脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

認知症を「予防」する社会は可能

2019年06月30日 | エイジングライフ研究所から

政府の数値目標 70代の認知症割合25年までに「6%」減」のニュースを目にしてブログに書いたのは5月16日でした。いいかえると「70代での発症を10年間で1歳遅らせる」という、従来から提唱されていた「認知症になってもくらしやすい社会を作る『共生』の概念」に「予防」を加えた画期的なものでした。このときの認知症は原因不明といわれているアルツハイマー型認知症であり、全認知症の9割を占めると思われます。
(写真は6/26。満開の下田公園。アジサイ100万株は日本一)

それから、1か月半。前ブログに書いたように、認知症予防は十分可能なのですが、当事者や与党から「偏見を助長する」と批判され、あえなく目標値は参考値に格下げされました。
実は、認知症は脳の生活習慣病。
高齢者になると、もともと加齢による能力低下が前提にあるのです。何かのきっかけで生きる意欲をなくして「生きがいもなく、趣味を楽しむこともなく、もちろん交遊もない。そして運動もしない。家に閉じこもってナイナイ尽くしの生活」をし続けるうちに、脳の老化が加速されてしまうのです。
(仏像イラストレーター田中ひろみさん)

認知症を専門にする研究者が、正常から小ボケ―中ボケ―大ボケと推移していく様を追われたらいいのにと思います。専門家でない世の中の人たちは移り行くさまを知っている場合もありますし、どうも生活ぶりの差が認知症になるかならないかのカギらしいと思っている人たちはごまんといます。
残念ながら、専門家は大ボケが研究対象なのです・・・
(ペリー上陸記念碑)

小ボケというのは、脳機能から言えば前頭葉機能だけが正常老化を超えて老化を進めてしまった状態です。注意集中や分配力、またそれを基礎にした現状判断や決定力などの前頭葉機能こそ、社会生活には必須の機能ですから、家庭生活はできるのですが、社会生活にはトラブル続出でもう無理です。
よく言われるのは、小ボケの老人会会長。会長の名刺はあるのですが、何かのきっかけで(例えば、配偶者との死別や体調不良や心配事など。有能な副会長の登場の場合もあります)それまでのように老人会活動をいきいきと楽しむことができない状態が半年以上も続くと、出番のない前頭葉機能の老化が進んでいくのです。
新年度の企画会の時、いくつか出た案を取捨選択できず、活動計画ができません。ようやく結論が出たかと思ったら、また最初に戻ってしまう。
総会の挨拶文を用意するのにいつもの何倍もかかるし、挨拶が始まると堂々巡りの挨拶になってしまう。この状態を「社会生活にトラブル」というのです。世の中では「年齢のせい」と理解しようとすることが多いと思います。
(ペリーロード)

家庭生活で、前頭葉機能低下はどんな形で起きてくるでしょうか。
前頭葉機能の中では発想力もわかりやすいでしょう。発想がわかなくなる結果、献立が死ぬほど単調になります。
短歌を続けていると(大体はやめてしまいますが)びっくりするほどの月並み短歌。
あれだけおしゃれだったのに、色合わせが彼女らしくない。アクセサリーの取り合わせや場所が変。どことなくだらしない。
何も思いつかないのですから、居眠りしてるか、居眠りしながらテレビを見てるか。
(上原美術館)

本人はあまり自覚していませんが、家族が気になることは「無表情になる」ことでしょう。目に力がなくなるので「魚が腐ったような」と表現されることもよくあります。「目が届かない」小ボケの発見 (解説もありますからお読みください)
(上原美術館休憩室)

(上原美術館入り口にある日枝神社)

(苔むしたつくばい)

脳の生活習慣病としての認知症を理解しましょう。
それは前頭葉を使い続ける覚悟を持つこと。生きる意欲をそいでしまうような生活の大きな変化を見逃さないこと。それに負けないようにすること。
小ボケを見つけることのできる社会を実現させて、小ボケの段階で早期発見を図ること。そして脳をイキイキと使う脳リハビリに取り組むこと。
認知症の予防は可能なんです!


