脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

iPS細胞でパーキンソン病の治療始まる

2018年09月04日 | これって認知症?特殊なタイプ

猛暑だか酷暑だかの8月も終わり、もう9月になりました。
一か月間全部遊びの記事だったことは、2005年のスタートから初めてのことだと思いますので、今日はちょっと真面目に取り組みたいと思います。(写真は伊豆グランパル公園グランイルミより)

ちょっと旧聞に属しますが、「京大で、iPS細胞を使ったパーキンソン病の治験が始まる」というニュースが流れました。目にされた方々は「これでパーキンソン病が治る!」と思ったのではないでしょうか。
見落とした方のためにちょっと詳しく書きましょう。
「人間のiPS細胞から作られた神経細胞を、パーキンソン病患者の脳に移植して症状改善を図る臨床試験が始まった」ということは、パーキンソン病の発病原因と大きく関係しています。
「パーキンソン病は、脳内の黒質というところにあるドパミン細胞が変性して、ドパミンが足りなくなるために起きる」ということまではわかっています。
だから、移植した細胞がドパミンを出してくれたら、根本的な治療につながるのです。

もちろん私もこの治験がうまくいって、パーキンソン病の方々が笑顔になることを願っています。この治験が成功すると「世界で最初」というような名誉も伴うのですから、ほんとに成功してほしいものです。
けれどもこの記事を読みながら、「世の中の人たちが誤解することになるなあ」と気が重くなったのも事実です。今日はその間違いを解説したいと思います。

その前にちょっとだけ、パーキンソン病のおさらいをしましょう。
パーキンソン病の症状としては
①歩く速度が遅くなる。歩幅や腕の振りも小さくなる。歩き出そうとすると足が出ない(すくみ足)こともある。とにかくなかなか動けない。
②手足のふるえ。高齢者に見られるふるえ(本態性振戦)は、何かする時に大きくなるが、パーキンソン病の場合は安静時に細かく震えるところが違う。高齢者のふるえは手の他、頭や声にも起きる。
③筋固縮。肘、手首、首などの関節部分を、検査者の手で動かしてみると、ちょうど歯車を動かしたようにカクカクとした動きを感じる。
④姿勢反応障害。ちょっとバランスを崩すとバタッと倒れてしまう。
上の上の四つがパーキンソン病の4大症状といわれるものです。
臨床的に目立つその他の症状として仮面様顔貌があります。無表情でまばたきも少なく、一点を見つめていてまるで仮面のような印象を受けます。そして私の印象としてはちょっと脂ぎっているような感じも受けました。
パーキンソン病という診断が確定すると、投薬治療が始まります。逆に言うと薬が効かないならパーキンソン病ではないといえます。最初はよく効きますが、次第に効かなくなり組み合わせを変えたり、別の薬にしたり。手術をすることもあります。
私には詳細はわかりませんが、今回の治験を受けられる方々は、皆さん最低ここまでは治療を受けられた方々のはずです。

さあ、ここからです。
「うちのおばあちゃん、パーキンソンなの」
「歩き方がね、トボトボしてるから病院に行ったらパーキンソンって言われた」
「無表情が気になって先生にかかったら、パーキンソンだって」
実は、最近は「パーキンソン」に変わって「レビー小体型認知症」といわれる割合がどんどん高くなっているような気もして、ブログに書きました。

「レビー小体型認知症」って増えてますが。


確定診断に関してはまだ「パーキンソン病」のほうがましですね。
ところが、パーキンソン症候群という言い方もあります。もともと、パーキンソン病が先に確立されて、その時に見られる症状は4大症状として先に挙げました。
その後、パーキンソン病の時に発現する症状と同じものに対して、パーキンソン症候群と言い習わしたのです。一見パーキンソン病と同じように見えるけれども、詳しく調べると別の病気かもしれないものもひっくるめてパーキンソン症候群と。薬の飲み合わせが悪い時にだって起こります。

もちろん小刻み歩行や無表情の症状はパーキンソン症候群といっても差しさわりはないのです。
一方で、小ボケの方たちは、前頭葉機能が低下していますから、その結果として小刻み歩行になるし無表情にもなります。
その状態で受診した時にドクターが「パーキンソン症候群があるね」といわれても何の不思議もありません。さらに「パーキンソン症候群」と診断はされても「パーキンソン」と口にされるドクターがいらしゃらないとも限りません。

ところが診断を受けた側は「『パーキンソン』と診断された」と妙に納得してしまう・・・
その人たちみんなが「『パーキンソン』の凄い治療法がもうすぐ確立される」と喜んではいないでしょうか?

ドクターは「パーキンソン症候群」と診断し、そう言われた側は「パーキンソン(病)」と思ってる例は、とんでもない数にのぼると思います。その大多数は前頭葉機能低下(小ボケ)の症状である可能性が大きいです。
「パーキンソン(症候群)」という診断を受けたということで、妙に納得してしまっている小ボケの患者さんや家族は、もともと積極的な脳リハビリをやりません。そのうえに「治療ができるんだから」と安心して何もしないでいると、脳機能の低下はどんどん進んでしまいます。

京大の治験が成功したとしても、その治療が効を奏する真の「パーキンソン病」の人たちは、少ししかいないことを肝に銘じましょう。前頭葉機能低下だけの小ボケ状態なのにパーキンソン(症候群)といわれた人たちは、イキイキとした生活を取り戻して、脳の活性化を図る方が大切です。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« 8月の右脳訓練ータニタ食堂と... | トップ | 20歳代のかなひろいテスト »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

これって認知症?特殊なタイプ」カテゴリの最新記事