脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

平成22年北海道便りー苫前町訪問①

2010年10月31日 | 私の右脳ライフ

今回の北海道訪問が決まった時に、どうしても苫前町に行こうと思いました。
始めて伺ったのはもう10年以上も前のはず。
苫前町は、小樽から稚内に向かう「日本海オロロンライン」の真ん中あたり、稲作が可能な地域と稲作ができない地域があるという北の町です。
札幌バスターミナル(このバスはぼろ号で3時間)2010_1018_124900p1000079

冬が近くなると毎年思うのですが、やはり寒いところはよほど考えないと認知症予防に関しては不利ですねえ。
秋の収穫が終わって、喜びと達成感を感じつつ、厳しい冬のシーズン入り。
冬籠りの後、春になって農作業が始まると、生活も表情もイキイキしてきます。忙しいながら対人的な交流も増えてきます。何より作物が育っていくことを感じながらの毎日は楽しみもあります。

そして収穫の時を迎えて、また冬籠り。これを毎年繰り返していくのですが、「歳をとるほど前年のように元気を取り戻せなくなっていく」とよく耳にします。これは当然と言えば、当然のことですね。なぜならば、加齢という条件が重なるからです。

雪道での転倒もよく聞きます。

隣家が遠い一軒家での冬の生活をどうすれば、楽しく変化のある生活にしてあげられるのか、確かに大きな難しい問題です。
問題を感じながら苫前町観光をしました

クマ事件跡                         K藤保健師さんが小さく見えます!2010_1019_102600p1000088 2010_1019_103100p1000093                      

水路から引水した粉引き小屋               倒木更新も2010_1019_103200p1000094 2010_1019_102700p1000090みられます

クマの爪痕2010_1019_103600p1000096 

この「クマ事件」というのは、大正4年におきたクマが10人の婦女子を殺傷した事件なのですが、事件の凄惨さは当然のこととして、市街地から車で20分くらいもいくような山中で、開拓に入った人たちは、どういう生活をしたのだろうかと、そちらの方に私たちの思いがいきました。
寒さとの戦い、機械もないのにどのように開墾していったのか、町へ出るにはどうしたのか・・・多くの問題を抱えながら、でもボケの問題はなかったはずです。それほど長生きができませんからね

市街地に帰る途中にも心惹かれる景色がたくさんありました。

収穫された大豆 2010_1019_113800p1000104_22010_1019_113800p1000105

また、リッチテキストモードに変更できなくなりましたので続きにします。


平成22年北海道便りー岩見沢②(サロン申し込みが三か所も)

2010年10月29日 | 各地の認知症予防活動

前のブログで、岩見沢では、サロン立ち上げが保健センターの予想よりも多い三か所になりそうだというお知らせをしました。
市民の皆さんの認知症予防の理解と意識が高まっていることの表れだと思います。
が、もう一つの情報を見てください。当日配られたプログラムの裏表紙です。Img_0002

このような保健センターの姿勢が、「ボケは早く見つけて手を打とう」とか「ボケの予防はできるんだ」という市民感情を育てているとは思いませんか?

今回、岩見沢での保健師さんたちの勉強会で感激したことがあります。
「サロンで経過を見ていた方なんですが、脳機能低下の原因になるに違いないという 生活上の変化があった方がいたんです。ところが脳機能テストを実施してみると、低下どころか改善していたのです。
お話を伺ってみると、『こういうときに負けたらいけないんでしょ?保健師さんが教えてくれたじゃないですか。その気になって頑張りました』と言われたんです」

私が「すご~い事!」と言ってしまわなかったら、多分この先には「ボケるかどうかは生活ぶり、脳の使い方一つなんですね」と言う言葉が続くはずだったと思います。

このような保健師さんたちの実感こそが、上記のように脳の健康相談「脳イキイキ度チェック」を定期的に実施するという事業につながるのです。
なかなか、踏み切れない保健師さんたちも多いようですが、少なくとも住民は待ち望んでいますよ。
岩見沢公園のバラ2010_1021_115800p1000170 2010_1021_114300p1000169

エイジングライフ研究所は認知症予防のための三本の柱として
①地域が自主的に継続する予防教室
②早期相談窓口(生活改善指導対象者と医療機関に紹介すべきものとの区別ができる)
③ボランティアの育成 

が必要と説いたのは、もう 15年も前からです。

私たちの主張は、「ほとんどの認知症は脳の老化の加速によって引き起こされ、その老化の加速は、脳の使い方が悪いことによる。だから生活改善のための指導が必要だ」ということですから、保健師さんたちの出番が待たれるのです。
手技は指導しますが、体験の中から納得していっていただきたいと思います!