 



 


小布施町講演会-WHO「認知症予防の生活習慣」を考える

2019年06月23日 | 認知症予防講演会

小布施町での認知症予防講演会で何度お話ししたでしょうか?もともと「脳のリフレッシュ教室」を各地区で展開していくための講演会でした。「正常な高齢者が、認知症にならずに正常なままでいるための教室」を一年間は行政指導で、その後は各地区の自主活動で継続していくというのがこの事業の骨子です。
各地区一巡しましたので、今回は少しお話を変えようかと思っていました。
一応パワーポイントも出来上がり、最後の確認をしていた時に、世界保健機構による2019年版の「認知症予防の生活習慣」が5月に発表されたという記事が目に留まりました。

ちょっとびっくり!あまりの旧態依然さに。
最近になって、スエ―デンのカロリンスカ研究所などを筆頭に「生き方としての生活習慣」が認知症の発症に影響しているのではないかといわれ始めてます。
にもかかわらず、これは何でしょう?
「脳」という視点がゼロなのです。
小布施町の皆さんが、WHOが提唱するこの生活習慣を守れば認知症にならないと賛同されるかどうか。そこから話を進めることにしました。
講演が始まる前の様子です。いつものように和気あいあいとしたいい雰囲気です。

最初に、上のスライドを出しました。
あまりにも左脳的なアプローチですから、イラストにしたスライドを続けて提示しました。
「脳の中でイメージ化してみてください。どんな運動かはわかりませんが定期的な運動はしています。そしてたばこは吸わない。休肝日は守る。ヘルシーな食事をして、体重が増えないように気を付けてる。もちろん血圧、コレステロール、血糖値のコントロールもばっちり。それを家の中で『一人で』してるんです。趣味も楽しみごとも友だちも必要とは一言もいってません。どう思いますか?」
会場の様子を一言で表現すれば、失笑という言葉が一番近かったと思います。よかった…
エイジングライフ研究所では、認知症予防はまず脳の働きの説明から始まります。
Sikumi
もちろん仕事や勉強の時に発揮される左脳の能力、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ右脳の働きを解説するのです。そして人が生きていくときの前頭葉の大切さを強調します。
Photo_3
認知症の本体は、体に起きるほかの老化と同じように、だれでも加齢とともに老化していく脳の能力が、そのスピードを速めること。その原因は脳を使わないために老化が加速するというごく単純なことなのです。
「それでは、脳を使うことってどんなことですか?」と質問タイムに入ります。普通だと「読む・書く」という回答が必ず出るのですが、今回の小布施の皆さんは「楽しいことをする」「チャレンジする」など正答続き。
三頭立ての馬車の説明が結構功を奏したのでしょうか!
いつものように小ボケ―中ボケ―大ボケという認知症の三段階も納得してくれました。

だから、脳機能検査を受けることで早期発見が可能なこと、早く見つけることができると改善できることも言いました。

最後の質問時間に、女性の方が「今日は目からウロコ。いろいろ気弱にもなったりしてたけど、お話を聞いて自信が持てました」とわざわざ挙手して言ってくださいました。講師冥利につきます。
ちょっとだけ質問しました。
「ということは、楽しみごとがたくさんあるでしょう?」待ってましたとばかりに
「コーラスに太極拳に。他にもいくつもあって、忙しいんですよ」

一番前で聞いてくださった山下さん。講演の後で「とても納得。よくわかった。思ってた通りだな」
右脳の説明の時に、紺色のポケットチーフをお借りしました。白と青のストライブのシャツに、薄い青色のジャケット、胸に罹っているひもも青系統のものととてもおしゃれに決めていらっしゃいます。
「ボクはデザイナーなんだよ。色は三色以内、同系統でそろえるといいんだよ」

皆さんが、元気になってお帰りになったことがうれしかったです。

講演前のおしゃべりタイム。
小布施町で新しく、松村地区で地区の皆さんの賛同を得て「子ども食堂」のお話しが進んでいるそうです。
長田会長。「活動を松ぼっくりって言うんだけど、松は漢字だけどあとはひらがな。会長よりも準備段階だから岡埜事務局長が大変なんだよ」そう言われましたが、なんとも言われない優しさが伝わってきました。

