脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

3月の右脳訓練ー台所で

2022年03月26日 | 私の右脳ライフ

毎日の生活を振り返ってみると、台所で何か作っている時間の多いこと!結局好きなことをしているわけですから、料理をすることは私の右脳訓練に違いありません。
今日も散歩の途中、ツクシ発見。

北九州市、それも隆盛期の北九州工業地帯の真ん中で生まれ育ちましたから、自然には恵まれていなかったのです。
春になると、車に乗って遠賀川までツクシやヨモギを摘みにつれていってもらいました。
父は穂の堅い若いツクシが好物でしたから、がんばって若いツクシを摘んだ記憶がよみがえりました。私たちは穂の開いたツクシでないと、苦くて食べられませんから、まあ手当たり次第にとったというのが正確なところでしょう。
父母の言葉や春の空気がよみがえります。

ハカマをとって煮びたしに。

今住んでいる伊豆高原は、海の幸も豊かです。30センチのカサゴが届きました。

お刺身にしましたが、皮も肝も添えました。今頃はネットで調べるといくらでも捌き方など出てきますが、「食べたことがある」という経験があるのとないのとでは、取り掛かりに差が出ると思います。

カサゴといえば、唐揚げですね。

こんなに立派な石鯛もいただきました。1245グラム。

お刺身と、薄味であら煮に変身。

あるときは、ベジタリアンのお客さんが見えました。たまたま農家の友人からとれたて野菜をいただいたばかりでしたから、ほとんど調理らしいことをせずに野菜の味で食べていただきました。

食事がすむと、デザート。春になると和菓子が作りたくなります。いい加減な作り方なのですがなんだか皆さんが喜んでくれます。
桜の花房が道に落ちていたのでまず桜餅。

7センチもある大きなイチゴをいただいて作ったイチゴ大福。おいしいイチゴで作ると見栄えはさておき絶品です。求肥でも、お餅でもやってみました。

練り切り。銘「春となり」

紫芋で餡を作って、練りきりにして作った「若紫」全く名前ばかりで…

こんな経験もしましたよ。生コーヒー豆と焙烙を持ってきてくださって自家焙煎珈琲を味わう会。


思ったよりも強火で煎りましたから、すぐにくっきりとしたコーヒーの香りが立ってきて感動しました。
コーヒー焙煎


我が家のバリスタが香りの確認をしています。

早速挽いて、コーヒータイム。

けっこう濃く抽出しました。スッキリとしたのど越しは、あまり経験したことがないような気がしました。
「味」は客観的、科学的には決まった評価ができるものだと思いますが、実際の感じ方としてはその場の雰囲気やその食材の持っているストーリー、作り手や食べ手の思いなどが大きく「味」を変えていくものだと思います。
そのように考えてみると、料理にまつわるいろいろなエピソードを大切にすることから生まれる、脳機能を活性化させる力は、作る側にとっても食べる側にとってもとても大きなものだと思います。食べるときはおしゃべりも楽しみながら頂きましょう。その方が脳を活性化できるし、後から思い出すときに豊かなものにつながります。

今日のつくし摘みから始まった時間は、父母や遠賀川の春の空気を身近に感じながら過ごすことができて、幸せな充実した時間でした。

Stay Home-タケノコを満喫
料理に関して、脳機能から見ていろいろ書いたものをこの記事の一番下にまとめてありますから、興味ある方は読んでみてください。
巷で言われる、歌を歌いながら料理をすれば(デュアルタスク)が脳活性化に効果ありということに疑問符が付くと思います。
もちろん、何もせずに居眠りしてるよりはマシですけど。


3月の右脳訓練-白孔雀

2022年03月25日 | 私の右脳ライフ

年に何度かは、シャボテン公園に行くのです。もちろん友人と一緒に楽しみます。何度行っても、必ず何かの僥倖に出会えます。今回は白孔雀のディスプレイに出会えました。それも小道の2メートル先くらいで羽を広げ始めて、私の右足のそばにいたメスに向かって触れるくらいの近さで全開してくれました。

シャボテン公園のクジャクは、結構自由で住宅地にも出没します。まあ飛べるのですから囲い込みはできませんよね。
ふつうのクジャクの写真を探してみたら、2012年4月の記事「さらに、こう言えばああ言う。認知症とことば」という面白い記事を見つけましたので、クジャクの写真だけでなく記事も読んでください。

目の前で羽が広がっていく様子を動画で撮ってみました。オスのこのディスプレイは求愛行動ですから、BGMを結婚行進曲にしようかと思いましたが、今回は雌に嫌われてしまったので止めました。小刻みに羽を震わせて音を立ててがんばっているのに…ですよ。
白孔雀