平成19年に岩見沢に伺った時が脳イキイキ検診当日に当たっていて、非常に珍しい緩徐進行性失語と思われる方に会いました。
とても気になっていたので、その後のことを伺いました。
「受診なさって、お薬の処方があったそうですが、その後はそちらの方に行かれたままになっていまして・・・」
医療機関にかかって、病名が出たとたんに安心して?もしくはあきらめて?もしくは薬に頼って?生活改善のために努力を忘れるケースがいかに多いことか!
あの方の場合は、受診後どういう診断が出てどういう経過になったのか?と思いました。でも、これが私たちの活動の限界です。生活指導の力が及ばなくなったときには諦めるしかありません。

ところで、プログラムの裏表紙の上半分です。Img_0003

岩見沢市が、このまま生活改善指導を主軸にした認知症予防活動を継続していって下さるように願っています。頑張ってくださいね。


平成22年北海道便りー岩見沢①(サロン申し込みが三か所も)

2010年10月29日 | 各地の認知症予防活動

岩見沢の講演は三回目だったでしょうか。岩見沢駅が立派になっていてまずびっくり。2009年度のグッドデザイン大賞を受賞されたそうで、何だか、町までも元気のようで嬉しかったです。ユニバーサルデザインの考えが感じられました。これからは何をなすにもさまざまな「人」を考慮した考え方が必須ということでしょう。
岩見沢駅2010_1020_153000p1000138                         ホームには「一頭立ての馬車」が!2010_1020_152700p1000137

当日は秋晴れの素晴らしい日で、午後からの講演でしたから午前中は岩見沢公園に行って英気を養いました。秋バラの最盛期でみごとでしたよ。

さて仕事の報告を。
今回の講演は、通常の認知症予防の啓もう講演だけでなく「自分たちの地区でもサロンを立ちあげてほしい」と希望する地区が名乗り出てくれるステップになってほしいという目的がありました。
名乗り出るということは、活動を自主的に持っていきやすいし、当然継続もかなりのところ保証されますね。
岩見沢市もすでに市内で5か所のサロンを立ち上げて、自主継続されていますので、そのサロンのうち南町中央いちご会が活動発表をしてくださいました(「人間手作り輪投げ」ゲーム)。  会場いっぱいの皆さんを前にして、のびのびとした発表で感心しました。2010_1021_132600p1000176Photo

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定番のヒャッピー体操も!かわいい・・・Photo_2

講演後の、希望者によるサロン(認知症予防教室)立ち上げのための交流会が面白かったのです。
最初はグループに分かれて自由に質問をぶつけあうという形式をとったのですが、現在実施中の地区の方々と、これからやってみたいなあと希望している方々がランダムに着席していたことが功を奏して、この段階で非常に盛り上がりました。

未実施:「夫が小ボケになったら私は気づくけど私が小ボケになっても気づいてくれる人がいない」
既実施:「よーくみんなで気をつけてみてあげるだろう」
     「サロンに誘って、よくしてあげる!」

未実施:「老人会があるけど、それをベースにしたらいいの?」
既実施:「ボケ予防という目的をはっきりさせて、別に誘うべき」

既実施:「民生委員の会合でサロンのことを知ってこれはどうしてもやりたいと思ったんです」

未実施:「何をしたらいいのか・・・」
既実施:「保健センターも指導してくれるし特別のことをするわけではない。
      私にできることをして、私のボケ予防と思っている」
80歳の能登屋さんはこのように発言されただけでなく、下の計画表を持参していて皆さんに見せてくれました。Img

すかさず、同じサロンの方からも「負担ではない」ことがやさしく語られました。
若手の方でしたから、文字通りの地域単位の活動が行われていることがうかがえました。 真ん中能登屋さん右端はいちご会のお世話役2010_1021_170500p1000189

その後岩見沢の保健師さんから頂いた報告ではなんとサロン立ち上げの希望が三か所から出たそうです。大成功!(変換モードがおかしくなりましたので続きにします)


平成22年北海道便りー三笠市(脳機能を9年間も維持)

2010年10月27日 | 二段階方式って?