その岡埜事務局長。岡埜というお名前から「東京に岡埜栄泉がありますね?」という質問は大当たりでその流れの方でした!定年後奥様のご縁はあるようですが小布施にお住まいになったとのことです。
「この活動は、子供たちの育成でもあるし、地域の活性化にもなるし、何よりかかわる人たちのボケ予防だよね」そうおっしゃっいました。
「まさにその通り!今日の話で納得なさるでしょう」とお話ししました。きっと納得なさいましたよね。そして松村地区松ぼっくりの活動がどのように展開されるかを楽しみにしています。
私の本当の気持ちをお話しておきます。
高齢者の皆さんの脳機能が、活動しているとより元気になるということは目に見えるようです。その時に小布施町で使っている脳のイキイキ度チェックでその事実を客観的に測定できたら素晴らしいと思うのです。そうすると、これからの少子高齢化の日本を救う素晴らしい「高齢者の力で子どもを育成し認知症予防をも図ることができる地域活動のモデル誕生」ということになります。
そういうことにつながる活動が始まろうとしているのですよ。
がんばれ。松村の皆さんたち!

ロビーには、先日のレインボーランタンを楽しむ会の展示がありました。写真と作品から、参加された方はまた楽しさがよみがえったでしょうし、いらっしゃらなかった方々は興味津々だったのではと思いました。


いつも駅にお見送りくださる、林中扇地区の女性陣。イキイキして皆さんキレイです💗

また来年の2月を楽しみに。それまで体も脳も元気にしておきましょうね。

付録です。
レインボーランタンを楽しむ会の最後に講師の久保さんのリクエストで「みかんの花咲く丘」と「信濃の国」を合唱しました。「みかんの花咲く丘」は久保さんと私の住んでいる伊東市でできた歌なのです。

「碑があるのですよ。写真が撮れたら今度の講演会の時にお見せします」といったのに、お見せできませんでした。

亀石峠に向かう坂道の途中にあるのです。
石碑から見える伊豆の海です。手前の町が伊東市街、右奥にかすんでいるのが伊豆大島です。

この写真を目にしたら、メロディがうかんできますよね。




 

 


仕事と遊び―小布施往復でも楽しむ

2019年06月15日 | 私の右脳ライフ

小布施への道は、行きが西富士道路ー中央高速道路「甲府南IC」-長野道「小布施スマートIC」
帰りは小布施ー信越道「小諸IC」-(軽井沢泊)-中部横断自動車道「佐久南IC」中央道「長坂IC」から帰宅しました。
佐久南ICは4月28日に開通したばかりでなんと無料でした。この道は延進して双葉ジャンクションから、現在工事中の身延あたりが開通したら、そのまま乗り入れて富士ICまで。まさに文字通りの中部横断自動車道になるのです。右脳処理型の私は、頭の中に地図が広がってうわーと歓声をあげたいほどでしたが、左脳優位の夫には何の関心もないテーマのようでした。
講師を務める久保さんは、4時出発。私たちも5時半には出発しましたが、気がせいて、行きはあまりゆったりした気持ちにはなれませんでした。
諏訪湖サービスエリア。西の方向を見て。

ちょっと視線を変えると。

東岸には、田植えの済んだ田んぼが広がっていました。

帰路は、小布施から菅平高原を通ってレンゲツツジを見ましょうと提案したのですが、あえなく却下。軽井沢のショッピングモールへ!
同行のY子さんの買い物があったのですが、まあ沢山のお店、たくさんの人。
軽井沢で行きたいところがありました。千住博美術館。近所の聚光院伊東別院に千住博作の襖絵があるので、という単純な理由ですけれど。

館内は撮影禁止。ベネツィアビエンナーレに出品した滝をテーマにした大作から、絵本原画、独創的な日本画。高野山金剛峰寺に奉納される襖絵のもともとの原画などなど。見ごたえがありました。
建物は円形の中庭が組み込まれていて、森の中を散策しながら作品を味わうというコンセプトでした。
植栽にはこだわりがあって 植物好きのY子さんは大喜び。ギボウシも大小さまざま、色や模様もさまざまでした。銅葉の植物が目立ちました。

