脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

HAWAIIーこういう生き方も

2017年12月31日 | ハワイ紀行

ラウンジでたまたまお話したご夫婦の生き方にも、ボケ予防のヒントがありました。
何年か前、短いツアーで初めていらっしゃったハワイ。タイムシェアというシステムがありますが、その説明会に出てみてひらめいたそうです。「観光でなく暮らしてみる」という言葉に惹かれたといわれます。退職なさって、時間を自由にレイアウトできるようになったときに「一年のうち一か月くらいハワイでゆっくり暮らしてみるのもいいんじゃないか」と思われたというのです。
ハワイでの生活は、まず、朝の散歩から始まります。このラグーンやワイキキビーチを「だいたい10000歩は歩きますね」とこともなくいわれました。もちろん日本でもよく歩かれるそうですが、「ハワイの風と光の中を歩くのがいいんです」この発想がいいのです!

昼間はラウンジでのんびりコーヒーを楽しんだり、「ほんとに何をするというのでもないんですよ」と言われるのですが、私達がホテル内の散策をお誘いするとすぐに乗ってくださいます。

ワイキキのホテルですから夜になるとそこここでショーがあります。私たちが必ず顔を出すOlomana(オアフ島にある山脈の名前を持つバンド。ボーカルのJerry Santosさんとはチョットしたご縁があって顔なじみです)のショーのお知らせをしておいたのです。時間になって会場のタパバーに行くと、ちゃんとみえました。

「時に何もしません」と言われますが「ノリがいい」のです。
前頭葉が、興味津々である証拠。意欲的。そして環境に適応する力が高い。
休憩時間のショットです。Jerryとは初対面ですよ。でもこのリラックスした雰囲気を見てください。

私達が帰国した後に、この写真が届きました。

ダイアモンドヘッド山頂。
行き方はいろいろあります。どういう行き方をしても、ダイアモンドヘッドは「火山活動で噴出した火山砕屑物が火口の周囲に積もり丘を形成した火山砕屑丘」。ウキぺデイアによるこの説明でわかるように、火山のふもとから頂上までは未舗装の山道を歩かないといけないのです。ここだけで往復1~2時間と言われます。
・ワイキキ発のツアー「ダイアモンドヘッドで日の出を見る」これはホテルからの送迎付き。(駐車場内まで)
・レンタカーやチャータータクシーで行く。(駐車場内まで)
・ザ・バスというオアフ島内の公共バスを使って行く。(手前のバス停まで)
ご夫妻は、この方法をとらなかったそうです。
ホテル⇔ダイアモンドヘッドを往復全部歩いたとコメントがありました。25,000歩!
写真の右側の白い高層ビルが続くところがワイキキビーチですが、そのいちばん中央に出っ張った所あたりがホテルなのです。そこから歩き始めるという意欲に乾杯。最寄りのバス停までは1時間以上かかると思います。
ダイアモンドヘッドへの行き方もいろいろありますが、生き方そのものもいろいろ。
「ハワイでゆっくり暮らす」と言われましたが、とても積極的な脳の使い方に感心しました!


HAWAII-まったく同感

2017年12月31日 | ハワイ紀行

ランチに入ったレストランでおもしろい経験をしました。

私達の食事が終わったころ、お店に入ってきたこの女性。
朗らか、オープン、明るさを周りに振りまいています。
ここは美蘭(マイラン)という、ベトナム料理のレストランです。以前に食べたことがあって、夫のお気に入り。前回は車で行ったのですが、グーグルマップで調べると、買い物に来ていたアラモアナショッピングセンターから徒歩15分。テクテク歩いて到着。目的はカニカレー。

店内はベトナム風なのか中国風なのか・・・私にはその差がよくわかりません。そのうえ、洋酒もあれば日本酒や焼酎もあります。

この店にはTakakura Roomという部屋があります。そう、高倉健さんのごひいきの店だったのです。壁には多くの著名人たちの写真が貼られていました。

食事が終りかけたときに、件のピンクレディの登場となりました。
ちょっと年配の女性と一緒に、入ってこられました。さっさと奥まで行ってオーナーとハグ。それから席に戻り、お連れの女性に「もう注文してあるから、ここはおいしいんだから、たくさん食べましょうね」と大きな声で話しかけます。

