脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

1月の右脳訓練ー料理と認知症予防

2017年01月30日 | 前頭葉の働き

1月は台所に立つことが多かったような気がします。
「料理はボケ予防になる」 とか、デュアルタスク(同時に二つのことをする)が脳の活性化に役立つということで「料理しながら歌を歌う」等、認知症予防と料理を絡めて語られることも最近よくありますね。間違っているわけではないのですが。
よく言えば「当たらずといえども遠からず」もう少し正確に言えば「的を射てない」
どら焼き

このような記事を目にするたびに、「研究テーマなんだなあ」と思ってしまいます。
日常生活の中で「料理をする」時には、さまざまな条件を考えるものなのです。まず今日の献立を決めるとき、順不同ですが、ざっと思いつく条件をあげてみましょうか。
1.家族の体調
2.天候や気温
3.冷蔵庫のなかみ
4.財布のなかみ
5.昨日の献立 
6.自分の意欲
こういう条件をほとんど瞬時に比較衡量して、献立を決めるのです。以上はすべて前頭葉機能が発揮されてこそ実現できるものです。 
ちなみに、前頭葉機能だけ低下している状態の小ボケの人たちは、「献立が単調になった」 と家族から言われます。発想が湧かないからなのですが、上にあげたような条件を考える意欲もない状態なのです。
バラ餃子(浜松風)
 
調理台の前に立っていることだけが料理をすることではないということがわかっていただけましたか?
考えてみると、もうひとつ条件がありますね。 
どのような思いで料理をしているかという大切な条件を考慮しなくてはいけません 。
「食べさせたい」と思う気持ちというか目標があれば、脳はイキイキと活性化されます 。
当然、イヤイヤながら「やるしかない」 状態で料理しているとき、脳は最低限の機能を使っているにすぎません。特に長く料理をしていたおばあちゃんは、あんまり考えなくても手が動き結果が付いてくることもありますね。
前のケースも後のケースも、「姿」は調理台の前で料理をしています。
脳の働きを考えるときには、その人の「考えていること、感じていること」まで近づいて行かないと理解ができません。
キウイソース 

皮をむいて

フードプロセッサーにかける

ちょっと煮て

完成
 
「同時に二つ(以上)の作業をする 」ということは、日常生活上では実によくあることです。
話Aをしながら別のことBを考えていることなどはごく普通ではないでしょうか。この時は前頭葉の注意分配能力が発揮されているわけです。注意すべきは、Aがどのくらい大切な重要な話題なのかということ、もちろん同様にBの重要さの度合いも考える必要があるということです。当然、重要であるほど、前頭葉の注意分配能力、前提として注意集中能力も大きく要求されることになります。

「歌を歌いながら料理する」をもう少し詳しく考えてみましょう
よくよく知っている歌の場合と、新しい歌の場合で、「歌う」という作業にかかる脳の機能発揮の具合は違います 。その前に「歌うことが好き」かどうかによっても変わりますね。
料理も、慣れ親しんだ料理をする場合と、レシピを確認しなくてはいけない場合では 違います。
うえで言ったように料理の目的によっても違います。 「食べさせたい人のために作る」のと「作らなければいけないから作る」のでは脳の関与は全く違います。
実験のために料理するときは、また別の規制が働くことでしょう。
とにかく前頭葉機能が関与すると、その状況を理解することは一挙に複雑化するものです。そして大人が生活するときには、常に前頭葉機能が司令塔として見張っていることを、忘れないようにしないといけません。「生活する」ということは複雑なことです。
レモンをいただきました。

塩レモンに挑戦。漬け込んだところ。

年末に作成したもの。
 

2015年の記事ですが、料理をしながら前頭葉機能を考えるもお読みください。
 


認知症予防で文化的な町づくりは可能ですーまちとしょテラソ(小布施町)

2017年01月19日 | 二段階方式って?

伊東市議会議員の杉本一彦さんがフェイスブックに小布施町の「まちとしょテラソ」のことを書かれていました。(ちなみに私も去年ブログに書きました。小布施への旅

「伊東市議会福祉文教委員会で長野県小布施町町立図書館「まちとしょテラソ」及び「まちじゅう図書館事業」について行政視察です。図書館に関してはとても歴史ある町です。町ではじめての図書館設立は、なんと大正12年だそうです。街中が図書館に力を入れている町ってとても素晴らしいですね。詳しい話は委員会報告におくりますが、いずれにしても、伊東市でも中央図書館の老朽化により、施設新設に向けこれから重要な議論がはじまります。とても参考になる有意義な視察となりました。」

その投稿に対していくつかのリアクションがあったのですが、私が興味を持ったのは以下のご意見でした。
「小布施町って約45億の予算のうち自主財源は全体の1/3で残りの2/3が地方交付税や県や国の予算です。その財政状況で年間4,000万円も維持費のがかかる図書館を運営するのはどうなんでしょうか?貸し出し件数、約8万7千冊に対し4,000万円の予算だと、一冊あたりの貸し出し単価は約460円になるのですがこれって他の自治体とかと比べるとどうなんですかね?高いの?低いの?うーん(・・?)」