一角にはギャラリーがあってちょっと拝見。日本画のそうそうたる巨匠たちの作品がごく無造作に飾られていました。大観、土牛、遊亀、青邨など、びっくりしました。

浅間山

清里。ソフトクリームを食べに寄りました。

お客さんはそんなに多くなかったのですが、犬ずれの方があちらこちらに。

デッキにも。

まだライラックが残っていました。

仕事も楽しみ、その道中も楽しめるなんて。
幸せな時間でした。


仕事と遊びー小布施で楽しむ

2019年06月15日 | 私の右脳ライフ

仕事は左脳、遊びは右脳といいますね。
今回の小布施への仕事旅は、決して左脳に偏っていたわけではありませんでした。皆さんとレインボーランタンを作りレインボーランタンを楽しむことが目的でしたから。私の右脳は十分に喜びました。
でも、寸暇を惜しんで遊ぶというポリシーは健在です。
朝散歩でいくつもの発見がありました。
西永寺つくばい

かんてんぱぱショップ小布施店

敷地内を流れる小川

正面は、元のお屋敷の雰囲気を上手に生かしてますよね。

歴史を感じさせるかんてんぱぱショップの道向かいには新しい理美容院が。小布施なら、こう、なるのですね。

路地も。

ごく普通のお宅に丹精なさったバラが。外を歩く人の視線を意識してますね。植物に詳しいY子さんと一緒でしたから、倍楽しい。

松葉屋本店。「本吉乃川」おいしいお酒だそうです。

宿泊はいつもの通り、お蔵をリノベーションしたプチホテル小布施。朝食はお隣の珈茅(こち)ここも十日町市松代の古民家二棟を移築した魅力的な建物です。

インテリアにもこだわりがあります。かわいい。

木組みはそれは見事です。

同じ敷地内にある、お蔵をリノベーションしたコーヒー豆焙煎所。

店主は静岡県磐田市出身。しかも私の息子たちと同じ小中学校卒業と!私にとっての旅のだいご味はここにあります。

小布施の町には何度も行ってますが、初めての訪問。カフェ エントツ。〇=エン 底のない四辺形=凸=トツ。なるほど。
小布施堂本宅内のお蔵をリノベーションしたカフェです。

看板メニューのモンブランをいただきました。直径10センチ以上。飲み物とセットで1500円でした。

ここで久しぶりのランチ。蔵部(くらぶ)

酒蔵をリノベーションした店内。おくどさんでご飯を炊きます。

モダンな作りです。長野オリンピックにやってきたアメリカ人女性セーラがデザインに関与したと聞いています。

竹風堂には初めて行きました。「江戸時代徳川将軍家のものなので触らないように」と注意書きがありましたが、食事をとるすぐ横に展示されているのも小布施らしいですね。

仕事は、ちょっと感動的。というのは参加者の皆さんの前頭葉が、上手に刺激するとこんなにも元気になるのかということをまざまざと実感したからです。
付録の遊びも、小布施新発見もあり、いつものようにおいしいものもいただき、皆さんとも交流できて、大満足でした。



レインボーランタンを楽しむ会②―小布施脳リフ教室番外編

2019年06月13日 | 認知症予防教室

第二部会場のカネイチくつろぎサロン。レインボーランタンを飾り付けて皆さんがいらっしゃるのを待ってます。

18時30分の開演は、会場の照明を落としレインボーランタンに点火して小布施町役場の若手職員(K山さん)によるサックスの演奏から始まりました。高齢者にもなじみのある曲が流れだすと皆さんから、小さな歓声が上がりました。心配りのあるごあいさつでしたね。
なかなかいい雰囲気を感じ取ってくださったのでしょう。もっともっと演奏をしてくださりそうでしたよ。
高齢者の皆さんとのこの交流は、これからのお仕事にいつかは役立ってくれることと思います。

エレクトーンのS藤先生は、まずはオカリナ演奏。その後エレクトーン演奏もしてくださり、その上伴奏まで受け持ってくださいました。ありがとうございました。皆さんは自然に唱和されました。

それからは、参加者の皆さんの発表。まずは横町。かわいい髪飾りがついていましたね。いい声が出ています。

北部の皆さん。北澤さんが北部オリジナルの替え歌の解説をしてくださいました。もちろん会場の皆さんも認知症予防の歌を一緒に歌いました!

