脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

2月の右脳訓練ー地獄谷野猿公苑

2018年02月28日 | 私の右脳ライフ

頭にうっすらと雪をかぶったニホンザルが、瞑目しながら露天風呂に入っている写真を見たことはありませんか?私はずっと以前からそのシーンをこの目で見たいと思っていました。
モンキーパーク
地獄谷野猿公苑は、小布施町のちょっと先の山ノ内町平穏にあります。
一年でも早い方が、行くには楽という理由を思いついて、今回の2月に小布施に仕事で行く前に、行くことにしました。

旅に行くには、目的とモチベーションがまず必要ですね。お手軽にツアー参加という方法もありますが、私は自分で計画する方が好きです。
ネットで調べました。時刻表で時間を調べるだけでは足りません。
何しろ2月、雪がまだ残っているし降る日もあるということでホームページ上のライブカメラの映像を何度もチェックして、道の様子、観光客の服装を調べました。野猿公苑の職員の方の今年や去年のブログを読んで情報チェック。最近の天気予報で温度を調べて…
最寄りのバス停から30~40分雪の山道を歩くことはわかりましたが、荷物の預け場所がない!
寒くない服装、滑らない靴、リュックサック。最大限の準備ができたと思います。結果はtoo muchでしたけど。
準備が大変と思うか、未知の状況に備える前頭葉の訓練と思うか。もちろん後者です(笑)

ボケ始めた人が旅の企画をする…



いちばん効率がいいアプローチは長野駅からの直行バス。1時間足らずで最寄りのバス停、スノーモンキーパークに到着します。

さあ、歩き始めます。お店やホテルを過ぎて、スギ林の間の山道は一面の雪。
慣れない雪道ですから、たっぷり30分歩いたと思います。大きな噴煙が立ち上り地獄谷野猿公苑の名前が納得されました。温泉が豊富に湧出するところには「地獄」の名前がよく見られます。別府温泉もそうですね。

右の斜面を上がった先に、野猿公苑がありました。露天風呂の手前に観光客に囲まれるようにこの猿がいました。まるで平気、人間を無視しています。このサルの胸元にちょっとだけ雪を発見。

曇っているのではなく温泉の湯気です。サルが入る温泉は何か所かありますが、この日は暖かくて誰も入ってない!時々温泉の湯を飲んでいるサルがいましたけど。

別の温泉なのですが、残念。石の上に座っていて、入ってないんです。

サルの頭には雪はありませんでしたが、周りはまだまだ雪がたくさんありました。

何だか満足。サルは温泉にも入ってなかったし雪も被ってなかったけど。
仕事が待っていますから、そろそろ帰途へ。今度は知っている道ですから、ちょっと気が楽。

帰りは地獄谷温泉の一軒宿を見下ろすことになります。。午後から仕事だからと一瞬悩みましたが「日本秘湯を守る会」とあらば、ここは当然チャレンジ。事前チェックでこの後楽館のことは知っていましたから、悩んだというのは大げさですね。


自家源泉で蒸かしたちまきも名物とかで、もちろん注文しました。

おふろは断り書きがありました。「湯に浮かんでいるのは湯ノ花です」
ここまで湯ノ花が多い湯にはなかなかお目にかかれません。入ってよかった…

もっと、もっと遊びたかったのですが、仕事も大切です!
長野電鉄に乗って、小布施町へ。特急に乗ったら30分かかりませんでした。今回は北信五岳もよく見ることができ、いろいろ満足の旅を楽しむことができました。



2月の右脳訓練―塩田平の旅

2018年02月28日 | 私の右脳ライフ

上田で途中下車。久し振りの友人と小さな旅を楽しみました。
何度も訪れていますが、駅前をゆっくり見ることはないまま過ぎていました。
高さは2mと説明がありましたから大きく勇壮ですが、どことなくかわいらしい石刻獅子像が駅前に鎮座。中国寧波市と友好交流都市ということで、寧波市から寄贈されたものだそうです。
まずは、腹ごしらえ。友人がチェックしてくれた蕎麦屋さんへ。さすが信州、手打ちでおいしくいただきました。
「無言館へ行こうと思ってるんですけど」
「ああ、一度行ったのはいつのことだったかしら…館長の窪島誠一郎さんは水上勉さんの息子さんでしょ。磐田とご縁があって開館してすぐに行ったことがあるけど…」