経済が右肩上がりでない現在ですから、このような視点で物事を考えることが大切です。限りあるお金をどのように使うかということですね。私にはとても苦手な分野ですが・・・ 
私の報告も聞いてみてください。

小布施町で、認知症予防活動の指導を始めて15年になるでしょうか。
認知症予防活動と言っても、巷にあるものとはちょっと違います。脳機能検査結果という客観的物差しをもって、正常者を正常なままにということを最大の目的にしながら、脳機能に応じたそれぞれのレベルの認知症への予防活動も同時進行させています。

脳のリフレッシュ教室と名付けられた、正常者を正常なままに保とうとする認知症予防教室には、小ボケまでしか参加させない、カリキュラムは右脳重視で楽しいものを用意する、脳機能検査による生活指導と経過を知るための脳機能検査は必須。等々の気を付けるべきことを繰り返しお話しています。
10年以上かけて、現在は各コミュニティに1教室ずつ立ち上がっています。
1年間の行政主導の活動の後、自主活動を継続しているということも特筆する価値はありそうです。 

ここからの検討は、すべてが認知症予防活動のせいと断言することは難しいかもしれませんが、その活動の大きな影響は否めないはずです。
住民の方が支払う介護保険料から考えてみましょう。
以下に使用するグラフは、一昨年、町会議員と民生委員を対象にした講演をした時に、小布施町地域包括支援センターで作っていただいたものです。


小布施町の介護保険料は平成24年の見直しで4,210円。国の平均は4,972円。762円安いということです。
介護保険の給付内容を検討しないで単純に比較することは危険でしょうが、ここはざっくりと傾向を知ることにします。
介護保険料は40歳以上の住民が支払う義務があります。
小布施町のHPから「統計でみる小布施町の姿」という資料を見つけました。残念ながらこの数値は国勢調査に基づくもので、5年刻みです。町役場にも問い合わせましたが平成26年分はありませんでした。
その資料によると、平成26年に近く、また直近での資料は平成27年度のものでした。

平成27年の小布施町の人口は、40歳以上64歳までが3,488人、65歳以上が3,510人。その合計6,998人が介護保険料を支払っています。
上記資料「統計でみる小布施町の姿」からみると平成27年の月額介護保険料は4,775円(年額57,300円)。
小布施町の40歳以上の皆さん全体で払っている介護保険料は、4,775円×6,998人×12月=400,985,400円。約4億円ということですね。

最近、介護保険料を全国的に見て、一番安い鹿児島県三島村は2,800円、一番高い奈良県天川村は8,686円という報道がありました。
ちょっと驚きましたが、改めて平成27年の全国平均介護保険料を調べてみると5,514円でした。同規模市町村と比較できればその差はもっと開くはずです
もし、小布施町の介護保険料が全国平均保険料だとしたら、5,514円×6,998人×12月=463,043,664円。約4億6千万円ということですね。
あれ!6千万円浮いている! まちとしょテラソの維持費には十分過ぎる。

5,514円―4,775円=739円 介護保険料が739円安いのですから739円×6,998人×12月=62,058,264円。ウン、検算してもあっています。
全国平均の保険料を支払う必要があると考えたら、図書館を存続させるために差額の月額739円を町に寄付するという発想もできるのではないでしょうか?
その差額を生んだ原因のすべてではないかもわかりませんが、小布施町独自の認知症予防活動の意味は大きいと思います。

小布施町での介護保険の実態、どのくらいの人たちに、どのように使われているか、全国の同規模市町村と比較しながら見てみましょう。
一昨年作成のちょっと古いデータです。 


介護認定率の推移を見てみましょう。(内は全国の同規模の市町村)
 平成24年小布施町15.8% (19.5%。+3.7%)
 平成25年小布施町15.7% (19.5%。+3.8%) 
 平成26年小布施町15.9% (19.6&。+3.7%)
付け加えます。資料資料「統計でみる小布施町の姿」によると、平成27年の介護認定率は14.4%と減少していました。小布施町包括支援センターに問いあわせたら、平成28年度はさらに減少して13.7%、平成28年の全国平均介護認定率はは17.9%ということですから、介護認定そのものが厳しくなったということもあるでしょう。だって国全体としてもお金がないのですものね。
介護認定率が低いということは、高齢者介護に回すお金が少ないということです。町の財政負担は当然少なくなり、その分他の施策に回すことができることになります。
と書きながらやはり矛盾に目をつぶることはできません。高齢者介護に回す費用を抑えるために、介護認定を厳しくするのはお門違いだと思います。
それよりも介護が必要な人を減らすことを考えればいいのです。
障害がある人が、その人らしく生きていくために福祉を求めることは当然のことでしょう。
でも、認知症者への福祉や介護は、身体障害や精神障害や知的障害の人たちとは全く違います。簡単な理由です。認知症の場合は、手厚い福祉や介護が必要になるためには、長い期間が必要だからです。正常な高齢者が介護が必要になるまでには数年以上もかかるのですから。
小布施町で行っている認知症予防事業は、まさに必要な介護を先延ばしにする、もっと積極的に体も脳も健康な高齢者を増やしていくというところに的が絞られているのです。

