脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

結婚記念日―左脳と右脳のせめぎあい

2015年03月31日 | 右脳の働き

3月29日は結婚記念日でした。

二つの個性が、溶けこむこともせず、でも長い年月一緒に暮らしてきたものだとちょっと感動。
先日、私たちはこんなに違うのだと改めて驚いた「事件」がありました。

「富士山」という単語を聞いたとき、脳の中で何が起きるか?
私は疑いもなく誰でも↓このようになると思っていました。

脳の中に富士山のイメージがパーと広がって見える。画像が見えるのです。

ところが夫の脳の中は↓のような状態なのだそうです。

「富士山」という字が浮かぶのだそうです。続けて「日本一」とか「秀でたもの」などの単語が浮かんでくるそうです。
長い結婚生活を続けてきたのですが、新しく理解が開けたような気がしました!

夫は典型的な左脳優位な人です。左脳優位というのは、置かれているその状況を理解するときに、左脳で処理する情報がベースになると考えたらいいでしょう。左脳はデジタル情報を受け持ちます。「言葉で表現できる」といえば一番簡単な説明です。

いっぽう私ときたら、これまた典型的な右脳型。
何かを見ているときは当たり前として、誰かと話をしているときでも脳の中にはイメージやシーンが繰り広げられています。
そのシーンを説明するために言葉を引っ張ってくる、そのような状態といえばいいでしょうか。
右脳は「感じる脳、なんとなくわかる脳」であって、もともとなかなか説明しにくいことが行われています。守備範囲は、色、形、音楽、感情などのアナログ情報です。

結婚記念日のイベント1(松崎町のお花見)

俳句が短冊に

右脳優位に情報処理を行って、それを右脳でなく左脳で説明することは難しい。夫が「何が言いたいのかわからない」とか「言葉が足りない」といっていたことの意味がすとんと胸に落ちました。
「ちゃんと説明してるのに…」と心中では反発してきましたし、もちろんこれからもきっと(笑)

イベント2 近所のおしゃれなカフェJガーデンでお茶

Jガーデンには珍しいシダや多肉植物がたくさんあります。

Jガーデンのマスターから頂いたお祝いの言葉へお返ししました。
「私たち夫婦は右と左ですが『両手を左右に広げると最後はつながる(地球は丸いので)』と言ってくれた友人がいます。(^-^)」
その返信
「なるほど球形の荒野ですね!」
私の心中の言葉
「グリーンフィールドよ。たまの荒野も否定しないけど」


「『富士山』と聞いて、いま、脳の中には何が起きる?」といろんな人に尋ねてみると、興味深いことがわかりました。
富士山がイメージ化しやすいためだと思うのですが、画像が浮かぶというようにやや右脳ベースで処理する人が多いようでしたが、名前や意味が単語化されるという人もいるのです。
もちろん、差はあるようですが両方とも浮かぶという人もたくさんいました。

少し正確に言うと、左脳・右脳と言いますが、脳の中では独立しているわけではなく脳梁という神経繊維の束でつながっています。左脳だけ、右脳だけしか機能しないということは、もともとないのです。刺激は脳内を宇宙的スピードで駆け巡ると読んだことがあります。
左脳・右脳の情報をどの程度重視するかは、前頭葉の出番。いつでも前頭葉がコントロールしています。

イベント3 家で祝席


主菜 ハリギリの芽の天ぷら(タラノメよりもおいしい)


デザート 松崎町銘菓の桜葉もち

「あの人のことがよくわからない」とか「苦手」と思う相手がいたら、その人の脳の中で何が起きているかちょっと想像してみたらどうでしょう。
左脳優位なら、デジタルっぽくとらえています。
右脳優位なら、アナログっぽくとらえているのです。
特に、今の自分が依っている立場とは逆のとらえ方を想像してみて下さい。
これにはかなり前頭葉の力がいりますね。


 


小さな外出が脳を活性化する

2015年03月25日 | 前頭葉の働き

市役所に用事があって行きました。
ひさしぶりの上天気に期待感もありましたが、それにしてもなんというまばゆい春!
青空にほころび始めたサクラの花が。

市役所の広場も、隣接する仏現寺も。
その昔「ルンルン」という表現がありましたがそんな気持ちが湧き上がってきます。

慣れ親しんだ景色でも時が変われば変わって見えるのが不思議ですね。
いいえ「不思議」ではなくて、言ってしまえば前頭葉のなせる業です。色や光をキャッチするのは右脳ですが、それをどのように感じ判断するかは前頭葉の独壇場。


その前に、どのようにキャッチするのかという取り組み方も、前頭葉が指示しているのです。
私が子供のように喜んだこの景色も、大きな悩みを抱えた人には同じように感じられるとは思えません。また、大きな悩みを抱えた人でも、圧倒的な美しさに悩みを一瞬側におけるかもわかりません。
まったく同じ光と色の刺激の中にいるのに!


