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脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

4月の右脳訓練-蓮華寺池公園・磐田つつじ公園

2025年04月29日 | 私の右脳ライフ
伊豆に来る前は磐田市に住んでいました。子ども達は小学校から高校まで磐田で育ったので、子どもたちにとっては間違いなく磐田が故郷だと思います。
その磐田にどうしても帰る用事ができて、片道3時間半のドライブを決行。夫が心配するので友人が同行してくれることになり思いがけず小さな楽しい旅になりました。
途中の休息を兼ねて、フジで有名な藤枝市の蓮華寺池公園へ。

「少し早かったかも…でも花は蕾よね〜」と言いながら遊歩道を巡ります。
とても写真では伝えられませんが、フジだけを使って整えられた庭園を上から見下ろします。色がうまく出てなくて残念です。






盆梅ならぬ盆藤!





池を横切るように鯉のぼりが泳いで季節感たっぷりです。

藤育会のコーナーで珍しいフジを発見。八重!色も見たことのない濃い色!「八重黒龍」という名前でしたq



公園入口の睡蓮池にアオサギが門番のようにいました。帰る時も同じところにいたのです。





磐田つつじ公園は、県下でも有数のツツジの名所で、子供たちは何度もツツジ公園の写生大会に行ったものです。懐かしい写真でも送ってやられたらと思って期待しながら行きました。
なんと!





大きくなりすぎた株を強く剪定して、若返りを図っている最中でした。
藤棚は綺麗でしたが…

気を取り直して、隣接している見付天神社へ。
はだか祭りと言われる秋祭りには、子ども達も参加したのです。腰蓑をつけた姿が目に浮かびます。
なかなか立派な神社です。

本堂左右に牛の像が。
菅原道真が祀られているのですが、道真が丑の年、丑の日に生まれたことにちなんでいるというようなことは全然知りませんでした。



東海道五十三次の28番目の見附宿が現在の磐田市へと発展したのです。
宿場町としては浜松宿よりも大きなものであったと磐田に越してばかりの時に教えられました。学制交付の1年後明治6年に開校した見付学校は、当初お寺を仮校舎として開校したそうですが、それでは寺子屋と変わりないということで、すぐに宿場の町人衆がその財力を使って当時では珍しかった凝西洋建築の「5階建て」と呼ばれる立派な建物を建てました。それが明治8年!開智学校の開校は明治9年ですから、見附宿の隆盛ぶりと先見の明を持つ人々には脱帽です。
いくつかの変遷の後、長男が磐田に引っ越して最初に通った磐田北小学校になるのです。
磐田市に伝わるしっぺい太郎伝説から生まれた磐田市のイメージキャラクター「しっぺい」

磐田市イメージキャラクター「しっぺい」

磐田市公式ウェブサイト

磐田市公式ウェブサイト

 
つつじ公園で見つけました。

子供たちが生活していた頃にはなかったはずですが、新しいシンボルを見れば喜びが湧いてくると思いますので、スモールプレゼント。
故郷は新旧含めて何もかも心を温かくしてくれました…




4月の右脳訓練ーラムセス大王展

2025年04月28日 | 私の右脳ライフ
ラムセス大王展が開催されるというニュースに接した時「行かなくては!」と思いました。

エジプト古代文明にも興味がありますが、もっと切羽詰まった気持ちが湧き上がってきたからです。
大学時代の友人、というよりも、K子さんは高校時代に1年間アメリカ留学したために1歳年上で、2021年に亡くなるまで50年以上もほとんど姉妹のようなお付き合いをしました。
K子さんから誘われてエジプトに行ったのは2011年。そうです。チュニジアから始まった「アラブの春」その「エジプト革命」の始まりに遭遇してしまったのです。私たちの次の飛行機はカイロ空港から出られずそのまま帰国。私たちの帰国便が最後の直通便。というと緊迫した旅のようですが、最初に国内便で南下してアブシンベル神殿からナイル川クルーズでカイロに向かうという旅程だったために、前半はのどかな旅を楽しみルクソールまで下ったら下船できない状態になっていた!
でも、半日様子を見た後自己責任ということで王家の谷もルクソール宮殿も見学できました。
カイロ行き国内線を待つルクソールの四つ星ホテルの朝ごはん。

ラムセス大王展に行くことは、K子さんとの時間をもう一度感じられることになるに違いない…
展覧会に来ている他の人たちとは、ちょっと違う目的を持って豊洲へ。豊洲は思いがけず桜が満開でした。(4/8)

紀元前13世紀に作られたという途方もない時間が、信じられないような良好な保存状態の展示品が用意されていました。
最初の展示はラムセス2世の頭部。

ツタンカーメンを持ち出すまでもなく、マスクはエジプト古代文明を代表するものですね。
ラムセス大王の後継者に仕えた将軍のマスク。金の延べ板製!

ラムセス2世の後継者メルエンプタハ。

ラムセス2世より200年後。木製に金箔でカバー。



額のコブラの飾りは王の象徴ということを知りました。
アブシンベル神殿…左部分は本当はとてもとても大きな石像でした。





見事なアクセサリーの数々。これらのアクセサリーから当時の女性の立場など社会学的な考察もありました。












ラムセス2世を讃えるオベリスク。






石材に書かれた「カデシュの戦い」本当にあったのですね!
こんなに綺麗なタイル

スフィンクス。

ミイラを納める外箱も目にするものですね。
これはピネジェム1世とその王妃のものです。

ラムセス2世の棺。杉製の外箱。これが最後の展示でした。


展示場外にはVRコーナーが用意されていてアブシンベル宮殿の中に入っていく経験を楽しみました。
一つ前にはラムセス2世のコンピュータ処理の30歳と80歳の顔写真が。

スマートフォンにアプリを入れて解説を聞くシステムや復元映像など用意されていて、ネットを使ったさまざまな工夫がこらされていました。
もちろんK子さんとの濃密な時間が何度も立ち昇ってきました。
ナイル川クルーズの時、川を渡る風を浴びながら太極拳を教えてもらったのです…



令和7年の伊豆桜便り

2025年04月26日 | 私の右脳ライフ
年齢を重ねるごとに、花を待つ気持ちも花を惜しむ気持ちも確かに深まるものですね…来年は愛でられるだろうかという思いだってよぎります。
全般的に遅かった令和7年の伊豆桜便りは、私の覚え書き…お付き合いください。

伊東小室桜発見者の荻原さんに教えていただいた伊東市で一番立派なカワヅザクラ(3/2写)

河津町のカワヅサクラは3週間くらい遅れたようでした。
2月15日。河津川ではほとんど咲いておらず「禅の湯」で見つけた今年初めてのカワヅサクラ。
初島で発見したのは、多分自生かと。(2/17写)

我が家のカワヅザクラ。ほころんだのを夜になって発見しました。(2/17写)

(2/23写)

よく咲き続けてくれました。(3/25写)

カワヅザクラが終わるとオオカンザクラの出番です。伊豆高原駅の周りには数百本植えられているようで、カワヅザクラの濃いピンクから優しい薄桃色を目にすると、日本の春が実感されます。(3/7写)

オオカンザクラとだいたい同じ時に同じ色で咲くジョウガサキザクラ。富戸港に続く海岸線に桜並木が続いています。


ジョウガサキザクラとオオカンザクラの違いは簡単でジョウガサキザクラの花の方が大きいのです!