1件当たりの介護保険給付費の推移です。


同じように、小布施町と全国同規模市町村の、介護保険給付額の比較です。
 平成24年 小布施町57,581円(70,128円 +12,547円)
 平成25年 小布施町58,066円(70,213円 +12,147円)
 平成26年 小布施町59,365円(70,298円 +10,933円)

繰り返しますが、小布施町が表す数値が、すべて認知症予防活動の成果と言い切ることはできないかもしれません。ただ大きく影響していることまで否定する必要はないと思います。
単純に計算してみました。
認知症予防活動の結果、平成26年で同規模市町村と比較して、1件当たりの介護給付費が約10,933円安くなっています。平成26年度の認定数は487人でしたから、単純に計算して10,933円×487人×12月=63,892,452円。こちらの方向から検討しても6千万円以上の節約!

認知症を予防するという事業を組み込むことによって、6千万円ものお金をセーブできたのです。
認知症を予防するために必要な経費を試算しなくてはいけませんが、それは私の手に余ります。でも、たぶん一桁違うといえるくらいの費用しか掛からないはずです。
エイジングライフ研究所が指導する認知症予防活動のかなめは、脳機能検査ができ、それを基にした解釈をしたうえで、生活指導や専門医につなげるノウハウをもった「人」なのです。
教室を開催する場所は、地区にある集会所や公会堂でいいのです。教室のプログラムにしても特別のものは不要です。つまりお金のかけようがありません。

これからの少子高齢社会のかじ取りをする行政は、無駄遣いを現に戒めないといけません。それは正しいことです。
認知症に関していわせてください。
重度になった人たちへの手厚い施策は、財政的に無理があります。より軽いレベルで、もっと正確に言うなら正常なままに高齢者が生活できるような施策こそが、住民から求められ、財政危機を生まず、より必要な部署にお金を回すことができることということに、気づいてほしいと思います。
「広報おぶせ」

広報おぶせに掲載されている「まちとしょテラソ」のお知らせアイコンの場所です。右欄の町長メッセージ→議会だより→美術館情報の次です。
小布施の人たちがこの図書館を誇りにし大切にしていることが伝わってきます。実際に行ってみると、子どもたちや若い人たちが慣れた雰囲気で図書館にいました。単に、本がたくさんあって、本を借りる所というふうではありませんでしたよ。ワークショップを開いたり、人が集う場所という印象が強かったです。
死ぬまでに行きたい 世界の図書館15」に選ばれた図書館に、ランドセルをしょって学校帰りに寄れるなんて。
故郷が大好きで心豊かな子供を育てることができるのではないでしょうか?

このように、認知症を予防するは素晴らしいことです。
住民は「ボケるくらいなら死んだ方がいい」というくらい「ボケたくない」。その希望をかなえることができます。
介護給付費を削減できます。
そのお金を、その町で一番重要と思われる、その町らしさを育むところに注ぎ込めます。
 














































































































































































































































































































































































































 















































































 























































































































































 


歌会始入選歌から脳機能テストを考える

2017年01月17日 | 二段階方式って?

「父が十 野菜の名前 言えるまで 医師はカルテを 書く手とめたり」
この東京都西出和代さんの作られた短歌は、今年の歌会始の一般応募20,205首から選ばれた、たった10首のうちの1首です。 
縞ダイダイ(直径8センチくらい。今日の写真は、1月8日の庭)

先日の「歌会始」をテレビがライブ中継していました。
考えたら最初から最後まで、全部見たのは初めてでした。心惹かれる歌が続きました。
ロケット

「父が十 野菜の名前 言えるまで 医師はカルテを 書く手とめたり」
この歌が流れてきたとき、「あれっ!」と耳をそばだててしまいました。

私は心理担当として脳外科に勤務し、患者さんに神経心理テストを長年やってきました。当時の早期痴呆外来にみえた外来患者さんだけでも2000人くらいは担当したでしょうか。
それだけに、診察室の情景がふうと湧き上がってきたのも当然といえば当然です。ご家族の思いも感じられました。
まだまだきれいな葉ボタン

初診?それとも再診?
付き添っていらっしゃる娘さんの心情がしのばれます。まず お父さまの脳機能のレベルによって、娘さんの気持ちが種々に想像できるのです。
初診の場合が一番劇的でしょう。
私たちのいう小ボケ(前頭葉機能だけが低下している)の状態だとします。
家族は「徘徊とか、家族がわからないとか、夜中に騒ぐとか、不潔や暴力行為みたいな認知症らしい症状は全然ないのだけど、なんだかお父さんらしくないのよね。ボーとしてたり、同じことを繰り返し言ったり何か変」と思っています。けっこう一大決心をして、受診されていることがほとんどです。
こんな時、付き添っていてこの検査に出会うとほとんどの家族はびっくりしてしまいます。脳機能検査を受けるのを見るこ
と自体が初めてということを考慮しても、なお
「なぜ、こんなに言えないの?なぜ突然黙ってしまうの?普通に話している時こんなに黙ってしまうことはないのに・・・」
「えっ!なぜそんなに同じものの名前を言うの?」と驚くのです。
シンビジウム
 
