脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

たった一字から右脳障害を疑う

2017年09月29日 | 右脳の働き

(2009年3月18日の投稿です。保健師さんからの質問に対応させて再掲載します)
今日初めて葉ランの花を見ました。 
直径3センチくらい。おしゃれな渋い紫色でした。つぼみは、文字通りおちょぼ口みたいにつぼんでいます。開いた花は、水滴の高速度写真みたいで、ほめ言葉を使えば王冠みたいでしょうか。そんなに珍しいものではないそうですが、葉ランはとてもよく茂るし、根元に枯葉がたまることも多いので、花がついても隠れてしまって気が付いてもらえないということらしいです。
葉ランの花は、どんな場所に咲くのかを知っておくと探しやすいと思いませんか?

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見えるようになると、あそこにも、ここにも、という調子でたくさん見つかりますよ。
軽い失語症や右脳障害の後遺症も、そんなに珍しいものではありませんが、やっぱり見つけてもらいにくいものの一つでしょう。

脳卒中を起こして入院。全く後遺症の説明を受けないままに、退院。
「なんだか変になった」
「耳が遠くなったみたい」
「ボケちゃったのかな」
といわれている方もたくさんいるのです。

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二段階方式の検査のうち、MMSは簡便ですが失語症のような脳の器質障害を見つけることが得意です。

N県O町のI保健師さんのケースです。 
「時の見当識」は満点。
「計算」満点。「想起」すら2/3とすらすらと検査が進んでいったのに、「文を書く」に至ってブレーキ!
「何を書くのか・・・」とためらい、どうしても書けない。

「文を書く」は「自発的に文章を思いついてそれを書くという能力」を調べていますから、どうしても書けない時点で、得点は0になります。それでこの項目の検査目的は達して終了してもいいような気がしませんか?
でも、I保健師さんはもっと丁寧にチェックしてくれました。「なぜ、このように書けないのか?ふつうに脳の老化が加速しただけではこんなことは起きない。書けるはずだ」と思ってずいぶん励ましたそうですが、ほんとに書けないようなので「はなしをきいてる」と言って、耳で聞いた文を書くように促してあげたそうです。
それでも書けないので「はなしをきいてる」と書いて書き取りをするように指示したところ、ようやく書いたのですが、「を」が不完全ですね。つまりこの人は「(字をきちんと)書けない」のです。


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「聞き取り」つまり「聞いて、書く」という脳の能力はどうなっているのか?
もともと、ここに至るまでテストがスムーズに実施できたのですから、当然聞き取れているはずです。「はなしをきいている」と言っても書けないということは、聞き取れないのではなく「書けない」と考えるべきです。

それでは「書き取り」つまり「見て、書く」という脳の能力は?ようやくできるが完全ではない。
「はなしをしている」と書こうとしたのですが、字の形が整わなかったのですね。
MMSのうちのたった一つの下位項目(この場合は「文を書く」)からこの人の脳の器質障害(たぶん右脳)を推定することができます。他に失語症の症状がないので、右脳障害(失行が起きて字の形がとれない。ただし8文字中1字のみなのでごく軽い障害がある)状態だと考えるのです。
五角形相貫図もやや形が整っていません。
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私たちは医者ではありませんから、病名は必要ないのです。
このケースの場合、まず「文章を思いついて書くということ」ができないことが分かります。
そして「聞き取り」がむずかしいことから「思いつけないから書けない」のではなく、多分思いついているでしょうが、そして聞き取れてもいるでしょうが、とにかく「書けない」ことがわかります。
次に「書き取り」の成績から軽い「失書」があることがはっきりしました。

その通りに生活指導してあげることが大切なのです。 
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もちろん、普通に脳の老化が加速されたタイプではありませんから専門医受診を勧めるのは、二段階方式の鉄則です。

生活歴の聞き取りの中から、興味深いことがわかりました。
「2~3年前、運転中に事故を起こしそれから眼が悪くなり左寄りになってきたため運転をやめた」
右脳障害による後遺症を、強く想定させます・・・

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小布施講演会の余波が続きます

2017年09月28日 | 認知症予防講演会

小布施講演会ー若返りは脳が決め手!で小布施での講演会報告をしました。
その最後に岩井茂松さんご夫妻の写真を掲げておきましたが、その岩井さんの記事が掲載されている「人生、これから 秋号」という雑誌が手に入りました。岩井さんは88歳でした!