ソメイヨシノは居間からのショットに代表させましょう。

手前は稚木桜(ワカキサクラ)一緒に咲いています。

この桜並木に唯一緑色の桜花と言われる御衣黄(ギョイコウ)が2本あるので、開花を毎年楽しみしています。(4/12写)
2週間も経てば、花全体がピンクになって葉の影から花びらを散らすので、ほとんどヤエザクラと思われてしまいます。





近所に京都大徳寺の聚光院伊東別院があります。そこに「莫眼花(バクガンカ)」と名付けられた一重から八重になるところの桜があります。「今年は遅れたかも」とハラハラしながら行ったのが4/15。
残念ながら、もう終わり。でも行ってよかった!
樹高が高くなって立派な桜に成長していました。

きっと健康と判断されたのでしょう。3ヶ所、取木が試みられていました。

可憐なお花を今年も見つけることができました。


伊豆に住むとオオシマザクラはとても身近ですが、全国的には伊豆大島、伊豆半島、房総半島、三浦半島に限局的にみられるものです。とにかく海岸近くというのが生育条件なのです。ちょっと敬意を表しましょう。
近所にそびえる立派なオオシマザクラ(4/15写)

川奈ホテル(4/7写)

初島(3/27写)

オオシマザクラは、生育条件が整わなくても成長が早く、また突然変異がよく起きるために園芸種の親になったこと。この白い花からピンクの八重まで生まれたこと。早咲き種も遅咲き種もあること。葉は塩漬け桜葉になること…
桜に溢れる伊豆にいると、桜雑学を学ぶ機会が多いですね。

「アマギコメザクラを見に行きましょう」と横浜の友人を誘いました。
まず伊東市の松川湖に行って、伊豆半島を横切り戸田で深海魚を食べるミニツアーを4/5に企画。
松川湖でいつもと別の駐車場に車を停めてびっくりしました。松川湖といえば、桜広場に人工的に植栽された桜の印象が強かったのですが、なんと自生の桜も目近にあって、当然花が小さいアマギコメザクラ。
マイベストの桜の風景は遠山桜。花が開いたら驚くほどの桜が山を装います。花は白からピンクまで、葉の色も種々様々なので実にバリエーションに富んだ春景色です。その遠山桜を遠景に目の前にアマギコメザクラの大木が迎えてくれたのです。


達磨山展望台では富士山が隠れていました。残念な気持ちを抑えて、とにかく半島を横断して西伊豆戸田へ。途中の道の両側には、種々のアマギコメザクラが圧巻の景色を繰り広げてくれました。自生アマギコメザクラの名所と言われる仁科峠よりも圧巻の景色を堪能したドライブでした。




フォッサマグナに沿った地域では、生育環境が悪いためにヤマザクラが大きくなりきれずにいわゆるマメザクラとなっていると、中伊豆グリーンポケットの鈴木さんが教えてくださいました。フジザクラの自生地もコメザクラの自生地も確かにフォッサマグナと重なります。日本海側にもあるのですって!


アマギコメザクラ満開の峠を下って、戸田の食堂で駿河湾特産のアカエビのかき揚げをいただきました。
ちなみにグリーンポケットの鈴木さんの解説によると、このエビが富山の海では寒さのために色づかず、富山湾名産白エビと言われることになるのだとか。

食堂の方に諸口神社にお参りするように言われて、御浜岬に回ってみました。

海際に鳥居がありました。つまり海から参拝するのですね。御祭神はもろき姫さま。航海と漁業者の守護神ということでした。

桜便りのはずが、最後は駿河湾の向こうに富士を望む、まさに伊豆半島西側を代表する景色になってしまいました。











遅ればせですが、3月の右脳訓練

2025年04月24日 | 私の右脳ライフ
3月も、楽しい時間をたくさん持ちました。2025年3月右脳訓練としてアップしておきます。
「うわ〜すごい」「なんて楽しい」「とにかく驚いた」というような心が湧き立つような時を過ごした時には、右脳が活性化されています。
3月の出来事で特筆すべきなのは、友人の退職記念と夫の誕生日の先祝いで訪れた久しぶりの初島。
明け方にかなり強く雨が降って、今日の予定はどうしたものかと思っていたところ、気づいた時には、海から立ち上った虹がちょっと離れたヨットハーバーに吸い込まれて、それは見事な半円形でした。考えたらこれほど綺麗な半円形に出会ったのは初めてです!その上よく見るとダブルレインボー。

そして色。
❤️🧡💛💚🩵💙💜 
赤橙黄緑青藍紫
虹の七色と言いますが、世界的には一貫していないようです。この虹にはたくさんの色を感じることができました。

歓声を上げながらスペクタクルショーに魅入っているうち、20分足らずで驟雨に霞んでいた空が明るくなるともう一つの見せ場が展開されました。

静岡県に住んでいますから富士山を見ることは多いのですが、いつ見ても気が引き締まるような心持ちになりますね。
前夜のイルミネーション。



初島散歩
マティスの絵のようです。

さすがにオオシマサクラがたくさんありました。

黄色ポスト

ハッピーバースディ。

3月の東京行きも充実していました。
念願だった角川武蔵野ミュージアムにとうとう行けました。

角川武蔵野ミュージアム

アート・博物・本の複合文化ミュージアム 角川武蔵野ミュージアム

角川武蔵野ミュージアム

 
隈研吾設計ですが、石造です。



この本棚が見たかった。



荒俣コレクション

漫画を自由に読める空間が用意されています。

「Re:0から始める異世界生活 レム浮世絵等身大フィギュア」よくわかりませんが、重さ60kg。320万円には驚きました。数字の理解は左脳で行います。左脳刺激の方がシンプルですね。


この上京の時には、歌舞伎にも行きました。急に時間があることになってネット検索したら、花道のすぐ横の席が一席空いていました。と言っても花道のすぐ左側「花外(通称ドブ席)」前から5列目という良い席です。5列6番、即ポチリ。ここ3〜4年時間があると歌舞伎を楽しんでいます。
7月に團十郎の「星合世十三團」

7月の右脳訓練③-七月大歌舞伎 - 脳機能からみた認知症

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9月は成駒屋三兄弟の「双蝶々曲輪日記」

夏の挑戦③ー負うた子と遊ぶ - 脳機能からみた認知症

北九州市の戸畑高校天籟同窓会関東支部の会長をした時に、本部同窓会事務局をやってくださっていてお近づきになったT田T子さんとは21歳の歳の差を物ともせず、ずっと付き合...

