9月11日~12日、浜松での実務研修会が終わりました。
今回は、北は北海道岩見沢市から、南は佐賀県多久市までいろいろなところから参加されました。
「古いたとえで恐縮ですが、受講された方が『頭がトマト』と言われることがあります。そうならないように気をつけますから、皆さんもがんばってください」と挨拶して始めた今回の研修会でした。
研修会が終わっていつも思うことは、
「もっと、もっと伝えてあげたかったことがあるのに」ということなのです。
参加者の皆さん、いかがでしたか?
「こんなに簡便で有効な手技だから、さっそく使ってみましょう」と思っていただきたいのですが「なんだか大変そう・・・」と怖気づかしているのではないかと心配になります。
使いこなせると確かに「簡便で有効」なのですが、考えても見てください。
高齢者の方の、現在の脳機能を知る。しかもCTやMRIなどの画像診断の力をまったく借りずに、機能検査だけで!ですよ。
所要時間はたった20分間。
どうしても、それなりの検査テクニックや解釈力が必要になるとは思いませんか?
ご自分の関係者が検査を受けたとしたらどうでしょうか?
検査の負担は少なく、生活指導は親身になった納得のできるものがほしいですよね。
研修会では、理解するのが大変だったとよく耳にしますが、理解するのに何の努力も必要としないような検査を安心して使えるでしょうか?
形式的には簡便でも、それだけの内容や深さのある手技だと思ってください。
そのうえで、二段階方式の手技を身につけるには、理解とともに実践が不可欠です。
その実践していく過程で生じた疑問・質問はいつでも受け付けますから、実践あるのみですよ。
ちょっとだけ頑張ってこの手技を身につけていただきたいものと思います。
研修会で勉強してもらったような、「何かのきっかけで、それまでの生き方が出来なくって、生きがいも趣味も交友も運動もない、いわゆるナイナイ尽くしの生活に入って、徐々に脳機能低下を起こしてしまった」高齢者がいかに多いか、きっとびっくりされるはずです。
今、「生き方」という表現を使いましたが、それはとりもなおさず「脳の使い方」とまったく同義なのです。脳の使い方が足りない。前頭葉の出番が少ない。そのような生活が、脳の老化を加速させるのです。
脳機能低下は早く見つければ見つけるほど可逆的に機能が改善できます。右脳や運動脳を使ういわゆる脳リハビリに励む ような生活を送ることで、小ボケや中ボケは改善が望めるということになります。
カナりーヤシの雌花
今回の研修会では事前のテストを必須として連絡を差し上げましたから、皆さんが持ってきてくれました。
ご家族になさった方たち。
現在の脳機能と近過去の生活ぶりが、実にきれいに一致することがよくわかりましたよね?
脳機能低下を起こすきっかけに気付いた時の皆さんの感情の揺らぎを、私はしっかり受け止めさせてもらいました。
「正常と思います」というケースをよく検討してみると脳の老化の加速が始まっている。その場合には必ず「きっかけ」があるわけです。私とのやり取りの中でそれに思い至った時
「あっ」と言って、無言になりそのきっかけとなった出来事を反芻しているかのような表情を見せました。
「あのことが脳の老化を加速させるほど、やっぱりそんなにも大きく影響していたんだ・・・」涙ぐんだ方もいましたね。
5例あったでしょうか。すべてが小ボケの入り口の方ばかりでした。
結構感動的なシーンが繰り返されました。
機能低下が大きいほど、淡々と納得されることが多いのは、文字通り私にも納得されることでした。
「きっかけ」について「それは何?」と尋ねたケースもありましたし、気づかれたままにして深く立ち入らなかったケースもありました。
でも、研修会でお話ししたように、皆さんが生活指導されるときには、やはり言語化を図った方がいいと思います。
参加の皆さんお疲れさまでした。
明日から、ちょっと遅ればせの長い夏休み。次のブログ更新は10月になりそうです。