脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

1月の右脳訓練ー空と海を満喫

2023年01月27日 | 私の右脳ライフ
私が住んでいる伊豆高原は、伊豆半島の東海岸に位置してますから、東を見ると相模灘。
いわゆる伊豆七島が左右に連なって見える、日本でも珍しい景色が広がります。伊豆七島はいくつか説があるようですが、よく耳にするのは「お(大島おおしま)と(利島としま)に(新島にいじま)聞こえし(式根島しきねじま)神津島(こうづしま)  三宅(みやけ)御蔵(みくら)は八丈に近し」という覚え方です。
1月25日10年ぶりの大寒波のニュースが流れた日、伊豆高原からほんのちょっと南にある熱川の山の上にあるホテルに行ってみました。
テーブルに案内された途端息を飲みました。
大島の三原山がきれいに冠雪。ほんとに珍しい!

そして目を右に動かすと、三角おむすび型の利島、付き従っているような無人島の宇土根島。「フンフン」といつものように確認して安心しながら新島に目をやろうとして「あら。何か違う…あれ!三宅島かな。大きすぎるけど…
もともと「三宅御蔵は八丈に近し」という意味は「三宅御蔵は八丈島に近いという方がいいほど、遠いところにある」という意味ですから、見えないのです。
秋や冬の気候条件に恵まれた時にうっすらと見えることがあるという程度の出現率。
もちろん色は薄いのですが、大きいのです。よく考えたら、伊豆高原からは利島の左稜線に、三宅島の左側斜面が見えるという構図ですから、こんなに右側に稜線が続いていることを知らなかったことも影響してるでしょう。
伊豆半島の北の熱海、真ん中の伊豆高原、南の下田では島の見え方が違います。自分のところからの見え方があまりにも刷り込まれているので、違って見えるとビックリしてしまいます。
声をあげてしまいました。
新島も見事でした。

続くのは、聞こえし(式根島)神津島の2島。式根島は標高が低いのでほとんど見ることがありません。神津島もほとんど左右対称かと思っていたのですが、こんなに右稜線を引いているなんて。

ここまで見えると、なんだか人に見せてあげたくなってフェイスブックでお知らせしてしまいました。

友人がヒルトン小田原で冬休みを楽しむことになったので、早速遊びに行って一緒に楽しみました。
小田原市根府川の山の上から、南の相模灘を見ると島の並び方が違います。当たり前ですが、思いがけず新鮮です。真鶴半島を挟んで左に大島、右に初島。私にとっては、大島は初島の右にあるものなんです。
理解はできるのですが、浮かび上がってくる不思議な思いは消しようもありません。
夕焼けの相模灘。

小田原市街地

翌朝の日の出。我が家からだと、お日様は大島の左稜線から上りますが、車で2時間もかからないのに、小田原では洋上から上ってきます。当然大島ははるか右にあって、一つの画面に納められません。

2階のベランダからの初日の出。写真の真ん中に大島が見えます。


丁寧に眺めると、海の景色も楽しいものですね。










小布施町「山王島脳のリフレッシュ教室」20周年記念誌原稿

2023年01月24日 | 認知症予防教室
小布施町の認知症予防活動にかかわりを持ち始めて、20年を超えました。コロナ前までは、年に2回以上は訪れる文字通り第二の故郷となりました。
小布施駅

北信五岳の夕焼け

先日、一番最初に取り組んだ山王島地区の「脳のリフレッシュ教室」20周年記念誌の原稿を頼まれました。
「A4版1ページにまとめてください」教室がスタートした日のシーンから、本当にあれこれと思い出されることばかりで、数十ページあっても間に合いそうもない…でも、頼まれたら一応がんばるのが私流です。(原稿はこの記事の最後に転記してあります)

ちょっと振り返ってみました。当時、小布施町の保健師さんのトップであったT田さんが、ボケ(当時の言い方)予防に取り組まれたのです。まったく先駆的な取り組みでした。
20年誌のT田さんの原稿から抜粋させていただきます。
「…平成10年頃から認知症が急増し、介護の大変さをひしひしと感じていた時に『認知症は予防できる』との情報が入り、これだ!!と飛びつきました。
機会が有って、エイジングライフ研究所の所長様および高槻絹子先生方の
熱心なご指導と、山王島長寿会の役員様始め会員の皆様のご努力で、平成14
年に地域ぐるみの自主活動として山王島脳のリフレッシュ教室が始動しまし
た。略」
各地区をひとまとまりにして、ゆくゆくは全町に地区ごとの住民主体の認知症予防教室を展開していくという、大きな目標に向けた活動が山王島から始まったのです。
山王島に建立されたぴんころ地蔵様。400年前の馬頭観音様も一緒に。