この雑誌は、長野市にあるアスクという会社が発行しています。HPを拝見すると「私たちは、暮らしの中で出会う人々や、その人々が日々営む事業や活動に良い影響を与えつつ、共に生きるパートナーとなって、互いに生かし合い支え合う、生きがいのあるコミュニティーのコーディネーターです」と自己紹介されていました。
表紙からもうかがえるように多方面にわたって、高齢者が健康に生きるための情報が盛り込まれています。
さて、岩井茂松さんの記事です。(アスク制作部の許可をいただいて掲載します)

ぴんころ地蔵やボケ封じ観音などは全国に見られるものですが、どこかのお寺に安置してあって、「ボケたくない人、拝みましょう」という印象が強く、「ここでお参りするよりも、もっと自分らしい楽しみを積極的に見つけたほうがボケ予防になるのに」と苦笑するのが常でした。
岩井さんの考え方は、さすがに小布施町で一番最初に脳のリフレッシュ教室を立ち上げた山王島地区の会長さんだけあって、ちょっと違います。岩井さんが話されたことを中心に記事から抜粋します。
「『3年前、佐久のぴんころ地蔵さんに参拝に行った際、近くにもこのようなお地蔵さんがあれば…と思ったのが始まりです』
『年寄りになると、健康で、人様の手を煩わせることなく長生きしたいと願いは一つ。散歩の途中や畑の行き帰りに、気軽にお参りできる健康長寿地蔵があれば、地域の皆さんの心のよりどころになるはず』そこで地区の老人会に『長寿講を立ち上げて、地蔵尊を建立したい』と提案。
区民だけでなく町内外から寄付が集まり今年の3月27日、お魂入れが行われました。」

ここまでで、私は小布施町の「脳のリフレッシュ教室」にかかわることができたしあわせを十分に感じていました。なぜなら、この山王島にお祀りされたぴんころ地蔵さんは、そこにあるお地蔵さんに手を合わせるといういわばあなた任せのものではなく、地域の皆さんが思いを一つにして自分たちの手で建立したものです。お寺さんでもなく企業でもなくもちろん行政の力でもなく、発起人は山王島地区の7名。そして皆さんが協力してぴんころ地蔵さん建立が実現したわけです。こういう積極的な、前向きな生き方こそが認知症予防そのものなのですから。地域が一体になったというところにとても惹かれました。
何度も伺ううちに、ほんとに親戚のように親しくなった小布施町の方々…岩井さんはボケない生き方がどういうものなのかを深く理解してくださっているのですね。
この次のお話に私はさらに感動しました。岩井さんのお話はさらに続きます。
「地元の方はもとより、近隣市町村からもお参りに来られる方が増えていて嬉しいですね。今後は、上屋を立てたり、ちょっと休めるようなベンチも置いて、皆さんに愛していただけたらと願っています」
どこかに祀られているぴんころ地蔵さんにお参りするのと、脳の使い方が全く違うことがわかっていただけますか?
「人生、これから」の記事は続けて岩井さんの日常生活を紹介してくださってます。
りんご畑の仕事
仕事がない時は1日4km歩くこと
寄付をしていただいた方々への返礼にお地蔵さんの水墨画短冊を夢中で描いていること。
趣味の水墨画!
2009年には
岩井さん80歳記念の個展をなさいましたよね。2009年5月の私の記事です。
岩井さんおめでとうございます

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「いくつになっても社会とのかかわりを持ち続ける事は、健康長寿の秘訣の一つなのかもしれません」とこの記事はまとめられていました。
小布施町の高齢者の皆さんなら、きっとこういうでしょう。
「こういうことが『脳の健康』を守る秘訣だな。つまりこういうふうに生きていれば三頭建馬車の御者の前頭葉は元気でいられるから、ボケとは無縁」
そう!
「ボケずに長生きしたいなら、体の健康だけでなく脳の健康」にも注意しなくてはいけません。「体の健康・脳の健康」ともに守り抜こうと思ってらっしゃいますよね。

