脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

私の前頭葉機能について考える

2024年06月21日 | 前頭葉の働き
今日は失敗話なので、先日訪れたグリーンエルダーガーデン(オープンガーデン)のショットでいい気分になってください。


2006年6月の出来事をブログから拾ってみました。ブログを書き始めてすぐのころ、ブログは18年も続けているのです。

「新幹線の車中で本を読んでいました。最近には珍しく引き込まれるように読んでいて、ふと目をあげると、なんとホームに「熱海」の文字が!
17:32着、山側の新幹線ホームから駅を横切って、海側の伊豆急線のホームまで行かなくてはなりません。17:37発です。「ソレッ」と飛び降りて一目散に改札口へ。
そこで「アッ忘れ物!」
バッグと読みかけの本とゴミ袋をつかんでいますが、椅子のポケットに入れた書類と折りたたみ傘がない!
たぶん階段を駆け上っても発車しているだろうし、朝から出かけているので早く帰りたいし、伊豆急の発車時間は迫っている。「ヨシ」と決断して、予定の行動には修正を加えずに、伊豆急ホームへ大急ぎ。
案の定、もう電車は来ています。
車中に乗り込み、おもむろに携帯を取り出し104.
「新幹線熱海駅の電話番号をお願いします」さっそく電話を掛けました。
「今の、17:33発の上りのこだまに忘れ物をしました」
「5両目の、前から4~5番目の3人掛けの座席の通路側です」
「前の座席ポケットに、書類と紺色の折りたたみ傘を忘れました」
名前と携帯番号を名乗って、待つことしばし。
「東京駅でおろしますが、東京に行かれますか?」
「遠いし、予定がないのでしばらくは行きません。着払いで送っていただけないでしょうか?」
後日¥740余分な出費がありましたが、郵送を頼んで1件落着。
トホホな出来事でしたが、ウフフに収めることができました。車中でなければ、大笑いしたことでしょう。
皆さんは「忘れ物」=「記憶力低下」と思うかもしれません。そうではなくて、どう考えても前頭葉の注意集中・分配能力の低下です。でも、
その後の処置も、前頭葉機能を発揮しているわけですから「満更でもないか」と自己満足した話です。
夫からは「そうやって、肯定ばかりしているから失敗をするんだ。反省が足りない」といわれました。
「反省する」のは前頭葉機能です。私の前頭葉はずいぶん凸凹してるようですね」



先週ショックなことがありました。
友人のところに遊びに行った帰りに起きた事件です。広い庭先に停めてあった友人の軽トラックにぶつけてしまいました。庭から出ていく丁字路がちょっと狭いので、友人が「左に切って出た方が曲がりやすいよ」といってくれました。その言葉がストンと胸に落ちて、というか落ちすぎて、つまり注意分配力が働かなくて、道までかなり距離があったのにすぐに左にハンドルを切ってしまい、わたしの左に停まっていた軽トラックに接触。軽くコツンという感じがあってブレーキを掛けました。友人が「僕のはどうでもいいけど、ちょっとこすっちゃってるよ」といってくれたのですが、あまりにも衝撃が小さかったので「たいしたことはない」と思ってそのまま自動車を進めました。

後で見てみると、左前ドアの横幅の大部分に擦り傷が!
それでもちょっとの手入れで復活できると思ったものの、帰宅する前にディラーに寄ることにしました。

運転しながら、二重のショックを感じていました。
ひとつは事故っちゃった…
もう一つの方が、はるかに重大なショックでした。
小ボケの運転の特徴はいくつかありますが、「コツンとあてた後に、『バックしてハンドルを切りなおして前進』ができずにそのまま車を進めてしまうので、コツンとあてた傷が大きな擦り傷になってしまう」というものがあるのですが、まさにそれ!