カピバラの露天風呂はシャボテン公園から始まったそうです。全国何か所かで長湯競争をするのですが、今年はここのカピバラが一番長湯だったと、ニュースで言っていました。
新しいお風呂ができていました。

温泉もいいですが、カピバラのとぼけた表情で癒されます。

授乳中。

動物たちを見ると写真を撮りたくなってたくさんあるのですが、一枚だけ追加しておきます。
今回一緒に行った友人は、教育学が専門なのですが、チンパンジーアイちゃんの話で盛り上がりました。アイちゃんの血統は「ア」で名づけられているそうで、亡くなりましたが「アトム」賢くて有名な「アユム」。夫は「アキラ」というような雑学も。研究動物たちの老後の話もひとしきり弾みました。「チンパンジーにも前頭葉はないんだから」といいながら、「「敵を追っていくチンパンジーが、追いかけながら木の枝を武器にするつもりで(多分)拾って走って行った」のは前頭葉機能を発揮したことになるよね。でも三つの行動には分配はしていない」とか。
場所は同じシャボテン公園でも、時期や一緒に行った友達で、ほんとにテーマや盛り上がり方が違います。でも、いつでも公園は楽しいものです。子供たちだけが行くところと思っていませんか?




原発性進行性失語

2022年03月13日 | 左脳の働き・失語症

今日の記事は、実際に二段階方式を業務で使用している保健師さんのために書いています。
脳機能検査をするときには、できない項目こそ、被検者の生活を知る手掛かりになることを肝に銘じてください。
「そうそう。できましたね」と声掛けをしたい保健師さんたちが多くて困ってしまいます。なるべく「できた」といってあげたくなるんですよね。だいいち、正答になるとテスターが安心できる。
MMSEは、脳の老化が早まっていくときにはできなくなる下位項目の順番があることは、世界で誰も言っていませんが、大切な事実です。
(勉強ばかりでは左脳に偏りますから、我が家に一本だけあるカワヅサクラを追ってみました。咲きはじめは2/2)

当然できるはずの下位項目ができないときには、以下の三つの確認をしなくてはいけません。
1.テスターに原因がある。声が小さい。ラポールを無視して機械的に質問をしてしまった。途中で邪魔が入った。このような場合は再試行すれば嘘のように正答になります。

2.被検者の前頭葉機能に問題がある。前頭葉機能が年齢を超えて働きが落ちてしまうと、注意を集中させることが難しくなります。つまり、テスト状況にあるにもかかわらず「うわの空」の状態になってしまうことがよく起きてしまいます。
この時も、きちんと集中してもらって再試行すれば正答になるものです。

3.被検者の、脳機能に問題がある。この場合は繰り返し質問してもできません。「やろうとする気持ちは十分にあるのに、脳機能に問題があるために、どうしてもできない」。確かにテスターとしたら「できない」ということを確認することは、多大なエネルギーがいります。
咲きはじめ桜花には青空がよく似あいます。

さて、珍しいケースの相談がきました。
「話せることは話せるのですが、何か変。失語症かなあ…と思ったのですが…」
二段階方式で認知症を理解するときには
1.脳機能検査
2.生活実態
3.生活歴
この三つは、まったく同等に大切な情報です。今回の相談事例では、残念ながらどれも少しずつ情報不足。ですからあくまでも推測の域ではありますが、結論をまず明らかにしておきましょう。

非常に珍しいタイプの失語症「原発性進行性失語」の可能性が、一番高いと思います。
変性疾患といいますが、脳内病変(脳梗塞や脳出血や脳腫瘍など)や事故などで脳が傷ついていないにもかかわらず、ことばに関する機能に支障が起きてきます。それも少しずつ少しずつひどくなっていくのです。
当初「痴呆なき緩徐進行性失語(slowly progressive aphasia without  generalized dementia)」Mesulam1982年といわれて、一症例で学会発表されるくらい珍しいとされていました。
ところが、二段階方式で認知症を理解しようとする市町村の保健師さんから、時々「原発性進行性失語」の相談が来るのです。もちろん例外的ではあるのですよ。