初診でも、もう認知症が進んでいて、なにか大きな事件を起こしてしまったことをきっかけにようやく重い腰を上げて受診する場合だってあります。
そんな時は、
当然のことながら、脳機能の低下は著しいわけですからこの検査はむずかしい検査になります。
でも、小ボケならびっくりする家族でも、はっきりと症状が出ている状態なら、もちろんうれしいわけではありませんが「こんなこともあるだろう」と淡々と検査を見守るだけのはずです。
極楽鳥花

さあ、次は再診の場合です。
よくなっている場合です。これは初診時に小ボケレベルでないと、ほとんど期待できませんが。
日常生活を見ていると、家族が気になっていることが軽減されてきます。例えば、居眠りが減るとか、会話に入ってこられるようになるとか、表情が良くなるなどですが、そんなときには「もう少しいえるはず」と期待があります。大げさに言うと子供の運動会の応援をしている時のように手に汗握る状態です。
被検者であるお年寄りよりも、ご家族の方が緊張していることもよくありました。
河津桜の咲き初めの2輪
 

改善が実感できない時や、むしろ悪くなったかもと不安なときはどうでしょう。
「あー、野菜の名前をいう検査でしょ?簡単そうに思えるけど。でも、どうしてだかこの問題は、お父さんにとってはむずかしいのよ」と思いながら見ていますから、そんなにドキドキもしませんし、わりあい淡々と みていることになります。
いくら覚悟していても、余りにもできないと悲しくなるでしょうけど。
検査室で過ごしたいろいろな「時」が押し寄せてきました。
検査を受ける方たちとのやり取りにとどまらず、見守る家族の方々の様子も思い出されます。家族がどのように検査を見ているかを観察することで、そのお年寄りとどのような家族関係を結んでいらっしゃるのかを探りながら、検査後の生活指導につなげるのです。
パクチー(こんなにかわいい花)

 
「父が十 野菜の名前 言えるまで 医師はカルテを 書く手とめたり」
私は自分のしてきた仕事ですから、これを脳機能検査をしている状況とすぐにわかり、上のようにいろいろのことを書きました。
もちろん「何のこと?」と思う人もいるでしょうね。
いちばん多いのは「テレビや映画で見たことがある。認知症の検査でしょ」と思った人ではないかと思います。
ブーゲンビリア(1月に!)
 
さて、ここからはちょっと専門的な話になります。
この検査は一般的には「語想起」といわれる検査で、「課題の単語を1分間に何個言えるか」を調べるのです。
検査の目的は、その人の脳機能が課題の単語を 「1分間に何個言えるか」であって「10個言えるかどうか」ではないのです。
このドクターが何かの目的があってアレンジされたのかもしれませんが、普通に考えると「10個言えるまで待つ」のはちょっと変ですね。(作者が意図して創作されたことも考えられます)
脳機能検査には、「脳のどの機能を調べるのか」という目的がはっきりあります。
2000年になる前のことです。 当時は毎年、老年社会科学会に参加していました。大昔の話になりますね。
そのころ(から今に至るまで)「長谷川式」と言われる簡易検査法が世の中の主流でしたが、「前頭葉機能検査がないので老人性痴ほう症(当時)の早期発見はできない」という私たちの主張と、長谷川先生の聖マリアンナ大学との主張が毎年バトルを繰り広げたものです。
2001年の学会の時、「改訂長谷川式」が 発表されました。
利島の左にうっすらと三宅島

エイジングライフ研究所の提唱する二段階方式 は、前頭葉機能と脳の後半部のいわゆる認知機能を分けて測定します。前頭葉機能が不合格の人の中に、認知機能が合格する人たちがいてその人たちが小ボケ。ここが認知症の早期です。
「新長谷川式」 には、前頭葉機能である「語想起」が組み込まれていました。それが「野菜の名前が1分間にいくつ言えるか」という質問項目です。そして「10秒の沈黙で中止」となっていました。(ちなみに、前頭葉が正常な人でも10秒ていどは沈黙することはよくあります)
「この語想起の項目は、脳機能の何をターゲットにしていますか」という私の質問に
「Word Fluency、語の流暢性。どのくらい滑らかに単語が言えるか」という答えが返ってきました。 
 
「うーん。それでは単なる左脳の機能検査になってしまう。課題に対して取り組み続けるという前頭葉機能への配慮というか理解というか、足りない」と思いました。それから15年もたった現在は、前頭葉機能という言葉がだんだん一般的にはなってきましたが、理解というとまだまだです。
でも、うれしいことがありました。先日送られてきた学会誌「高次脳機能研究」にようやく「語想起には前頭葉機能が関与しているらしい」という論文を見つけました。
臨床的に言えば、当然です!
世の中は少しずつは動いているようです。
シークワーサー(直径3センチくらい) 

 