伊勢町の高野さん。交流会でも拝見したことのある「梅干し体操」をお一人で!

なんと、会場のこのノリ。
小布施の皆さんは控えめで上品な印象が強いのです。ところが交流会でも感じることですが、特に促されなくてもごく自然に、ステージと一緒に歌を歌ったり、体操をしたりされるのです。これは脳のリフレッシュ教室に参加することで「生き方が変わった」のではないかと思います。右脳中心の時間の大切さを納得してくださっているのでしょうね。

笑い話を追加で。
久保さんのご挨拶もありました。「それが認知症予防になるのだから、もっともっと人生を楽しみましょう!」というようなお話の予定がちょっと脱線。「大学時代に小布施の隣町出身の友人がいて・・・」いかにまじめでなおかつ面白い友人だったかをエピソードを加えて話しているまさにその時、そのお友達が登場!皆さんがあまりのグッドタイミングぶりにびっくりしているところです。
参加者の皆さんが全員同じ方向を向いていることにご注目。どう考えても皆さんの前頭葉が日中の教室体験から始まってイキイキしている証拠なのですよ。「興味津々」「打てば響く」「素早く反応」「状況を楽しむ」「状況の変化に対応」・・・これこそ前頭葉の働きです。

お話しの方向性が瞬時に変わったのは、久保さんの前頭葉のなせる業です。会場大うけでした。
お茶とお菓子と、いつものように皆さんが持って来てくださった煮物やお漬物で和やかな時を過ごし、最後にもう一度照明を落としてレインボーランタンを満喫してお開きとなりました。
楽しかったですね!皆さんの笑顔が朝5時起き(久保さんは4時出発!)の疲れを吹き飛ばしてくれました。
脳って上手に刺激してあげると、ちゃんと反応してくれます。その証拠に第一部も第二部もあっという間にたってしまったでしょう?
宴の後・・・

このような場所を提供してくださった、カネイチくつろぎサロンのご主人様、本当にありがとうございました。東京でのお仕事を終えられ、小布施にお帰りになられてから、このような形で町民の皆さんへ店舗(歴史を感じる立派な建物)を提供くださったそうですね。
せっかくのご厚意を、認知症予防にも子供たちの育成にも、もっともっと活用されなくてはもったいないと心から思いました。

 


レインボーランタンを楽しむ会①―小布施脳リフ教室番外編

2019年06月12日 | 認知症予防教室

伊豆高原の友人キャンドル体験工房「庭カフェ」の久保さんと、雑談を楽しんでいました。
先日ブログに書いた政府の数値目標 70代の認知症割合25年までに「6%」減目標がテーマでした。(これはその後修正されましたけど)
小布施町の認知症予防のための活動「脳のリフレッシュ教室」の話になって、高齢者といえども生活がイキイキしていれば認知症にはならないという私の話を、久保さんは興味深く聞いてくださいました。認知症予防は高齢者の自尊のため、家族の介護負担軽減とひいては国家財政を救うことにもなるという話です。
そして、「じゃあ、小布施町で高齢者の前頭葉をもっとイキイキさせてあげようじゃないか!」という結論になりました。
何しろこの活動は平成14年の山王島教室を皮切りに、小布施町全地区でずーと継続されています。継続されているだけでも立派という評価はできますが、だんだん問題も見えてきています。
一つには参加者の高齢化。もう一つには多分マンネリ化。そこへこれはいい刺激になるはずと喜んで計画を進めることにしました。(といっても実際は、地域包括支援センターの原所長と横町脳リフ教室の冨田さんにご尽力いただきました。本当にありがとうございます)

第一部。レインボーランタンを作る。
第二部。レインボーランタンを楽しむ。
レインボーランタン教室。講師の久保さんの説明を、ちょっと緊張しつつ真剣に聞いている参加者の皆さん。

やっぱりちょっと硬くないですか?初めてのことですものね。

説明が具体化していくと「さあ、どういうふうな色で始めるかなあ」思いを巡らせているのでしょう!