「家にこもっていたらダメよ。悩みはあっても出ないとボケちゃう!」
「出かけるとなると、ちょっとはおしゃれもするでしょ。そしたらワクワクするじゃない」
「お金は使ってナンボなの。死ぬときに持って行けるわけじゃないし。楽しく生きていかなくては!そのためにはちょっとはお金もいるものよ」
「とにかく食べなくっちゃ。食べたら、生きる力が湧いてくる」
なんて明快。ボケ予防を目指した生き方そのものを、主張していらっしゃいます。

近くでお話を聞きました。
沖縄のご出身ですが、24歳にハワイに移られたとのことで、年齢は「48歳は過ぎたんだけど…詳しいことは忘れました」と笑いながらのお返事。とてもそうは見えませんでしたが、いろんな情報をまとめると還暦は超えていらっしゃるようでした。
ブログ掲載のお願いをしたら
「一応、アクトレス(女優)志望なので、写真写りも考えないと。サングラスかけようかしら。かけちゃうとと顔が写らないし、それもねえ・・・いっそ、写らない方がいいかも」ここでまた爆笑。まったくひとり芝居を楽しませていただいているようでした。
「何だって使わないとだめなのよ。体だって、お金だって」
ここで、ようやく口をはさむことができました。
「脳だってそうですよね?!」
お名前も住所も伺いませんでしたが、大いに盛り上がりました。こういう思いがけない出会いが旅の醍醐味です。


HAWAIIークリスマスツリー

2017年12月30日 | ハワイ紀行

ハワイに行ったのは12月に入ってからでしたので、町中いたるところにクリスマスツリーが。
ふと考えました。「どんどん撮って、後で眺めたとき、どこのツリーだったかわかるかしら。ヨシ!記憶力のテストをしてみよう」
この目論見を今日来た友人に話したところ「忠男さんにも思い出してもらったら?」という提案がありました。「右脳的アプローチと左脳的アプローチの確認ね」
旅行後、写真取り込みにトラブルが起こりました。今は写真をiCloudに保存して、選択して、ダウンロードして、保存して、ブログに取り込んでという手順ですから、時系列という訳でもありません。写真を見てどこか決めるのです。
さあ、スタート。

ホノルル空港のJALラウンジの受付。波乗りサンタさん。

ホノルル空港内免税店。サンタクロースとマッチしていますが、サンタさんは人間です!いろいろポーズをとっていましたから。

ヒルトンハワイアンビレッジ トロピックス バー&グリル。

ヒルトンハワイアンビレッジ ワイキキアンの奥のコンビニの手前(店の名前は忘れました)

ヒルトンハワイアンビレッジ エレベーターに向かうコーナー。

ホテル シェラトン。正式には後にプリンセス・カイウラニがつきます。
プリンセス・カイウラニはとってもきれいなお姫様で、カラカウア王の姪にあたります。カラカウア王は世界周遊の途中1881年に来日され、明治天皇に拝謁されています。そして実は皇族山階宮との縁談を申し込んだのだそうです。(明治天皇拒否)もし実現していたら、日本とハワイの関係は、どういう展開になったのでしょうね。
国策としてハワイ移民が開始されたのは1885年。これには当然明治天皇とカラカウア王との会談が大きく影響しているといわれています。
実は、こういうハワイの歴史は、猿谷要「ハワイ王朝最後の女王」を読んで仕入れました。ハワイでは道路の名前に人名が多く使われていますから、少しでもかじっておくと面白いのです。左脳も働かせています、たまにですが。
ロイヤルハワイアンショッピングセンター。
ロイヤルハワイアンショッピングセンター。