大室山を歩く

2017年01月15日 | 私の右脳ライフ

1月11日に、伊東自然歴史案内人講座の一環で 大室山に登りました。冬晴れで風もなく素晴らしいハイキングとなりました。


リフトから降りると、工事中。新しい展望台とトイレができるそうです。工事車両の下には普段目にすることのできない「大室山のなかみ」が積み上げられています。大室山の本体は赤い岩なのですね。
90度曲がって歩を進めると、まさに絶景。

大島、利島、新島・・・
伊豆七島の数え方には諸説あるそうですが、伊豆に来たばかりのころ
「音に聞こえし神津島 三宅 御蔵は八丈に近し」という歌を教えてもらって以来、八丈島を入れる考え方もあるようですが、青字が伊豆七島だと覚えました。
「お(大島)(利島)(新島)聞こえし(式根島)神津島 三宅 御蔵は八丈に近し」三宅島と御蔵島は遠くにあるので、見えないという意味なのですが、今日は見えましたよ。

写真では見えませんが、おむすび型の利島の左に、うっすらと三宅島が見えました。
左に目をやると伊東市街が望めます。

文学も。

大島に対面するように、鷹羽狩行の俳句の碑があります。
「伊豆は 日のしたたるところ 花蜜柑」作者が山形出身の方と教えていただきましたが、その知識がプラスされると句の理解が深まりますね。この句の向こう側に富士山が見えるのです。
続けて、お地蔵さまも。

奥の祠にずいぶん古い像が安置されています。海に生きる人たちは大室山を大切なランドマークとして位置付けていたようですね。
短いけれども急坂を上ったら、大室山最高地点です。
 
今日の富士山はちょっと雲がかかっていました。この写真でははっきりしませんは南アルプスの稜線も見事に白く彩られていました。
五智如来地蔵尊。
 
9歳の娘が身ごもり、その安産を大室山浅間神社に祈願しました。無事出産したお礼に、強力が一体を三分割して背負って奉納したということですが、想像するだけでも大変です。その前に9歳で妊娠??

今日は富士山の日のようです。。
リフトで降りて、さくらの里へ。こんな面白いショットが撮れました。冬枯れの大室山をバックに伊東自然歴案内人の先輩がお二人。
なんと、あか、あお、きいろ。「色」が入ってくると楽しくなりますね。

 




かくしゃくヒント31-彫刻家 重岡建治先生

2017年01月11日 | かくしゃくヒント

今日の「伊東市自然歴史案内人」講座は、重岡建治先生のアトリエ訪問でした。
毎年5月に伊豆高原一帯で開かれる、アートフェスティバルの発起人のおひとりですから、期間中は毎年アトリエをオープンにされます。その他にも何度かお会いしたり、作品を拝見したりしています。ずーと作品もお人柄も魅力的だと思っていました。

東日本大震災で全村避難の福島県飯舘村。そこから注文の作品(小さいサイズの見本)を傍らにおいて今日のお話が始まりました。

「飯舘村に道の駅ができるんですって。結構交通量の多い道ですから需要はあると見込まれてるんですけど」
2012の夏に南相馬市に行く途中通った飯舘村の緑にあふれる道が目に浮かびます。南相馬市便り
村長さんが素晴らしい人で、その道の駅では飯舘村の産物は売れない。ならば、支援してくれている土地の産物を売ろう。そしてそこに子供たちが遊べる彫刻公園を作ろう!と。思いつきがいいでしょう。その考えに賛同してこの作品を飯舘村のために作ってます。彫刻はそこでどう見えるかで全く違ってきますから、もちろん現地にも足を運びましたよ」
目がキラキラとして、とても今年80歳におなりとは思えません。


「これは、若いころに作った具象的な作品ですけど、気仙沼の港にあったんです。大震災の後、台座から転がり落ちていたので、今は預かってます。整備が終わったら気仙沼に帰る作品」
こういうふうに説明される時、先生が作品を見る目がとてもやさしく、そしてその作品の向こうに気仙沼の人たちの顔があって、その人たちまで見つめていらっしゃるような気にさせられます。
重岡アトリエのシンボルみたいです。「どこにもいかず、ここにあるものです」とおっしゃいましたから。

「ボクのは触れてもらう作品です。触ってもらったところはこんなに木肌がつややかになってるでしょ。ちょっと抽象的な作品のようですけど、目が悪い人たちにもわかってもらうために肩から腕のつながりなんかはとても正確に表現してます」

これが上半身。肩から腕。そうですね、目をつぶって触っても確かに人体と感じるでしょうね。膝に置いた手の部分がつやつや。

下半身。「長い間生きてきた木(「楠がいちばん好き」とおっしゃいました)を使いますから、やっぱりその木から新しく生まれ出たということを表現したくて、だんだん木そのものから作り上げるようになりました。下部を見てください」

お話は幅広い分野にわたります。
「ボクは彫刻って総合芸術だと思いますね。木が扱えないといけないし、その道具の手入れも。木彫の時はそれでいいですが、ブロンズにするためには新しい素材の生かし方も勉強。芯には鉄骨を組んでるし、大きい作品は地面を深く掘って型を差し込んでブロンズを流し込み、その後引き上げて設置。業者がやるのですが、知っておかなくてはね。4メートル以上だと安全のために計算も必要なんです」
 