最後の説明。

でも制作が始まると、「えーと、えーと、どの色がいいかなあ?」「もう少し濃い色がよかったかも」「ロウの厚みが薄すぎかな」などなど声も出るようになってきます。そして面白いことに教室の熱気が高まっていくのです。色を中心とした構成ですから、時間がたつにつれて目の前に「自分(の選んだ右脳の成果)」が見えてくることが達成感にすぐにつながるのでしょう。
もう一つ、はっきり口に出さないまでも「自分の作品が一番いい(正確に言うと一番好き)」というムードに包まれます。
久保さんが何度も強調した、「いい悪いは、ない」「自分のセンス」「Onry One]を実感されていく様子が、よくわかりました。

みんな違うでしょ!

お一人ずつに感想をお話ししていただきましたが、皆さんちょっと興奮気味に「楽しかった」ということをご自分の言葉で語ってくださいました。
実は私はそのことそのものにもちょっと感動しました。つまりうちの外、皆さんの前できちんと自分の考えをまとめて発表できるって素晴らしいことです。

高齢者は、家の外に出なくてはいけません。そして楽しい時間を、できるだけ友達とともに過ごさなくてはいけません。右脳を中心とした楽しい刺激を受けつつ、そのことを前頭葉が「これこそ、認知症予防!」と実感評価するような時間が必要です。
教室の始まりと終わりでは、皆さんの脳が10歳は若返ったような気がしましたよ。

第二部は、カネイチくつろぎサロンに場所を移して6:30から楽しみます。

今は営業なさっていない、老舗のお醤油屋さんの店舗部分を地域の皆さんのサロンに開放してくださっているという素敵な空間をお借りすることができました。

本や茶菓も用意されていて、町民は自由に使え、小学生が学校帰りに立ち寄って、宿題したり遊んだりしてるそうです。小布施町の持つ文化の厚みを感じます。

現在の本。大人用だけでなく児童書もあります。

昔懐かしい蔵書も。

第二部プログラムです。(続く)





追悼ー幼なじみの美代子さん

2019年06月07日 | 二段階方式って?

美代子さんの訃報が届きました…病気を抱えていましたが、電話の声もメールの文章も明るく前向きでした。
毎朝両親にお茶をあげるときに、かならず美代子さんの笑顔を胸に浮かべて元気を祈ってきたここ数年だったのに。
病気が発覚してからの数年は、もちろん大変なこともあったと思いますが、お子さんのご結婚やお孫さんの誕生などハッピーニュースをともに喜んだものでした。
大きなできごとをあげなくとも、美代子さんにとってもご家族にとっても、毎日が大切で充実したものだったと確信しています
一緒に熱海の旅も楽しみましたね。それも二回も!

お別れの気持ちを込めて去年連れて行っていただいたひたち海浜公園の記事を再掲します。たった一年前のことです・・・

老後の時間

2018年04月27日二段階方式って?

小・中・高校と同窓だった美代子さんが誘ってくれたので、茨城県の彼女の家まで飛んで行きました。
あれこれと思い出話に花が咲き、古いアルバムを持ち出してくれて二人で記憶を補い合って、本当にかけがえのない豊かな時を過ごしました。
「あの時代に、お誕生会をしてたのよ。あなたのうち」
「そうそう、父が写真が趣味だったから、毎回写真撮ってくれたけど、結構みんな緊張してねえ。ピースなんかしなかったよね」
「あの、ボッと焚くのなんて言ったっけ?ストロボ?それからフラッシュになったのよね」
前列左端が美代子さん。後列左から2人目が私。

考えてみれば、父は趣味の写真にはけっこう没頭していたように思います。小さな現像室もあったし、写真を乾かすのを手伝っていた記憶もあります。何よりカラー写真がまだ出回ってない頃に、マゼンタとかシアンとか言いながら上皿天秤を使ってmg単位で薬を量っていましたから。60年以上も前の話です!