その第一番目の地区に選ばれたのが山王島地区。過ぎてしまえば、いい地区からスタートしたものだとよくわかります。
・地区としてのまとまりがいい。
・人間関係に優しさを感じられる。
・みんなから認められるリーダーがいる。
教室開始時は岩井茂松会長で、穏やかに話を聞いてくれて、教室の趣旨をよくわかってくださいました。
初めての試みですから、いろいろ気を使うことも出てきます。例えば教室の最後をしめる茶話会。みなさんのお楽しみタイムで当番さんが一人一人にお茶をついで回ります。
テーブルには、お漬物や煮物。秋には栗きんとん。
在宅介護支援センター(当時。今は地域包括支援センター)の用意したお菓子よりもおいしそうなものがたくさん並ぶのです。
私は岩井会長にちょっとお尋ねしました。
「負担に感じる方はいないでしょうか?」
「どうせ家にあるもんだろう。みんなが喜んでくれれば、本人もうれしいさ」
当番さんにもききました。
「この次に何を作ろうかと思って、TVや新聞にも目を通してます。だってみんなをびっくりさせたいもの!それにほめてもらったり、教えてあげたり、楽しいです」こう教えてくれたのはK島さんでしたね。
ぴんころ地蔵様の隣にお祀りされている六地蔵尊。帽子は季節で変わります。
エイジングライフ研究所では、モデル地区でボケ予防教室を立ち上げる時には、地域の人間関係が密なところのほうがうまくいくということを強調しますが、その時、この山王島の雰囲気がいつも思い起こされます。
長く続いているところはみんな、温かい人間関係のあるところです。たくさん思い浮かんできました・・・ 
さて、一年目の教室最終回。
岩井さんは、参加者全員さらに在介のスタッフ、修了式に見えた助役さん、私たちに至るまで素敵な額入りの水墨画を記念品としてプレゼントしてくださいました。総数は60枚を超えていたのではないでしょうか。
私はまた馬鹿な質問をしました。
「コピーされたんですか?」
「和紙はね、コピーできないんだ。全部手描き」と笑いながら教えてくださいましたね…岩井さんありがとうございました。
私に頂いた双鶴図

自他ともに「頭の良い」土屋先生。教室最終回には「晴れ渡った空のように頭がすっきりしている」って言われましたね。
赤い眼鏡の福松さん。たくさん写真を撮ってくださいましたね。
ぴんころ地蔵様

だんだん、各地区で教室が立ち上がり、山王島地区に伺うこともできなくなっていきましたが、2007年からは脳のリフレッシュ教室交流会が始まりました。
2017年の交流会。山王島合唱団!

その時、山王島の皆さんは目が合うと必ずにこっと笑顔を返してくれます。近くに寄ってみえるのではなく、その距離からにこっと笑ってくれたり、ちょっとだけ手をあげてくれたり。そんな時にも山王島の皆さんの人懐っこさと控えめさが感じられて、私の方が近寄っていきたいくらいでした。
あ。また思い出したことがあります。
岩井会長さんは、お帰りになるとき出口で別れを惜しんでいる私に”See you again!”と必ず声をかけてくださいました。
2020年交流会。私がお会いした最後の岩井さんの笑顔です。この時おっしゃった”See you again”は果たされませんでした…でもたくさんの思い出が消えていくことはありませんから。