先週は一週間北海道巡業でした。
久しぶりに伺ったところがありますのでその報告を。

いろいろと楽しいことばかりの今回の旅行でしたが、筆頭にあげなくてはいけないのが、ちょっと保健師さんの指導だけと思って伺った三笠市からの報告でしょう。(写真が撮れませんでしたから、今日は岩見沢公園バラ園のバラたちを見てください10/21写す)
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三笠市に伺ったのは、もう10年以上も前だったと思います。何しろ今回古いデータを見せていただいたら、テストフォームが3世代前!
エイジングライフ研究所の活動の歴史を感じ、懐かしいやら嬉しいやらでした。

お一人は今年4月、もうお一人は今年8月から採用された「新人」保健師さんたちへの、それぞれが実施されたケース指導を一通りしました。
「脳機能テストを通して生活が見える=脳機能テストを実施する目的は、生活実態を把握するため」ということが実感できた様子に、ちょっと達成感を覚えました。

その後、今年4月に移動したベテランY山保健師さんから「新人に『ひまわりサークル』の参加者の方々の解釈もお願いします」と言われていましたから目を通しました。
ディズニーローズ
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ひまわりサークルは、Y山さんによると「半分保健師で運営手伝い、半分は自分たちでも少し運営してもらっている脳活性化グループ」ということでした。

経過観察が長くできた方々の検討に入りました。
ここに平成13年から経過観察できている方のデータがあったのです。
びっくり!ほんとうにびっくりしました。6人分あったと思いますが、成績推移がはっきりしている方の脳機能テスト結果(MMS 成績)をお見せします。

Photo_8 

どうですか?①さんは9年間維持できています!維持のまま80歳代に突入です。
ひまわりサークルだけが①さんの生活のすべてではありませんが、9年前に担当保健師さんの的確な生活指導があったことがすべての始まりです。そして、まずひまわりサークルに参加させることに成功し、さらにそれが継続できたことが現在の状態につながっているのです。

新人保健師さんの二人は、あまり私が感動するのでちょっと怪訝な顔をされました。
「月に二回、レクレーションをやったり、工作したり、散歩に行くこともありますが…(そんなに大したことをしているわけではありません)」と顔に書いてありましたよ(笑)

2010_1021_120000p1000172_2 考えてみてください。
H13年に保健師さんによる生活指導が行われなかったとしたら。
ひまわりサークルがなかったとしたら。

①さんは着々とボケの道を進みMMSが一桁になっていた(当然大ボケ)としてもおかしくはありません。エイジングライフ研究所の主張は対照群がないとよく言われますが、このような方々に出会うたびに対照群は作れないことを確認するばかりです。

エイジングライフ研究所は、「地域ぐるみの認知症予防」を強く訴えています。
それは行政の力だけでは、高齢者がこんなにも多い状態で支え切れないことがあまりにも明確だから。
モデル地区を作って、半年から1年間行政が指導し、モデル期間が済んでも「自分の脳の健康は自分で守る」ということで自主的に活動を継続し続け、一方で行政は同様に他地区の指導を始める。そして全市域に広げるのです
その時に、生活改善指導の目的、教室継続の意味などをはっきりさせるためには脳機能テストは必須であると結論付けています。

バラとパークゴルフを楽しむ人たち
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もちろん、その通りにできているところもあれば、どこかがエイジングライフ研究所の指導と外れているところもあります。
三笠市だって、全市域に広げることは無理だったのでしょう。
市民意識、マンパワー種々の条件が関与していると思います。

それに全体が把握できているベテラン保健師さんが全員異動された後に、いらっしゃった新人保健師さんたち。
大変でしょうがボケ予防の伝統を受け継いで発展させましょうね。お手伝いできることは何でもしてあげますよ。
今回は、先輩たちが「ボケは予防できない」と言われていた時代から頑張って積み上げてきた実績に、ほんの少し具体的に触れることができたのではないかと思います。

昔話をさせてください。

講演時に「どんな職業の方がボケると思いますか?」と尋ねると、異口同音に
「公務員と学校の先生!」という答えが返ってきます。
その時の根拠は
「公務員と学校の先生は、硬くてまじめで、仕事一筋。その仕事は前例踏襲でチャレンジ精神がない」ということだろうと思うのです。
私も、世の中の人たちと同じ様に「公務員」に対してある種の偏った考えを持っていたと思います。

