条件であったことでしょう。


いずれにしても、正常高齢者に対する脳活性化の働きかけは、そのもたらされる内容も素晴らしいものですが、対費用効果も無視できません。
なんと政府は来年度からの認知症対応国家プロジェクトとして、「認知症克服へ200億円超。創薬や神経再生研究強化」へ舵を切ったそうです。マーモセットを使って研究をするそうですが、マーモセットには前頭葉機能はないのです。この200億円の認知症施策。200億円をかけて認知症治療薬を開発する?その前に認知症を予防する、それも正常者を正常者のままに長生きをしてもらうような政策を考える人はいないのでしょうか?
温もりの家のアプローチにある、地元高校生の壁画とミニ盆栽

山形県米沢市通所介護施設「なごみの部屋」の我妻さんと2-3日前に話しました。
我妻さんの取り組みのこのブログ初出は2005年11月。18年も前ですが我妻さんの思いはそこから変わっていないことを読んでみてください。

20年近くにわたって、正常者への働きかけをし続けてきた(ほとんどボランティア)我妻さんには、正常者からの認知症予防こそあるべき予防活動であるという信念ができています。しかも脳機能という物差しを持っています。
その信念のもと、米沢市に来年度の課題として相談したそうです。
「要支援だった人が一年後に要介護になることは多い。
真の介護予防のためにはまず正常高齢者を対象にすべき。
その中に要支援の人たちを入れ込むことでより効果が期待できる。
運動機能だけならば正常者でも参加できるけれども、それと同様」
行政の方には、それぞれ置かれている立場があるのはよくわかります。
「いわれることはわかるけれども、ディサービスの数が多いのでモデルとしてやれるか…」というお返事は、我妻さんの信念に対して出た精一杯の回答だったのではないだろうかと感じました。

「温もりの家 脳トレ倶楽部」による自主活動としての「脳トレサロン」は脳機能検査という物差しがあれば、間違いなくこれからの日本の高齢者対策の指針となるべきものだと思いました。
期を同じくして、「政府の的外れな指針」「実践者の持つゆるぎない自信」に触れた2023年夏の終わりでした。


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