1.脳機能検査から見ていきましょう。
側頭葉性健忘症でない限り、前頭葉機能の低下はまずあると思った方がいいでしょう。今回もまあ予想通り。
特筆すべきは語想起の際の反応「タヌキ…イール イル…」思った単語が言えない。ちょうど感覚性失語症でキーワードが出ない状態によく似ています。
MMSEは、CTなどの画像診断ができない場合でも、機能低下を起こしている場所を類推できる優れたテストです。
MMSEの特徴は「アルツハイマ型認知症のように単に老化が進んだ場合だと、できるはずの下位項目ができない」
三単語の復唱や文の復唱、計算能力も問題がある(時間がかかる。一桁の加減算はできるが、繰上りや繰り下がりが入ると全然できない)ようです。
さらに「字が書けない」症状もあります。

「字」が書けません。右の例だと文法的にも問題があります。
この人の名前は「明子」ですが「朋子」と書いてしまう、自分の名前を間違えるなんてありえない間違いです。

「れいわ」といいながら、「令」の字が間違い。「わ」が「ヤ」になっています。

細かく見ていくと、たった15分くらいの時間でできるMMSEから大きな情報が得られてることがわかりますが?

原発性進行性失語症は、運動性(しゃべりにくい)といわれるのですが、私の持っている症例でも、保健師さんからの症例でも、当初は感覚性(入力障害、聞き取りにくい。キーワードがなかなか出てこない)の場合の方が多いようです。
私たちは、診断をする必要はありません。
脳機能検査の結果をそのままに理解してあげることから始まります。
「単語を三つ続けて言うと、復唱できない」
「三つの文章の指示には従える」
「文章をそのままに復唱することが非常に難しい」
「書字に関しては、思ったように書けない」
この脳機能で生活していることを理解してあげてください。そのために検査したのです。
昨日友人宅の寒緋桜を見に行きました。

私たちの業務は、脳機能検査をして、生活指導をすることです。何らかのきっかけから「生きがいなく、趣味なく、交遊も楽しまない。そして運動もしない」ナイナイ尽くしの生活を続けるうちに、脳の老化がどんどん進んで、生活に支障をきたすようなタイプのアルツハイマー型認知症。そのタイプに対して生活改善指導を行って改善を図ることです。
そのためには、1.脳機能検査。2.生活実態。3.生活歴の指し示す内容が、老化が加速した結果であることが大切です。今回はもう少し突き詰めておかなければいけなかったですね。特に脳卒中やけがの既往があるかないかは、必須の情報です。

今回のようにアルツハイマー型認知症といえない場合は、ドクターの診察を仰ぐことになります。
その時病名を伝えるのではなく、今起きている「症状」を具体的に説明することが重要です(くれぐれも診断はしないように気を付けてください)。


「瓢箪から駒」ならぬ「夏ミカンから絵手紙」

2022年03月08日 | 私の右脳ライフ

うれしいお便りが到着しました!
実は先日、近所の友人宅の夏ミカンの収穫に誘われて、とってもたくさんいただきました。

輝く夏ミカンを眺めているうちに、寒いところの友人の顔が浮かんできました。北海道、長野県、岩手県…皮をマーマレードにする!という都会に住んでいる友人だって、待ってくれています。
いそいそと荷造りをして、お裾分け。
お嫁入先から早速リアクションがありました。電話やメール。夏ミカンのほかのおしゃべりも楽しみました。そうそうメールの良い点は写真までみられるということですね!

小布施町のお料理好きな友人にも送りました。毎年マーマレードを作って、友人(私の友人でもある)に配ってくれるのです。
今朝ポストに発見した絵手紙。

まあ、懐かしい。
小布施町脳リフレッシュ教室のみやいさん。たしか82歳だったか?みやいさんのところにマーマレードになる前の夏ミカンが届いたのですね。
年一度の各地区参加の「脳リフレッシュ教室交流会」で初めてお会いした時、度肝を抜かれるような登場に大笑いしたことを思い出しています。
なんというかエンターティナー。年齢を感じさせないファッション。明るい口調。軽やかな身のこなし。否応もなく会場を巻き込む力がありました。
その後の「脳リフレッシュ教室交流会」でも、みやいさんの地区は毎回寸劇。脚本・演出はみやいさんだったのでしょう?会場を沸かせましたよね。
認知症予防指導のために、小布施町には20年近く毎年2度以上は行っていたので、ほとんど第二の故郷のような気持でいます。

今年の予定は2月17日だったのですが、コロナのために中止…もう小布施にはずいぶん行っていません。と書きながら、前回はいつかとチェックしてみたら2020年2月でした。
あらっ、小布施に行ってないのは2年間だけ。
小布施町探訪