こういう風に考えると、ちょっと前頭葉の働きが理解されるのではないでしょうか。昔の人は十人十色と言ったものですが、前頭葉の働きを簡潔によく言い表しているといつも感心しています。

用事を済ませた後、そんなことを考えながら散歩しました。
オッと、運動領域も使えたことになりました。
伊藤祐親像。時間があったので説明板をよく読んで、ちょっと歴史のお勉強。

歌碑もありました。

思いがけず文化的な刺激も受けました。
これは左脳も関与していますから、ちょっとした外出で私の脳はみごとに活性化されました!

皆さん、自分を喜ばせてくれる春を見つけに外に出ていきましょう。


かくしゃくヒント28-学校の先生はボケるんですよね?

2015年03月20日 | かくしゃくヒント

認知症予防講演会の導入で「どんな職業の人がボケると思いますか?」と尋ねることがあります。
しばらく沈黙が続いた後、会場からは笑いを込めながら「公務員」「学校の先生」という返事が返ってきます。
それも、全国どこでも!
トキ草が咲きました。

じつは、この質問は認知症発症ととかかわりがあるのは職歴でも学歴でもないということを話すためなのです。
答えを先に言っておきます。
「ボケるかどうかは、生き方が決め手。
どんな職業だったかとか高学歴だとかは無関係で、今どのような生き方をしているのか、脳全体をイキイキと自分らしく使っているかどうかだけが、そのカギを握っています。」

「具体的には、仕事や勉強などデジタル情報を処理する左脳、音楽や絵など趣味や人付き合いアナログ情報を担当する右脳、それらを自分らしく統括する脳全体の司令塔である前頭葉を駆使しているかどうかということです。」

「公務員が全部ボケるわけじゃない。学校の先生が、全部ボケるわけじゃない。
どういう人がボケているか、どういう人がボケてないか、よく見てください。そこに答えはあります。」

「仕事一筋、趣味も交友も楽しむことを知らず、というより、そういうことは無用のことと切り捨てているようなタイプの人は、定年退職後に『することがなくなって』ナイナイ尽くしの生活を続けるしかない。そのような生活を続けていくうちにボケてしまうのですよね。
そして残念ながら、確かに公務員や先生にはこういう生き方をする人たちが多い・・・ということは言えると思います。でも、そういう生き方をしない人はボケるわけがありません!」という展開になるのです。

その好例が!
「うらしまコンサート」に行ってきました。伊東市民劇場の番外編おまけのコンサートということだけが事前の情報でした。
想定外と言いたくなるほどの、とっても楽しいひと時を過ごすことができました。
手作りポスターのお迎え


器械を通すのではなく「人」が音楽を奏でる時には、心(右脳)に直接入ってくる特別の力があるように感じていました。最近よく伺う洗濯船Ⅱのおかみさんのピアノ生演奏のせいでしょうか。

それにプラスして、歌にはまた「言葉が持っている意味」という別の力がありますね。楽器にはなじみがなくても歌そのものが持っている力。
会場に着くと、開演時間の前だというのに、 もう合唱の声が聞こえてきました。
「あら、懐かしい歌。私の青春時代の歌」

受付で手渡された歌詞カードはすべて「あら、懐かしい歌。私の青春時代の歌」ばかりでした。

歌の間の語りがまた絶妙。内容の持つ暖かさと、言葉の持つ親しさと、なんとも言えない間と。
会場は何度も笑いに包まれました。

メンバーのご紹介は浦島さんのFBから拝借します。こういう表現ができる人はボケにくい(笑)
初めてのトリオで臨みます。
✨山口光仕牧師
(ベース)
✨森野正巳整体師
(パーカッション)
✨浦島浩司
イニシャルだけだとあと一歩
だってYMUですもん。
内容だとあと二歩。

追加。真ん中が浦島浩司さん。中学校の先生をなさっていたそうです。今は定年退職なさってFMいとうのラジオパーソナリティ。
左の森野正巳さんは浦島さんの教え子。
右の山口光仕さんは牧師さん。浦島さんは山口牧師のもとで洗礼を受けたという関係があります。