ホテル ハレクラニ。さすがに上品なレイアウトでしたがうまく写真に撮れないのです。

中庭を囲んで全体が南国のクリスマスムードでした。

ロイヤル・ハワイアン(ピンクパレス)。メインロビー。ここは愛称通りピンクでまとめてありますが、可憐さの印象が強く迫り、全く嫌みがないことに驚きました。

ロイヤル・ハワイアン(ピンクパレス)。回廊。

ロイヤル・ハワイアン(ピンクパレス)。ジンジャークッキーで作ったピンクパレス。これはちょっとやり過ぎかも。

ホテル エンバシー・スイート。オープンエアーのロビーとお魚オーナメントがマッチしていました。

これは簡単!アラモアナショッピングセンター。海側トロリー乗り場。

アラモアナショッピングセンター3階。

アラモアナショッピングセンター メイシーズ入口。

ヒルトンハワイアンビレッジ ワイキキアンラウンジ。

ヒルトンハワイアンビレッジ ワイキキアンロビー。

ヒルトンハワイアンビレッジ ラグーンタワーロビー。

ヒルトンハワイアンビレッジ カリアタワーロビー。

ハワイ島。ヒルトンワイコロアビレッジ ヒルトンホテルロビー。

ハワイ島ヒロ。ビッグアイランドクッキー玄関。ちょっと違和感がある中国風。

ハワイ島。ヒルトンワイコロアビレッジ キングスランドロビー。素朴でハワイ島らしかったです。

ハワイ島ワイコロア クイーンズマーケット。青空にそびえる高いヤシの木とツリー。これはハワイですねえ…

ワイキキのホテルで華麗なツリーの競演を体験した後だと、素朴というより手抜きに感じてしまいました。ホノルル空港。
正直に白状しましょう。下にあげたツリーだけがモヤモヤっとしていました。
赤を基調にした飾り、ポインセチアもトータルコーディネートを意識していますよね。バックの絵画もいい雰囲気があるし。つまり結構気に入って眺めたはずなのです。なのに全体のシーンが思い出せません。
今まではツリーだけを思い出しているのではなく、そのときの行動の流れが先にあって「どこのホテルのどこにあった」というふうに思い出してきていたことがはっきりしました。

苦しい時のネット頼り。「写真にはジオタグが埋め込まれていて、調べる気になったら撮影場所も時刻も調べられる。だからネットにあげるときは注意して」と聞いたことを思い出しました。
「写真から撮影場所を調べる」で検索。Koredokoというアプリを発見、早速インストールしました。
残念!この写真にはジオタグは付いてなかった!(ついでにいろいろやってみました。ハワイの写真はハワイの地図が、近所の写真はここの地図が出るのです。当たり前ですがワクワクしました)
次の手。もともとの写真の保存場所に戻って、前後の写真をチェックしました。ホテルから歩いてロイヤル・ショッピングセンターに行く途中。それならエンバシースイートしかない。
ああ。思い出しました!横を抜けてワイキキビーチウオークに出たのでした。

後泊した成田ヒルトン。テラスレストランでお出迎え。

28枚中1枚を除き、直ちにくっきりと思い出せました!そのときどきの風や温度、感情までも。こんなにスラスラ思い出せるものかとちょっと感動的でした。まあ、そのうち忘れていくのですけどね。ここで自分で記憶力テストをしたことは記憶の定着にはちょっと役立ったかもわかりません。
左脳型アプローチを誇る夫は、誘ってみた途端「ムリムリ!形は覚えられないんだから。その気もないし」と記憶力テストには参加してくれませんでした(笑)。


HAWAIIー日の出と日没

2017年12月29日 | ハワイ紀行

古稀の記念にハワイに行ってきました。
「なんと言っても古稀だから」あちらこちら動くのではなくゆったりとハワイの光と風を楽しもうというコンセプトを、夫から提案され2週間の旅を楽しんできました。このヤシから、光と風は感じられますか?