原稿を転記しておきますから、読んでください!
山王島脳のリフレッシュ教室20年!おめでとうございます。
「みんなの願いはひとつ。健康で、人様の手を煩わせることなく長生きしたい!ならば、心のよりどころになる健康長寿地蔵を建立しようと、地区の老人会に『長寿講』を提案したら町内外から寄付が集まり、2017年3月27日お魂入れが行われた。今後はベンチも置いて、皆さんにもっと愛されてほしいね」
7人の発起人の代表で、今は亡き岩井茂松初代会長さんから伺った言葉です。このように、発案する人賛同する人がいて、地区全体が一つになるような前向きな生き方こそが地域ぐるみの認知症予防そのものなのです。
脳のリフレッシュ教室の目的は「地域ぐるみの認知症予防活動。体も脳も元気な人が元気なままで生き抜く」「認知症予防は、前頭葉を使い続けて
自分らしくイキイキと生きること」の大切さを納得してもらうことです。
脳の健康という考え方が取り入れられたところが画期的。だからこそ脳のイキイキ度チェックは不可欠で、さいわい脳の働きが維持されているという素晴らしい結果が伴っています。鬼籍に入られたあの方この方の笑顔が胸に迫ってきます。声も、歌声も聞こえてきます…
じつは、日本の認知症対策にとってこの活動は画期的なことでした。当時は「ボケてしまった高齢者をどう介護するか」という視点しかなく、そして現在は、年間13兆円にも上る介護費用の増大が大きな問題になっています。
山王島から始まった小布施町の住民主導の「脳のリフレッシュ教室」は、これからの日本の認知症予防のモデルになりうるものなのです。体も脳も元気でいるためには、毎日楽しみを見つけて生きていかなければいけません。これからも皆さんで励ましあって、ずくを出して、前頭葉をイキイキさせ続けてください!



私の好きな小布施町のカフェ

認知症に関して理論的に詳しく知りたい方は、以下のブログもお読みください。

1月の右脳訓練②-好きなものを見つける

2023年01月17日 | 私の右脳ライフ
1月の右脳訓練①として、大人の遠足と名付けて外出して脳の活性化を図った報告をしました。変化のあるそして楽しい状況に自分を持っていくことは、脳を活性化する一つの道だと思います。
でも、日常生活の中にも脳が活性化されることはいくつでも見つけることができるのです。
一番大切な条件は「そのことが楽しいかどうか」。
自分が「楽しい。またやりたい」と感じているかどうかですし、その時間が「あっという間に時間がたった」と言い換えることができるかどうかでもあると思います。
もちろん、自分が主体的になにごとか為す方が効果的とは思いますが、今回受け身でもとっても脳が活性化した体験がありました。

大学4年生の孫から、実にシンプルな年賀メールがきました。ただそれに添付されていたのがこの写真でした。
「アマミノクロウサギ?」と聞いたら「前に奄美で撮ったアマミノクロウサギ!」という返事が。たったそれだけですが、行間には彼のいろいろな気持ちが詰まっていたと思うのです。
「卯年だからという気づかい」はもちろんですが、「この写真はおばあちゃんにはヒットするという確信」。「この分野がボクの世界というアピール」、「2021年秋に沖縄やんばるナイトツアーで共有した充実した密な時間」などがストレートに伝わってきました。これは私の勝手な感想かもしれませんが、一枚の写真からたくさんの思いが沸き上がってきたのは事実です。
いや書きながら、やはりこれは共通の思いに違いないと思えて、またまたちょっと幸せ感に浸っています。

これは長男のお嫁さんの手作りカレンダーです。伊勢型紙を彫るという趣味を生かして、デザインからすべて自分で作ったのです。書も趣味なので「睦月」の字も自書!毎月変えていくのも楽しみです。私たちがいつもいる場所に飾りました。
工芸品といえばこんな素敵なプレゼントも飛び込んできました。小鳥の材質感に驚き、早速お礼の電話で盛り上がりました。

もっと歳をとってもこのような感動がなくなるはずはありません。いや、歳をとってもこのような感動する心を失わないでいようと決心することが大切なのですね。
前頭葉機能は加齢によって、注意集中力や分配力などはっきり低下する機能もありますが、感動する、感謝するなどという働きは変わらず抱き続けることができるのです。


庭に野鳥が来ています。今年の新入り画眉鳥(ガビチョウ)。白いアイラインがあるので、友人がエジプトのツタンカーメンみたいと驚いてくれました。
さえずりが上手で、声も大きくそのうえ他の鳥の鳴き声の真似をするそうです。私は大体家の中から眺めてますからよくわかりませんが。
最初に撮れた写真は見返り美人のアングルだったので、とにかく、もう少しガビチョウらしい姿を写真に収めなくてはとカメラを構えてシャッターチャンスを狙います。

