脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

とうとう完成!管理ソフトの紹介

2006年09月21日 | エイジングライフ研究所から

懸案の二段階方式管理ソフト エイジング」がとうとう、完成しました。
一式¥52,500(税・送料込)です。

「soft_news.doc」をダウンロード 

とても大変でしたが、便利なものができたと自負しています。
保健師さんの立場になって作りました。

このソフトでできることは

1.その人が所属する教室(または、個別相談窓口)を登録。
2.個人は、教室Aのa・b・c・dさん・・・教室Bのイ・ロ・ハ・ニさん・・・個別相談窓口のあ・い・う・え・・・さんで管理。
3.個人の脳機能テスト結果は、集団テストと個別テストを別々に入力。
4.集団テスト不合格の場合は、個別テストが必要という警告が出る。
5.個人報告書は、集団テスト合格の場合の「正常」の報告書(一部手書き) と不合格の場合の2種類がある。
 不合格の場合は個別テスト実施が前提条件だが、報告書作成は自動的に行われる。
 複数回実施していれば、成績推移も自動計算できる。
6.5を集積することで、教室全体の事業評価も可能になる。

ワンクリックで、個人の評価・成績推移や教室の評価ができますから、保健師さんのつよ~い味方になれます。

もうひとつ大事な点。
このソフトは、二次的機能として教育ソフトの面を持っています。
「二段階方式」では

A:脳機能テスト結果
B:生活実態
C:生活歴

の3情報が必須ですが、今回のソフトには判定や生活指導に不可欠の「C:生活歴」が組込まれていません。従って、ソフトによる判定結果は、正確とは限りません。
ソフトで処理される手順に従い、関連情報をテスターの皆さんが修正し、補足することで、マニュアルを正しく読みこめるよう工夫した教育ソフトでもあるわけです。


認知症が回復してくると、もてなし方が変わる/佐藤玲子

2006年09月15日 | 正常から認知症への移り変わり

P1000046_4  「先日訪問しましたら、とても良くなっておられました。すばらしいご主人です!そして、マニュアルどおりというところに改めて感激です!」控えめな佐藤さんがうれしそうに電話をしてきました。
生活指導してきた方について、テスト結果や生活改善の内容についての確認を電話でしていたのですが、興味深い発見を佐藤さんがしていたのでその報告をします。
脳機能の改善につれて、もてなし方が変わっていったと話してくれたのです。
まず、経過を簡単に紹介しましょう。
最初は去年の秋。

かなひろいテスト:(11、0+3、不可)
MMS評価点:20点
30項目(夫評価):中ボケ
主訴:日付があいまい・冷蔵庫に賞味期限切れのものがたくさんある。本人は「安売りだとつい買ってしまう」という食事の後片付けをしない。本人は「あまり主人がうるさいから逃げるのよ」という。
「ウマイ!座布団一枚持ってきて!」ではありますが、こういう発言に保健師さんたちはだまされるんじゃありませんよ。

生活歴の確認をしたら、元来は地域のリーダーも務まるほどの活動的な生活を楽しんできたのに、まさに4年前ショッキングな出来事が起き、そのためイキイキとした生活ができなくなっていたということが判明。(A=B=C。マニュアルB参照)
実はこの確認ができたからこそ、生活指導が効を奏したのです。ここが生活指導の要です。
具体的になされた指導は、カレンダーの丸付け・夫婦二人で楽しく散歩・趣味の復活でした。

P1000035_1 3ヵ月後の再検査結果。

かなひろいテスト:(19、2+6、不可)
MMS評価点:20点
30項目(夫評価):小ボケ、⑪⑭

夫の発言「もともとやっていた趣味は喜ばないが、ふと歌を口ずさみ出したのでカラオケを購入し楽しんでやっている。表情が出てきた」
生活指導は、カラオケは効果的なので継続。
さらに脳活性化ゲームの紹介をしたそうです。

P1000026 さらに6ヵ月後の検査結果。

かなひろいテスト:(15、1+12、可)
MMS評価点:27点
30項目(夫評価):小ボケ、⑭

夫の発言「以前のようにわからん状態じゃないよ」
佐藤さんが受けた印象も、表情がよく、反応もよく「もてなし方も今までとは違っていた」というのです。さてここからが今日の話題です。

もてなし方の変遷

1回目:砂糖たっぷりミルクの入ったコーヒー(本来ならば、ドリップ式のコーヒーが出てくるような人だけに違和感があった)
2回目:マグカップに番茶
3回目:コーヒーに砂糖とミルクが添えられていた
4回目:ブドウのシャーベット。器にも気が配られていて、佐藤さんは「ウワー、おしゃれ!」と感動したそうですが、夫がTVでブドウのシャーベットの作り方を見て話したら、後は自分で作り、もてなしてくれたのだそうです。