徴兵により画家や彫刻家、あるいはデザイナーや建築家などになる夢を断たれ、戦場に散った美術学生戦没学生)たちの遺した絵だけが展示されている美術館です。どこか、教会を思わせる建物です。館内は写真禁止でした。
思い半ばに命を絶たれた人たちの作品を前にすると、これから先の人生をかけて表現したかったものがどれほどあっただろうと、作者の無念の思いが伝わってきます、生まれ出ることのなかった作品たちが、具体的な姿はゼロのまま押し寄せてくるようでした。
表現をする人たちにとっては、生きることはそのまま作品となって、その人の後を付いてくるものなのでしょうね。
知覧の特攻平和会館に行ったこともあります。様々な展示の工夫がありましたが、展示されている遺書を読み始めると涙を抑えることができませんでした。極限の状態にある若い特攻兵士はどんな思いで言葉を探したことでしょう。選ばれた言葉にのせられた切々たる心情が、そのままに突き刺さってくるようでした。
こうして、旅の後にいろいろと思い起こしながら気づいたことがあります。
心情を伝えやすいのは、当然ながら右脳経由に違いないと思っていたのです。言うに言われぬ気持ちを伝えるのも、受け取るのも右脳の得意分野ですから。

無言館では「描きたかった思い」を受け取りました。もちろんその心情も感じるのですが、生まれ出ることがない作品の無念さの方が強く迫ってくるのです。
言葉の力を改めて感じ、ちょっと不思議な思いになりました。
ドライブをちょっと続けて、信州の古刹前山寺へ。柔らかい茅葺の本堂。

前山寺といえば三重塔で有名です。国の重要文化財指定を受けています。
寺の創建ははっきりしないのですが、塔は一説によると室町時代、600年くらい前です。このお寺は甲州武田氏からも庇護を受けたらしいです。

巨木の参道が続いていました。この参道そのものが貴重な参道だと説明がありました。
塩田平は、四方を山に囲まれた静かなところでした。少し残った雪も風情を添えていました。


小布施町認知症予防教室交流会

2018年02月27日 | 認知症予防教室

恒例の小布施町第12回脳のリフレッシュ教室交流会に伺いました。
今年は、形式を大幅に変更していました。いつもの各教室による舞台発表は今年はなし。小グループに分かれて話し合いや音楽を使ったレクリエーションなどのプログラムでした。
一番最初はもちろん皆勤賞授与。
去年の交流会の様子です。小布施便りー第11回脳のリフレッシュ教室交流会その1

去年もたまたま高野さんの賞状を写させていただいていました。賞状の言葉がおもしろいでしょう。包括支援センターのH保健師さんの創作です。

今年は舞台発表はなしということだったのですが、「やっぱりやりたい」という2地区はやはり舞台発表しました。
高野さんは下の写真で一番前で演じている伊勢町のリーダーさんです。

「最初に伊勢町に教室が立ち上がって、高野さんにお会いした時には『お若い男性が参加してくださった』と感激しました」とお話ししたら「若く見えますか?孫もいて歳は取ってますよ」と笑って返されました。去年も今年も皆勤賞。そして「全体の舞台発表はなくても、伊勢町としての舞台発表ーみんなで会場を巻き込みながらのパフォーマンスを今年もやりたい」という決断。ここに認知症予防の一つのゴールがあると感じましたよ。
もうひとつ、小布施町の10年を超す認知症予防活動の成果をお見せしましょう。

高野さんが「みなさんもご一緒に」と声掛けしてくださったのですが、この会場のようす。みなさんが参加してるだけではありません。舞台と会場が同じ動きをしています!これはなかなかできることではありません。これは脳が若々しいということの証拠でもありますが、こういうふうに楽しめることこそが、認知症予防のための生活が身についてきたことの証拠でもあるのです。
「七草の会」の皆さんも発表を希望されたそうです。
IMG 6460
この後、全員で会場を回りながら、かわいい手づくり紙袋に入った飴をプレゼント。大ウケでした。

心からの拍手で迎えられました!