最近はほんとに便利になっていて、Wi-Fiさえあればネットは利用可能ですから、質問にもメールで答えられるし、ブログの更新だって4回もやりましたよ!
写真をたくさん撮りましたから、少しずつまとめてアップしていきたいと思います。今回は太陽に的を絞って。
成田を夜9時に出発して、ハワイ到着は当日の朝。ポチポチは氷です。

今回はハワイ島がメインでした。
宿は、ハワイ島の北西部、ワイコロアでしたから、朝日はマウナケアから昇ってきます。環太平洋の最高峰マウナケア、4205m。このなだらかな丘のような山がマウナケアです。

これもマウナケアの日の出ですが、別の日にほんのちょっと時間と場所を変えたものです。

山頂に世界11か国の天文台があるのは、環太平洋の最高地点ということもあるのですが、何よりも空気が澄んでいるからだと聞いたことがあります。マウナケアの頂上が白く光っているのが見えるでしょうか?これが天文台。夕日を受けて輝いています。(実は天気がよければいつでも見えます)

ワイコロア地区にあるビーチ、アナエホオマルの夕日。ハワイ島のビーチは、例えホテル内であってもパブリックアクセスというのがあります。駐車場もあり、だれでもビーチまで行けるしシャワーもあるので、夕方から遊びに行く人たちもたくさんいるようです。ステートパーク(州立公園)もいくつもあります。

ひっそりとした海岸のようですが、実は夕日を見る人でいっぱい(笑)

全く写真は切り取り方でどうにでもなるものですね。「もうすぐ、もうすぐ」と心はやってます。

ハワイ島の後には、ホノルルのあるオアフ島へ移動しました。

ハワイ諸島は火山列島。北のカウアイ島から順番に海底火山が噴火して形成されました。
ハワイ島には山が4座見えます。一番北がコハラ。その右斜め下がマウナケア(白い山、環太平洋最高峰、4205m)。さらにその下がマウナロア(長い山、世界最大の火山、4169m)マウナケアとマウナロアの間にある小さな山がファラライ(ここの山腹にコナコーヒーの産地があります)マウナロアの南部にあるキラウエアだけが活火山として有名ですが、実はマウナロアも活火山なのです。そしてハワイ島のさらに南の海中に海底火山ロイヒがすでに確認されているそうです。
眼下にマウイ島が見えました。

目で見た感じは、日の出と日の入りにはっきり差があると思うのですが、写真に撮ってみるとどちらと言ってもそう問題はないような(笑)
これは夕日ですよ。
高層ビルの横にあるのはデューク・カハナモク・ラグーン。ラグーンの左からワイキキビーチが広がります。ワイキキビーチの西端になります。

多くの日本人はオアフ島に行って、ワイキキビーチとお買い物というコースが多いそうですが、自然を満喫したかったらハワイ島でしょう。
でも、たしかにこの景色も、ハワイのイメージピッタリではありますね。

日の出や日の入りの写真を撮ろうと、何度か挑戦しました。本当に微妙なものだということがわかりました。
雲が全くないと色の変化が足りない。雲があり過ぎると、当然のことながらお日様がはっきりしない。こんな当たり前のことでも自分が実際にやってみることで、前頭葉が納得します。
一番気に入った写真です。





大切なむかし話

2017年12月24日 | 正常から認知症への移り変わり

友人から連絡がありました。「どうも母が小ボケっぽい…」
先日のこの投稿(脳機能でいうと小ボケって)を読んで、だんだん確信的になったようです。
旅の途中でしたから、その記事では手書きのグラフで説明していましたので、元のグラフをアップします。

そして、このグラフのもともとのデータに立ち戻ってみようと思いたちました。調べてみたら、このフィールドワークは1992年を中心に実施したものでした。
60歳代64名 70歳代107名 80歳代54名 90歳代6名計231名(地域高齢者総数303名の76.5%)
実はそれに先立つ5年前、静岡県のある山村で、脳機能検査を用いた集団検診を行いました。そこでかなひろいテスト不合格群でMMS15点以上の人たち(小ボケ・中ボケ群)53名に対して重点的に、5年間認知症予防のために健康教室や保健師さんの家庭訪問などを実施し続けました。そのあたりのことは日本医事新報に何度かにわたってレポートしました。