浦島さんはシンガーソングライター。
歌詞は「伝えたいこと」がはっきりしている、いわば人生の応援歌のように感じられるものでした。
それも、浦島さんの体験の中から生まれ出たものばかりなので、それだけに訴える力が大きかったです。

それから、さまざまなボランティア活動にも励まれていらっしゃいました。
被災地への訪問も継続中。障碍者施設へのかかわり。教会での学習支援・・・
浦島さんのお人柄や思いが、ストレートに伝わってきたのは、歌の力があったかもしれません。
右脳優位で、直接感覚に訴える力が、音楽にはありますから。
もちろん、浦島さんの生き方そのものの魅力が前提ということは声を大にして言わなくてはいけませんよね!
ごめんなさい、申し遅れました。お声そのものも厚みがあって元気をいただけました。

こういう生き方ができる人を、私たちは「あの人はボケない!」と言います。たとえ先生をなさっていたとしても、です。
お体に気を付けて、浦島さんが生きたいようにご活躍なさることをお祈りします。


 


3月の右脳訓練ー歯科通院だけに終わらせない

2015年03月09日 | 私の右脳ライフ

今年の1月、「前頭葉を駆使して「楽しみ」にする」書いたように、私は東京駅の近所にある歯医者さんに通っていますから、遠いといえば遠い。手間といえば手間。
でもそれを逆手に取って、「歯医者さんに行くときは何をしよう」と情報を収集するようにしています。

3月9日は月曜日。いくつか興味のある展覧会もあったのですが、軒並み休館日。
その中で、開催中のものがありました。国立公文書館の「JFK-その生涯と遺産」展です。


1963年11月22日(大昔になりました…)日本では勤労感謝の日でした。テレビを見ていたら「ケネディ大統領狙撃される」というニュースが飛び込んできて、にわかには現実のものとは思えなかったことをまざまざと覚えています。だから、展覧会そのものにも興味があったのです。
そして、十分に期待に応えてくれました。あまりにも有名な就任演説、手に汗握るキューバ危機そして暗殺。家庭人としての写真やビデオなどもありました。

開場まで少し時間があったので、入り口近くのショーケースの中を見てびっくり。
日本国憲法の原本、終戦の証書(これはコピー)、そのうえ五箇条のご誓文の原本が展示されているのです。さすが国立公文書館!
現代史の立役者たちの署名、花押も。もちろん御名御璽。
御璽が本文にかからないように、本文は3行で終わることになっているのだそうですが、終戦の証書は4行あって御璽がかぶっています。それどころが挿入、紙を貼った修正個所もあって、いかにあわただしくことがなされたのか、こういうところからも緊迫感が漂っています。

目の前は皇居北桔橋門です。カンヒ桜がつぼみを大きくさせて春が近い風情を感じます。

治療が終わって、さあ、新宿へ。ロビに会いに行くのです!
友人のフェイスブックで「ロビと遊んだ」と動画があり、あまりにもかわいい!
「絶対行きたい」と場所を教えてもらったのは、何と前日。



高橋智隆さんが飛躍的に進歩させたことや、その方法がとてもアナログ的なアプローチを持っていたことなど、ロビのことは知っていましたが、遊べるなんて知りませんでした。
かわいい。

こちらの言葉に反応して、オウム返しではなく会話してくれる。
歌って踊って、ゲームして。
疲れたといって、座る。
頭をちょっとかしげるしぐさがかわいい。
人を探して頭を動かす。そしてしゃべる。
目が何色かに光るのも、かわいい。

100体のロビたち。とにかくかわいいのです!
今日は100体のダンスはありませんでしたが、ビデオ紹介では「番号!」と声をかけると1,2,3…と返事をして15番目になるとうっかりしてしまって返事をしないロビまで挿入。
いっぽうでは、一糸乱れぬダンスを披露していました。かわいいを連発してもたりないほどかわいかった…
近未来には生活上の便利なパートナーになるだろうということも触れられていました。
上手に使うには、こちらの前頭葉が必要ですよね。こちらが上手(ウワテ)でないと、ちょっと問題ありかな?

実は東京駅隣の「丸の内トラストタワー」のオフィスに勤務している年若い知人が、ランチをごちそうしてくれました。
一人暮らしの友人宅へもちょっと寄って、今回の上京も充実したものになりました。


2015年度実務研修会のお知らせ

2015年03月08日 | 二段階方式実務研修会

実務研修会の開催日程が決まりました。
2015年9月5日~6日 9:00~17:00
浜松アクトシティ研修交流センター501会議室
実施要項の請求は下記へお願いします。
413-0232 静岡県伊東市八幡野1030-44
エイジングライフ研究所

私の友人J子さんの3月のしつらえ。春ですね!

