脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

高齢化率43%/十日町市松之山

2006年07月16日 | かくしゃくヒント

十日町市は、平成17年4月1日に旧十日町市、川西町、中里村、松代町及び松之山町の5市町村が新設合併して誕生しました。二段階方式を導入していたのは、旧十日町市でしたが、認知症予防活動は必須の事業ということで、新市でも取り組むことになりました。
まず講演会。去年は中里、そして今年が松之山
(3月6日のブログも読んでください)

全国でも、名だたる豪雪地帯。そして高齢化率42.88%・・・

私は、「松之山存続のために、大切なことを伝えなくては」と、いつもの講演よりもちょっと気合を入れて、ほくほく線十日町駅に降りました。
迎えに来てくださっていたのは、松之山支所の福原滋さん。「雪国の大変さと、それだけでない豊かな人間らしい生活を支える松之山のこと全部を知ってほしい」という気持ちが、お会いしてすぐ読みとれました。

    松之山を復習していたら素敵なブログに出会いました。
     松之山ってこんなところです。 

    http://blog.livedoor.jp/satoakihiko/

何代の人の手がかけられているのだろうかと、頭が下がる思いの棚田。少しの土地も無駄にせず、田が無理なら畑。そこここで農作業をしている高齢者に出会いました。常に手を加えるからこそ、維持できている松之山の風景なのです。

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美人林と呼ばれるぶな林へも行きました。
福原さんに言われてわかったこと二つ。
ひとつは、足元にびっしり生えているぶなの赤ちゃん。まったく気にせず歩いていたのですが、いったん気付いたら、踏みはしないかとハラハラし通し。
もうひとつは、「ぶなは少なくとも10本はないと大木に育っていかない」ということ。あの赤ちゃんが何本成長していけるのか?1本ではだめということも、どこか人間に似ている・・・などと感慨新たでした。

福原さんのお宅へも寄りました。天水越というところです。
話を聞いているとちょうど、お母さんが畑から帰宅。お隣の方と一緒に温泉に行くのが日課とか。80歳過ぎとはとても思えないほどお若い!
お宅の隣はよく手入れされた畑(福原さんが耕してあげると、後はお母さんが担当)その隣にお堂が。福原さんのお宅で数百年経つ十一面観音像をお祭りしてあるのです。
「お講のときは、ご馳走を作って振舞うのが楽しみだもんな。このお堂を守ることも、大変でもお母さんの生きがいだろう」

話は続きます。今年の雪は多くて何と6M。「雪下ろしをするとまあ8Mにはなったな」
高齢者の暮らしでもっとも大変なのがこの雪下ろし。福原さんは雪下ろしのボランティアをやっているそうですが、手を合わせられることもしばしばとか。
「雪のない時期は、いいですよ~。田畑を守るのも義務というか生きがいだし、暖かい交流はあるし、何よりこの自然!」

さて、講演です。
人口2900人弱。参加者は130人。会場いっぱいでしたから
たくさんの方が聞きに来てくださったということがわかりました。P1000025
エイジングライフ研究所の講演の最重要な点は、「脳の健康を守るには、右脳・左脳・運動脳を発揮できる場が必要。その状況の中で前頭葉をいきいきと自分らしく使い続けるのです」ということですが、右脳=趣味・人付き合いと単純化せずに次のように説明しました。

「松之山にはあいた土地がない。田ができるところは田、無理なら畑。でも田や畑の隅には必ずお花が咲いています。道沿いの花も地域のみなさんの丹精だと聞きました。花を育て、めでる心が右脳の働きです」
「田畑で働いて一休みするとき、山の緑や空の青さに改めて心が洗われるような気持ちになるでしょう。そんな時に右脳が活性化されています」
「初雪のときに、また厳しい季節が始まるなあ。でも、なんときれいなこと!と思わずにはいられないでしょう」

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「各分野で秀でた実績をお持ちの70歳以上のお年寄りの方々を名老百選として選任。松之山町の宝」
この情報も前日福原さんから教えていただいたものでした。
見事に右脳優秀者がそろっています。その名老百選の話もしました。この人たちが教室参加してくださればいいのです。

参加者の方々は97%が「参加してよかった」といわれたそうで、高齢福祉係長さんとしての福原さんも「主催してよかった」といわれました。私もホッ。

私は予習しなくては、地域に密着した話ができませんが、保健師さんたちはお年寄りを納得させ、心を捉える話ができるはずです。また人材についてもよくご存知ですよね。
後は脳機能テストと生活改善指導です!

           おまけ:日本三大薬湯 
  有馬温泉・草津温泉・松之山温泉(山中なのに塩味)


「在宅ケアネットワーク香川」の発表原稿/日高幸代

2006年07月13日 | 二段階方式って?