「七草の会」の皆さんは練習を積んで出来栄えを披露するという姿勢ではありません。
自分たちが楽しもうとする姿勢、皆さんにも楽しんでもらいたいという姿勢が迫ってきます。そして伊勢町の時に感じたように、会場の気持ちが一つになって「楽しい時」を過ごしてくださっている感覚が迫ってきます。
認知症予防のキーワードは「前頭葉」。自分らしくイキイキと楽しんで生きていく、そのことは他ならぬ自分の前頭葉が決めていくのです。
入口に展示されていた作品。右脳刺激の具体的な例ですね。

教室で得意分野が違いますから、作品作りで教室間の交流ができたらいいですね。

山王島地区のぴんころ地蔵さんにもお会いしてきました。

各地にぴんころ地蔵さんはありますが、これは小布施町山王島にできた新しいぴんころ地蔵さんです。去年、山王島の岩井さん(小布施町初の脳のリフレッシュ教室を始めたときの会長さん)から「かわいいお地蔵さんができたよ」とお話しいただいていたので、朝いちばんでお参りに行ってきました。
認知症を防ぐには、ぴんころ地蔵さんにお参りするより、もっと積極的に自分らしい生きがいを見つけて積極的に生きていく方がよほど脳が元気でいられるのに…といつもなら笑って済ませるのですが、さすが小布施町。

話がそれますが、ぴんころ地蔵さんのお顔をかしげた方、写真の左側の壁に短冊がありますね。
岩井さんの作品です。岩井さんの趣味は水墨画で、個展を開くほどの腕前ですが、いつのころからか山王島地区の希望者に水墨画を教えてくださるようになりました。
交流会の会場でそのおひとりが「水墨画を岩井先生に習ってるの。わたしまだまだ下手だけど、もしいるならお地蔵様の絵をあげたいんだけど」と言いに来てくださいました。これも素晴らしいでしょ。それぞれに合った認知症予防の生き方ですね。
このお地蔵さん建立の経緯は去年ブログにまとめました。是非お読みください!
小布施講演会の余波が続きます


みんなの長寿を祈り、またふれあいの象徴的場として、地区の重鎮88歳の岩井さんを中心に、山王島の皆さんから浄財を募ってぴんころ地蔵さんを立ててしまったというのです。他力本願なぴんころ地蔵さんにお参りしたらボケ予防ができると思っていらっしゃるわけでない!さすがと本当にうれしく思いました(詳細は上記ブログで)

去年はまだ上屋がなく建てたいという希望を聞きましたが、今年はもう建っていました。
ぴんころ地蔵さんと一緒にお祭りされているのは400年前のものという馬頭観音像。

お顔もはっきりしないほど長い間、地区で守られてきたのです。
その一画には六地蔵さまもお祀りされていて、山王島の皆さんの拠り所であるような印象を受けましたよ。それをまた訪ねてきてくれる人たちにも感じてもらいたいという皆さんの気持ちが、素直に感じられてこのやすらぎの場が大きく育って行きますようにとお祈りしました。


若年性認知症の定義をはっきりさせましょう

2018年02月19日 | 側頭葉性健忘症

友人から電話がありました。「急いで、NHK教育を見て!」ー2/15放送のハートネットTV  認知症にやさしいまち(3)

夫と顔を見合わせながら「多分、また側頭葉性健忘ね」と言いながらチャンネルを合わせました。大当り!
画面には、イキイキとした表情の初老の女性がリンゴをウサギ型に向いていました。手際は全く危なげなく、出来上がりもきちんとしたものです。楽しげに談笑しながら次々にリンゴをむいていきました。
Jガーデンに泊まりました。

