脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

さようなら、2007金ブタ年

2007年12月26日 | 私の右脳ライフ

P1000002_1

早いもので、もう今年も終わり・・・

年の終わりに喜ばしいことがいくつもありましたのでその報告を。

宅配便のSD(セールスドライバー)さんから買った、オランダ生まれのアマリリスです。芽も出ていない、ただなんでもない鉢に水をやりました。葉が出たと思ったら、にょきにょき茎が伸びて、つぼみが大きくなってワクワクしながら待っていると、咲いた花は八重でびっくりしました。色が白いので上品でしょ。一つの花茎から三つも花が咲き、花茎がもう一本ありますから、お正月も楽しめそうです。

先日、M市のD川保健師さんから質問がありました。説明は簡単に済み、今回スタートした新しい教室の話になりました。
「テストをしてあげるのは楽しみなんです。楽しみというのも変かもしれませんが、テスト結果から、生活指導ができることが・・・やっぱり楽しみ。」とちょっと笑いながら話してくれます。
テストが目的ではなく、生活指導こそが保健師さんたちに求められているものだということを忘れないでくださいね。(忘年会で今年の憂さを忘れても!)
お元気な方は、その生活が継続できるように、小ボケレベルの方には、脳機能の老化が加速され始めた生活のターニングポイントを一緒に考え、生活改善の方法を伝えなくてはいけません。
D川さんのケースの内の小ボケの方は、「夫の介護負担が大きくなっていったんです。」「後の方も、ご主人をなくされたり、ほんとにぴったり合うんですね。こちらからというよりも、お年寄りから話しはじめてずいぶんつらい話も聞きますが、ご当人はすっきりした顔で帰られます。」

こういう話を聞くと、「二段階方式の手技を武器にしてくださったなあ」と私も満足感に浸れるのです。

P1000001_2_2

奥州市の、千葉キヌさんからお手紙をいただきました。
今年の脳元気教室交流会には私は伺わなかったのですが、会えなくて残念だったということと、でも盛会だったことと、稲瀬の出し物にはもう一工夫が必要だったという反省と、教室の自主的交流は続いていることなど盛たくさんの内容でした。
奥州市は、旧江刺市を中心に旧胆沢町も取り込んでイキイキとした取り組みが継続できていますので、これからもがんばっていただきたいと思います。
古いブログもご参考までに。前後も見てくださいね。http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20060211

http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20060211

http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20061130

P1000010_1 今年のクリスマスイブは、友人夫婦と一緒に、川奈ホテルのディナーとしゃれました。
食事前に、ロビーでのピアノ演奏会付き。
豊田浩子さんという方が演奏してくださいましたが、ちょうど指使いが見える席に座ったものですから、あまりのすごさにびっくりして、音楽を聴くことを忘れてしまうほどでした。
7861a6c718c13209ad76af8e4882e414(年をとると、同時に二つのことをするのは難しくなるのです。これはいわずと知れた前頭葉のせいです。)
これが会場になったロビーです。

今年お会いできた保健師さんもできなかった保健師さんも、いろいろありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
来年も、皆さんに元気になってもらえる話ができるようにがんばります。


散歩の工夫ー川奈ホテル

2007年12月09日 | かくしゃくヒント

エイジングライフ研究所では、脳機能から見た散歩の効用を声を大にして言い続けてきました。散歩の効用としては、散歩している間は、脳の運動領域が体に対して指令を出し続けますから、血流が確保されて脳の活性度があがるということが、まずいえます。
その他にも、生活に変化ができるとか自然に触れることができるとか、散歩の効用はいくつもあります。写真は12月9日川奈ホテル
P1000009 小ボケ状態でなくても、左脳は、「読んでいるようでいて読んでない」「聞いているようでいて聞いてない」状態はざらに起こります。
右脳だって、その作業を楽しんでなければ、好みでない音楽を聴くフリをしている時のように、活発に動いていないことも十分考えられます。
けれども体を動かしているときは、間違いなく脳の運動領域は指令を出し続けているのです。P1000011
というわけで、当然、私も散歩はやらなくてはいけないのです。ところが、家から散歩に出ようとすると、右に行っても左に行っても上り坂。旅立ちにはかなり覚悟がいります。
そこで一工夫。「まず車で出かけて、そこで散歩をする」