やはりブログでご紹介した林・中扇地区脳のリフレッシュ教室10周年記念お茶会の余波もありました。
中扇のH間さんから、写真をお送りしたお礼にと絵手紙が届きました。

コスモスは楚々として可憐な印象が強い花ですが、茎を見るとその根元のたくましさに圧倒されます。楽しく、たくましく、仲間と笑いあいながらお過ごしください。
去年の絵手紙もご紹介。「夢」という言葉も「絆」という言葉もやさしさがある。そして「いさぎよく」という言葉は何だか元気が出そうです。どうぞ皆様お元気で。

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9月の右脳訓練ー朝倉彫塑館

2017年09月25日 | 私の右脳ライフ

台東区谷中、朝倉彫塑館。

彫刻家朝倉文夫の邸宅兼アトリエです。一巡すると朝倉文夫の彫刻に対する姿勢や自然観などが、説明なしでもわかるような気がします。
1907(明治40)年24歳で着工し、増改築を繰り返し現在の形になったのが1935(昭和10)年と説明にありました。あちらこちらにこだわりの感じられる、建物としてだけ見ても素晴らしいものです。国指定名勝・国登録有形文化財です。
邸宅の方は、門から玄関へ至る空間に純和風の趣がありました。

館内は撮影禁止ですから、興味ある方は行っていただくしかありません。
一階のアトリエは自然な採光で心地よく、天井高が8.5メートルもあるうえに、一部分は電動昇降台が組み込まれていました。これらの工夫からは、対象を観察したうえにもさらに観察することを重視し、細部にわたって表現を極める卓越した技量を磨くことを自分に課したであろうということが伝わってきました。ここは教育の場でもありましたから、その師の姿勢は門下生を薫陶したことと思います。
館内は「猫百態」というテーマに沿って、多くの猫の彫刻が展示されていました。実に猫らしい仕草の数々、その観察の細かさに驚きました。

玄関わきには、群像が飾られていました。何を求めているのでしょうね。

アトリエに続く部屋は「書棚は建物の壁のようにする」理念が実現されていました。どの壁面も天井まで書棚!
そしてその次に続くのは住居部門でしたが、中庭全体が大きな池で、石組にもこだわりがあったとか。

住居部分の三階は、朝暘の間と言われる贅を尽くした客間でした。使われている建材も座卓も見事なものでしたが、時代を感じさせない斬新なデザインです。シックな赤い色調の珊瑚壁や、見る方向によってはひっそりと輝く白い貝壁。まったくおしゃれなお部屋でした。

自然の観察を重視した朝倉文夫は、屋上に菜園を作っていました。今、その屋上からはスカイツリーが思いのほか大きく見えました。
一番最初の写真、屋上に彫刻があるのですが。ウォーナー博士像が谷中の町を見守っているのだそうですよ。
谷中散歩を一緒に楽しんでくださった西村知子さん。ほんとうにありがとうございました。また今度を楽しみにしています。

 



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9月の右脳訓練ー谷中散歩

2017年09月24日 | 私の右脳ライフ

日暮里の友人宅に一泊させてもらいました。
翌朝「朝ごはんに、おいしい卵サンドを食べに行きましょう」と誘ってくれて勇躍出発!

どこか昭和を通り越して江戸の雰囲気まで感じられるような、でもイキイキと生活感も感じられるようなちょっと不思議な道を進んでいきました。
「ちょっと、出遅れちゃった…」
谷中墓地を通り過ぎた先に、人が並んでいる店が見えました。こんなに並んではいなかったのですが、それでも10分以上は待ったような(笑)

ここがカヤバ珈琲。知る人ぞ知る名店。
店の手前の道を自動車の進行方向に行くと、すぐに東京藝大、東京国立博物館ですって!そういう説明を聞くだけでも、「おお、今、谷中散歩してる」とワクワクする私(笑)
昭和の建物を生かしてカフェをやっているという訳ですが、私が育った家の感じにちょっと似ています。ここと同じように二面が道路に面していました。家の中に中庭、そこに泉水があって、使ってはいませんでしたが屋上にお茶室もあったのです。物心がついたときにはもうすでに古めいていましたから「昭和13年に開業」というフレーズを発見して、同じころ建てられた家かと思ったのですが、建ったのは大正5年とか。「ものを見る」ことからつぎつぎに興味が深まっていくこともあるのですね。

靴を脱いで、二階に案内されました。普通の家の二階に通されたような感じです。

5卓くらい、いろんな形のテーブルがありました。隣にあったこの丸いテーブルでは外国の方がゆっくりしていました。
私たちも並んでようやく入店したのですが、フワフワのサンドイッチを食べ、独特の風味のコーヒーを頂きながら、友とあれこれとおしゃべりしていると、並んでいる人たちのことをすっかり忘れてしまってました。
これを注意分配力の低下と反省することもできますが、この昔懐かしいお部屋の魅力だったと言い訳をさせてもらったら、それを感じ取れるだけの感性あり!と言えるかもしれません。
卵サンドが有名なんですって。もちろんおいしくいただきました!