「子ども食堂」で働いているシーンが続きます。リンゴを、誰にも指示されずにデザートのお皿にのせていきます。
子どもたちが食事を始めました。
その女性は、子供たちの背中から、そっと体を触ったりしながら、笑顔で話しかけています。
部屋をあちこちと動いている動作も機敏、話しかけ方にも無理もしつこさも感じられません。気配りをしている様子がよく伝わってきます。もちろん着ている洋服もごくごく普通。作業しやすく清潔な感じ。
「どこが?この人認知症なの?」「何が変なのかわからない?」を、テレビを視聴していた人は全員が思ったはずです。
この窓の向こうに大島。そして朝日が上がります。

でも次のシーンで、またびっくりすることになります。
世話をしているスタッフの発言「よかったね。手をかけたリンゴ、やっぱり評判がいいですよ」
その女性「えッ…リンゴが評判って、わからない…すみません、私パッパラパーで」と言いながら、表情は明るさを保ち、内心は動揺しているかもわかりませんが、笑顔で応対しています。
(この「内心は動揺してるかもわかりませんが」というところに注目してください。
大人が社会生活をこなしていくときに、内心の動揺をそのままに出してしまうことは、よほどの大きなショックを受けた場合か、
相手がそれが許されるほど親しい場合だけのはずです。つまり多くの場合その場にあった反応にチェンジして対応します。「この苦笑いっぽい反応」に、私は、まさに大人としてのその人の前頭葉の働きを感じました)

視聴者は今まで見てきた女性の、全く別の面を見せつけられて唖然。
「今まで見てきた人と同じとは思えない」
「若年性認知症って怖いなあ」
「あ~これがボケなんだ…」
そして、ちょっと思うでしょう。
「自分が、直前にむいたリンゴのことを忘れるかなあ?」そこで「いくら何でも、それはない!」と思えたらびっくりしただけで終わります。
「直前のリンゴは忘れないかもしれないけど、私だって最近あれこれ忘れることと言ったら、いつも怖くなるほどだから…もしかしたら…私もいつかというか近々、若年性認知症って診断されるかも」と思った人にとったら、この番組を見た後では不安が渦巻いてしまうことになりますね。
掃除の行き届いたベッドルーム

放送は、その女性の夫へのインタビュー場面に変わります。
「子ども食堂に行くようになって、明るくなったし会話が弾む」
「最初に受診した時、お医者さんは『5年もたつと動けなくなる』って言ったけど」
「生きがいを見つけて、脳も体も活性化したんだろう。イキイキしている」
(退職後、自信をなくし家にこもっていれば、脳の老化は早まります。その部分が元に戻っていったことを、夫は見逃していませんでした)
この女性は、訪問看護ステーション(多分、そうだったと思います。私の記憶があいまいです(笑))で働いている最中に仕事に支障をきたし、受診の結果上記のように「若年性認知症」と言われ、結局は退職したのですが、このインタビューの最中にも退職の経緯は「わからない、私パッパラパーだから」と笑ってその場を過ごそうとしました。
夫によると予想通り
「訪問の約束をしても、全く忘れてしまって、すっぽかしてしまって…それが何度も繰り返されるものだから」と新しい記憶が入っていかなかった事実が述べられました。何度もここで説明した通り、これは側頭葉性健忘であって認知症ではありません!

「物忘れがあるから認知症」というけれど

ここをクリックしてみてください。側頭葉性健忘について具体例を中心に15回解説してあります。
脳の機能から見ると、認知症と側頭葉性健忘とは簡単に区別がつきます。前頭葉機能が正常なら側頭葉性健忘。今日の記事で青色で書いた部分が、前頭葉が正常に機能している証拠です。
そしてこの部分こそ、普通のアルツハイマー型認知症を介護した家族からみたときに「これが認知症⁉。うちのおばあちゃんと全然違う」点なのです。
温室 だいたい年中ブーゲンビレアが咲いてます