1時間半もかけて念願だったひたち海浜公園へ連れて行ってくれました(4/19)
Mr.Y原 ほんとうにありがとうございました。
ラッキーなことに晴天に恵まれ、さらに当日のネモフィラは今年のベストタイミングだったようです。
話は変わります。

またまた昔話。今度は30年くらい前になります。脳外科による「脳精密検査外来」と名付けられた、ボケ外来(当時は「ボケ」でした)で、患者さんの脳機能を測定し、生活歴をきいたり、生活改善指導をすることが私の仕事でした。
担当医が精神科医でないということと、脳外科医がボケを診ることそのものが全国的に皆無だったことで、患者さんは全国各地から来院されました。年間2000人以上という大繁盛の外来でした。
もう一つ特徴的だったことは、いわゆる徘徊、不潔行為、暴言・暴力等がなく、生活面でも全面介助は必要がないレベルの方たちが多く来院されたことでしょう。

当時「ボケは治らない」と言われていました。だから介護保険へという流れが生まれたのですけれども。
ボケの専門医と言われた方々は、皆さん精神科。当時は精神科に受診することそのものに大きな決断が必要で、結果的には重症化してしまって初めて受診する→専門医は重症のボケしか出会えない→(重症化してしまった)ボケは治らない。OMG!(Oh My God=なんということ)

ボケのごく軽い症状を訴えてくる人たちを、脳外科ならお手のものの様々な器質検査を駆使して調べます。CT やMRI、少し遅れましたがPETまで使ったのです。
そして結論。
「ボケは、脳の器質的な変化が原因ではない」
全国各地から、重症化する前の軽いボケの人たちがたくさん受診されました。その外来の仕事をしているうちに「仕事一筋。趣味・遊びを楽しまない、というよりも意味を認めずむしろバカにしている」タイプの生き方をしている人たちが、仕事を辞めてからボケていく・・・と気づいたのです。
とにかく「趣味なく、生きがいなく、交遊もなく、運動もしない」ナイナイ尽くしの人たちばかりがボケていっている圧倒的な事実!
(この考え方は原則的には正しいのですが、理解が表層的だったということが今なら言えます。一番大切な前頭葉機能の理解が足りませんでした)

そこで、講演の時に強調しました。
「左脳重視の社会を見直しませんか?左脳の能力はデジタルだから測りやすい。主要5科目と言われる教科は点数がすぐ出ます。確かに進学や就職などに有利だということは言えるかもしれません。
でも、ボケ外来で働いてみて、仕事一筋で頑張ってきた人たちの定年後の寂しさや悲しさ・・・仕事がなくなったら、いくら強がって何と言い訳しても、することがないのです。左脳中心で生きてそれが持つのは定年まで。20歳で社会に出て60歳で定年として40年。そこから20年以上の時間があります。(今なら、65歳まで現役。そしてそれから25年でしょう。このあたりにも年月を感じますね)
どんな仕事人間、会社人間と言われる人でも、一日24時間すべてを会社のために使いはしません。でも退職後は24時間すべてを自分で裁量して使って生きていくのです。その時右脳を使うことを知らなかったら、趣味も遊びも交遊も楽しむことができない。そしてボケて行ってしまう。
万一「退職したら遊ぶ」と決めていても、それまでに楽しさを体験しておかなくては踏み込んでいくことなんかできません。右脳を豊かにするには、体験するタイミングが大切で、左脳よりはるかに早く教育の可能性が閉じてしまうのです」

高齢の方たちにこの話はそんなにピッタリくるわけではありませんが、考えてみたら、PTAや婦人会などでも講演していたのです。

当時と比べたら、少しはましかなと思うこともあります。左脳中心の教育ではこの社会を乗り切れないという考えは少しずつ浸透してきているようですね。
先日、目にした文章です。
毎日の、家事と睡眠を除いた自由時間は14時間。
65歳から80歳で約77,000時間。
1日8時間で38年勤務と同じ。
小学校から大学までの標準授業時間12,000時間の6倍以上。
それで導き出された結論は「だから、何でもできる

一言付け加えさせてください。
「意欲さえあれば!意欲の座は前頭葉にあるのですから、豊かな前頭葉を育てましょう」
そしてもう一言。
「老後の宝は、何といってもお友だち。一緒にその時間を楽しめる友を持っていることは、そのままボケ予防につながります」