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12月は獅童と菊之助の「あらしのよるに」

伝統芸能にハマっています② - 脳機能からみた認知症

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と立て続けに歌舞伎を見ています。切符の取り方も慣れてきて、どういう席か事前に掴めるようになってきました。
今回の席の場所ならば、見得を切ったり立ち止まった演技もあるので、汗も見えるし、足の裏も見えます。着物の生地や柄もよくわかります。面白い席だと思いました。一昨年は「花外」9列6番でも見たことがありますが、この4列の差にはとても大きいものがありました。

花道の飾りのすぐ横でした。

舞台までも距離が短いでしょう?

前から気になっていた木挽町の白金のいなり寿司を持ち込んで一人ランチ。

いなり寿司屋さんの包装紙のモダンなこと。

正面入り口。

絵看板。


歌舞伎座体験を積むたびに、役者さんの芝居も音曲も舞台もより楽しめている自分を発見します。
体験を重ねることは、人生が深まってくることでもありますね。

稲取の吊るし雛会館、今シーズンも終わり近くなって、初めてという東京の友人をお連れしました。
第一声は「まあ!」彼女の右脳訓練にもなったとうれしく思いました。





素戔嗚神社の階段飾りもみました。


特筆すべきことがもう一つ。
結婚55年でした。私たちは格別何もお祝いをしないつもりでしたが、長男夫婦からお祝いが届いてしまいました!ありがとうございます。

スマートウオッチをiPhoneとペアリングするのに使ったのは右脳ではなかったかも。

「ちょっと色が違いますが、エメラルドのつもりで使ってください」
早速使っていますよ。何にでも会うとても使い勝手の良いお皿です。

結婚して55年。55年という数字からくる圧倒的な時間経過に驚くのは当たり前ですが、その55年の歳月の間に満ち満ちている体験の積み重ねを思う時に「よく、生きてきたなあ」と思えることに感動しました。











トランプ大統領の「全問正解だった」認知テスト

2025年04月17日 | エイジングライフ研究所から
心待ちにしていた散歩道の御衣黄(ギョイコウ)桜が咲きそろいました。(4/12)





2025年4月14日付産経新聞の記事に目が止まりました。
「トランプ氏 健康診断、認知テストも」と「バイデン氏とは違う」というふたつの見出しの記事でした。
定期健康診断を受診した際、認知テストも受けたことと、トランプ氏の「全問正解だった」「バイデンとは少し違った存在になりたかった」という発言を紹介していました。
さて認知テストは何を受けたのだろうという疑問がわいてきました。
アメリカで一番よく使われている認知テストはMMSEといわれています。
このことはチャットGPTに質問して教えてもらいました。

これは予測通りですが、もしMMSEを受験したのだとしたら、先週アップした
母が小ボケになりました…その時娘は で解説したように、MMSEで合格しても(たとえ満点であっても)前頭葉機能が不合格の人たちがいるのですから、MMSE満点という主張には認知機能が万全であるという意味はないということになります。

つまり、脳の後半領域が発揮する機能を高次機能と呼び認知検査で計測することがごく普通に行われていますが、それは脳のおでこのところにある前頭葉機能を見落としているのです。
脳の後半領域の機能を高次機能というのなら、前頭葉機能は最高次機能とでも言わなければ実態にそぐいません。
チンパンジーの実験を考えてみてください。チンパンジーで種々実験していることが完璧にでき、その能力に何の問題がないとしても大統領の職務は遂行できるでしょうか?大統領とまで言わなくても小学生のレベルにも到達できていないでしょう。つまり前頭葉機能の動物実験は論外。
前頭葉機能は脳の司令塔といわれ、その人らしさの中核をなす機能です。人が社会生活をこなすうえでなくてはならない機能は、前頭葉に依るのです。

さて、トランプ大統領が受けた認知テストも検索したら出てきました。最近の「検索」は有能でびっくりさせられることもしばしばですが、正確かどうかわからないという不安があります。いくつか方法を変えて「検索」してみましたので多分大丈夫だろうと思います。
Mo-CA(モントリオール認知検査)

Mo-CAはMCI(軽度認知障害)を検出するための検査法ですから、MMSEとは少し違う設問が並んでいます。



単に認知機能をチェックしていると思われる項目もあれば、いわゆる実行機能(これも前頭葉機能ではありますが)を見ようとする項目もあります。
単純な言語能力を見たり、類推能力を見たりします。26点以上が正常という判定ですが、脳機能を混ぜこぜにして測ってしまっているので、1点の重みが全然違います。物品の命名と抽象思考が同じ点数ということは考えられません。
不備はあっても、認知症の超早期には従来の検査では間に合わないということがわかってきているということに思いが至って一段階の進歩だなあとちょっと感無量…
エイジングライフ研究所のニ段階方式は、まず前頭葉機能(しかも生活していく上で不可欠の注意集中力・注意分配力)を測り、次に認知機能の状態を測ります。こうすることによって認知症の超早期発見も可能になり、重症度をクリアに見ることもできるので、簡便ですが実に有効な検査です。
松川湖の八重桜(4/16)



トランプ大統領は認知テストを受けて満点だったと誇らしげですが、実は「Mo-CAが計測できる脳機能は満点」ということにしか過ぎません。
私たちが日々行っている生活は、脳機能の働きの結果です。
豊かで柔軟な前頭葉があれば、それに呼応した生活(特に社会生活)が繰り広げられます。
生活を見ることで、前頭葉が生き生きしているかどうかはわかるものです。
老化が加速されてない状態で、行動が理解できなかったら、それはその人の人柄のせいということです。十人十色と言われるパーソナリティの差は、前頭葉の差そのものに起因しています。
「トランプ大統領が認知テストで満点だった」という新聞記事からいろいろ飛躍しました。






さくらの下で「ゲミュートローゼ」を考える(再掲)

2025年04月12日 | エイジングライフ研究所から
ひとつ前のブログ「『認知症』という診断」にコメントをくださった方がいます。
たくさんの思いを書いてくださって、私からもお返事を差し上げようと思っていましたが、コメントが行方不明になってしまいました。本当に申し訳ありません。
私の来し方を知っていただくことで、私の認知症に関する立場もわかっていただけると思いますので、以前書いたブログを再掲させていただきます。
ちょうど2年前桜の季節に書いた記事なので、桜もお楽しみください。

今年も桜を堪能しました。
圧巻は、今年初めて出会った三島市玉澤霊園の山桜。樹齢400年ですって。

我が家の稚木の桜(わかきのさくら)2年生でもう花をつけるという、牧野富太郎博士が最も好んだ可憐な一重の山桜です。

伊豆は暖かいので、色鮮やかな寒緋桜も時々目にします。

すごい…

伊豆市、法泉寺の枝垂れ桜。ひっそりと山を背景にたたずんでいました。ここも初見です。

見る人もなく…見事に咲いてくれていました。

聚光院伊東別院に咲く莫眼花(ばくがんか)。禅語で「眼花することなかれ」と読み下し「眼病の時に花でないものを花と見間違うように、真実の花でないものを花と見てはいけない。心を平安に落ち着かせているとそういうことは起きない」というような意味らしいです。