おしゃれな大人のアフタヌーンタイムも。
ありがとうございました。


かたい蕾の、小ボケ

2015年03月07日 | 正常から認知症への移り変わり

最近、身近のお知り合いに小ボケの花が咲きかけることが続いています。

伊豆高原の我が家(3月3日)

心臓の冠動脈に狭窄が見つかった友人。
去年11月に外出先で「バクバクする感じで心臓がちょっと変」になったそうです。
とっても健康な人でしたし、ほんとうに初めての経験だったので、早速受診。
画像を見せてもらって「ここが狭窄しているので、たぶんステントを入れることになるだろう」と言われてしまいました。

理解力に全く問題ないだけに、血管が狭くなって血液の流れが滞る可能性があるという狭窄の意味も、それが大切な心臓を養う冠動脈に起きているという状況の理解も完璧。
その後何人かのドクターに見てもらったら、結論的には
「この年齢の方にはよくあること。特別問題にすべきではなくステントを入れるのは過剰医療になる」ということに落ち着きました。

これで一件落着の話のようですが、そうはいかなかったのです。
当人にしてみたら「狭窄した冠動脈」を見ているのです。
「もしあそこで詰まったら・・・」
「必要な血液が流れないことが起きたら・・・」
「ステントが不要とおっしゃった先生もいるけれど、必要とおっしゃった先生もいるのだし・・・本当に必要ないのか・・・」

家で安静にしていると、ちょっとした鼓動もはっきり感じられるし、また苦しくなるのではないかと不安が募ったり。いろいろ考えると、こわくて外出したくありません。
結果、家で安静にするしかなくなる。

そういう生活が2か月ほど続いたころにお会いすることができました。
相変わらず、礼容整ったおしゃれな紳士。
会話も滞りなく流れていくし、どこも異変を感じさせるものはありません。

ただ、ちょっと全体的に元気がないというか、目に力を感じられないというか、というような印象はありました。
それも、2か月も家で安静にしていたら当然といえば当然、と思うことだってできる程度なのですが。
このまま放置して3年くらいたつと隠しおおせなくなります。「目が届かない」小ボケの発見

が、エイジングライフ研究所としては、ここで黄色信号を出しておくことは避けられないことです。

Q「2か月もお家にこもっていらっしゃったのですよね。やっぱりちょっと脳の元気がなくなってますよね」
A「ええ。そうですね・・・」
Q「どういう風に感じられますか?」
A「何もできないというか、やる気が出ないというか。なんというか不思議なほど何もやりたくないです」
Q「いつも言うように、脳の老化が早まるときには意欲低下からなのですよ。世の中が言うような物忘れじゃなくて!」
A「よくわかりました。ほんとにそうです。最初は発作がこわいからと思ってましたがちょっと違う・・・

「『普通の生活をしても問題はない』というドクターの言葉を信じて、以前の生活に戻しましょう。散歩もされてましたし、公民館活動も。お買い物にもよく行かれてましたよね。一気でなくてもいいですが、それでもなるべく早く元の暮らしになるように」
「そうですね・・・がんばります」

もう一押しかな?と感じました。
「血管にドロドロがあって、それをそのままにして置いたまま、血液をよく流すためには①流れる血液をサラサラにする②血管に傾きを付けて流れをよくすることはできないから、脳をよく使って、というのは血液が要求されることですから、そうやって流れをよくする方法しかない」
このことは脳の血管に狭窄があったり、そのために内膜剥離術を受けた患者さんによくお話ししてきたことなのですが、
「心臓でも同じではないでしょうか?」と言い足してお話ししました。

それから1か月後再会。
おかげさまで。エイヤって歩き始めたら、全体が調子いいんです。これまた不思議なほど。そうしたら次々とできることが増えてきて結構忙しくなりました。ほとんど以前と同じ生活になったでしょうか。
あの時、はっきり言ってくださってありがとうございました。
いつもお話聞いてるし、長いほうのブログも読んでいるのでわかってるんです。これは要注意だなって思っていても、ことが心臓だからと慎重になってるうちに、本当に何もしたくなくなって。
まったく、ボケ始めって意欲低下ですね!」

 
かたい蕾なら、小ボケの花を咲かせなくても済むのです!しかも自分だけの力で!


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