単刀直入な発言をする夫からは「遊ぶばかりでは脳は持たない」と常々いわれていますし。私の理解では私の前頭葉は年齢相応には働いていると思っているので小ボケではないのですが…やってしまったことはまさに小ボケ…
ディラーでは、きちんと自損事故の状況説明もでき、友人にも確認もしないかったお詫びと保険で直せることも説明できました。(友人の車は修理の必要はなかったそうです!)
保険の担当者にも、停まっている車に勝手にぶつけたこと、相手の車には誰も乗っていないこと、私はほとんど衝撃を感じていないくらいなので体は大丈夫なこと。「すべて私の責任です」と正しく伝えることができました。
小ボケになるとこういう説明ができないばかりか、自分勝手な言い訳に終始したり、はたまた車を置いて逃げかえるというような事態が起こったりします。

車は、当初の私の見通しがとてもとても甘く、見た目ではドアの一番前の縁がほんのちょっとくぼんでいるかなという程度ですが、なんとドアが開かない!
「ドアが開かない」という説明を受けた時、第2の心配がちょっと消えていきました。ハンドルを切りながら徐行しながら進んでいたので、最初にコツンと当たったのではなく、こすりながら進みハンドルをちょっと深く切ったらこちらはドアの縁、トラックはちょうど荷台の角のあたり。そこではじめて抵抗を感じたのだろうと思います。
こすれている感覚は本当になかったのです。事故に強いといわれている外車だからでしょうか?もう少し小さくてかわいい車に乗りたいと思っていたのですが、もうしばらくはこのままで。



左に軽トラックが停まっているということに、注意が全く分配できなかったということは、前頭葉がうまく機能しなかったということですからそこは潔く認めましょう。ただ前回から自損事故の保険をかけ始めたのも、他ならぬ前頭葉の判断(歳を考えると小さな接触事故を起こすかもしれないと思った見通しの良さ)だったと思えば、私の前頭葉は昔から今に至るまで凸凹してますねえ。

高齢者の自動車事故は前頭機能低下が原因

2024年06月11日 | エイジングライフ研究所から
高齢者による自動車事故のニュースが度々報じられています。今までブログにたびたび書いてあるように、高齢者の自動車事故の原因としては前頭葉機能低下が最も考えられるところです。突然の脳卒中発作や心臓病なども皆無ではないでしょうが、その確率よりも問題にすべきは前頭葉の機能低下です。(一番上の記事が直近で2022年。一番下の記事は2008年のものです)






最近の花を紹介します。
ブーゲンビリアの花

ブーゲンビリアの全体像

テレビの声が飛び込んできました。最近多発している高齢者による運転事故を受けての特集のようでした。羽鳥慎一モーニングショー6/11。
お話をしているのは自動車教習所の指導員歴35年の方。3万人以上に免許更新や安全教習をなさったとのことです。
おもしろいほど、小ボケの人たち(前頭葉機能には支障が起きているが、世の中で一般的に行われる認知検査には合格する脳機能レベルの人たち)が運転するときの特徴を言い当てています。
高齢者の免許更新については、警察庁のHPの中に解説図があります。

75歳以上の高齢者の免許更新については、この改正された制度で自分が受けてみて感じたことを書いてあります。
免許更新時の認知機能検査(75歳以上)の問題点
ここに書いたように検査そのものが的外れであるうえに、実に簡単にクリアできるような採点方法になっています。さらに上図をよく見るとわかるように、この検査はできるだけ合格させる方向で組み立てられています。この簡単すぎる認知機能検査で「認知症のおそれあり」に該当した高齢者でも医師によって「認知症でない」とされたら、免許更新の道は残っています。
最近の高齢者の事故では「認知機能検査には合格していた」と付け加えられることが多いですよね。検査そのものが安全運転の基準を満たしていないということでしょう!
(続)高齢者の危険運転の後半を読んでください。今のように完成された認知症だけを認知症と診断していたら、そのドクターが糾弾されることになる可能性があります。このアプローチも大切かもわかりません。
ベニガクアジサイ

実車指導、運転適性検査、講義の三本立てで免許更新はできるのですが、一番免許更新の可否にかかわりそうなのは実車指導ですね。実車「指導」であって、車を運転させてその人の運転能力の合否を決めるわけではなく、ただ乗るだけ…つまりどんな運転をしても全員合格です。
テマリテマリ

この実車指導時のエピソードがおもしろい。(実車指導時は指導員のかたと免許更新希望者は複数名乗ります)
一時停止を無視。
「しっかりと待ってください」と指導。
「あそこで停まっても周りが見えず、停止線の位置がおかしい」

左折時、対向車線に出る。
小回りするように注意。
「いつもの車と違うからうまくできないだけ」

同時乗車している免許更新希望者の実車指導後
「運転が怖かった。カーブのスピードが速すぎ。交差点でふらつく。一時停止無視」などと正しい感想を言う。
自身も同様の運転をするので指摘する。
他人事。
ウズ