桜守佐野藤右衛門さんが発見し、命名した突然変異の桜です。一重から八重に向かう一番最初の段階がよくわかります。現時点では世界に一本といわれているようです。

この角度はどうでしょうか?ちょっと大ぶりな花でした。蕾ははっきりとピンク色ですが咲くとほとんど白い花になります。考えたらこの桜も始めてみました。アンテナを立てておくと、情報は飛び込んできてくれるものですね。

ところで「ゲミュートローゼ」です。
高校のクラスメートからのメールでこの言葉を発見した時が初対面。プーチンのウクライナ侵攻に絡んで書かれていたので、精神的な疾患を意味しているだろうとは思いました。
じつは私、去年、心理領域初の国家資格公認心理師試験に合格したんです。
近況報告ー公認心理師試験に挑戦
一応、「心理職」と名乗れるのですが、全くこの言葉を知りませんでした!
困ったときの検索頼み。
「「ゲミュート」とは、思いやり、同情、良心などを意味するドイツ語である。 このような高等感情を持たない人を、ドイツの精神科医クルト・シュナイダーは「ゲミュートローゼ」と名づけたわけで、「情性欠如者」と訳される」
シュナイダーは、統合失調症の症状をあげたり精神病の診断に寄与した人で、精神病質の10類型もシュナイダーが言い始めたらしいです。この辺りは確かに勉強したような気もしますが「ゲミュートローゼ」とは書いてなかった…没年が1967年なのでかなり前の方です。つまりずいぶん以前からこういうくくり方はあったということですね。

熱海なぎさ公園の大寒桜。花の間に熱海城が見えました。

私のキャリアは、精神科で心理担当として勤務したところからスタートしました。大学では臨床心理は全くやっていませんでしたから、診察室で出会う患者さんの話に耳を傾けるとびっくりすることの連続。考えたらとんでもない心理担当者だった…と赤面しながら反省しています。
統合失調症の方の話を一生懸命聞いていくと、どこかのところから「わかりません」と音をあげたくなる。うつ病の方には励ましたくなる。そう状態の方に対応すると言い聞かせたくなる。全部やってはいけないことですから、ひたすら忍耐の日々でした。神経症の方の訴えはこちらも苦しくなる。場面緘黙や不登校や家庭内暴力の子どもたち。それまでに人生で全く体験がなかったことの連続で、仕事をそこから始められたことは、ほんとうにラッキーだったと思います。患者さんたちの話を聞いたり、投影法を主とする心理テストをやったり。箱庭療法もしました。
精神科で働いていたときには、症状を丸ごと理解しようとする、それは目の前の人が感じていることをそのままに受け入れることでもあるのですが、その気持ちは間違いなくあるのですが、本当に難しいことでした。
河津桜に似ていますが、これは伊東小室桜。伊東市にしかありません。オオシマサクラとカンヒサクラの自然交配種だそうです。

その後、ドクターの転出があって脳外科で働くことになりました。病気やけがで脳に障害が起きた時に、治療前後の機能の比較、または後遺症として受け入れざるを得ない症状の説明、またその経過観察のために行われる神経心理テストの担当になりました。
一番最初に、脳外科のドクターから言われた言葉にはショックを受けました。
「脳が壊れると、できないことが起きてくる。それはどうしようもないことだから、できないことをよく見なさい。そしてそれをちゃんと説明してあげることが大切。あいまいな希望を持たせることは慎むべきなんだ」
きっと、「そんなぁ!」という顔をしていたのでしょう。
「脳が壊れると、どうしてもできないことはできないんだよ。脳が壊れて手足にマヒが残ってしまった人をどう励ましても、本人がどう頑張っても重い不全マヒの時は動かない。軽ければリハビリで改善できるけども、元通りというわけにはいかない」こんこんとそうおっしゃったドクターの声やたたずまいは、40年近くたっている今でも鮮やかによみがえります。あの時、ドクターはご自分の無力感も伝えてくださったのだと思います。
脳外科での勤務を続けるうちに、「全くその通り。壊れてしまった脳は以前と同じようには機能しない」と私も納得できました。
運動領域は壊れた部分にぴったり一致する運動障害が出てきます。左脳が壊れた人、右脳が壊れた人。そして、当時も現在になってもまだまだ理解されているとは思えない前頭葉に障害が残った人達が、特有の後遺症を示して、その働きを教えてくれました。

我が家で咲く河津桜

そして次の段階になりました。精神科で出会った方たちの症状は、脳の機能不全の面もあるのではないかと感じるようになったのです。症状を脳の機能障害と断じることには、感覚的な抵抗があることは、私にもよくわかります。困った症状に何らかの意味づけをして「全体的に理解してあげる」方が優しいような気がしますよね。
症状を脳の機能障害と考えるというのは、対人関係に問題がある人は、成育歴や現在の環境の影響以前に、対人的な情報を処理する脳の分野に問題があるのかもしれない。と推理するというようなことです。もう少し具体的に書いてみましょう。
例えば重度の認知症になると見当識の障害が起きてきます。今がいつなのかわからない。ここがどこなのかわからない。この人が誰なのかわからない。
夜中に騒ぐ。徘徊する。それに意味づけをして、その行動を理解しようとする立場があります。いっぽうで脳機能から見ると見当識をつかさどっている領域が機能できていない(だから夜中に騒いだり、徘徊したりすることには意味はない)と考えるのです。
どちらが優しいというか、その人に寄り添っていることになるのか考えてみてください。もう一例あげてみます。
脳卒中の後遺症で歩けない人に向かって「なぜ歩けないんでしょうねえ。過去の何かが影響しているかもしれません。考え方を少し変えてみることはできませんか?」ということと、「命はとりとめたのですが、脳の病気のために残念ながら後遺症が残りました」そして「立てません。車いすを使います。歩行器を使います。装具を付けてリハビリします。杖を使います」ということと、どちらがよりその人の生活のために役立つでしょうか?

伊豆最福寺しだれ。日本で4例目の八重枝垂れ桜。

私の今の仕事は、認知症の早期発見や回復を図ること、それ以前に認知症にならない生活指導をすることです。
カギは、脳機能特に前頭葉機能なのですが、「ゲミュートローゼ」という知らない言葉に出会ったことで、何十年も昔のことを思い出してしまいました。
フロク。
ゲミュートローゼを脳機能から考えると、第一段階としてはやはり右脳の情報をキャッチする能力に欠けた状況を考えないといけないでしょう。生まれつきの問題もあるかもしれませんが、右脳を育てる過程で育てそこなってしまったことも考えないといけないでしょう。母子関係をベースにした感情的な交流が皆無だとしたら、感情を獲得することができませんから。
またわざわざ「思いやり、同情、良心などの高等感情」という表現は「前頭葉機能」そのものを指していると思われます。育っていく間に、種々の体験や決断をし、それを両親や先生や友人たちから評価されて、自分なりの前頭葉の色を付けていきます。そして最終的には「自分で自分の行動を計画し、実践し、評価しながら自己を確立していく」のが人が生きていく道です。
右脳と同様に、生得的に何かが欠落しているのか、一般的な成長過程を体験できなかったのか。いずれにしても前頭葉機能に欠落があるとしか思えません。
伊豆高原桜のトンネル。この日は海が見えていました。