慌てて電話をくれた友人が、番組終了後また電話をくれました。
「NHKなのに!今日の人と普通のボケの人と一緒にしないでほしいのよ。ボケってあんなものじゃあない!」彼女はたまたま3人の認知症になった家族の介護をした経験があります。
「あれっ。齢のせいかなぁ、変だなあ。でも立派なことも言うし‥と右や左に揺れながら不安に思ってるうちにおかしなことが増えていくのよね。
どう考えても『これはボケなんだ』と思い、誰に言っても『ボケちゃったねえ』といわれるところまでは何年もかかったけど。
最初に気づいた頃って、表情がなくなって、ボーとして居眠りしてるのよね。キビキビしてないの。自分じゃあ何もやらないし。それじゃあいけないと思って家事やら頼むと変なの。全然できないという訳ではないけど、今日みたいにシャキシャキできないし、ひとつずつ指示を出さないと頓珍漢なことにすぐなってしまう。それなのに何か言うとちゃんとした言葉で立派な返答とか嫌味な返答とか返ってくるわけ。今日の人とは全然違う」
そうです。今日の人は認知症でありません。前頭葉がちゃんと働いているのに新しい記憶が入っていかない側頭葉性健忘の人なのです。
20万年前に噴火した払火山溶岩流

地方に行って高齢者の方々とお話しすると、NHKは信頼されているなあとよく思います。
「NHKで言っていたけど」と質問されることもあります。NHKは専門のお医者さんや研究者の皆さんの意見をもとに、少なくとも監修はしてもらって、番組を作っているはずですから、本当に責任があるのは専門家の皆さんでしょう。
でも、よく世の中を見てみると、「普通の認知症(アルツハイマー型認知症)」が圧倒的にたくさんで、なおかつごく軽いものから誰からも認められる重度のものまで様々な状態の方たちがいることがわかるはずです。言い換えると、今重い状態の人に対して、過去にさかのぼって症状を聞いていくと、軽い状態から徐々に症状が進んでいったことがわかります。
「普通の認知症(アルツハイマー型認知症)」ではなかなか番組が作りにくい。特に重度ともなると映像化することすらためらわれます。それに比べると、側頭葉性健忘の方たちは顔を出してくれるし(表情もイキイキしています)、自分の意見も自分の言葉で的確に表現してくれるし、さまざまなことがやれるし確かに「絵に」なりやすいですね。
でも。
NHK、がんばってください。善男善女を不安に陥れるようなことはもうやめましょう。公共広告機構も同じですけど。

若年性認知症の定義を調べて、ビックリポン!一番最後に触れています。




 

 


相性の5軸ー就活時の確認法

2018年02月16日 | 前頭葉の働き

続けて「相性の5軸」のアップデートです。
2/14の我が家の河津サクラ。ここまで咲きました。

もともと、日経新聞「就活のリアル」という記事からのスタートでした。
若者の早期離職相性の5軸にまとめました。

2/13にまた興味深い記事の続きが掲載されましたから紹介します。まず大意をまとめてみます。
大企業に比べて、中小企業に就職した学生に早期離職が目立つ。その理由は二つある。一つには大企業は職場の人間関係を変えてみたり、職場の配転や教育の可能性があり、中小企業にはそれらの可能性が小さい。もう一つにはそもそも中小企業には、採用の際、選択の幅が少ない(応募者の側から言っても同様)。だから、会社の指向性と応募者の性格傾向を「相性の5軸」の観点からみて、どこまで一致できるかに、早期離職防止の鍵がある。
散歩中、ここまで咲いているサクラにびっくり