この人たちへの認知症改善の要点は
「生活意欲を失い始めた高齢者に対する家族ぐるみ、地域ぐるみの交際交友の促進」
「生きがい発見のためのゲームスポーツなどの普及」
「足腰の鍛錬などの症例」でした。薬ではなく、脳機能に基づいた単なる生活改善指導だったのです。
そして5年後。小ボケと中ボケ群の変化はこうなっていました。(前痴呆=小ボケ、軽症痴呆=中ボケと同意です)


未確認例4例となっていますが、その内訳は、数回家庭訪問をしたのですがいつも山仕事に出かけていた方1名。この方は自立できていることは確実でした。入院中の上重体で帰宅がかなわない方1名、住所はあるのにこの地区に住んではいない方(多分町に住んでいる子供に引き取られた?)2名でした。この3人は悪化群だったかもわかりません。
つまり実質的には全数のフォローができているのです。
考えてみれば、この前人未到の5年間にわたるフィールドワークこそ、私の仕事の基礎を形作ったものだと思えます。この地区には数十回通いました…

小ボケの方のお顔が浮かびます。この方たちは、世の中で通用している脳機能検査をしても合格するのですよ。日本語は70年以上も使い続けていますから、それなりのことをちゃんと言われます。家庭生活もだいたいこなせるのですが、いったん家の外、例えば老人会、自治会等では、とても付いていけません。前頭葉の注意分配力を発揮して状況判断や発想力が必須の状況では対応できないのです。

中ボケから見事にカムバックされた方は、家族の熱心な働きかけがありました。
このレベルは時の見当識があいまいになって、脳機能の低下が後半領域にも及んできた結果、家庭生活でもきちんと仕事ができません。このレベルでも話すことはそれなりに「普通」。だから家族は話をきくとボケていないとしか思えず、やっていることを見ると入浴、着衣、トイレ、食事、掃除、片付けetcどこか変。やっぱりボケなのかとあたふた。嫌味でやっているのではないかと疑う家族すらいます。

ついでですから、大ボケは脳機能から言うと脳の後半領域の機能にも大きな機能低下が起きてしまっています。

かなひろいテストはほとんど0点になってしまっていることがわかるでしょう。
世の中はこのあたりから「ボケた」と言い始める訳ですから、いかに手遅れの認知症に対して右往左往しているのかわかりやすいと思います。このレベルになってからは改善はほとんど見込めません。強力に働きかけても維持が精いっぱいでしょうか。
早い段階で生活改善に取り掛かることができると、5年後の有効率は80%を超えるという事実!
この事実を自信に、各市町村での取り組みの指導につながっていったのでした。

以下フロク

よく見るといろいろ興味深いことが見えてきます。
MMSが30点満点でも、かなひろいテストがはっきりと不合格の人がいます。初めてこういうケースにあたると、いくら勉強していても、頭の中が疑問符いっぱいになってしまうようで、何度も質問が来ました。
MMS 得点が低下していくにつれて、かなひろいテストの成績が不合格の範囲内でもより低下していきます。大ボケレベルになると、ほとんど0点です。
MMSとかなひろいでレベル分けをした時に、見事に区分けができることは驚異的なレベルではないでしょうか。プロットは4つずれていますが、実数は6人でした。脳卒中後遺症の方、側頭葉性健忘の方、精神科受診中の方などがこの区分け法で外れる方たちでした。

認知症の早期受診―友人への返事

右脳と左脳は得意分野が違う-その3 (最後に正常から認知症への移り変わりの症状解説があります)






12月の右脳訓練ーホテルニューオータニでデート

2017年12月13日 | 私の右脳ライフ
ちょっと前のことですが。
私たち夫婦で、東京のホテルニューオータニに行く用事がありました。私は東京にいましたので、夫婦は別行動、現地集合ということにしました。