母が小ボケになりました…その時娘は。

2025年04月11日 | 正常から認知症への移り変わり
エイジングライフ研究所は認知症を「脳機能」という物差しを持って理解します。じゃあ他ではどういうふうに認知症を理解するかというと、それは「症状」です。「症状」で判断すると重症化すればするほど、その判断は(診断も)確実になりますが、早期発見には程遠いことになります。
お断りですが、ここでは認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症について話していきます。
わが家の稚木桜(ワカキノサクラ)

エイジングライフ研究所では脳機能の物差を当てて認知症を軽度認知症(小ボケ)・中等度認知症(中ボケ)・重度認知症(大ボケ)の三段階に分類します。世の中で「認知症」と思われているのは、残念ながらここでいう重度認知症レベルです。大ボケの「前段階」と言ってもたかだか中ボケ下限にしかならないことはお分かりですよね?
認知症の発症や経過そのものも、仮説だったアミロイドβ説もデータ改竄が指摘されていて、確定されているものはありません。
私たちはアルツハイマー型認知症になる原因は生き生きと脳を使わないことによる廃用症候群…脳の使い方が足りないために脳の老化が加速していく生活習慣病だと主張しています。だからこそ早期発見が重要になり、その鍵を握るのは前頭葉機能です。この点に関しては唯一無二の主張だと思います。認知症における認知機能検査はMMSEをはじめとして、脳の後半領域の測定にとどまっています。
グラフに注目してください。

これはある地区、65歳以上全人口303人中231人に個別に実施した脳機能検査の結果です。
縦軸MMSE(グラフ上はMMSと表示)は脳の後半領域の機能を測ります。多分世界で一番使われている検査だと思います。
横軸は私たちが開発した前頭葉テスト(かなひろいテスト)で、二つの検査を同時に実施しています。
最も注目すべきことは、MMSEで合格点と言われる24点以上の人たちの中に前頭葉テストの不合格者がいることです(黄色)。普通に認知テストをやっていたのではこのグループは見つけることができません。
この普通の認知テストでは合格、前頭葉テストが不合格の脳機能レベルの人たちが小ボケ。
次の段階の中ボケは前頭葉テストが不合格に加え、MMSEがさらに15点まで低下した脳機能を持つ人たちのことです(オレンジ色)。一般的にはMMSE 20点がカットオフ値とされることが多いです。これは中ボケ真ん中を切ったレベルです。
大ボケの脳機能レベルになると、MMSEは14点以下で前頭葉テストはほとんどできません(赤色)。

話が前後しますが、脳機能の基本情報です。
左脳右脳と表示してあるのがいわゆる認知機能テストのターゲットになり、御者は前頭葉機能を意味します。
前頭葉機能は脳の司令塔。いわゆる左脳や右脳にある認知機能から情報を受け取り、状況を理解、判断を下し馬車を進める立役者。その時その時の判断は十人十色です。その色を出すのが前頭葉機能です。前頭葉こそ自分らしさの源といえます。
その前頭葉機能だけがうまく働くなくなったのが「小ボケ」。
隣家のハクモクレン

「小ボケ」の脳機能になると「状況を判断しながら、たまに注意力を分配しながら、その課題について意識を集中させて取り組む」ことが不得手になってしまいます
そして、そのような前頭葉機能の能力低下を自覚してもいるのです。
てきぱきと物事をこなせない。
感動がなくなった。
動作が緩慢になった。
抑制が効かない。
根気が続かない。
意欲がなくなった。
つまり以前の自分ではないようだ自覚しているのです。前頭葉の機能低下を自覚している。これが認知症の始まり「小ボケ」です。
決して物忘れではなく、以前の自分のように物事に対処できない(ということを自覚している)。ここが認知症への入り口であることを、みなさんはもっと信じてほしいと思います。
近所のウメ(伊豆高原では珍しい)

今回のケースです。
夫との死別後、一人暮らしになりました。半年ほどもかかったでしょうか、それでも元気になったころ、もともと洋裁が上手だったため近所の高齢女性が集まって簡単な袋物や着物や帯のリメイクなど手芸サークルができていたそうです。作品作りが楽しみと言いながら、多分おしゃべりや、終了後のたまの外食も生活がイキイキとなる中核だったことは容易に想像できます。
そこに襲ってきたのがコロナ。特に当初は三密回避が徹底されて、真面目な人ほど家に閉じこもってしまう状態になりました。
このように今までの生活、時に生きがいを感じていたようなことができなくなって、趣味なく生き甲斐もなく交友を楽しむこともない。そして運動もせず家に閉じこもっている「ナイナイ尽くしの生活」こそ、認知症を発症させる生活習慣なのです。
少しずつ老化が加速していくうちに、さらに悪い条件が。一つは本人の腰痛。もう一つは、お仲間が一人暮らしに不安があるということで入所。5年も経つうちに出掛けられなくなった人も出てきて、グループ再開の目処も立たない。
生きる力を支えてきたものがなくなってしまった。このような状況の中で認知症はヒタヒタと忍び寄ってきます。
以下の写真は川奈ホテル(4/7)

娘が気になったのは以下の通りです。
「生活は特に困る様子もなくこなせているようですが、何かお母さんらしくないんです。どこかちゃんとしてないというか。
そういえば部屋が片付いていない。もともととてもきちんとした母だったのですが。
あ。冷蔵庫にお豆腐が3丁もあったことがあります。
ニュースは見てるというのですが、話は以前のようには盛り上がらない。
いろいろやってると言いますが、どうも居眠りしてることが多いみたいです。

「それから、同じことを何度も言います。普通の顔をしていうので、なんだかとても変な気になります。
うーん。それより気になるのはもともと好きだったことに関心がなくなったことかな。花とか音楽とか…」

「そうそう、食事は自分で作っています。そこそこのものはできていますが献立が単調すぎる気がします。もともとそんなふうに同じ料理ばかり作る母ではなかったんです。
続けて鍋を焦がしたので、電磁調理器に変えたほうがいいかなと思っています

「家族のこともわかるし、徘徊はしないし、生活は一人でできているし。
何よりちゃんとしたことが話せるんです。ちゃんとしたどころか教訓のような立派なことも言いますよ。
ボケてはいないんですけど、気になるというかこれって歳のせいですか?それとも…
言外には「歳のせいと結論づけてほしいけど、それにしたらちょっと変…でもボケてると言われたらショック!」こんな心境が見て取れます。
このようなやりとりは、小ボケの家族がよく訴えることですから、私は全て頷きながら聞いてあげます。前頭葉機能というキーがなければ、なかなか言われていることの理解は進まないものですが。