小ボケ人のうちを訪問すると、予告していたにもかかわらず台所からなかなか出てきません。
「お茶はいいですからこちらにいらっしゃってください」といってもしばらく待たされて、ようやくお茶が出てきます。が、「あれだけの時間をかけて!」とびっくりさせられるのが落ちです。

ぬるいお茶
大きなお皿にほんの少しのお菓子orその逆
お菓子と漬物がひとつのお皿に
切られた羊羹の厚みが、薄すぎor厚すぎor混在
あまりにも配慮のない食器etc

日常生活をうまくこなしていく際にも、いかに前頭葉がその本領を発揮しているかわかりますね。
テスト結果という客観的なものさしと、自分の目や耳で実感したこと(今回はもてなし方。他にも洋服の着方。部屋の片づけ方。家族の説明。ニュースの説明などさまざまな観点が考えられます)をつき合わせていくと、脳機能と生活実態が実に並行していることが早く納得されるはずです。

ところで、今日の写真はディズニーランドのパレードです。実はディズニーランドとディズニーシーに行きました。二日連続9:00~22:00楽しんだら、風邪を引いてしまいました。年ですね・・・


邑南町・ハンザケ・じろうさんの家

2006年09月03日 | 認知症予防講演会

タイトルは3題話みたいですが、遅ればせの報告です。

8月20日に邑南町に行きました。邑南町は平成16年10月1日に羽須美村、瑞穂町、石見町の三町村合併により新しく誕生しました。場所は島根県ですが、広島県境に接していますから、広島空港が最寄り駅になります。中国山地特有のなだらかな山々に囲まれた静かな町です。

当日の会場は邑南町健康センター元気館でした。
P1000019 会場いっぱいの入場者に担当してくださった大矢輝美保健師さんは大満足。
町長さんは大びっくり。びっくりしなかったのは私だけ。
何しろこの会場にこれだけの入場者があったのは、初めての出来事だそうですが、「ボケは防げる治せる」というテーマで講演会を開くと、大体予想人数の1.5倍から2倍の方々がいらっしゃいます。

準備した資料が500。追加した資料が250。ちゃんと1.5倍でしょ?

Ounantyo001 こんなに心のこもったお礼状をいただくと・・・・・ほんとにうれしいです。
これからもできるお手伝いは何でもしますから、いってください。

瑞穂ハンザケ自然館 ハンザケって何かはこのHPを見てください。

じろうさんの家 私が泊まったペンションです。生き方に筋が通っていて、趣味が豊富でこういう生き方をしている人がいるのだと感心しました。オーナーのじろうさんが「地域のために何かしたい」と言われました。
「お手伝い」「ボランティア」「送迎」「配食」etcをイメージしているような印象を受けましたから、次のようなお話をしました。

P1000009今回 邑南町で、認知症サポーターの勉強会にオブザーバーとして出席しました。
認知症サポーターは「地域で認知症を支える人材」の意味のようでしたが、出席者の皆さんは、「ボケさせないために」動き始めているのが実態でした。

たとえば、「一人暮らしのおばあさんのところによく通ってあげていた近所の人が入院した。そのうちおばあさんがなんだかちょっと変。そこでサポーターの出番。訪れる回数が増えた結果、前より元気になった。」

「どういう風にぼけ予防教室を始めようか!」

「集いに出てくれる人たちは、確かに元気になる」

興味深い発言がひとつありました。「特養にお話に行ったのだが、たった3時間で本当にくたびれてしまった。真夏の一日仕事でも音を上げないのだけど」
「その前があったのですよ。ふつうに楽しくお話ができるときが。話が通じなくなってより、話が通じるときにしてあげることのほうが、双方の喜びにつながります」という私のコメントを皆さんが深くうなずいて聞いてくださいました。

だから、じろうさんに期待することは、「邑南町で『遊び方を知らない人たちに遊び方のコーチをすること』『こういう時間のすごし方ができるんだと体験の場を提供すること』です」と、私は力説しました。

そういう「サロン」ができれば、すばらしいこととワクワクしました。おしゃれでイキイキしたお年寄りが増えるのです!
一方で、「ボケ予防教室との差」についても考えました。たった一つです。脳機能テストの有無。脳機能テスト結果による生活指導の有無。やはり保健師さんは地域のボケ予防活動にとって不可欠の人材です。


ブログ村

http://health.blogmura.com/bokeboshi/ranking_out.html