半世紀以上も前、上京したときにはこのホテルはもうありました。そしてもちろん回転ラウンジは回転してました。観光名所だったので、学生時代に行ったことはありましたが、それからはご縁がなくて…
調べてみたら、1964年創業、つまり「前」の東京オリンピックに向けて建てられたのです。
上京したのが、1966年、卒業したのが1970年。大阪万博の年でした。考えると日本に勢いがあった時代でした。
「この際、いつも気になっている日本庭園を見てみましょう」と約束時間の1時間前にホテルに到着するように移動しました。一応ネット検索はして行きましたが、改めて人に尋ねる方がわかりやすいと実感しました。

ちょうど暮れなずむタイミングでしたから、タワー棟に夕日があたって、都会の雰囲気を醸し出していました。今のうちに散策しなくてはと、ちょっと焦ります。

ここは江戸末期には井伊家下屋敷跡。ホテルですからきれいに手入れされていましたが、ちょっと鬱蒼としたところもありました。紀州徳川家と尾張徳川家があったので、紀尾井坂。敷地の下には江戸城外堀が現存。釣り堀になってました。
大名屋敷ですから池はお約束ですね。

池の向こうに宴会場部分が見えるのが、素敵といえば素敵なところでしょう。

有名な料亭なだ万は、お茶室もあるのではと思われる佇まいの離れ形式の建物で、早くも灯がともされて、客を待つ風情でした。

ここの日本庭園は滝が有名です。

横にも小さな滝が。庭園内の紅葉に目をやる人は多いでしょうが、ここの十月桜がチラホラとほころんでいることに気づく人は稀かもしれませんね。

紅葉も綺麗でしたよ。夕方でしたから、色がきれいに出ませんでした。

待ち合わせ場所に移動する頃になると、ライトアップが始まりました。

小一時間の散歩を満喫して、建物内の待ち合わせ場所に珍しく早めに到着しました。大体は、just on time なんです。だって イロイロやりたいことや見たいことがたくさんなんですもの。もちろん遅れるのは嫌ですが。こんな都会的なクリスマス飾りの前で待ちました。

ところで、夫の行動パターンは私と全く違います。一つの目的があると、それを間違いなく遂行したい。文字通り脇目も振らずに、集中します。
とても早めに家を出て、ホテルに直行。もちろんjust in time ではありますが、その割りには到着時間が遅かったような気がします。多分東京駅か赤坂見附駅でちょっとした「事件」が発生したのではと思います。けれども、そこは武士の情け(大名屋敷跡ですから)で不問に付しておきました。
私たち夫婦は、左脳ベースの夫に右脳ベースの私と言われますが、デートが成立するまでの過程を考えるとやっぱり前頭葉が違うのですね。状況を判断して見通しを立てて行動を決定するのは前頭葉の大切な役目です。人それぞれ、十人十色です!


脳機能でいうと、小ボケって?

2017年12月09日 | 二段階方式って?
とても喜ばしいのですが、ちょっと面白い報告が届きました。

「6ヶ月間のプログラムで認知症予防教室をやりました」という報告です。
エイジングライフ研究所が指導する場合は、教室開始時と終了時に脳機能検査を実施するのはお約束。
今、原文が見つかりませんが、趣旨は以下の通りでした。
「前頭葉機能が落ちていても、MMSの成績がいい人たちは教室にもちゃんと継続的に参加されるし、脳機能もよくなっていくということが、よくわかりました」
(探し出せました。原文は「前頭葉機能が低下していてもMMSが落ちていなければ(軽度の状態)脱落しにくく、継続参加し維持・向上につながることを実感しました」)

どこも間違っているわけではありませんが、なんだかちょっと引っかかるところがあって読み返してしまいました。
あのね。
世の中の脳機能検査は、脳の後半領域を調べるテストばかりです。
それでは、小ボケは見つけられません。小ボケというのは脳の後半領域の働きはまだ正常域なのですが、前頭葉機能だけが異常になっている、正確にいうと、誰にでもある正常老化を超えた異常老化が起きている状態なのです。
「世の中で使われているMMSをはじめとする普通の認知機能テストでは合格するのに、前頭葉機能を実施してみたら不合格になる」と考えた方が分かりやすくはないですか?