結論。
前頭葉機能が万全ではない。
理由は腰痛の発生と楽しみにしていた仲間との交流が途絶えたことで脳機能の老化が加速された。
普通はもっと低下するけれども、腰痛が起きるまでは散歩を欠かさず、家族の交流があったこと。それにもまして一人で袋物など作って人にあげていた(だんだんあげる人がいなくなった)ことなどで小ボケレベルに止まっている。
娘さんはとても納得して、「母の脳が元気になるように頑張ります。母がその時間を楽しんであっという間に時間が経ったというようなことが脳リハビリなんですね。ドリルをやるのが脳トレかと思ってました」


後日談。
「あれから、妹とも相談しながら、母のやり甲斐や生き甲斐になることを考えて、実行しているところです。
母は昔から薔薇が好きで、でも父が亡くなってから庭の手入れもできておらず、、、先日は一緒に苗を買いに行ったりして、春のお庭を作ろうとう計画をして色々な面で前向きなところも出て来た感じですが、近所の高齢者コミュニティの卓球は嫌だと言いました😅
本人のペースで私も寄り添えたらと思ってます。
薔薇の品種もよく覚えていてそれも驚きでした😃近所の人にもみてもらえたら嬉しいと言ってました〜。
あと、4月21日に運転免許の認知症検査に行くのですが、本人は意欲満々ですけど、結果次第でまた今後考えて行かねばと思ってます」
松川湖(4/6)

中伊豆友人宅(4/4)

ちょっと長い私の返信。
「お母さんの反応が良いのなら、脳の老化加速が早い段階で発見できたということです。よく変化をキャッチできて良かったですね。
それと、その変化が前頭葉の機能低下という理解ができたことも好条件でした。色々楽しんで計画をしてください。
お母さんがバラや庭づくりという楽しい趣味を持っていたということが最大の勝因ともいえます。まだ洋裁の腕でも使えるし。こういう多趣味なお母さんでよかったです!
前頭葉が元気がない時には理解はできるのに行動につながらないことも多いです。
お庭のこともちゃんと色々言えますが実際には手付かず…というようなこともよくあります。
(一緒に苗を用意したのはとても良いことです。)
スターターが作動しないことも多いので、そっと背中を押したり、一緒にやったりしてあげてください。

運転免許の更新はできる可能性の方が高いでしょう。
でも前頭葉機能が低下しているときの運転は、非常に危険です。
池袋事件を持ち出すまでもなく、高齢者による事件は全部前頭葉機能低下が関わっています。
免許更新では前頭葉検査が行われないことと、記憶検査も合格点の設定が低いです。
このまま前頭葉機能が復活して元の元気なお母さんに戻られてから運転した方がいいと思います。
今まで書いた高齢者と運転に関する記事をまとめています。読んでみてください。
高齢者の自動車事故は前頭葉機能低下が原因

より悪く見る必要はありませんが、よりよく見ないように気をつけてください。喋る力で評価するとどうしても高くなります。やったことで評価しましょう」
早期発見、早期対応。ほんとに春がきたみたいですね。

「認知症」という診断

2025年03月28日 | 画像だけにたよらない
「認知症」の診断に関してまた大きな疑問が湧きました。 3/27-28に熱海沖の初島にミニ旅行。28日朝の小雨が上がったら見事な虹が!どんどん雲が晴れて見事な富士山まで写せました。8:39〜8:57

①友人の友人の話。
80歳をちょっと過ぎた女性。しっかり者、多趣味、友人も多く、面倒見もいいというまさにかくしゃく高齢者の王道を生きていました。付け加えると、夫が亡くなってからも、ひとときの別離の悲しみを乗り越えたあとはむしろ夫の世話から解放されイキイキと一人暮らしを満喫していました。
今、振り返って考えてみると、ご多聞にもれずコロナの三密回避は生活を縮小せざるを得ない状況を生み出してしまいました。
さらに膝痛のために杖歩行ということにもなり、家の中でも自分の思い通りに行動できないという、ちょっと不本意な生活に変わって行かざるを得なくなっていきました。

私の友人が話します。
「でも一番決定的だったことは、とても親しくしていたお友だちが亡くなったことだと思うの。コロナで会えなくなっても、たびたび電話で会話を楽しんでいたし。居合わせたことがあるのだけど、年齢を忘れたような話ぶりに女学生のようだと微笑ましかった…外出できなくなった時の生き甲斐だったのでしょうね。そういう生活ができなくなったことが認知症につながっていったと思ってる
「おかしいなと感じ始めた事件は何だったの?」と私が尋ねました。
「約束の日時に現れないということが続いたの。
それで、彼女の家で会うようにしたのだけど、あんなにすっきり片付いていた家の中がどこか整理できていない。簡単な食事さえ手早く作ってくれていたのに、お茶の用意に手間取る。鍋を焦がしそうになることも起きたし。いくら自分の家とはいえ、オシャレだった面影がない。でもね。話はできるのよ。特にしばらくおしゃべりしていると表情も良くなるし、なにより楽しそう」と言いながら「うーん。厳密にいうと話にはちょっと変なところもあるけど…でも表情が豊かになるとそんな細かいズレはどうでもいい気持ちになってしまうのよ。だって会話は楽しいし」
話は続きます。
「そういえば、とてもシャンとした人で弱味を言うことがないという印象だったのに、寂しいとか不安とかいうようになっていて驚いてしまった」

友人の観察は見事に小ボケ(前頭葉機能だけ異常に低下していて、脳の後半領域のいわゆる認知機能は正常)の人の生活実態を言い当てています。
別居している息子は顔を出すものの、日中数時間ではまだ母親の困惑状態が理解できていないようだったのです。
思い余った友人が「この前お邪魔したのですが、今までとは様子が違っていました。このままでは何かあったら困ります」と具体例をあげて話したそうです。
その返事は「母は本当にしっかりした人です。今でも『特別、困ることはない』と言っていますが」まるで「それでも何か?ボクの対応にご不満おありですか?」という気分が伝わってきて「それ以上何もいえなかった。友人の私に訴えるのと息子に言うのは違うのね」
そこで私が言います。「だいたい息子は『悪いはずがない』と思って対応するし、家の中や冷蔵庫やタンスの中まで見ない。もし見ても以前のお母さんとの差までわかる人は例外だから、息子の言うことをそのままに受け取ることはできないものよ」
友人の話は続きます。

「それが最近さらに対応に困ることになって…
どういう流れだか、病院にかかったのよ。多分生活上のトラブルがひどくなっていったのだと思うけど。『徘徊や夜中に騒いだりや家族の顔もわからない』というような症状はないけど、(前述のように)気になることが増えてきたと言ったらしい。具体的に困ったことを訴えて受診しているのに、CTだかMRIだかの結果を見ながら『脳は萎縮も見られず綺麗なものです。認知症なんかではありません』というお墨付きをくださったんですって。重要なことだってなんだって忘れるくせに『認知症でない』という診断を受けたことは覚えていて『私はボケじゃあないから』と言って何もいうことを聞かなくなってるの。息子さんは『ボケでないなら、このトラブルにはどう対応すればいいのか』と頭を悩ませているみたい。レカネマブを飲ませることはできないって決めているのは賛成でしょう?(もちろん賛成!)
『認知症ではない』という診断が出て働きかけは何もできなくなってしまったのよ。そして困り事は確実に増えていってるそうだけど。診断って何!」