「できるだけ薄く作るんです」と作品を裏返して説明してくださいました。イタリア留学時代に貧乏で材料代を節約するために細く薄く作った秘話まで披露されました。
「ジャコメッティはボクも好きですが、あれほど細く作るのは、彼もきっとお金がなかったに違いない」と笑っておっしゃいました。ふ~ん。
「イタリアや奈良の大仏様は、型をミツロウで作る作り方です。そこにブロンズを流し込むとロウなので溶けて簡便なんですが、金属の固まり方が違ってくるんですね。それに大きくはできないから、大仏さんのお顔のように継ぎ目ができてくる」


制作途中のフクロウ。材はサクラだそうですが、横のハトもサクラで作られた作品。
「50年たつと、サクラは酸化されてこんな濃い色になります。この色になって初めて、どのくらいノミを細かく使ったかがわかるようになります」
よくよく拝見したら、細かく彫られたところは1ミリにも満たないくらいでしたよ。

一般的なデザインはもちろん大切なのでしょうが、「木の持っている特徴を生かしてやりたい」という姿勢が強く伝わってきました。

これは椅子のデザインですが、周りはクスノキ、中はカエデと言われたと思います。色がすばらしいと。

先生は最初は仏像を彫る仏師に弟子入りされたそうです。徒弟制度の厳しさを語るエピソードはたくさんおありでしょうが、さらりと流し「教えていただいたことは、結局すべて身に付いた。そういうことができた最後の時代だったようです」と、言われました。
かくしゃく100歳の調査の時に感じた、人生に起きることに対しポジティブな受け止め方をするという 傾向が同じなんですね!

初期の仏像

手前は、最近の作品で「今、仏像を作るとこのようになります」。実は仏像が外れて分骨用のカプセルが組み込まれています。
「形がシャープになってきて、もう一つは『つながる』 とか『つなげる』とかを意識しています。実際にそうした方が強度も出てくるんです。子供たちがぶら下がっても、乗っても大丈夫なように作ってます」

もう一点、制作の秘密を教えてくださいました。大理石の作品です。

豊かな胸の表現が印象的な、抽象的な女体ですね。 
「この大理石は厚みが15センチくらいしかない。豊かな胸を表現するための工夫として、本来出ている腹部を彫ってへこませてみたんです。これから後の作品はへこますというか、えぐるというか。そこからむしろ豊かさを表すようになりました」

確かにこれだけの厚みしかないのです。

今まで何度も拝見してきた重岡作品ですが、これほど丁寧に説明していただくと見え方が変わってきます。
そして何より、重岡先生の人間愛とでもいえそうな、暖かさややさしさがその「言葉」からも伝わってきました。もちろんどの作品からも同じような印象がひたひたと押し寄せてくるのですけれど、こちらは「右脳」 がキャッチしています。
物事を理解するときに「言葉」は内容を深める働きをするものです。

玄関に入る前庭にこんなに大きな材が。庭にもアトリエの中にもたくさんの巨木がありました。乾燥を待っている巨木たちです。
重岡先生はキラキラした少年のような目でお話しされました。
あの目で、この巨木たちに対峙して、また魅力的な作品ができあがるのでしょう。
「作品を作り上げるのは、才能ではなく、コツコツ何万回もノミを打ち続ける根気だと思います。最近は手が言うことを聞かなくなってしまって。でも電動の道具があるそうだから」こういうことを言われる時も、深刻な雰囲気ではなくむしろニコニコ しながらおっしゃいます。

アトリエにお邪魔した2時間。心が震えました。そしてこういう深い生き方もまたかくしゃくへのパスポートに違いないと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 


1月の右脳訓練ー幕田魁心書展 at 銀座鳩居堂(写真追加)

2017年01月08日 | 私の右脳ライフ

一緒に行った同級生のS口さんが写真を送ってくれました。
さすが、もと戸畑高校美術部部長さん!この構図から会場の雰囲気がよく伝わって来ると思いますから追加します。

先に観賞してから 、お茶をいただきました。


幕田さんは本もたくさん書いています。


右下のスクリーンから、フランスでの様子が流されていました。
ありがとう。S口久美子さん! 

銀座4丁目鳩居堂です。
 

戸畑高校同期生の書家、幕田魁心さんの書展が銀座鳩居堂で開催中です。同級生と連れ立って鑑賞へ。
幕田さんは去年フランス政府からアンクラジュマンピュブリックフランス社会功労奨励王冠付勲章を授与されました。その記念展です。


勲章!内容も素晴らしいと思いますが、さすが文化の国フランスの勲章!色合いもおしゃれです。

作品の数々に圧倒されました。と書きましたが、「圧倒」というのとは違いますね。一番近い言葉を探してみました。
「ワクワク」かな。「ドキドキ」かな。

「はな」で思い浮かぶイメージを書にしてみたそうです。「100まいくらいあるかな」とこともなく言います。湧き出るイメージと具現化する能力と。幕田さん素晴らしい。
「どれが一番好きですか?」とたずねるのなら、日本人でもフランス人でも、通用するやりとりになります。まさに右脳の世界!
優しい日本的情緒。縦22センチ