まだまだですね〜
でも何かうれしい。もちろん友人に送る約束をしていたのでその分さらに達成感プラス。

自然に恵まれているので、お花は次々に咲いてくれます。
イチハツと言われていただいたのですが、どうも寒咲アヤメらしいです。

葉の様子も少し違うようですし何より咲く時期が、イチハツは4〜5月と説明されていました。

いつも通るところに真っ赤な実をたわわにつけている高木があって、気になっていました。意を決して車を停めて写真を撮りました。結構車がたくさん通る道なんです。

そしてpicture thisに相談。これはイイギリですって。「良い桐」ではなくて、葉でご飯を包んだので「飯桐」という知識も得ましたよ。

伊豆は早咲き桜があるので、ソワソワします。川奈ホテルのカンザクラをわざわざ見に行ってきました(1月7日)。探して探してたった一枝だけ蕾になっていました。



一週間後(1月13日)、下田市寝姿山に行ってみると、桜の木全体が朧になるほど花が咲いていました。いよいよ桜の季節到来!

しばらく、ちょっと楽しみなのですが落ち着かない時が流れます。

ちょっと目を凝らすと本当に春が近づいています。寝姿山ではミモザもこのようになっていて、あの絵の具のチューブから出たばかりのような黄色の花に会えるのももうすぐでしょう。
すぐそばには、ロウバイがまだまだ健気に香りを漂わせてくれてました。
寝姿山はリトルエンジェルで有名ですが、少し残っていました。

外出先の花が続きましたね。「花が好き。花に会いたい」という気持ちが大切だと思うのです。その気持ちがあれば、花に会え、小さな感動につながることが可能になります。
散歩道にも心惹かれるお花に必ず出会えるもの。花だけでなく、実も芽も樹皮にだって目を引かれることはよくあります。
ヤシアロエは珍しい。うちにもありますが花が咲かないんです。
普通にみられるアロエ。
万両らしいのですが、ちょっと違うような気もします。


色々な柑橘類に陽が当たっているのも心躍ります。
そして、結局は食べてあげようという結論に到達します。この種類は絞って果汁をキューブ型で凍らせて使います。地に落ちて朽ち果てさせるのも可哀想だし、もったいないし…
確かに私の前頭葉が考えることらしい(笑)





リンゴがちょっとボケてきたのでアップルケーキに。

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1月の右脳訓練①-大人の遠足

2023年01月14日 | 私の右脳ライフ
コロナ疲れということばを見つけました。都会に住んでいる人たちはほんとに「コロナ自粛や防衛」に疲れたことと思います。ここは人がまばらですから全然神経質にならずに済んでいますが、それでもなんとなく、行動は自粛していたような気もします。
お天気に恵まれて、ちょっと遊んでみました。
歩いて30分くらいですから、近所といえば近所に「ニューヨークランプミュージアム」があります。もちろん名前の通りティファニーのステンドグラスも充実しているうえ、相模灘、城ヶ崎海岸の絶景を望むよく手入れされたフラワーガーデンが楽しめるので、時々楽しんでいます。

だいたいちょっとしたテーマを持っていくようにしています。
今日のテーマは、「お気に入りのパン屋さんまねきねこのパンを持って、温かい飲み物をポットに入れて、大島を見ながらお茶をする」
上の右上写真の白いパラソルのところ陣取って、パンとみかんと温かい紅茶のおやつタイムを楽しみました。真正面には大島がドーンと。カフェタイムを楽しんでいると小さな船が進んで来ました。

考えたら脳って可能性が大きいこと!
・毎回違う空と海に見ほれる。
・房総半島や三宅島、船など。つまりいつも見えないものを探す。
・すてきな環境のなかで、まったりとした時間を楽しむ。
・ガーディナーの丹精を思いながら新しい花が咲いてないか、探す。
・心に留まる写真のアングルを探す。
・一緒に行った夫もしくは友人との語らい。
・他のお客さんとの出会い。
(ここはペット連の人が多いので声をかけてしまうことが往々にしてあります)
・トピックに気をつけておく。
(アイスチューリップが満開という情報もキャッチしていました。アンテナを掲げておくという姿勢があるとないとでは、当然のことながら情報量が違います。情報収集という観点からいうと、ネットが使える状態は高齢になるほど必要な条件だと実感しています)