②知人の妻の話
こちらは逆パターンです。
カテゴリーの「側頭葉性健忘症」のところを2〜3例読んでみてください。
世界中で認知症と間違われている側頭葉性健忘症。特に若くして発症した時には、その顕著な記憶障害のために若年性、認知症に組み込まれていて、テレビなどで「認知症者が自身の言葉で心中を語る」などという特集が組まれる時の出演者です。
「妻は認知症なんです。ようやく受診したらMRIを撮ってくれて『ご覧のように前頭葉がスカスカでしょう。これははっきりと認知症です』と言われた。アルツハイマーって進むものだからショックを受けている」
わたしは「そもそも何に困って受診したのですか?」と尋ねました。
「いや〜とにかく忘れる。買い物頼んでも返事はいいけど買ってきた試しがない。約束ということができない。駐車場で停めた車の場所がわからなくなって大騒動を何度繰り返したか」

「これはちょっと違う…やはり側頭葉性健忘症」と思いました。「普通のアルツハイマー型認知症(初期)の場合に記憶障害を訴える時には『同じことを何度も言う』。尋ねる場合もあるのですが、私がオルゴールシンドロームと名付けたように1日に何回でも同じ話を初めてするようにするという訴えが多いのです。今おっしゃっているのは『覚えられない』ということのようですね」(もちろん前例のように約束を違えることもありますが)
認知症ではないという根拠の説明をしようと思ったのですが、それを遮るように、その知人は「記憶障害はボケでしょう?医者もはっきりそう言ったし。この先を考えると、ボケって進むものだからショックではある…」
その時には繰り返された失敗エピソードがいくつも胸に去来したでしょう。そしてドクターによって画像を見せられながら「このように前頭葉がスカスカになってるでしょう?だから認知症」と下された診断は疑われることもなく、これからの生活の指針になっていたはずです。重い気持ちを抱えながら。
ドクターの下す診断は、時に生命予後まで伝えるものであったり、遺伝性や進行性のもので手の下ようがないものであったりします。それが正しいものであれば、そこから生活を組み立てていくしかありません。

でもそれが違っていたら!
今回は二つ問題があります。
まずは、カテゴリー「画像だけにたよらない」にまとめてあるように脳に関して言えば、CTやMRIを使った器質検査で萎縮や小さな脳梗塞など「脳の形」を知っても「だからできない」とは言い切れないのです。機能検査をして働き具合をチェックしてみないと何も言えません。前の例のように「萎縮がなく綺麗なもの」であっても、同様に機能検査をして働き具合をチェックしてみないと何も言えません。

次に認知症を理解する時に必須の前頭葉機能を全く考慮していない点だと思います。
脳の機能は、日常生活上のいろいろな行動に反映されています。つまり脳の司令塔、その人らしさの源と言われる前頭葉の機能を理解した上で、生活の状態をよく知れば、前頭葉がどのように機能しているのかの類推はできるのです。
そのためには受診した方や付き添いの家族から、日常生活の様子をしっかり聞き取る必要があります。
画像診断の技術が精緻になるほど、形を知ることで満足してしまい、働きに関する情報収集にかけることになります。
認知症の9割以上を占めるアルツハイマー型認知症は、ごく簡単に言ってしまえば私たちが普通に持っている脳の正常老化(歳をとると頭の働きが低下する実感は高齢者なら納得でしょう?)がある条件下で直線的に早くなってしまう、そのレベルによって最初は小ボケ、次に中ボケそして世の中で「ボケちゃった」と言われる大ボケになる、その間は大体6年以上の期間があるのです。
ある条件下というのは、退職や別離や心配事や怪我や病気などによって、生きる意欲を失くし趣味や生きがい交遊や運動など何もせず家に引きこもってしまう生活が続くことです。脳の使い方が足りなくて、機能低下が起きる(廃用性機能低下)と考えます。


廃用性機能低下が起きる時には必ず前頭葉機能から低下が始まります。
ところがMMSEや長谷川式などの機能検査は前頭葉機能をターゲットにしていないので、これらの検査では前頭葉機能は測れません。つまり小ボケは見つからないという問題もあります。
いわゆるアルツハイマー型認知症の場合は、まず前頭葉機能が働かなくなることから始まります。
意欲、注意集中力・分配力、現状理解力・判断力、計画立案、感動、推理、洞察、抑制、発想…
とにかく脳の司令塔の役割がうまく働かないので「その人らしくない」と言われることになります。
この方は趣味もいくつもあって、友人も多くおしゃれに整えては外出は欠かしていない。
動作も機敏で表情も豊か。感情を込めた会話も可能。ただその内容は覚えていない。

「コントラクトブリッジを楽しみに行っているが、約束の日時をどうやって守れているのか…友達に聞いてみなくてはと考えている」
小ボケで、複雑なゲームはできなくなる。当然行きたくもなくなる。
このゲームを楽しめるという情報だけで、アルツハイマー型認知症でないと言えるくらいです。


by高槻絹子





「東京」を楽しむ(2)ー展覧会

2025年03月15日 | 私の右脳ライフ
長男が親しくさせていただいている調香師のきざし乃さんから、恒例の個展のお知らせをいただきました。
よく見てみると、出品者に長男の名前が。それで珍しく夫婦揃っての上京ということになったのです。
長男は趣味で池坊の生け花をしていますが、たまたま海外出張中。「添え花で参加もできないし…」と疑問符がついたまま恵比寿のギャラリーへ。
「このコーナーを創り上げたかったのです」ときざし乃さんがお話してくださいました。

京都でどこかのお寺を拝観した時に、板戸に書かれた桜図に二人とも心を惹かれたそうですが、その時に長男が撮った写真をきざし乃さんが気に入られたそうです。「この写真の下に、この写真からインスパイアされたお香を、白蛤卜部さんの古代裂の貝合わせに入れて…と想いはすぐに湧き上がって、ここができたのですよ」
お話を聞きながら、香りを創造するという時の研ぎ澄まされた感性のことを思っていました。とても穏やかな方ですが、香りを作るというのは、最初に湧き上がった香りに到達すべく、たぶん一点の妥協もない、息が詰まるような瞬間が連なっていくような過程なのでしょうね。
写真に目をやると、きざし乃さんが惹かれたということがちょっとわかる気がしました。
意図されないからこその独時のムード、もしかしたら画家を突き動かした詩情のようなものが感じられるというか…

時代を訴える板戸の色彩や表情。写実的に描かれている桜図。じっと見ていると桜花の生物感が消えて、デザイン化された白い花弁が浮き上がってくる。
いいえ。たぶん違うでしょう。花の奥に誘われるような幽玄な雰囲気の印象の方が強いかも…
このように揺れ動く感想や感情をどうすれば「お香」というかたちで表現できるのか…
私の理解力ではとても無理です。
お香は複数の香料を使って作り上げるものでしょうが、どうしても引き算の美ではないかという思いが消せません。
白蛤卜部さんの古代裂の貝合わせにそのお香は入っています。黒一色にデザインされた箱も素敵でした。