 

美代子さん
お疲れさまでした。
ちょっとだけ先に行ってしまったけど、きっと、いつかどこかで会えますね。
またいっぱいおしゃべりしましょう。

 


高速道路のICを通過してしまった

2019年06月03日 | 前頭葉の働き

ちょっと珍しい写真をあげてみます。

東名高速道路御殿場インターチェンジ出口なのですが、ちょっとカメラ位置が珍しくないですか?
磐田市での用事を済ませて、新東名高速道路上り線を使って、順調に帰路についていました。車窓左側に大きな富士山が見えてきたら、そろそろいつも休息する駿河湾沼津サービスエリアに到着です。

ゆっくりお茶をして「さあ、もう少しね」と声をかけて出発しました。私たちが高速道路を下りるのは、次の長泉沼津ICなのです。もう何度この道を使ったことでしょうか・・・
私は「もう着いたも同然」と安心して、携帯をチェックしていました。ふと気づくと、まだ高速道路上。
「あれっ。沼津過ぎちゃったんじゃない?」そうなのです。長泉沼津インターはもう後方。ナビ上には次は御殿場インターの表示が・・・OMG!
運転していた夫は「御殿場で下りて、御殿場から乗って帰る」と言い張ります。この状況に対する、それが夫の前頭葉の決断です。
私は、何か他の方法はないかとグ-グルマップでググります。そしてどう考えても東名を使うのが一番近道だという結論に到達。そこで私の前頭葉は「ほかにもこのような失敗をする人もいるかもしれない。料金所で事情を話して相談してみよう」と決めました。
唐突ですが磐田の友人宅のセッコク。山で自生しているセッコクをご自分で着生させたもの。

料金所に着きました。気乗りしない夫にお願いして、一番左に停車してもらいます。
係員のいる出口は一番右!
幸い、夜で交通量が少なかったので、前頭葉を駆使してよ~く確認しては1レーンずつ右へ移動。係りの方に事情を説明すると即理解してくださって、「危ないですから、この料金所をまたぐ高架橋を通って車に帰ってください。自分は先に車に行っておきますから」
そうなのです。その高架橋の上から撮った写真が1枚目の写真です。料金所のブースの上にこんなものがあるなんて今まで一度も気付きませんでした。

前頭葉ってふしぎな働きをします。料金所ブースの上の連絡橋は常にある。けれどもそちらに興味か関心をむけなくては「ない」。たとえ視覚野に情報が到達していても「見えはしない」。昔の人が「心、ここにあらず」と言いましたが、このときの「心」はまさに前頭葉の注意集中力や注意分配力があってこそ発揮される機能です。

 「写真を撮ってる場合じゃない。急がないと悪いなあ」と私の前頭葉は判断したのですが「こんなチャンスはそうないはずだし、やっぱり証拠写真を」と慌てて撮りました。階段途中からも1枚だけ(笑)


ことの顛末は、ご安心ください。
料金所を横切って、御殿場インター入り口から高速道路に乗る道の途中に出られたのです。丁寧に説明をしてくださり、もちろん誘導もしてくださって。
「左に行ったら東京ですからね、右に行くのですよ」
「3キロくらい行ったら、新東名の分岐があるので必ずそちらに行くのですよ。そうしないと出られません」
ありがとうございました。おかげさまで長泉沼津―御殿場の夜のドライブを楽しみました、無料で!

ちょっとドジなドライバーの雄姿も。人には得手不得手があるものですね。
夫は運転技術には問題がないのですが、方向音痴のせいか標識を見るのが苦手です。
実はこのような失敗は過去にも何度かありました。
ナビがなかった頃は、「下りるのは次のインターよ」そういうと、私はその後の道のチェックをし始めます。そしてふと気づくと・・・
「オレは運転してるんだから、助手席に座ってる人がちゃんと見なくっちゃあ」といわれては「一人で運転してる人はだれが見るの?」と心で言うか、小さな声で言うかして、いつも次のICで下りていました。
今回チャレンジして、新しい情報を一つゲットして、私の前頭葉はとっても喜びました!


ブログ村

http://health.blogmura.com/bokeboshi/ranking_out.html