カフェがあるにもかかわらず、持ち込むところがちょっと楽しい。白いパラソルのところなら、お弁当を持ってきてもいいそうですよ。

情報収集の成功例を。
伊豆高原駅に行ったときにチラシを発見。「サフィール踊り子&下田街歩きプラン」
サフィール踊り子に乗って帰ってきた息子が「快適だから乗ってみたら。お勧め」といっていたのを思い出し手に取ってみました。
なんだか目を疑うような数字が!伊豆高原⇔下田の乗車券と片道サフィール踊り子の特急券付き、通常料金6,490円相当が3,090円で購入できる。そのうえ2,000円の街歩き券が付く。ということは実質1,090円!
ゆっくり考えると、いわゆる旅行支援。ということは結局は税金…ではありますが、正直ちょっとうれしい。

下田ロープウエイには行ったことがなかったので、街歩き券を使ってロープウェイで寝姿山に登ってみよう!という目的もすぐに立ちました。

近所のスーパーで開催中の全国駅弁空弁祭りから、北海道に行っていた頃よく買い求めていた千歳空港の佐藤水産の石狩鮨を持ち込みました。なんだか遠足気分が盛り上がります。

この遠足が実現したのは、最初に息子からサフィール踊り子情報が届いていたからです。このエピソードがなかったらチラシを手にしたかどうか?
深い青色に彩られたサフィール踊り子を何度も目にしていたことも無関係ではないでしょう。
一度は寝姿山に登ってみたいという希望があったことも付記しておきましょう。

アンテナはいろいろな方向に立てておくべきです。今回は息子の言葉、サフィール踊り子号の姿などとても現実的な情報でした。ただ毎度繰り返しますが、その時の情報源としてネットは大変有効です。
下田ロープウエイで寝姿山に登ったのは、遠足の目的地としてベストだったかもわかりません。
何しろ天気がよかったので眺望が見事でした。
暖かい日差しの中でいろいろなお花たちに会えました。
リトルエンジェルやロウバイの名残の花に混じって、なんとカンザクラが!ほとんど満開で出迎えてくれたのです。
なぜこんなに色づいているのか?不思議なほど濃いサクラでした。

街歩きも少し楽しみました。こちらは何度か訪れていますから、行きたいところはすぐ思い浮かびます。山田鰹節店。プロの板前さんが買い求めるお店らしいですね。この近所には古い建物を生かしたカフェなども集まっています。
邪宗門はまだ小学生だった子供たちと訪れた懐かしい店。

新しい店も何軒か目にしました。でも全体的な元気のなさは…ごく限られた地域以外は日本全体で見られる光景です。
少子化への対策も、生まれてからの支援よりも生まれるようにするにはどうすべきかいう観点が重要でしょうし、高齢者の問題ももう少し視点を変えてアプローチしなくてはいけません。
認知症高齢者を増やして、13兆円を超す介護費用が毎年必要になるという状況を変えなくては!
介護が必要になるレベルまで手をこまねいて待つのではなく、積極的な予防方策を国民に周知徹底しなくてはいけません。認知症は脳の生活習慣病なのです。皆さんが思っている通り、その人らしくイキイキと生活している人の脳は元気でしょう?認知症になっていく人たちは例外なく「その人らしい生活がなくなってしまう」というきっかけがあることに気づいて欲しいと思います。
あら。右脳訓練の報告のはずが前頭葉がむくむく動き始めてきました。





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二段階方式-脳機能検査から生活を知る

2023年01月12日 | 二段階方式って?
新年最初の保健師さんとのやり取りをしながら、二段階方式の持つ「力」に感嘆してしまいました。
「年末にご助言いただいたA氏(独居)に、急展開がありました」ということばから始まったそのメールは、A氏死去のお知らせでした。12月16日に家庭訪問したヘルパーさんが、体調が悪そうだということに気づいたため、救急搬送そしてそのまま入院となりました。心不全と肺炎の診断で12月20日に亡くなられたという内容でした。
(1/7川奈ホテルの寒桜)

実は、A氏の脳機能検査結果を検討したのは12月12日。
脳機能検査の結果は前頭葉機能は大きく低下。とくにかなひろいテスト(ひらがな書きのおとぎ話の内容を読み取りながら、同時に母音に〇をつけていく検査。前頭葉の注意集中力や分配力にターゲットを当てたもの)は0点。
脳の後半領域、いわゆる認知機能検査(MMSE)は30点満点の18点。私たちはこの脳機能の状態にある人たちを「中ボケ」といいます。
(もう一息)