この写真の斜線部分に注目してください。
世の中で広く使われているテストは、MMSをはじめとして脳の後半領域しか調べることができません。
MMSの場合は、30点満点で24点以上は世界的に正常域となっています。
もし前頭葉テストを実施しなかったら、MMS24点以上の得点があれば、脳機能テスト合格、認知機能に問題なし、正常!になるのです。
前頭葉テストをしてみると、最初の頃はびっくりしたでしょう?MMSが満点でもかなひろいテストが不合格になる人たちがいて。
前頭葉テストをしなければ、この人たちを見つけることができません。
前頭葉テストの重要性が、世の中に定着したら、この報告のように「認知症の重症度を決めるには、前頭葉テストが不合格が前提。脳の後半領域のレベルにより重症度が決まる」と言っても何の間違いもないんですよ。
この言い方をすれば、「前頭葉機能が不合格、MMSが合格の人」が小ボケですね。

この人たちは日常生活の支障はほとんどありませんが、社会生活には支障が起きてくるレベルです。そして、自分の脳機能の異常に気づいています。
きちんと生活指導をしてあげれば、元に戻ることは簡単です。
この人たちを見つけて適切な指導ができるようにならないと後追いになってしまいます。

もう一度私の返事を載せておきます。結論はこの解説があってもなくてもどこも変わりませんが。
「その通りです。小ボケの人は改善しますよね!
世間でボケは治らないと言っているのは、小ボケの存在そのものを知らないからですよ。
正常に近いほど予防活動の成果が出やすいのは、他の生活習慣病の一次予防とおなじです」

0点と1点の間

2017年12月07日 | 二段階方式って?
エイジングライフ研究所の二段階方式では、認知症を脳機能から理解します。
(普通は症状から理解するのです。)今日の写真は北九州市響灘緑地で撮ったものです。

その人の行動を決めるベースは、どう考えても脳機能です。ところが周りの環境、特に人間関係によって症状がより悪く出てしまうことは、容易に想像できますね。
今日の報告は、私たちの二段階方式を学んだ保健師さんが、実のお母さんを「脳機能から理解する」というアプローチでここ2〜3年み続けて来た記録です。

お母さんは長女夫婦と同居していました。お父さんが亡くなって一人暮らしをしていましたが、軽い虚血発作を起こし、87歳という高齢も理由に同居が始まったのです。娘と住むのは結構理想的と言われるのですが、長女の夫にあたる人が、一言で言えば厳しい人。
例えば、「転んだら本人は骨折でひどい目にあうし、家族は介護が大変。いずれにしても困るから一人で外出はしないように」そこはまあ、納得するにしても、お母さんの大きな生き甲斐であった花や野菜作りも「いらないことして転んだらどうする」「そんなものは買っても大したものじゃない」「年寄りを働かせてと言われたら顔が潰れる」

お部屋での生活も、細々した注意が短冊に書かれていて、次女である保健師さんがみてもうんざりするような有様だったそうです。
とにかく認知症を寄せ付けない、つまり自分らしく生き生きと楽しく生活するということからかけ離れた生活実態だったわけです。普通の人が見ても、聞いても「これはマズイ」という状況ですね。
その危険性を十二分に理解していた保健師さんは、心配で心配で、というたまらない日々を過ごしたのです。それで、どういう行動をとったでしょうか?

少しは説明して頼んで見るのです、お姉さんに。でもお婿さんは一言のもとにはねつけます。
「何かあったら、責任を取るのは我々だから、横から口を挟まないでくれ」
私はいつも生活指導をする時に、「同居していない家族は、手を出すか、お金を出すか。口だけ出すのは止めること」といいます。これは同居家族がソコソコ正しい対応をしている時という条件が必要ですね。次女の方は保健師という専門職であるがゆえに、かえって口を開きにくくしたという事情もあったようです。