夫や子供たち、もちろん自分も、多少の答えにくさはありましたが、さっさと5軸の答えを出してくれました。
でも、就職面接の時のことを想像していました。応募者は自分のことですから思い至ることができますが、採用側はどう判断するのでしょうか?
2/13に回答がありました。新たな面接法「状況設定型面接」として紹介されています。
「『こんな場合あなたならどうする?』と二択から選ばせる。そして、選んだ理由を事細かに聞いていく」
そして「情↹理」の軸の確認のための実際例があげられています。以下は引用です。
「大切な先輩が、明日までに300万円を貸してほしいといってきました。あなたならどうしますか?
①期待を持たせるのは良くないから、無理という
②何とかできないか四方手をまわしたあげく、思案して悩む」
それぞれの答えに対して、さらに掘り下げて聞くというのです。
「これだと、事前準備はできないから虚飾もないし、何も考えていない学生も答えられる。しかも聞くべきポイントを事前に設定できる。さらに学生も楽しんで答えてくれる」
いいことづくめの状況設定型面接と締めくくられていました。
角度を変えて、我が家のサクラ

「状況を判断して、どうすべきかを決定し、行動に移す」
これはまさに前頭葉の機能です。「脳の司令塔」という表現をよく使うのは、この働きに注目しているからです。
前回のブログでも、「相性の5軸を自分の前頭葉の働き方という視点で理解してみる価値がある」と書きましたが、状況設定型面接では、会社側が「この状況では、面接者の前頭葉はどのように機能するか」を当の面接者の言葉で「繰り広げてもらっている」という訳です。
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三頭建ての馬車で考えましょう。
まず馬たち。
左脳を評価するということは学歴に代表されるように、国語・算数・理科・社会の教科を点数化するようなものですから、確かに測りやすい。
もっと測りやすいのは運動脳。持久力や瞬発力。どのくらい速いか、強いか等々
右脳を代表する音楽・図工などの評価は実は難しい。さらに感情レベルとなると評価はさらに困難になります。
でも、馬車が走り抜けていくとき、馬の能力も確かに大切な条件ですが、右脳の評価が完璧でなくとも、さらにそれを上回る条件は御者の能力です。

馬車の御者の働きが前頭葉の働き。その人を理解するには、前頭葉の理解が不可欠です。

 






相性の5軸

2018年02月11日 | 前頭葉の働き

早期離職する若者に対して、本人の生き方と会社の指向性の相性という視点からの考え方を、「若者の離職」として前ブログに紹介しました。
書きながら、私たち夫婦はこの5軸だとまったく合わない相性かもしれないと気づきました。
(言わずもがなですが、右がいいわけでも、左がいいわけでもありません。そういう傾向があるということですから)

そこで、夫にどちらを選択するか尋ねてみました。
結果は、やっぱり想定通り。

いくら予想通りとは言え、ここまで正反対なら笑うしかありません。
なおかつ、周りの人たちの意見だと、上図で見るときに、私たちはどうもかなり極端な左寄りや右寄りらしいです。距離があるほど理解しにくい間柄なのに、よくもまあ早期離職(離婚)にならなかったものですね!

3年前の結婚記念日に書いたブログですが、この時、ほんとに夫に対して理解が深まったと思いました。結婚して45年目(笑)
結婚記念日ー左脳と右脳のせめぎあい

「あの人のことがよくわからない」とか「苦手」と思う相手がいたら、その人の脳の中で何が起きているかちょっと想像してみたらどうでしょう。
左脳優位なら、デジタルっぽくとらえています。
右脳優位なら、アナログっぽくとらえているのです。
特に、今の自分が依っている立場とは逆のとらえ方を想像してみて下さい。これにはかなり前頭葉の力がいりますね

ブログの最後に上のように書きました。
個人的な、閉ざされた人間関係なら、まあ、これで決裂しないでもう一回関係性を保つことができるでしょう。
このようにとらえなおすということに気づいたのが、3年前ですから、それまでどうやって夫婦という関係性を保ってきたのでしょうか?!
「不思議だなぁ」と思っていたような気がします。
(Jガーデンの仏手柑)