そこから、来た道を戻りました。行きには全く気付きませんでしたがお寺の多いこと。寺町と言われていることを教えてもらいました。駒込ー千駄木―本郷と歩いたときにもお寺がたくさんあり、その謂れはそれぞれ江戸時代までさかのぼります。たしかに江戸時代からここは町だったと感心したことを思い出しました。
この小路に朝倉彫塑館があり、見学しましたので別にまとめましょう。
お寺のたくさんある小路を抜けて左に曲がってちょっと進むと、なんだか人がたくさんいます。
その先に階段発見。
「もしかして、これが夕焼けだんだん?」とちょっと興奮気味の私。友人は笑いながら肯きます。

「エーッ。こんなに緩やかな小さな階段だったんだ!」
「夕焼けだんだん」という言葉からできあがっていた私のイメージは、大きく崩れましたが、降りていくのは楽でした。
降りた先から左右にお店が連なっています。ここが谷中銀座。
階段を下りたすぐ右にあるこのお店は、どちらかというと観光客のためのお店のようでしたが、全体的には観光客相手というより生活感のある商店街の印象の方が強かったです。

そうはいっても、何しろ観光客はいるわけですから、観光客をひきつける工夫は随所にありました。おしゃれな看板です。

谷中銀座散策には、実は目的がありました。
二人の共通の友人イラストレーター伊藤ちづるさんデザインのがま口バッグ展が、谷中銀座の真ん中のかわいいギャラリーで開催中だったのです。

猫好きなお友達のために一つ購入。

昼食も谷中銀座でいただいて、おしゃれな街灯を見上げながら、富士見坂を上って、友人宅へ帰りつきました。お天気に恵まれた楽しい谷中散歩でした。








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小布施町講演会ー若返りは、脳が決め手!(認知症は防げる・治せる)

2017年09月20日 | 認知症予防講演会

小布施町にはもう10年以上も通っています。
今回初めて「演題を変更してもいいですか?」との打診がありました。「若返りは、脳が決め手!」そしていつもの演題「認知症は防げる治せる」を副題にということでしたから「問題はありません」と答えながら、添付されているチラシ原稿に目をやると、おしゃれなレイアウトでしたからまず感心。そして写真を見てびっくり!20年位前の写真が使われていました。
「じゃあ、写真の言い訳をしながらテーマに沿って話すことにしましょう」

30年も前になるのですが、講演を始めたころは、同じ講演にならないように気を配ったものです。順番を変えたり、エピソードを変えたりだけでなく、講演の骨子も変えていました。歌手の大津美子さんは私の友人なのですが、ある時とても素朴に「本当に一番いいものって、いろいろあるものなの?初めてボケのことを聞く人にわかりやすく話すんでしょ?何だか決まってるような気もするけど」と言われました。
文字通り目からうろこ。同じことを話すというのは、そうですね、何だかちょっと恥ずかしいものがあります。だから自分中心に考えて毎回違う講演をしていたような気がしてきました。認知症の90%を占めるアルツハイマー型認知症の予防や改善について話すのですから、流れがあります。
 認知症は一夜にして完成しない。
 脳機能の説明。
 前頭葉にも、他のからだの部分と同じように老化がある。
 何らかのきっかけで生活がナイナイ尽くしになったときに、老化が加速する。
 そして小ボケ・中ボケ・大ボケと進行する。
 認知症三段階の説明。
 改善法。
 認知症予防教室。
 財政的なこと。

今回は全く変えてみました。
「脳機能にも老化がある」ということは、体力、聴視力、骨や筋肉、内臓機能が年齢とともに老化が進むのと、もっとわかりやすくいえば、見た目が年齢に沿って変化するのと同様というところから話すことにしました。小布施は何十回も講演に行っていて、お顔なじみの方々も多いし、なんだかふるさとのような気持ちもあってこんなスライドを作ってみました。