中ボケになると、家族は「全く話すことだけ聞いていれば正常というか、正常以上にたしかにと思わせられるようなことを言うんです。でもやることを見るとびっくりするようなことがつぎつぎに起こります。
食事の時だってびっくりするようなお行儀の悪さ…煮物とデザートとかとんでもないものを混ぜて食べてしまいます。これはマナーの問題じゃなくて味の問題なんでしょうね。もちろん料理を作ってもらっても塩辛すぎて食べられないものを作って、一人だけ平気で食べるとか。
着衣でも、着替えなかったり、重ね着したり、とんでもない格好で出かけようとしたり。
入浴の時は誰かの目が必要です。石鹸で洗わないときがあるかと思うと石鹸が残っている時もあります。洗濯済の下着を用意しても着替えてくれないし。トイレの汚し方もひどいものです」と訴えが止まりません。
(こんなにバッサリ切られていたのですが)

全部が、いわゆる「ボケちゃった」ところまではいっていない。
そして、話はそれなりのことが話せる。
この状態を「言い訳のうまい幼稚園児のよう」と家族は結論付けます。つまり幼稚園の子どもを一人で生活させられないのと同じくらい手がかかるということを訴えているのです。
(1/12富戸コミセン。咲きました)

A氏の脳機能検査の結果は、中ボケレベルだといいました。独居ですから、つまり幼稚園児が一人で暮らしている状態ということになります。
「今が何年か何月かもわからない状態ですよ。もう独居は無理です」という私の言葉に、保健師さんは「私もそう思いました」そして続けて「結果をお返しするときには、ご本人に説明してもおぼつかないので、包括の方にも来ていただいて説明します」
「さしあたって、そのやり方はいいと思います。ただ家族に結果を説明することは必須ですよ。もしも、御当人が亡くなった時に誰がお葬式を出すのか、考えてみてください。その方と連絡を取って一人暮らしは無理な状態ということを説明しなくてはいけませんよ。だって幼稚園の子が一人で暮らしているようなものですからね」と私。
一男二女の子どもがいたのですが、4年前に同居していた長男が急な病気で死亡。その後、2年前に妻が家を出ていきそこから一人暮らしが始まったという経過でした。長女は県外に暮らしていて、次女は市内にいるのですが不仲。「誰に説明するか検討してみます」との返事でした。

脳機能検査の結果を検討してみると、4年くらい前にそれまでの生活ができなくなるような大きな出来事が起こり、その結果「生きがいを感じることができない」生活に突入。脳の老化が加速されてしまったということが示唆されました。
「A氏の生活が、長男が亡くなられてはっきり変わってしまったかどうか確認してみて(ご本人には無理だけど)そこが納得いくようだったら、4年前だし、典型的なアルツハイマー型認知症ということになります」
ここが二段階方式の持っている力です。
(アッサムニオイザクラ)

このやり取りが前述のように12月12日。
保健師さんは一人暮らしが無理ということは理解してくれたと思いますが、多少トラブりながらでも一応生活はできていたということにちょっとした安心感はあったのでしょうし、ご家族との連絡もつかなかったのかもしれません。そして16日。ヘルパーさんが訪問した時にチアノーゼが出ていたそうです…

死亡後、ご家族その他からの情報を集めてみると、心臓病があったそうです。以前の保健センターとの予約も「体調が悪いから延期してほしい」ということが記録されていました。
考えても見てください。幼稚園の子どもが「今日は体調が悪くて熱があるみたい」というでしょうか?そばにいる親や先生が不調に気付いて対応しますよね。心臓病が悪化していて苦しかったのかもしれませんが、その時どうするか判断する前頭葉機能はもう働いていないのです。

私は脳機能検査の結果しか見ていませんから、その困難さが胸に迫ってきます。
保健師さんたちが、テストの結果を正確にキャッチして検査を受けられてた方の生活にもっと積極的に生かしてほしいと思いました。






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またまた認知症治療薬「レカネマブ」登場!(再掲)

2023年01月07日 | 正常から認知症への移り変わり
今朝1月7日から「認知症治療薬レカネマブがアメリカFDAで承認された」というニュースが大きく取り上げられています。以下の記事は去年9月末に掲載しましたが、再掲します。問題となる根本のところは全く同じです。