大胆なイメージの世界ー龍虎。縦180センチ

イグアスの滝。飛沫をいろはのかな文字で表現しています。

最後に記念写真。

女子はこのあとおしゃべりタイムでした。いい新年会でした。


正常圧水頭症の診断には「急激な変化」が必須条件

2017年01月07日 | これって認知症?特殊なタイプ

この記事は2011年8月「劇的回復!と喜びすぎないで。正常圧水頭症」としてアップしたものです。(レイアウトのずれが直せません)
昨夜フェイスブックを読んでいたら、お母さんが正常圧水頭症からある程度回復した方の投稿がありました。関連していますので再投稿します。

N県T市のK池保健師さんから電話があったのは、夏の直前だったでしょうか。検査は6月16日実施でした。
「急激な変化なんです。娘さんもおかしいっていってます。MMSも変と言えば変だし・・・得点と30項目も合わないようだし・・・とにかく、変なんです」
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言いかえれば、いつも強調している

   A:脳機能検査
   B:生活実態
   C:生活歴

この三つの関係が
「Aもおかしいし、Bとも合わないみたいだし、とにかく急激な変化だって家族が言ってるんです!」

私の回答

「MMSの低下順がおかしいというけれど、たまたま間違ったんじゃなくて実力としても本当にできないのですか?その確認はしてありますか?」
私たちはAの低下順がおかしい時は、まず「検査上の不備があったのではないか」と考えます。再確認やその他の方法を駆使してもなおその項目が本当に能力的にできないのかどうか、確認しなくてはいけません。

→テストの再確認
「30項目と一致しないみたいというけれど、家族関係はチェックしてありますか?ご本人が難しくて関係性が悪いことだってありますね。そうするとより悪い結果になるんですよ」
生活実態とのずれがある時には、「本当に正しく申告されている」ことを確認しなくてはいけません。

→生活実態の再確認
「急に変になったと言うけれど、本当に急なんですか?K池さんがその人をよく知っていて、ほんとに直前まで普通に元気にしていらっしゃったことを知ってるんですか?」
とくに家族は「今までは大したことはなかったのですが、急に変になりました」といういい方をよくします。迷子や不潔行為などちょっとした大ボケに相当する事件が出来した時に、その前にはそれほどのことが起きてなかったという意味で、「急にこんなことになってしまって」というのです。

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→生活歴の再確認                                   
私たちが高齢者の方から相談を受ける時には、

   A:脳機能検査
   B:生活実態
   C:生活歴

この三つの意味するところがA=B=Cになるというつもりで事を運ばなくてはいけません。
当てはまる確率は95%くらいだと考えていいでしょう。                                                                                       

とにかくA=B=Cになるはずという姿勢が必要です。そのことを私は強調しました。ですから、K池さんの大きな疑問に対して水を差すような言い方を続けたのです。それでもK池さんは「やっぱり、変なんです」と強調します。そこで説明を促してみました。
ツバキの実
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K池さんの話です。

「家庭訪問しました。
まず、A脳機能検査ですが、前頭葉は全滅で、これはいいですよね。
MMSは15点。時の見当識は1点でした。でもカレンダーを見て答えようとしたりA4版白紙には6月って書けたり、実力がわかりませんでした。もっとおかしいと思うのは想起が1点。しかもヒントを出すと直ちに満点になるんです」

「様子を見ると、うまく歩けないみたいだし、失禁がひどいんです(これは後から聞きましたが、部屋中にパンツが干してある状態だったとか)。ボーとしてるし、春ごろお会いした人と同一人物とは思えませんでした」

「近所に住んでよく行き来のある娘さんとご主人から30項目をつけてもらいましたが、二人で話し合いながら付けてくださった結果は、1から18まですべて当てはまる。さらに25(食事をしたことをすぐに忘れる)27(家庭生活に会場が必要)30(大小便を失敗)に丸が付きます。30はわざわざ小を丸で囲んで小便だけの失敗であることを訴えていました。生活実態とかけ離れてはいないと思います」
「ほんとに急激な変化で娘さんは『何が起こったんだろう?』と泣いていました」
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「Aの低下順がおかしい。一応A≒Bとは言えるけど、良く検討すると、この点数では失禁は早すぎます。そのうえ、それを説明できるCがない。そうすると二段階方式では、次に何をすることになってますか?」と私が促すと