「20年も前の写真を使って詐欺っぽくてごめんなさい」と言ったら、会場からは笑いがこぼれました。
いまテレビで結構有名な連続ドラマ「やすらぎの郷」。芸能界で生活してきた人たちだけの老人ホームでのお話。出演者が実物の俳優とオーバーラップする興味も計算ずくでしょうし、舞台が近所の川奈ホテルというおまけまでついていますから、私も時々見るのです。先日は川奈ホテルに行ってみたら大きなポスターがありました。それも使用。
いくら若く見えるにしても、相変わらず美人であっても、取った歳は取った歳。老化曲線は免れません。(左半分は各写真に対応した年齢)

舞台の一つ、川奈ホテル。

たとえ美男美女で一世を風靡した俳優であっても、例外はありません。俳優ですから、若々しくあるための工夫や節制はもちろんしているでしょうが、若い時よりも齢をとって見えることは否定できないでしょう。
このように「見た目」が齢とともに老化を加えていくように、体力、骨塩量、筋肉量、視力聴力、内臓機能、免疫力などなど、私たちの体に例外はなく老化の一途をたどります。それは脳力であっても、です。

ここで大切なことを確認しておきましょう。
測れるものが加齢とともに低下していくという事実は、人としての価値がさがっていくことを意味しているのではありません!若い時と比べてしわが増え、しみが増え「見た目」が歳とったとしても、私が生きた歳月は私を育ててくれました。かけがえのない体験を重ねることができました…

実は脳が若々しい人は見た目も若いのです。私がお会いして、脳機能検査までしたかくしゃく超百歳の方々です。


実は、もう25年以上も前の話ですが、きんさんぎんさんのデビューの1年前。超百歳老人の調査をしました。

東京・神奈川・静岡・愛知の超百歳老人819人を対象にした調査でした。ちなみにこの1991年、超百歳老人は全国では3,625人。つい先日発表された2017年は67,824人でしたね。これだけの高齢社会なのですから、かくしゃくと生き抜いて来られた方たちの生き方を学ぶ意味は大いにあるでしょう。
かくしゃくというのは脳が同年齢の人たちに比べて若いレベルを保っているということです。そのとき年齢よりもはるかに若く見えます。

かくしゃく百歳調査の結論をお話ししました。
アンケートからお元気な方を選び、71人に家庭訪問しました。脳機能検査まで行い、本当にかくしゃくとしている方たちの生活を伺ったところ、
「生きがいがある。趣味や楽しみごとがある。人づきあいが好き。運動の習慣がある」ということが分かったのです。予想はしていましたが、あまりにも予想通りだったことにちょっと唖然としてしまいました。
アルツハイマー型認知症になる条件、「生きがいなく、趣味なく、交遊もなく、運動もしない。いわゆるナイナイ尽くしの生活」の対極です。

この両方のグラフから、脳の老化曲線をコントロールする正答がはっきりします。
老化を早めるには脳全体を使わなければよい。老化にあらがうためには脳をよく使う生活を心がける必要がある。
「体の健康を守るように、脳の健康も守ってください。三頭建ての馬車を動かし続けるのですよ」
「ただ、長生きをすることが目標でしょうか?自分らしく脳を元気に保って生きていきましょう」といつもの、これは私の心からのエールです。
ここで会場にマイクを向けて「脳を使うってどういうことでしょうか」と尋ねてみました。
初めて参加された方は「難しいことを考える」との回答で、これは確かに左脳と前頭葉の連係プレイです。
もう一人の男性は「銭勘定」。これは左脳中心ですが、あとで「受け狙いだったでしょ?」とコメントしたら破顔一笑されていました。「こういう対応ができるということは前頭葉がイキイキと関与した証拠です」という解説にも笑いながら肯いていらっしゃいました。
ちょうど目の前に昨日の林・中扇教室の皆さんが。
ここからの回答は「自分らしくプライドを持って生きる」まさに前頭葉。
「みんなと集っておしゃべりをする」「楽しいことをする」「歌を歌う」さすが!右脳が意識されています。
「運動する」の回答もあったと思います。こういう時にも、長く認知症予防活動を続けてきた成果が垣間見えると思うのです。認知症を脳機能から理解することが自然にできているのですから、素晴らしいことですね。