今日は川奈ホテルへ出かけました。
ホテルのあちらこちらにクリスマスデコレーションがあって素敵でした。
P1000017 P1000016

地下のグリル前の飾り。
P1000018 ロビーの飾りは、4メートル位もあったでしょうか。
もともと川奈ホテルというのは、昭和11年開業ですから、日本の老舗ホテルのひとつに数えられる格式を持っています。建物の古さも魅力的ですし、ヨーロッパ調の重厚なインテリアも素敵です。
玄関で、黒服のホテルマンが出迎えてくれるのだけが、ちょっと気恥ずかしいのですが。
今日は散歩がメインの目的でしたから、ティールームにもよらずに、手入れの行き届いた芝生の散歩コースを楽しみました。
寒桜と菜の花がきれいに咲いて、海と青空が広がり、小鳥の鳴き声に耳を傾けました。
そこここにある梅や桜に、春にまた訪れる楽しみが湧き上がります。

脳リハビリとして散歩を勧めるときに、「同じ時間に同じところを歩いてみましょう」という指導をするときがあります。
近所を全く歩いたこともない、近隣の人間関係もない場合には、こういう形のほうが、散歩に入り易いようです。
同じ人に出会う確率が高いので、挨拶から始まってお話をするような関係になる可能性も出てきます。植物やイヌなど「今日はどうか?」と予測しながら歩くこともできます。
P1000001 でも、今日のような散歩もいいものです。
運動しただけでなく、自然も満喫し、クリスマスデコレーションにも感動しました。
「時間があっという間にたってしまうような体験」こそ、脳を活性化させるものだからです。
散歩の後ショップにちょっと寄りましたが何も買わずじまい。本日投じた費用は0円!それどころか、散歩中に拾った松ボックリを今年作ったリースに付け加えて、私はさらにご満悦。
いい一日を過ごしました。


ボケ予防教室での小ボケさんと中ボケさん

2007年12月07日 | 各地の認知症予防活動

今日はS保健師さんの手紙をそのまま掲載します。

高槻先生
いつもお世話になり、ありがとうございます。
先生の「生活ぶり」Blogで楽しく拝見させていただいています。

 ○○ぴんしゃん倶楽部も、いよいよ今月教室終了時のテストを
迎えます。平均年齢の高いこの教室では中ボケが一人いました。
教室に中ボケは入れない。入れられないということが、よくわかりました。

 他のメンバーが好きで楽しんでいる折り紙ができないため、
「こんなのは嫌い!こんなことをするんだったらもう来ないからね!」と怒り出すのです。
スタッフ一人がつきっきりにならないといけないし、
「あの人怒ってる・・・」とメンバーが気を使う・・・

 レクリエーションやおやつ作りなどでは、何とか対応できても、みんなが好きな折り紙の雰囲気が悪くなったのがとても痛かったです。

 でも、若手のかくしゃくさんが3人ほどいて、高齢の方にも目を配ってくれているので、どうにかグループとしてもやっていけそうです。(ちょっと大変ですよ)

 もう一か所の△△ぴんしゃん倶楽部では、65歳以下のサポーターを入れて27名です。教室開始前のプレ教室でやった集団かなひろいの不合格者だけでなく、かなの内容把握が駄目だった人,立方体がかけなかった人にも個別テストをしています。追加の参加者にも個別テストをする予定です。
 個別テストの対象者は19名、1回目の教室で11人終了。一番心配だった人は小ボケでした。後は現在のところ皆正常です。
若い人も多く、口コミで隣の地区からも教室開催の要請がきました。楽しみです。ー以下略

P1000012
一碧湖(伊豆の瞳ともいわれる小さな湖)を散歩して

私の敬愛するうーさんによる「一碧湖」http://www5d.biglobe.ne.jp/~urara-ka/2007-12/07-12-13.htmlあまりにも違いますね。カメラ技術だけでなく視点が!