このような生き方の差はどこから来るのでしょうか?
答えは、前頭葉。
前頭葉は「十人十色」と言われる時の「色」を決めるものです。私達はよく3頭建ての馬車の御者に例えます。
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御者が馬車を御していく「方法」はどうやって身について行くでしょうか?
幼いころは、親の生き方や親からの評価で少しずつ自分のやり方の芽が生まれてきます。そして成功体験や失敗体験を重ねながら、自分のやり方を確立していきます。
人のはなしをきいたり、本を読んだりという左脳的な知識も、もちろん前頭葉を育てるに違いありませんが、うれしいとか悲しいとか感情的な体験も、その人の色を濃くしていくでしょう。
本当の力は体験の中にしかありません。実際にやって納得するという段階があって、初めて3頭建ての馬車を自分らしく動かす、いわば技術とでも言いたいような、自分流のやり方が身につくのです。
(Jガーデンからの眺望)

そうやって育まれた私の前頭葉は、周囲との関係の中では協調的(問題をクリアにするより、なあなあマアマアで行こう!)、発想は伝統的(つまり守旧的、変化を求めずそのままでいい)、行動を評価するときには思考重視(さっさと行動に移すよりは立ち止まって考える)にできあがってましたので、「不思議だなあ」という思いが主になっていたのでしょう。
夫は真逆ですから、どのように折り合いをつけていたのか???ちょっと考えるだけでも前頭葉は奥深いものです。
物事を判断するとき、左脳が前面に出るタイプの夫と右脳的に処理してしまいがちな私というとらえ方も間違ってはいませんが、それだけではなく前頭葉そのものの判断方法にここまで差があると気づいたのも面白い出来事でした。
もちろん、左脳ベースまたは右脳ベースで状況に対処し続けると、そのことの影響だけでも前頭葉の完成型には差が出ますよね。
(Jガーデンのジャグジー風呂)

夫婦は、また別のつながりというか関係性というか、いろいろ複雑に絡み合ってるものでしょうから、この5軸のように単純には言えないでしょう。
会社―自分という関係性の中、つまり「この指向性を持った会社で、こういうタイプの前頭葉を持った自分が働く」という時には、この5軸を自分の前頭葉の働き方という視点から理解してみる価値はあると思います。
子供たちにも質問してみました。結果は下表のとおりでした。
5人だけの調査でしたが、やっぱり十人十色といえそうです。

 

 

 

 


若者の離職

2018年02月07日 | 二段階方式って?

福井など日本海側の豪雪に心痛みます。ここ伊豆は風は冷たいのですが雲一つない晴天が続いています。
私は春隣という季語が好きです。去年の今頃は初めて黒文字の花を見た感激をつづっていました。
「1月半ばにいただいたときは固い固い蕾でしたが、植物は季節をよく知っているのですね。お花の下部の膨らみは直径5ミリくらいです。そこからツンと角のように花柄が出て、その先の蕾は1ミリ!なんとかわいい」

私は単純に花が咲いたと喜びましたが、これを「もう少し」とみるか「まだ、まだ固い」と感じるかは、全くその人の感じるところで決まります。

この芽を見て「もうここまで膨らんだ」でも「まだまだだなあ~」でも、間違いはありません。(今日の写真は1/30に撮影)
閑話休題
小ボケというのは、脳機能から説明すると、前頭葉機能は低下しているのですが世の中でいうところの知能テストには合格する人たちのことです。この考えを知らないと、年齢相応の衰えはあるにしても普通!と思われている人たちです。
そのような認知症の初期に、問題が大きく出てくる人たちがいます。いちばん多いのが「妄想的なことを言い立てる」でしょう。後半領域の脳機能(普通の知能テストで測られるもの)が合格ラインですから、説明が真に迫っていて周りが振り回されることがよくあります。
その状態を説明するために用意してある図です。