お母さんの顔を見に行きたい!のになかなかお婿さんの目が気になって会いに行くこともできない。今のお母さんの生活は脳にとっていい状態のはずはない。実際、たまに会ってみると、小ボケから少し進んで中ボケが見え始めて来るレベル。次女の保健師さんはジレンマに苦しんだことでしょう。
いくつかの「事件」があったことだろうと思うのです。
「たまたま、割合に行きやすところにあるグループホームに入所することになりました」という連絡がありました。今年の4月のことです。
私「どのくらい(の脳機能レベル)の方達がいらっしゃるのでしょね。重度の方ばかりでないと、もともと人好きのお母さんだから、きっと楽しいと思われるでしょうね。万一重い方ばかりだとしても、お母さんがまだまだ、いろいろできるレベルだから、そのことをスタッフの方にわかっていただくと、新しい生活が始まるはず。お婿さんに監視されているような状態よりずっと可能性が広がったんじゃないですか」と、嬉しくなって返事をしました。
保健師さんからは、それでもこれが一番いい選択かどうか自信がないニュアンスが感じられます。
地方に住むと、お年寄りは家族に見守られて自宅で住むのが一番という考えがまだまだ強いようです。よほどボケが進んだ場合は入所の選択もありますが。

保健師さんからいただいたメールです。
「母がグループホームに入所して1か月が過ぎました。
おかげさまで、母は施設にも少し慣れ、対応し甲斐のある状態で、本当に喜んでいます。
入所したばかりの頃は、姉たちが「もう一生家には帰れない」というようなことを言ったようで、ふてくされたような暗い顔をして、時々涙していました。
母がそう言うので、いつでも外出・外泊できることを何度も話してやったら、安心したようです。
最近は、目が少しシャンとしてきて、笑顔も増えました。
月がわからなくなりかけていたのが、最近は少し安定してきました。月の変わり目はわかりにくかったですが、概ね正解で、連休もわかっています。自信はなさそうに言いますが・・・。

子や孫たちやが訪ねてくれたのも覚えていました。
また、義兄ががんの手術をしたのですが、そのことも話題にすると、「前立腺がんだったかいね?」と正しいことを言います。
会話がスムースに進むのでうれしくなります。

体力的にも、歩きぶりがよくなり、入浴も声掛け見守りで、浴槽もまたいで入るそうですし、自分で洗えるところは洗うそうです。
食事もゆっくりですが完食で、間食も出る分はいただいています。
入浴も毎日、歯磨きも毎食後、紙パンツも今は布パンツに尿取りパットで、尿臭もなくなり心配していた清潔面が改善していいことづくめです。

施設内では、食器やお盆拭き、お茶注ぎ、タオルたたみなどを手伝っています。
もう少し落ち着いたら、もう少し頭を使うような内容の役割を考えてもらおうと思っています。

連休はなかなか面会に行けませんでしたが、刺激がいっぱいの中で過ごしていると思うとこちらのストレスもずいぶん少なく、天気も良かったので私も思うことをさせてもらいました。」

保健師さんのきもちがよく伝わってきますねえ…

さて今日のテーマです。
エイジングライフ研究所では、脳機能検査は厳密な手法をとって行うことがまず絶対的な前提で、その結果の評価もまた厳密に決められています。
入所直前の検査のうち、お母さんが書かれたものです。

そして入所して約3ヶ月たった時のもの。

厳密に評価すると、脳機能検査としては「変化なし」となります。
ただよくよく結果(脳機能がどのように働いたか)を検討して見ましょう。
用紙の使い方が広くなったことは、活動性が上がったこととまさに関連していると思います。そして一番わかりやすのは、立方体透視図の模写がほんとに今一歩のところまで来たことでしょう。
文章も長く複雑になっています。
見落としがちなことは、日付です。初回は手も足も出ない状態ですね。2回目は29年8月4日を26年7月6日という間違いで、本当にこれも今一歩。第一自発的に書いてくれました。

エイジングライフ研究所の二段階方式では、脳機能を厳密に点数化するのです。
そうなのですが。
今回のように 、生活面では十分に改善がわかる時に、厳密に評価すると「維持」になってしまうこともあります。大体は3ヶ月くらいで脳機能が改善または低下することが原則ですが、多少のズレは当然考えておくべきです。
0点と1点だけしかないのではなく、その間にも目を配りましょう。

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