脳の健康は自分で守ることが原則ですが、集団の中でしか発揮できない脳の機能もあります。地域全体で脳の健康について考える場こそ、脳のリフレッシュ教室。正常な人たちが正常なままにいるための教室なのです。(小ボケレベルまで参加可能)

一番大切なことは自主活動が必要条件というところかもしれません。高齢者人口が多いこと、世話をするスタッフが足りないこと以前に「脳は使ってナンボ」ですから。死ぬときまで、脳の健康に気を配る必要があるのです。だからみんなで。

小布施町にはこのような数値で表されるデータもあります。皆さんにもお見せしました。

前日お会いした市村町長さんと、このようなデータに対して、この10年余の認知症予防活動の成果だともっと自信を持ってもいいのではないかとお話しました。
(今日の画像は、全部小布施町で使ったパワーポイントからの転載です)
最後に、最初に始まった山王島地区の当時の会長さんI井S松さんご夫妻のツーショット。講演会の出口でパチリ。80代半ばにはおなりだと思いますので、確かに白髪は増えられました。でも、この表情を見てください。脳はお元気ですよ。いつものように「See you again」と握手をしてお別れしました。どうぞお元気で!

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小布施町 林・中扇地区脳のリフレッシュ教室10周年記念お茶会

2017年09月18日 | 認知症予防教室

小布施町は、平成12年の山王島地区を皮切りに、各地区の認知症予防教室を毎年1教室ずつ立ち上げてきました。最近は各地区の10周年記念の集まりに参加させていただいています。
今年は林・中扇地区。
会が始まって最初の発言は「私たちの林・中扇の脳リフ教室(脳のリフレッシュ教室のことをこういいます)『ななくさの会』の特徴は、何ですか?」「それは、交流会の時の楽しい出し物じゃないですか。やってる人も楽しいし、見ている人も楽しいし」と答えながら、最初から型破りの出し物だったことを懐かしく思い出していました。
台本を用意して、ちょっとセリフや衣装にも凝り…というような演目を用意するには結束力が必要だということを先に言うべきだったかもと反芻していましたが、話題はどんどん進んでいきます。
集合写真を見てください。見事に笑顔!

認知症予防ということは、簡単にいってしまうと「脳をイキイキと使うこと」ということに尽きると思います。イキイキと使うには、脳の司令塔である前頭葉が自分らしく動いてないといけません。
もう一つ考えてみてください。楽しいことと苦しいことを並べてみるとどちらがよりイキイキするでしょうか?そうでしょう?楽しい時に決まってますね。
中年の男性が「親父やお袋にボケられたら困るから、心配かけたり、敢えて厳しい物言いをしたりしてるんです」と、笑いながらよく言います。「笑いながら」ですから、シビアに反論することもないのですが、私は必ず伝えるようにしています。
「脳は、楽しい時こそ活性化するのです。楽しくて、楽しくてその時間があっという間に過ぎて行ってしまうような時間こそ、脳がイキイキと活性化している。元気を失った脳は元気を取り戻すし、普通に元気なら若さを取り戻すことができるのですよ。心配したり怒られたりしてるときに、その時間があっという間に経ってしまったというようなことになるでしょうか!もっと親切にしてください」

もう一度写真を見てください。「ハイ笑顔で」と声かけしたのは一枚もありません。カメラを向けてさっと撮ることを繰り返しただけです。
全員が87歳!私のきき間違いかもと思ってしまいます(笑)

このお二人も80歳は優に超えているとか

こちらのサイドはまだ70代です。笑顔ではありませんが、この真剣な表情を見てください。眼が生きていますね

一番遠い場所に座っていた三人官女もチャーミングなこと。

脳が元気を失ってくると、表情がなくなるものです。この笑顔の写真のオンパレードは、この10周年記念のお茶会も楽しかったのでしょうが、基本的に脳の元気がきちんと維持されていることの表れです。

脳のリフレッシュ教室に皆勤したところで、月に一回。脳のリフレッシュ教室の狙いは、脳がイキイキし続けることができるような生活習慣を持ち続けるところにあります。中扇のH間さんをリーダーに、仲間を誘い合って脳が活性化する生活を実行していることが素晴らしいと思います。
かくしゃくヒント28―かくしゃくグループin小布施(2015年秋に伺ったときの情報をまとめてあります)