もう一つのエピソードは認知機能検査の時のことでした。
テスト実施について解説するときに、適切なタイミングでうなづきながら聞いているので理解していると思って、開始の合図をすると
きょとんとして「何をするんですか」という。
この指導員の方が感じる「これはなにが起きてるのか!」という違和感がとてももよく伝わってきました。
名前不明の色が魅力的なアジサイ

小ボケの方の家族が、症状を説明するときに
「何かしゃべるとおかしくない。それどころかもっともだというようなことも言えるんです。でも…やってることはどこか前のおじいさんorおばあさんと違うというか、前ならしなかったようなことをしたり、絶対するはずのことをしなかったり…」といいながら、同時に「この違和感はわかってもらえなさそう」というアピールを感じることはよくあります。
そのようなときには、日常生活の具体的なシーンのことを聞きます。
着衣、食事(作法も炊事も)、入浴、トイレ、掃除、片付け…その時「車の運転で最近気がかりなことはありませんか?」と質問すると、家族はとても具体的に訴え始めるのです。
車を運転するには、前頭葉機能のうち、最も早期に低下し始める注意集中・分配力が必須です。家族にはその変化がわかりやすいのでしょう。
多肉植物(紅輝殿?)の花

「流れに乗れなくて、マイペースで走るのでスピードが遅すぎて怖い」
「慣れた道なのに、どこを走っているのか、わからなくなってる時がある」
「ブレーキをかけるタイミングが変わって危ない思いをよくする」
「フラッシャーが遅い」
「左や右に寄りすぎる」
「半ドアのことが多い」
「駐車場で車をたびたび探す」
「ぶつけた時に、ブレーキをかけた後にそのまま進んで傷を大きくしてしまう」
「自宅の駐車場でたびたびぶつける」
「事故を起こしたときに対応ができない」
ヒペリカムの花と実




先の指導員の方は続けて
「免許更新の時ぎりぎりで合格している。運転技術が危うい高齢者がいる」というふうに言われました。そういう高齢者もいるし、指導員として厳しくみても合格!といえる高齢者もいるということですよね。もちろんその間も。
ぎりぎり合格者のぎりぎりを生み出すものが前頭葉機能がうまく機能していない結果だとは思われてないような。それこそが認知症の早期状態とは思われてないような。
世の中の趨勢というか権威ある方々はこのレベルを認知症の始まりと思っていないのですから、致し方ないのかもしれません。でも、ここまで気が付いているのですからかなり残念なことだと思いました。



変形性膝関節炎と膝蓋前滑液包炎(女中膝!)再掲

2024年06月03日 | エイジングライフ研究所から
友人と話していて、テーマが変形性膝関節炎になりました。高齢者によくみられるものではありますが、膝の不調をすべて変形性膝関節炎にすべきではないと、8年前に体験したことを話しました。彼女の勧めもあって再掲することにしました。

昨日珍しく虹を見ました。Googleフォトの「編集」に標準的についている機能だけを使って編集しました。色彩補正、切り抜き、消しゴムマジック、3D変換。ちょっと不思議な写真になりました。


変形性膝関節炎と膝蓋前滑液包炎(女中膝!)
初掲載2016年4月18日
1か月くらい前、右膝をついたとき一瞬、膝に痛みが走りました。表面的には何の変化もないようですし、どこが痛いか押してみてもよくわかりません。
膝をついたときでも痛い時もあれば全く痛くない時もある程度です。それ以上に歩くことに何の支障もありません。坂でも階段でも平気ですし、スピードも落ちていません。もちろん歩き始めに問題があるわけでもありません。そうそう、正座も問題なくできます。
たいしたことはないと思ってましたが、もし何かが入り込んでいたら早めに取り除いた方がいいと思って受診しました。ちょうどガラスの破片でも入っているかのようなチクっとした痛みでしたから。
(庭のハナミズキの様子を見てください)