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10年前に三笠市に伺ったときに、富樫さんといわれるまだお若い男性がいらっしゃいました。係長という名刺をいただきました。当時Y山さんも新人でしたね。
「自分の子どもたちが大人になった時、こんな街でよかったといってもらえるような三笠市を作っていきたいのです。特養誘致の話もよく聞きますが、将来のことを考えたら負担増以外の何物でもありません。市長にもじっくり話を聞いてもらいます。もちろんボケても安心な町なんてありえません。予防できるものなら絶対やらなくては」と熱を込めて話されるお顔を見ながら
「こんな公務員もいらっしゃるんだ!」と新鮮な驚きに浸っていました。 

その後全国を回るうちに富樫さんのような方に何人かお会いしました。2010_1021_112900p1000158 
きっともう偉くなられて、もっともっと三笠市のために頑張っていらっしゃると思っていたのです。もしかしたらちょっとでもお会いできるかとも。

なんと。
お亡くなりになっていたのです。癌と伺いました・・・
残念です。富樫さんも残念だったと思います。三笠市のためにも本当に残念でなりません。

心からご冥福をお祈りさせていただきます。


脳腫瘍

2010年10月16日 | 画像だけにたよらない

今年の1月の「失語症の検査」

http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20100126   

3月の「緩徐進行性失語その2」http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20100313
をクリックして読み返してみてください。
この方のその後の情報が届きましたので報告します。
実は亡くなられたのです・・・

 

 

全体を整理すると
①脳機能検査の結果から「失語症状がある」
そして家族もそのことを納得している。

②「急激な変化ではないし、言語野を損傷するような病気も事故もしていない」
つまり、器質障害がない。
MRIは正常と言われている。(このことを書き忘れていました)

③変性疾患としか考えられない。
感覚性失語症から発症しているが、徐々に失語が重くなっていくことは覚悟しなくてはいけない。失語は重くなっていっても、それに引きずられる形での脳の老化の加速だけは食いとどめよう。(これが3月の報告内容です)

「生活の中で何か変、今までと違う人のよう(お嫁さんは言葉のキャッチボールができないという見事な表現をしていましたね)。でもお医者さんはMRIを見ても何の異常もないといわれる」
「保健師さんに相談したら、生活の中で変と感じていることをとてもよくわかってくれた」(検査結果が失語症を意味していたので、ご本人ができないことを言い当てることができる)

このような状況だったのです。
保健師さんから、状態の説明と生活指導をしてほしいということで、私が相談を受けたのです。

私は3月にご家族と会いました。
脳卒中や事故による失語症発症は急激なことが特徴ですから「急激な発症ではないこと」は確認しました。②は家族への聞き取りだったのですが、その前提に「器質的には正常」というお墨付きがあったのです。

報告の電話はこのようなものでした。
「あの後、直後の受診では相変わらず器質的には正常と言われたのですが、6月になって実は脳腫瘍が見つかりました。そして、あれよあれよという間に亡くなられたのです。数年前に乳がんを手術されていたこともわかりました」

「原発性脳腫瘍だったのですか?それとも転移性脳腫瘍?」

「それは…はっきりしませんが」

エイジングライフ研究所として今回のことを考えてみました。
MRIで見つからないものが、二段階方式の手技を用いることでわかる!
そういうことですよね。
器質よりも機能の方が大切なのです。わかりやすい言葉でいえば「見た目より働き」

検査結果が通常の脳の老化が加速されたものでなく言葉の障害がはっきりしたら、エイジングライフ研究所二段階方式では次のように考えます。
以下は1月のブログから転載

「なぜこの障害が起きたのかは、生活歴から聞き取っていくことになります。
病気はしなかったか。けがはしなかったか。
脳の障害は、そのほとんどがある日突然起きてきます。病気や事故がその原因です。
この人の場合は、まったくそのようなことがなかったのです!
徐々に言葉の障害が起きてきて、だんだんに悪化してきている・・・
これは変性疾患を疑うしかありません。
緩徐進行性失語(最近は原発性進行性失語ともいいます)と考えることになります。二段階方式では、このような場合は専門医療機関受診ということになっていますよね。」