毎年毎年お会いするのが楽しみだったみやいさんから、「教室は卒業します」というお知らせが届きました。
体調のことがさりげなく書かれていましたが、「がんばり屋さんのみやいさんがそう言われるのだから」と私は納得しましたよ。
年齢に応じた変化をさせながら、基本的には同じような生活ぶりを続けていくことが一番脳の健康にはいいことなのですが、それを状況が許さないことも覚悟しなくてはいけません。
お互いに残念の思いを込めて、教室卒業を認め合いました。

今、小冊子の改訂をしています。
「脳リハビリは生活習慣の改善」という章を立てました。
単にドリルや音読みをやるとか、歌いながら料理するとか(デュアルタスク)ではない。人が人として、自分らしく生き抜いていくことが最も大切なことなのです。
自分の前頭葉が、「自分らしく生きている。今日もこんな小さいかもしれないけど楽しいことがあった。これなら明日も生きていかれる」と感じられるような毎日。前頭葉が自分なりによく働いているような毎日こそが、認知症予防には不可欠なのです。


みやいさんが、もともと絵手紙を趣味にしていらっしゃたのかどうか知りません。ただ言えることは、このように生活の小さな喜びを絵手紙で表現する習慣は、脳のリフレッシュ教室で体験して身につけられたのではないかと思うのです。
右脳をベースにした楽しい時間、自分(の前頭葉)が満足するような時間を、生活の一コマに組み込んでいく。このような生活習慣こそが、認知症予防の王道です。
脳のリフレッシュ教室で学ばれて、本当に良かったです。
みやいさん
うれしい絵手紙をありがとうございました。
追記
さらにまたブログ掲載のお礼状が届きました。「幸女よ天まで届け!」という題の自作のかわいい絵手紙にたくさんのポジティブな気持ち(「人生、大満足」「有意義な82歳になった」「心はホット」…よかったですね)を書いてくださいました。82歳でこう言えることが素晴らしい。あんまりうれしくてちょっと涙が出ました。

みやいさん。
この気持ちを胸に、長生きしてくださいね!

 


富戸港

2022年03月05日 | 私の右脳ライフ

今年の啓蟄は、今日3月5日。
寒さにこもりがちだったこの冬もそろそろ過ぎていってくれそうです。久しぶりのブログは家からちょっと外の空気を楽しんだ報告です。

ここまで、全部歩けば40分くらいでしょうか。私は近所のお知り合いのところに車を停めさせていただきましたから、家を出て15分もすればこの景色が広がります。
左側をぐるっと進みましょう。引き上げられている船にも目がそそられます。

ほんの2-3分歩くと、ちょっと景色が変わります。

灯台のある岸壁には多くの釣り人がいました。釣りをやってみることもすればよかったかも…ちょっと残念な思いがわいてきます。

この富戸の海は世界三大ダイビングスポットと言われているそうです。念のためにネットで検索したら、出てきませんでしたが。
ジャックマイヨールが素潜りの記録を作ったとか、富戸の海には四季があるとか、地域の皆さんは富戸の海に絶大な愛情を寄せています。
たくさんのダイバーたちが、海を楽しんでいます。冬でもたくさん見えてますよ。
海の四季は、地上とはずれることをご存じですか?「水は温まりにくく冷めにくい」ために、地上とは一季節ずつずれるのだそうです。
体の冷えたダイバーたちは、天然温泉かけ流しのこの温泉丸で、温まっています。

帰りはちょっと道を変えてみます。
マツバギクも艶やかに春日を浴びて輝いています。

初めて見つけました。大切にされている感じがしますよね。海の地域ですから信仰心が篤いのでしょう。

帰りの道でこれも発見。イワシのおなかを開けて干してありました。確かにこちらの方が食べやすいし乾きやすいと納得しました。

いま、富戸港ではイカが結構とれていると聞きました。

いつもは車で通りすぎるところも、歩いてみればたくさんの発見が。
「認知症予防に散歩をする」とよく聞くと思います。この言葉には続けて「歩くといろいろなものを見たり聞いたりするし、足からも刺激が脳に行くから」というふうに言われることが多いのですが、歩くことそのものが、脳の運動領域からの指令が出なくては実現しません。つまり脳を使った結果、歩けている。
脳を使うこと、そのものが認知症予防に直結しますから、「認知症予防に散歩をする」ことは正しいことなのです。
庭の水仙も輝いていました。

ブログの更新が遅れたのは、小冊子の改訂も影響していますが、それ以上にアイフォンで撮った写真がパソコンに取り込めなくなってしまったからです。
グーグルフォトに自動で取り込めていたのに、2/10以降一枚も取り込めません。結局アイクラウドからダウンロードすることにして、この記事を書きました。しばらくはこの方法で行くつもりです。
生活の中でも脳を使う場面はいくらでもあります!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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