「膝をついたとき、チクっと痛い時があるのですが、そのほか日常生活では何の問題もありません」と症状を説明します。
内科・外科を看板に掲げているドクターは「ああ、それは変形性関節炎と言ってね、まあ齢をとるとねえ…」とちょっと笑いながら言われました。
私は、高齢者外来(早期痴呆相談窓口)で働いていた時に、膝に支障があるおばあさんにたくさんお会いしましたので、病名も承知していましたし症状もよく知っている方だと思います。(不思議なほど女性に多かったと思います)
「歩き始めや階段昇降に支障があり、正座ができない」とよく訴えられました。上に書いたように私にはその症状は全くありませんしたが、「え~!」とちょっとショックを受けながらも「元気に過ごしているようでも、私も齢なんだ。それにしても変形性膝関節炎とは…」と、とても素直にドクターの説明を聞きました。

なぜ、「普通の変形性膝関節炎の症状がない」ということをもう一度訴えなかったかと後で思ったのですが、私の知らない「跪いたときに痛みが走るタイプの変形性膝関節炎がある」と思い込んだのです。
しばらく周りの人たちに「私、変形性膝関節炎なんだって!齢をとるとこんなに急に来るものなのね」と言い回り、逆に「あら、私も膝が痛いことはよくあるわ」とか「痛くてもそのうち痛くなくなることもあるのよ」など、皆さんが結構膝の痛みを持っていることもわかってきました。

でも、ある時「歩き始めや階段昇降に支障がなく、いくらでも歩け、正座もできる変形性関節炎はあるのだろうか」と疑問が起きてきました。
困った時のネット検索。ネットは玉石混交だからすべて信じることはできません。
でも「膝をついたときに痛みが走る」と検索したら、同じ症状を訴えている人がいるのです。
しかも10代20代、そして中年層の人も。
痛みの表現が「思わずウッと言ってしまうような痛み」とか「息が詰まってしまうくらいの痛み」とか「針を刺し込むような痛み」とか「激痛」などいかにも痛そうで、私の痛みもこのくらい痛いといってもいいのかと妙に感動しました。そして、ほとんどの人は、日常生活には支障がないことを書き足しています。私と同じ症状です。

素人の私から見てもはっきり的外れと思われる回答も多かったのですが、1.オスグッド成長痛というもの(若いか、若い時にり患していた場合)2.半月板損傷などはそれなりの解説と思われましたが、私には当てはまりません。
自分の体験を、善意でしょうが無責任に回答していることもあり、いかにもドクターの回答の場合は受診を勧める回答になり、私と同じ症状があることはよくわかりましたが、病名は納得できるものがなかなかヒットしません。
いくつも見ていくと「女中膝」という説明を見つけました。
「これだ!」膝をつく動作をし過ぎたために、跪いたときに痛みが出るというもので、私は使い過ぎた実感はありませんでしたが、症状の説明としては一番納得できる解説でした。

「女中膝」を検索して「膝蓋前滑液包炎(しつがいぜん かつえきほう  えん)」という病名にようやく行きつきました。
細菌による感染症でない場合は保存的。よほど水がたまったりした場合は水を抜く。積極的な治療はしない。対処は膝をつかないようにすること。
ちょうどそのころ、おもしろい新聞記事に目が留まりました。
走ることを習慣としている医師・歯科医師の全国組織「日医ジョガーズ」代表理事の小嵐正治さんの言葉です。「日医ジョガーズ」のことは、マラソン大会のときに伴走して参加者の心臓発作に備えて下さっていることで知っていました。
以下は記事(日経新聞ですが日付不明)から。
「かかとが痛んだときは、かかとを浮かせて走っていた。人間の体はよくできていて、どうやら自力で治るようになっている。治療とはどの程度、必要なものなんだろうと思ってしまう」
小嵐先生は整形外科医…
私も自分の自然治癒力を信じましょう。と、とってもいい気分になりました。

それで約1か月たった現在ですが、たぶん改善はしていると思います。ただ膝は付かないように気を付けていますから、痛みがないかどうかまではわかりません。
とても個人的なこのテーマでブログを書いたのは、変形性膝関節症は「歩き始めや階段昇降に支障があり、正座ができない」ということと、「そのすべてに問題がないのに膝をつくと激痛が襲う」膝蓋前滑液包炎のことをお知らせしたかったのです。
開業医ですら、その差を考慮してくれない場合があるということもお伝えしたかったことですが。
この体験から、ひとつお話ししたいことがあります。ACジャパンがテレビで流している「認知症」のCMの件です。以下続く。
以前に書いたこの記事のことも思い出しました。
(椎間板ヘルニア≠慢性腰痛の原因)=(多発性脳梗塞≠認知症の原因)

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