このお茶会では、翌日の講演会にも関わるため(次ブログで)遺影写真をテーマに盛り上がりました。皆さんは自分の年齢よりもより若く見えることに自信を持っていらっしゃるように強く感じましたよ。そのことは脳そのものが若々しいということに直結しています。

お一人ずつ、教室の感想も発表してくださいましたが、集うことの楽しさを表現された方が多かったことも印象的でした。これからも、このような生活を続けていってくださいね。お漬物やキャラブキ、くりの甘露煮やお菓子、収穫されたばかりの桃など。持ち寄りの豪華なお茶会でした。ごちそうさまでした。

フロク。翌日は講演会でしたが、小布施駅までお見送りに来てくださった皆さんたち。またもや笑顔が輝いています。

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中津の旅―後日編

2017年09月06日 | 前頭葉の働き

あの楽しかった中津の旅からもう3週間!
でも、余波は続いています。M股S江さんはネットをやらないといっていましたから、ブログにまとめた記事(といっても写真集レベルですが)を見てもらえない…「これはプリントアウトして送ってあげなくては」と思って、冊子にして送りました。喜んでくれました。全く想像以上で、こちらまでもがうれしくなるほど。
前ブログの最後に触れていますが、S江さんお勧め「虎屋よりおいしいんだから」の日田の赤司羊羹は売り切れでした。
冊子がついたら、弾んだ声でお礼の電話がありました。そして続けて
「早速また日田に行って羊羹注文してきたよ~ただね、お盆の注文が殺到してて届けられるのは9月だって。もうちょっと待っててね」
そうなんです。9月になったらちゃんと到着しました。さっそく自服でいただきました。

小さいパンフレットが入っていました。
「独特の淡く透明感のある色と風味とあっさりした甘さ」まさにそんな羊羹です。うたい文句通りでした。餡から手づくりして寒天と練り上げて一晩かけてゆっくり冷ます。昔、私が羊羹作りに挑戦した時のことを思い出しました。テクニックは別にして、昔ながらの作り方を守っているからこそ、たくさんはできないということなのですね。

いい水に恵まれていることも、おいしい羊羹ができる条件の一つかもしれません。日田を流れる三隈川(筑後川の日田市部分)は鵜飼でも有名だそうです。
こし・大納言・栗かのこ。3棹も送ってくれました。

もちろん、羊羹はとっても、とっても嬉しかったのです。そしておいしかった(笑)
「ありがとうございました」を10回言っても足りないくらい。
もうひとつ、うれしいエピソードがあります。
何度目かの電話で「このごろ、ちょっとお肉も食べるようにしてるんよ。ちょっとだけだけどね。食べるようにって言ってくれたでしょ」って言ってくれました。
日田萬天楼のおいしい焼きそばを食べたとき、S江さんはたしかに偏食があって、小さい時からお肉は食べなかったという昔話で、盛り上がりました。そのときに私が「脳の血管も、結局は蛋白質でできてるんだからちょっとは食べないと。元気な100歳の人たちの調査をした時も、『好きなものはお肉』って答えた人が多かったよ。少しでも食べてね」と言ったのです。
さらにもうひとつ。
「この頃、視力が弱くなって小さい字とか読みにくい。だんだん読みたくなくなってくるねえ」と言ってました。
一般的に、だれでも齢を重ねるごとに「できなくなってくる」ことがたくさん出てきます。視力や聴力もそうですね。ただS江さんは病気もしてるので、病気のせいもあるかもしれないと思いましたので、特別何も言いませんでした。

羊羹に入っていたお手紙です。
読むのが嫌になっているときは、書くのはもっと嫌なものです。なのに達筆で書かれたお手紙が、かわいいマスキングテープで貼り付けられていました。(実は私の友人の中で、S江さんは元気なノビノビとした字を書く筆頭だったような気がします)
ということは、家を出る前から、計画を立てて準備してくれていたということです。こういう気働きこそ、前頭葉。
ほんの半日一緒に過ごしただけのことで、S江さんのイキイキさがアップしてくれているような気がします。

それが一番うれしいことです。
無理しないように、お肉も少しでもいいから食べて、そしていろいろ楽しんでね。



 
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