昔、エイジングライフ研究所活動のごく初期のことです。
「ようやく小ボケにだまされなくなりました」と北海道の保健師さんから電話をいただいたことがあります。

「教室のはじめ頃には、小ボケというテスト結果が信じられないほど、ちゃんとしていると思ったものです。でもよく考えるとちゃんとしているのはいうことだけ。やってることがちょっと変なんです。」
「例えば?」
「教室の開始時間よりずーと早くくるんです、家族の送迎の都合とかじゃなくて。余程することがないのかなって思えるようになりました。だってカクシャクな人たちはだいたい、駆け込むようにきますから。
それから、慣れたことをするときはいいのですが、ちょっと変わるともう大変。ジャンケンゲームのルールを変えるとか。
料理教室でケーキ作りをやったら、かくしゃくの人は一歩前に出て、小ボケの人は一歩後ろに下がりました。
紅葉狩りに行ったときも、振り返ってあんまり見事なモミジに『すばらしい』と声を上げたらかくしゃくの人は全員歓声を上げ、小ボケの人は『あ、モミジ』と淡々としたものでした。」
「小ボケが目に見えるようね。」
「そういう訳で、もうだまされずに行動でもわかるのですが、やっぱりテストは便利です。早く理解してあげられますから」
P1000015 P1000016

実践の中から、納得できたものは保健師さんたちの本当の力になるということがよくわかりました。


第三期実務研修会、お疲れさま

2007年12月04日 | 二段階方式実務研修会

第三期実務研修会が終了しました。今回は4人ずつの座席設定でしたから、グループ討議がしやすかったのではないかと思いました。

P1000001

エイジングライフ研究所では、いつも「脳機能」という視点を大切にします。
ボケの有無や重症度を測るときにはもちろん不可欠です。(そのものさしが二段階方式のテストで、その研修会だったのです)
これからは、日常生活のいろいろなシーンで、「今脳機能はどのように動いているか」と考えてみるようにしてください。そういう積み重ねが、特に前頭葉の機能が何であるのか理解できる近道になるはずです。
ところで、研修会で講義を聴くときに、どのように脳機能が賦活化されるかということを考えてみましょう。(写真は野牡丹=リトルエンジェル)
P1000002_21.自分がどうしても聞きたいテーマであること
2.話の内容、言葉遣いが抵抗なく理解できること
この二つの条件があるときには、前頭葉が軽く集中を掛けるだけで、左脳はスイスイと講義の内容を聞き取っていってくれます。

パワーポイントの画像も飛び込んでくるように理解されるはずです。左脳だけでなく右脳も、何しろ集中してますから。

P1000003_2  ところが、
3.あんまり興味がない。自らのモチベーションというよりは参加させられているとき
4.講義の内容に、引っ掛かりがあるとき
前頭葉が余程集中を掛けないと、左脳や右脳の能力が発揮されません。その結果、内容が理解しにくい状態になるために、さらに前頭葉はがんばらないといけないのですが、3や4の条件が前提にあると「もう、いや」と前頭葉はコントロールタワーの役割を投げ出してしまいます。
そうすると「聞けども聞こえず、見れども見えず」状態になって、おリコウに座っているだけのつらい時間をすごすことになるのです。
小ボケの人が何もしなくてほんとにボーとしているだけか、居眠りしながらで何時間でも過ごすように、もともと前頭葉が不活発な人は、この状態が苦痛ではありません。
脳(特に前頭葉)が活発な人にとっては、難行苦行の時間ということなのです。

Photo
by うー
そこでエイジングライフ研究所は考えました。できるだけつらい時間が少なくなるように、積極的に講義に参加してもらうためには何が必要か。
答えは「ポジティブに参加する」
自分が受身でなく、関心をもって意欲的に何かをするときには、前頭葉は必ずコントロールタワーとして積極的に動き始めます。
グループ討議が始まれば、この状況の下では「言うべきか、言わざるべきか」「言うならば何をどのように言うのが適切か」前頭葉はクルクルと働き続けることになるのです。
というわけで、グループ学習形式での研修会でした。

ここがわかりにくかった、ここをこうして欲しいなどのご意見はいつでも受け付けますからご遠慮なくおっしゃってくださいね。レポートをお待ちしています。


ブログ村

http://health.blogmura.com/bokeboshi/ranking_out.html