いい、悪いは別にして、それぞれ性格の傾向がありますね。楽観的―悲観的。内向的ー外向的。神経質ー大雑把等々。
一番上の楽観ー悲観の軸で考えてみましょう。多くの人たちは、やや楽観的からやや悲観的までのあいだに入ります。それがごく普通の人たちになりますね。
どちらであっても、ごく少数の外れのはずれに位置する人は、日常生活がやりにくくて、当然若い時から精神科に受診するでしょう。悲観的過ぎ(自分がつらい)だけでなく、楽観的に過ぎ(周りが困る)ても同様です。
普通といわれる範囲と病的な状態だけに分かれるものではなく、その間にもグラデーションでいろいろなレベルの人たちがいるはずです。(山の中腹の人たち)その人たちは、通常の生活を行っていくときには、自分の性格傾向を、より中央寄りに引っ張って適応していることが多いと思います。特に日本ではその傾向が強く求められることは否めないでしょう。

その働きは、当然前頭葉が担います。
そして老化が加速するときに一番早く機能低下を起こすのが前頭葉です。つまり、自分の性格傾向に強い自己規制をかけている人たちが、小ボケになった時に性格が先鋭化するのではないかと思うのです。
それは左によっても、右によっても共に同じで、性格が強調されることになります。周りの困り具合は違いますけど。
例えば、妄想を言い立てられるととても困りますが、まったく想像力のかけらも働かないとしても、妄想ほどには困りませんね。
またまた、閑話休題。
1月30日の日経新聞。海老原嗣生さんの署名記事「就活のリアル」がとても興味深かったのでご紹介します。

「若者の離職の原因は、その会社と相性にある」という主張です。以下青字は引用です。
①周囲との関係 競争↹協調(一番を目指せ、目立て↹縁の下の力持ちでいい、スタンドプレーなどやめろ)

②発想の方向性 革新↹伝統(昨日と同じものでは意味がない↹奇をてらわず過去の伝統をしっかり守る)

判断の基準 理↹情(情に流されず怜悧に↹計算ばかりでなく情を大切に)

④評価の基軸 行動↹思考(能書きを垂れるのでなく動け↹考えもせず動くのは意味がない)

⑤スピード感  スピード↹緻密(粗くても早い↹遅くとも正確)
入社3年以内に転職活動を始めた人たちのほとんどは、この5軸のどれかで、自分と会社が逆側にあった。

記事を図示すると上図のようになるでしょうか。 (中心当たりには多くの人がいるでしょう。左右の端の方向に行くほどその傾向は強くなりますが、そこに所属する人たちの数は少なくなります)
会社の求めるものと自分の性格傾向と一致させることは大切です。自分はどのあたりにいるのか、ちょっと立ち止まって考えてみるということは、就職という人生の大きな岐路に際しては、大切というか無理なく仕事をするための必須条件だということがよく理解できますね。
いっぽうで、何度か続けて強調しているように、外れにいくほど、生きにくいことになります。
でも、仕事の局面ではどうでしょうか?端に近づくほど生きにくいことは確かですが、新しい仕事を切り開くときには、そういう「人」が必ず見える気もします。「人」だけでなく「会社」そのものも極端さの中に新局面があるような気もします。
どちらかというと、この図でいえば右側でしょうか。
花と同日に撮った大室山の麓の雪景色です。
春隣と一転、雪景色です。
極端な生き方(価値観)ををベースにチャレンジしながら、新しい仕事を楽しんでやり遂げた後、退職後は20年も30年もあります。その時、自分で新しい生き甲斐を見つけることができたら、もちろんその人の人生はオッケー!!
でも、仕事の面では極端さが功を奏しても、日常生活面ではどうでしょうか?
このタイプの人たちの前頭葉は、皆に合わせるような働き方はしてきてないわけですから…普通、中心から外れるほど、その人は前頭葉がいろんなレベルで自分の性格の極端さを修正するものですが(協調性)、そこに価値を見出さず、数十年を過ごしてきた前頭葉。大丈夫かと気になります。
矛盾することを承知で言い足します。自らの性格傾向をがんばって中心に向けてコントロールし続けるというのも、なんだかもったいないような。
無理することなく、より自然に、自分らしく生きていく。そして同時にその生き方が周囲に受け入れられるということは可能なのでしょうか。
認知症予防は(乳)幼児からの全人的な教育にかかっている面はありますね。
もうすぐほころびます。

ブログ村

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