P1000001_1 天城高原にドライブしました。
道端に鹿がいました。
カメラを向けても平気。
見つめられてしまいました。
鹿害も承知してますが、かわいかったです。

6月14日の日高保健師さんの手紙:
 「在宅ケアネットワーク香川と言う会で、綾川町における認知症への取り組みについて   報告して欲しいと依頼されています。認知症についての医師による特別講演の前座で、も う1例の報告は、医療機関での取り組みが報告される予定です。
まだ、原稿はできていないのですが、医師や福祉関係者が多く集まるであろうこの会で、こんなこといってもいいのかな?と言うこともあると思います。でも、うまくいけば、ボケ予防教室の有効性を町内のスタッフと共通認識できるチャンスかなとも思っています。もし時間があればご指導のほどよろしくお願いします。」

ボケ予防教室の有効性!
携わった保健師さんたちは、
 テスト結果からも、
 アンケートがある場合はそれからも、
 参加者の目に見える変化からも、
まさに実感していることなのですが、携わっていない人たちに伝えきれないもどかしさがあるようです。
二つ前の「宮城県旧古川市の取り組み」の後半、練生川保健師さんの項も読んでください。

発表やまとめが苦手な保健師さんたちはたくさんいるでしょう。
実は私もその例に漏れません。
日常は次々に仕事をこなすだけで精一杯ですよね。
発表やまとめが苦手なだけでなく、「時間がない」ことも確かです。

でも、立ち止まって、がんばってきた仕事を見直してみることも大切ですよ。
なんとなく感じていたものが明確化されたり
思いがけない発見や問題点を見つけることもできます。

これが、まとめの嫌いな私の持論でもあります。
そう日高さんに伝えて、実務研修会や巡業に出かけました。
その留守中に、発表原稿が届いて、発表も終わっていました。

      「hidakayukiyo.doc」をダウンロード    

写真や資料はありませんが、事業経過や日高さんの思いなどがよく伝わってきますから、許可をもらって皆さんにお見せします。


第2期実務研修会

2006年07月13日 | 二段階方式実務研修会

6月24~25日、浜松市アクトシティで実務研修会を行いました。

二段階方式という手技を、使いこなしていただきたくて、今回も新しいやり方を取り入れてみました。
「テスト結果と30項目問診票」、「生活歴」を別々に渡して、採点をします。
このテスト結果は、どんな生活歴を持った人のものかを推察していくのです。

二段階方式を取り入れるということはテストをすることではありません。

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テストの結果を基にして、その人の生活指導をすることなのです。
脳機能は、生活のあり方と一致するということを早く知ってもらう必要があります。

テストのやり方は、マニュアルAに説明しました。
数をこなしていくうちに、必ずスムーズに実施できるようになります。
そこで終わることにないように!
生活歴を聞いて、生活指導をしてくださいね。

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(そろそろ、レポートが帰ってきはじめました。
参加者の皆さん。なるべく早く、実施してみてください。)


宮城県旧古川市(現大崎市)の取り組み

2006年07月13日 | 二段階方式って?

宮城県古川へ行ってきました。1市6町の合併で、今は大崎市です。旧古川市では平成11年よりモデル事業開始、もう数箇所の教室が自主的に継続されています。

ここの展開法は、まず地区公民館でボケ予防講演会をします。
そこで教室の参加者を募って、直後に第1回教室開催。
初回には脳機能検査を行い、必要に応じ生活指導と教室の意義などを伝え、半年間は保健師さんが積極的に指導します。
最後にもう一度脳機能検査をしその結果を参加者に説明します。
教室終了後は自主的に継続・・・

今年は長岡地区。地区への働きかけのツボも心得たものでさすがと感心しました。
「北区振興協議会」という組織があります。
これは区長会・老人会・PTA・おまわりさん・婦人会・健康推進員・JAなどが参加し、毎年重点事業を決めて活動しているそうです。
ここを動かしたのです。
今年は「ボケ予防」がテーマで昨年12月から活動を開始。
旧市の内でも遅い取り組みでしたから、「ようやく番が来た」とやる気満々だったらしいです。
      P1000012        主たる牽引者、鎌田公民館長。
この地区出身で、ここの小学校の先生をされたそうです。

P1000016_1 P1000018                そのときの教え子、といっても数歳しか年齢は違いませんが、お世話役でがんばっていらっしゃいました。振興会会長と区長会会長。

以上のような特別の事情があるとはいえ、講演会の準備は、前日の会場設営から当日の駐車場の整理まで、すべて地区の方々が率先してなさっていました。

講演会に「地域ぐるみのボケ予防活動」「ボケない地域づくりの実現」などの副題をつけることが多くなりましたが、教室が始まる遥か以前から地域づくりが始まっていることがよくわかりました。
どの組織、どの人が、キィになってくれるのかの見極めは、保健師さんが一番適任かと思います。
後述の敷玉地区では、運営メンバーとして保健推進員、婦人会、民生委員、食生活改善推進員が参画し、老人会、区長会は協力団体です。1年間くらいかけて、いろいろな機会を通じて周知していきます。

講演会に先立って、先行した高倉地区有志の、「365歩のマーチ」にのった「ダンベルニギニギ体操」の披露もありました。
これは保健師さんの突然の誘いに応じて参加してくれたのです。
「安物ですがお揃いのブルーのTシャツを用意しました」という説明に、会場からは思わず拍手が湧き上がりました。
(写真がなくてごめんなさい。見とれていました)

講演会の前日の勉強会では、古川の練生川保健師さんが昨年実施の「敷玉ほのぼのクラブ」のまとめを発表してくれました。
  脳機能検査
   かなひろいテスト合格群は78.6%→87.1%
   個別検査で前後比較できた15人は、
   改善10名・維持2名・低下3名(うち1名死亡)
  生活改善指導(アンケートによるまとめ)
   「脳はいきいきしているか」42.4%→87.9%
   予防法としてあげた10項目すべてに理解を示し実践もした結果となった。
   特に運動の必要性に関しては47.8%→86.6%

発表している練生川さんの顔が輝いていました。

よかったね!


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