貝合わせ。

「槻屋」

「槻屋」は長男の屋号。長男の連れ合いが趣味の習字や伊勢型紙の彫りを生かして作った作品です。
伊豆への再訪問をしてくださるお約束して、不思議な時間はおわりました。

自称三男…私たちからしても、もう一人の息子というつもりで可愛がっています。あ、可愛がってもらっているのかもしれません。
「寺田倉庫でやっている『動き出す浮世絵展』に行ったら面白かったんです!お時間あればぜひ」とメールが届きました。

「ぜんぜん知らない分野でしたが、この本を読んで行かれたらおもしろさが全然違うと思います」というメールに追いかけて本が到着。
誰かに展覧会を勧めるならこのような配慮ができるといいですね。まったく「負うた子に教えられ」です。
品川駅といえば高輪口ばかり。港南口に出ることはほとんどありません。高いビル群!確かに新しい町でした。会場の寺田倉庫の入り口もこんな感じ。非常口から入場?と思ってしまいました。
動き出す浮世絵展

東京丨動き出す浮世絵展 | Ukiyoe Immersive Art Exhibition TOKYO

2025年3月31日まで開催。江戸時代の浮世絵をデジタル技術を組み合わせ再表現。色鮮やかに描かれた花鳥風月や歌舞伎役者の迫力ある姿を堪能しよう。

動き出す浮世絵展 | Ukiyoe Immersive Art Exhibition

 
会場は江戸の町に入り込む体験から始まりました。
プロジェクションマッピングを駆使して、確かに浮世絵が動いています。


もう一つの特徴は、浮世絵が浮世(今、生活しているこの社会)に応じて、求められるものを提供してきたという事実を、工夫して提供してくれているということです。
広重の名所絵。今流に言えば写実的とはいわれそうもないのですが、北斎などと比べるととても安定的です。当時の旅ブームに応じて東海道五十三次を始めいくつものシリーズができたという説明が納得されました。

北斎の富嶽三十六景。よく見ると湖面の富士は冠雪の富士。北斎の斬新なデザインは時を超えて今も驚かされますね。

歌麿の美人画。それまでは全身像だったそうです。

写楽の大首絵。デフォルメが特徴です。

国芳の武者絵もありました。
義経

弁慶

これこそ現代のポップの源流。国貞。今回展示は見つけられませんでしたが北斎漫画もまた源流に間違いないと思います。



たびたび行っている小布施町には、晩年の北斎をサポートした高井鴻山という豪商がいたので、北斎83歳の時から何度も小布施を訪れては肉筆画を多く残しています。北斎館へは何度か足を運びましたし、北斎には思い入れがあります。
小布施町岩松院の、北斎88歳の時の作品天井画発見!この鳳凰図はいまだに鮮やかな色彩を見ることができます。ここでは縁から炎が立ち上がる仕掛けが隠されていました。




三男の気遣いによる事前学習も含めて、十分に楽しむことができました。
天王洲アイル駅から埼京線で恵比寿へ。
恵比寿に住んでいる高校同級生に「私たちはお上りさんだから」と頼んでエビスガーデンプレイスに連れて行ってもらい、ランチを楽しみました。




それからきざし乃さんのギャラリーへというのが初日のスケジュールでした。


実はもう一つ鑑賞しました。
2日目、用事を済ませて伊豆への新幹線に乗る前に、Tジョイプリンスシネマで映画鑑賞。



帰りの新幹線発車時刻と相談しながら選んだのはこんな楽しい映画でした。


今回の上京も、たくさんの刺激をもらって楽しかったです。
途中何度も携帯の検索機能に助けられました。携帯は強い味方です。それを使うのは…そうです。前頭葉機能です。

by高槻絹子













「東京」を楽しむ(1)

2025年03月14日 | 私の右脳ライフ
今回の東京行きも変化に富んだものでした。
実は私は学生時代を含め、11年近く、東京駒場で暮らしました。渋谷から井の頭線で二つ目。歩いても20分くらいだったでしょうか。
渋谷は私の乗り換え駅。上京した60年前の渋谷のイメージは「上品な大人の街」、ちなみに新宿は「若者の街」だったのですが、昨今の渋谷は折々のスクランブル交差点の報道で驚かされること度々。
今回はホテルが渋谷だったので、変わりゆく街を実感しました。夜はインバウンドの外国人がたくさんでぶつからないように歩くのに気を使うほどで、大谷さんの大きな写真を撮ったら早々にホテルに引っ込みました。

朝は人がいない!大都会の渋谷には見事な青空と太陽の光が満ちていました。

昔は「危ないから行っちゃあダメ」と言われた宮下公園。ホテルから見下ろすと目の下にあるのは宮下公園ではなく確かにMIYASHITA PARK。その変遷はWikipediaを貼っておきましょう。

MIYASHITA PARK - Wikipedia

 
アプローチに、ドジャースの帽子が!

1階は屋台街!

2-3階は、ブランドショップもあるようですが開店前。
そして屋上こそMIYASHITA PARKの真骨頂。
ボルダリングやスケートリンクなどの他、遊具やイベントスペースなど変化に富んでいます。







「渋谷は永遠の再開発だね(次男の返信)」の言葉通り、大きなクレーンに心動かされている(多分)夫。

時間がたっぷりあったので、いつもは乗らないバスで新橋まで移動。このチョイスは大正解。バスもいいものです。

2月に行った麻布台ヒルズが路線にあるのを楽しみにしていました。その直前に東京タワーが真っ正面に!

さあ、麻布台ヒルズ。2月はまだ蕾が色付いてもいなかった桜が、満開でした。



渋谷〜新橋の40分足らずのミニトリップは充実していました。
バス停は新橋駅前ビル1号館の前。ここは戸畑高校天籟同窓会の幹事会の会場だったので馴染みの場所です。夫へのお土産をゲットできました。



このプチバス旅行で気づいたことはもう一つありました。
乗客に高齢者が多いこと。皆さんがパスを持っていること…調べてみると収入に応じて金額が決まる年間パスで都バス、都営地下鉄など乗り放題。こういうことは間違いなく認知症予防の効果を上げます。
先日報告した小布施町の認知症予防の取り組みは、人間関係が密な地方の町だからできるという面があると思います。

認知症の一次予防としての小布施町「脳のリフレッシュ教室」交流会 - 脳機能からみた認知症

上のスライドは、小布施だけでなく普通の講演でも使います。データは厚労省が2023年に発表した介護保険負担金が年間11兆円を超えたというニュースで、毎年消えていくこの大...

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小布施町のような取り組みは、都会ではなかなか難しいところがあると思いますが、例えば文化的情報の多さや整備された交通網など都会には都会の良さもあります。一人はもちろん友人と共に訪ねるというようなことは、間違いなく脳をイキイキさせます。
前提は、当然元気な前頭葉!
パスを有効利用するには、まず興味関心、意欲が必須。情報収集。計画を立てる。時には突然の計画変更…その全ては前頭葉が担います。

by 高槻絹子








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