追加訂正します。
今回のケースは12月に医療機関受診してMRI=正常というお墨付きがありましたので、脳腫瘍は除外していたのですが、書いていませんでしたね。
もしまだ、受診していなかったとしたら当然「変性疾患」とともに「脳腫瘍」も考えなくてはいけないのです。脳腫瘍の場合は、ある大きさになるまでほとんど無症状でいて、症状が出始めると次第にそれが強くなってくるのです。

その差を決めるのは、CTやMRIなどの器質検査です。
「脳腫瘍ならすぐにはっきりと見つかる、変性疾患は機能には明らかな障害があっても画像で見えるようになるまでは何年もかかる」はずですが・・・
脳腫瘍がこんなにも画像で見つからないとは!私には新しい発見でした。

生活指導が進むうちに明るくなっていったお顔が忘れられません。
真剣に聞いてくださったご家族のお顔も。

短い期間でしたがご家族の皆さんにご本人が失語症でどんなに困っていらっしゃるかを説明してあげることができたこと、失語症があってもできることを具体的に伝えてあげられたことは、少しの光だったのではないでしょうか?
ご冥福をお祈りします。


かくしゃくヒント6ー同窓会に出席する

2010年10月10日 | かくしゃくヒント

ブログをあまりご無沙汰していると、だんだん億劫になってきて、書き始めるのに非常なエネルギーがいるようになります。
ステビアの花2010_0914_133800p1000007

と、書きながら「これが老後を生き生きと生き続けられるかどうかのヒントになりそうだ」と思っています。
新しいことを始めるには相当のエネルギーがいりますね。とくに高齢になったらなおさらです。
ところが、継続することにもエネルギーが必要なのです。普通に継続するにもエネルギーがいりますが、何かでちょっと「お休み」した時の再開には思いがけないほどのエネルギーが要求されます。高齢になるほど何かでちょっとお休みしなくてはいけない状況(体調不良など)が増えてきますね。

♪負けないで、もう少し。最後まで走りぬけて♪という歌を応援歌にして、「継続すること」をまず第一目標に。そして第二目標は、いくつになっても「挑戦する心」としておきましょう。

さて、10月9日に東京で、私の母校、北九州市戸畑高校天籟同窓会の関東支部の総会がありました。Photo 

同期のF吉さんが幹事長というご縁で、私が記念講演講師を務めました。議事の関係で一時間という短い時間の講演でした。
講演は何百回もやりましたが、一時間は初めて。地域における予防活動は省略するにしても「脳機能から認知症を知る」のがエイジングライフ研究所の考え方ですから、脳機能(とくに前頭葉)の話・脳の老化曲線・老化を加速させるきっかけ・小ボケ中ボケ大ボケの症状・脳のリハビリetcと講演内容が盛り沢山なのです。

「テンポを早く、むだ話は極力カット」と心に銘じて講演をスタートさせました。80歳の大先輩を筆頭に60歳以上の方が多かったようですがその聞き方の見事だったこと!
初めて聞くこの速いテンポの話に、どなたもついてきてくださるのですから。話す回転数と聞かれる方の脳の回転数がぴたりと合ってる、そんな感じを受けました。

テストをするときの話し方の注意として「皆さんは早すぎ。自分の回転ではなく相手の回転に合わせるように」と私はいつも研修会で強調しますが、今日は早すぎくらいでないと聞かれる方の興味をそぐことになったでしょう。講演後「テンポが良かった」と同期生からおほめの一言がありました。
パンフルートの演奏も2010_1009_144800p1000009

同窓会に出席されるような方は、元々いきいきとした生活をしていらっしゃると考えた方がいいのかもわかりません。その証拠として、講演後何人もの方がニコニコしながら「自分は大丈夫と思います」と挨拶にいらっしゃいましたから。
その生活を継続することが大切です。

フリーな時間になった時の会場の騒がしかったこと!
あちらこちらで談笑の輪ができ50年くらいタイムスリップしたかのようでした。ほんとに皆さんの脳の若々しさを実感しました。

青年時代の教育を基礎にしているのだとは思いますが、同窓生の皆様が卒業後の長い年月に「どのような生き方をなさってきたのか。とくにお仕事の一線を退かれてから何を生きがいの核に据えていらっしゃるのか。いずれにしてもみなさん立派に三頭立ての馬車を動かされているなあ」などということを考えさせられた講演でした。