9月29日のニュースで「まあ、認知症の薬ができたんですって」とうれしくなった人は多いと思います。
私たちエイジングライフ研究所の考えを、お話しておきましょう。
結論は、本当に残念ですが「近いうちに行き詰る」といわざるを得ません。
2021年に鳴り物入りで登場した「アデュカヌマブ」。この顛末を覚えている人はどのくらいいるでしょうか。
顛末は、この記事に書いてあります。そして認知症治療薬の話題が出るたびの私見の記事へのリンクも張っていますから、関心がある方はお読みください。
エーザイの株価12,765円(2021.5)→5,266円(2022.5)(2022.5)

この記事をあげるにあたり、正確を期するために少し調べました。アデュカヌマブの件については国立長寿医療研究センター研究紹介コラム「認知症の新しい治療薬アデュカヌマブについて」が一番丁寧で、一般の人にもわかりやすく解説されていると思いました。
「アルツハイマー型認知症の原因がアミロイドβが溜まってできるアミロイド斑(老人斑)なら、アミロイドβにくっついて機能できなくさせる抗体を体内に入れることで、老人斑を減らすことができたら認知機能低下を抑える効果があるはず」という前提のもとに15年間追跡調査した結果、「アデュカヌマブを投与し続けた人を死後解剖した結果「抗体ははっきり上昇し、老人班は少なかった。しかし認知機能の改善はない」という結論に達したのです。

単純な私などは、アミロイドβと認知症の発症には関係がないと思ってしまいますし、アミロイド仮説は破綻したという意見も確かにありますが、研究者の立場によって、考えは違います。
発症後に薬で老人斑を減らしても認知機能低下を止められないなら、たまる前に薬を作用させれば効果があるかもしれない…
皆さんも読まれたかもしれませんが、これが「アルツハイマー型認知症にかかわりの深いアミロイドβは、発病の20~30年も前から蓄積が始まっている。予防はその早いタイミングから投与をすること」という意見につながりました。
どうやって見つける?(症状は全く出ていないわけですから、その方策として血液中のアミロイドβに測定するというアプローチもあります)
いずれにしても高価な薬を何十年も予防薬を飲み続けるのか?肝機能など体全体に対する影響はないのだろうか?
素朴な疑問を抱いてしまいます。

以下の青字部分は追記です。
日本でも承認された場合の薬価のことを考えてみましょう。

アメリカの350万円より少し低めに設定されるようですが、それでも、百万円単位にはなります。ところが、高い薬ということを正しく伝えるという姿勢よりも
「日本では公的保険診療になり、さらに高額療養費制度があるため、患者の自己負担は、70歳以上の一般所得層の場合年14万4000円が上限」
というふうに報道されてしまうのです。「つまり月1万2千円。それで認知症が防げるとしたら高くはない」というアピールのようですね。医療費は自己負担金額だけではないことを国民に訴えないのはなぜでしょうか?
認知症予防役に関してだけの疑問ではありませんが念のために書き添えます。

さて、今回のレカネマブはどこがどう違うのでしょうか?
私は薬学が専門ではありませんから、情報はネットから取り入れたものが中心だということをお断りしておきます。
アミロイドβは一種のたんぱく質。そのアミロイドβが結合した老人斑にとりついて除去する働きを持つ薬(抗体医薬)がアデュカヌマブでありレカネマブです。
レカネマブは、アデュカヌマブよりも結合状態が前の段階のアミロイドβに作用させるところがちょっと違うということらしいです。
前回問題になった治験がうまくいき、「症状悪化を抑える有効性が確認できた(言い換えると、アミロイドβを取り除いて神経細胞が壊れるのを防ぐ効果がある)」という発表だったのです。

2週間に一度の注射を1年半続け(治験段階では服薬するだけではないのですね。このまま注射ということになると病院サイドの負担も増えます)27%の進行抑制効果があったといわれています。
具体的な評価点としてはプラセボ群1.67点の低下であったのに対し、レカネマブ投与群1.22点の低下とありました。
海外ではADASという検査をよく使いますが、これは高齢になると1年で9-11点低下するとも言われていますから、ADASではないでしょう。
いろいろ調べましたが、どんな神経心理機能検査を使っているのかはわかりませんでした。
総得点がわかりませんが、たった0.45点しか低下しないということが、日常生活にはどのように反映されるのか、私には想像できません…
例えば、エイジングライフ研究所が用いるMMSEは30点満点のテストですが、+3点以上なら改善、-3点以下なら悪化と評価します。生活上起きてくるはっきりとした変化を、家族や本人が見つけることができるからです。