「受診です」

「そうですね。もう一度ご家族に確認して急激な変化というのが本当に確実になったら、脳外科の受診を勧めてあげてください」

翌々日に脳外科を受診して「正常圧水頭症」との診断が下ったという報告がありました。さっそく入院、少しして髄液を抜くことになったそうです。

先日いただいたK池さんのメールです。
「さて、○○さんですが、今は、以前の生活に戻りつつ、夫も本人も笑顔が見られております。
7月7日 髄液を抜きました。主治医からすぐに効果はでないと言われたということでしたが、『帰りには、なんとなく足の上がりが良くなったように思った』と夫が言われていました。
デイの送りだしに行っているヘルパーさんからも日が過ぎるごと歩行・物忘れが改善されてきたと報告を頂きました。
7月21日、約一カ月ぶりに 訪問して驚きました。杖なく歩け、庭の草取りもしていました。顔の表情明るく、物忘れも感じないようになり感情コントロールもしっかり出来ていました。味付けも前に戻りました。失禁も少なくなりました。本人からも夫からも『脳外科に行って良かった。良い人達と出会えたことを感謝している』と喜ばれました。
現在、転倒防止からリハビリを取り入れたデイを利用しています。
先生には、感謝しております。
髄液を抜いた後、どんどん症状が消えていったので、私もびっくりしています。良い、勉強をさせて頂きました」


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最近マスコミでも、手術で治る認知症ということで、今回のような正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫が、センセーショナルに取り上げられていますが、知っておかなくてはいけないことが二つあります。

まず最初に知らなくてはいけないことは、その頻度は非常に低いことです。
考えても見てください。このT市で、もうすでに数百人の脳の健康チェックが行われていますが初めてのケースですよ!

もう一つ心しておかなければいけないのは、このように簡単に劇的に改善すると、「どうにかして、うちのおばあちゃんも劇的に改善させたい」と思ってしまう家族が出てくることです。

認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症(脳の老化が加速されたもの)は、地道な脳リハビリしか改善の道はありませんからね。
それはそれとして、今回のケースは本当に良かったですね。
AもBもCも同じように大切な情報であることがわかっていただけたでしょうか?

 

 

続1月の右脳訓練ー中山光晨 明粋書画展を楽しむ

2017年01月06日 | 私の右脳ライフ

鳩居堂4階が幕田さんの展覧会。その下3階で中山光晨 明粋書画展が開催されていました。幕田さんのお嬢さんご夫婦のDUO展です。書がMr. 画がMrs.です。

書と絵画が引き立てあって、一体化している今回の展覧会の中でも象徴的な作品だと思いました。

作風が多彩で見る楽しみがあります。

去年のNHK朝の連続テレビ「朝が来た」から広岡朝子の言葉「九転十起」

私たち同窓女子組は、期せずしてこの作品の前で涙が。母親の心情にあふれた言葉でした。

画像にしてみました。

このような思いで育てられた息子さんたちは、書の道に進む覚悟を持っているようで、頼もしく今後もまっすぐに成長して行って欲しいものと思いました。
幕田さんも、未だ毎年12月31日、夜7時ごろから6時間以上もかけて「蘭亭序」の臨書をされるそうですが、心路君もまた小学4年生から「蘭亭序」(ここから全文を見てください。一点一画正確に写し取るのです。臨書の時は間違えは許されません)の臨書に挑戦し続けていると聞きました。その作品も展示されていましたが、これが中学2年生ですよ!全文は28行もあります。
いつも思うことですが、私たちの脳は「人並み」に何かをすることは、使いさえすれば、つまり努力さえすれば可能なように用意されているようです。
ただ、「人並み」でない状態まで到達しようとすると、努力だけでは無理ではないでしょうか?
もちろんどんなに優れた才能を持って生まれてきても、磨かなければ光ることはできないということも一面の真実でしょう。

明粋さんのお気に入りを尋ねたら、「この雀」と言われました。4年生の心人君の「蘭亭序」臨書作品とともにパチリ。
心人君。今はまだまだ人生のスタートライン。これからどんなコースが繰り広げられるか楽しみにしています。

ご夫妻のDUO展ですが、この息子さんたちの臨書2作品と、下の3作品が並んで展示されている一画はまた別の魅力を感じました。

若い人たちががんばっているのを見せていただくのは、本当にいい気持ちになりますね。


1月の右脳訓練ー幕田魁心書展 at 銀座鳩居堂

2017年01月06日 | 私の右脳ライフ

戸畑高校同期生の書家、幕田魁心さんの書展が銀座鳩居堂で開催中です。同級生と連れ立って鑑賞へ。
幕田さんは去年フランス政府からアンクラジュマンピュブリックフランス社会功労奨励王冠付勲章を授与されました。その記念展です。


勲章!内容も素晴らしいと思いますが、さすが文化の国フランスの勲章!色合いもおしゃれです。

作品の数々に圧倒されました。と書きましたが、「圧倒」というのとは違いますね。一番近い言葉を探してみました。
「ワクワク」かな。「ドキドキ」かな。

「はな」で思い浮かぶイメージを書にしてみたそうです。「100まいくらいあるかな」とこともなく言います。湧き出るイメージと具現化する能力と。幕田さん素晴らしい。
「どれが一番好きですか?」とたずねるのなら、日本人でもフランス人でも、通用するやりとりになります。まさに右脳の世界!
優しい日本的情緒。縦22センチ

大胆なイメージの世界ー龍虎。縦180センチ

イグアスの滝。飛沫をいろはのかな文字で表現しています。

最後に記念写真。

女子はこのあとおしゃべりタイムでした。いい新年会でした。


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