考えさせられたといえば、同期生のT田さんから「講演で触れるように」と会場でも言われメールもいただきました。(石油会社→大学の先生という経歴の持ち主)
1.本人の努力不足。親、学校、社会などの教育環境の劣化などにより、若者の能力劣化がしい。その結果フリーターしかなれない若者が多い。従って能力や待遇の向上が期待できない仕で大事な20歳代を無為に過ごすことになる。
2.年金の支給開始年齢が繰下げで、元気なので、生活費のために低賃金で働く高齢者が多い。
3.企業にとっては新入社員教育が必要な若者より経験豊かなベテランを低賃金で雇うことにメリットを感じる
4.若者に次世代を担える仕事に就かせるには教育環境の改善による能力向上が基本であるが、若者に求人需要がもっと発生するように年金の支給開始年齢を60歳以下にして高齢者が働かなくて良くする施策が必要。
5.そうしないと日本のものつくりは優位性を保って継続できなくなる。
                         応援歌斉唱2010_1009_152700p1000010

1番の前半は「脳を育てる」という観点も必要で確かに私の分野と重なりますね。しかし問題の根っこは深く、絡み合ってると思いますよ。
4番の後半については、T田さんには思いもよらないかもしれませんが「定年で仕事がなくなることを(こわくて)想像すらできない」と公言する男性が多くいらっしゃるのです。まず先にその人たちの教育が必要でしょう。
そうしないと若者の働く場所が確保され人と国が潤っても、一方で認知症の高齢者が続出では国の財政は持ちませんから。

T田さんはこういう人↓ですから、仕事をしなくてもよくなる日を心待ちにされたでしょう。
物忘れをする、人の名前が直ぐ出ないなど不安面もありますが、貴女の講演で私の生活はボケ防止にはまずまずと安心しました。

具体的には次のライフスタイル。
1.一日1時間半の散歩。(標準体重で尿酸値抑制薬と耳鳴り少し)
2.趣味の軽音楽持続(北九州での学生時代は世界中の軽音楽オーケストラを招請してコンサートを企画。思い出のプログラムとレコード、CDが一杯) 
3.おせっかいで人の世話のため色々な人と出会う。
4.人生の目標がある(「CO2-EOR」でパイロットプラントを中東に建設したい)
同窓会はこういう方のオンパレードだったようです。
講演の趣旨を即座に取り入れて挨拶なさったM雪支部長、来賓挨拶なさった皆さんも、乾杯の発声をなさった先輩もみんな、ユーモアにあふれた(ということは前頭葉機能あふれた)それは魅力的なご挨拶でした。
幹事長F吉さんの、報告をしない家で確認するようにという型破りな会計報告も見事でした。
月にご紹介したT内先輩がパンフレットを持ってきてくださいました。Img 

財団法人ダイヤ高齢社会研究財団の機関紙。
手回し発電機づくりを出前授業する「かながわ子ども教室」での先輩のスナップです。(真ん中)
子どもたちの表情も素晴らしいですが、三先生方の笑顔も素敵。

脳が活性化されていることが手に取るように分かります。
この時間のための準備時間や教室終了時の満足感に浸る時間までも含めて、三頭立ての馬車の御者である前頭葉は、活発に機能しています。

T先輩は、司会も担当され、合唱の時も皆さんをリードなさっていました。やっぱりね(笑)

もう一人同期のS薗さん。ちょっと難しい病気をされたそうです。
「その後生かされているって思うようになりました。感謝ですね!」
私はこういう一言からも、人間が人間らしく生きる神髄を感じます。

T田さん・T内先輩・S薗さんをご紹介しました。
お一人ずつお話を伺うとお一人ずつのかくしゃくヒントが隠されているのではないかと思われるほど、いきいきとした、楽しげな生活を送っていらっしゃる方ばかりのようでした。

60歳を超えた方々が多かったのは、講演テーマの影響も多少はあったかもわかりません。それ以上に人生の一区切りがついた方々のご出席だったのではないかと思うのです。その時に自分の生きてきた道を否定せず、そして新しい生きがいを見つけることができている方々が同窓会に出席されるのではないでしょうか?
ここにもかくしゃくヒントが隠されているようです。


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