今日の発表を冷静に評価していると思われた記事を紹介しておきましょう。
1.機能低下の抑制ができることは良い。
2.回復させる薬ではない。
3.無症状の早期患者をどう判定するか。
4.薬価が高いため起きてくる高額医療費の問題。
それ以前に言いたいことがあります。
アミロイドβと認知症には関係がないとしたら…研究者の努力も開発費用も本当にもったいなく悲しいことですね。





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初春を探しに

2023年01月06日 | 私の右脳ライフ
あれよあれよというまに、松の内も過ぎてしまいそう…
私の周りの初春を見つけましたよ。
長男が池坊を修行中ですが、今年のお正月の花です。
「生花五ヶ条 三船生方の事・泊船(とまりぶね)木瓜一種生」と添え書きが。
全然、知りません(笑)
しかしながら私には強い味方がいますから、さっそく検索してみました。
池坊のHPを見て、歴史を学んだりしながら「三船生方(さんせんいけかた)」にたどり着きました。大漁を目指して勢いよく船出をしようとする「出船(デフネ)」大漁を果たして帰港してくる「入船(イリフネ)」とあって「泊船(トマリブネ)」は 翌朝の出船の希望を抱いて、船待ちする姿 を生けるのだそうです。どこか静謐、どこか希望を込めてという風情を表現するのでしょうか。この写真を眺めながら、床の間に飾ってお正月を迎えるような気持にさせてもらいました。
二階のベランダからの初日の出。

伊豆大島に雲がかかっていて、お日様が顔を出すまでにはしばらく時間がかかりました。

初詣にはいかなかったのですが、青空の下、散歩はしました。

伝統的な門松を見ることも少なくなりました。見つけると威儀を正して「拝見します」という気分になります。こんなカジュアルな正月飾りも。

青空に映える平和なお正月に感謝です。重岡先生の作品がお庭に設置されていました。

このお庭には、1月だというのに紫色の多くの花をつけた灌木状の植物がありました。ハナナスかと思ってみていたのですが、念のために検索したら紫宝花というおしゃれな名前がついていました。

その足元のイソギク。海岸ではこんなにのびのびと咲いてはいません。なんというか油絵のようですね。

おしゃれなお店の、おしゃれなミニギャラリー。

たびたび訪れる、りんがふらんか城ケ崎文化資料館のお正月イベントにも参加させていただきました。入口のヤギのヤタロウにえさをやってる人を発見。のどかなお正月ですね。

お正月のイベントは、お花の活けこみのパフォーマンスでした。30分足らずでこの大作を完成されました。

後でお聞きしたら「周到に計算するというよりは、花材を見てひらめいて生けている方が多いかなあ」というお答えでした。たしかに見せていただいているときにそのような印象を持ちました。一瞬にその花材の役割を判断する、素早い臨機応変な生け方もそれまで積み上げてきた前頭葉機能が働いた結果です。つまり何の素養もないとなかなかできるものではないということです。(途方もない才能がある人は別です)
最初に見た「泊り船」は花一つ、一枝もすべて一つの表現に向かって厳しく計算しつくしたという印象が強いのですが、確かにこのいわば求道的な生け方も一つの表現方法。
生け花でも、その状況で全く違う生け方を前頭葉が選ぶのだと感心しました。

実は龍笛の演奏をしてくださって、その音色が館内に力強く響き渡り、お正月気分というか厳かな中でのパフォーマンスでした。
子どもたちが幼かった頃に、能管を趣味にしている親戚が来て、子どもたちに披露してくれました。その時、何も言わないのに正座して聞き始め、終わったときに深くお辞儀をしたのです。その7歳と4歳の子どもたちの姿が懐かしく心の中に広がったことは、ちょうど思いがけないお年玉をもらったような気持ちにさせてくれました。
この日もまたそういう力を持っている音色でした。
場を切り裂くような音から始まり、それは一瞬のうちにその場を清めるような音でした。

思いがけないお正月を楽しませていただきました。
今年もよろしくお願いします。



今年からえさ場に登場の、ガビチョウ。

理論的に詳しく知りたい方は、以下のブログもお読みください。



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