脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

第四期実務研修会終了

2005年11月24日 | 二段階方式実務研修会

11月19日~20日と、浜松市アクトシティで今年最後の実務研修会がありました。
北は青森県三沢市、南は宮崎県日向市まで、今回もひろく全国から参加されました。

10年目である平成17年の研修会もこれで最後です。
今回は、合併後の新市からの参加の方が何人もいらっしゃいました。その方たちから出てくる先輩の名前は、エイジングライフ研究所が動き始めた初期の研修会に参加された方たちで、私にとってはほんとに懐かしく、タイムスリップしたかのようでした。

10年も前、ボケは治らないということが世の中の常識だった頃に、思いを持ってボケ予防に飛び込んだ保健師さんたちがいました。エイジングライフ研究所は、まさにそんな保健師さんとともに進んできたのです。その保健師さんたちはそのまま活動を続けていらっしゃることも、異動された場合も、やめられた場合もあります。

公務員である以上異動はつきものでしょう。エイジングライフ研究所としては、ボケ予防活動を担当される保健師さんの武器となるような研修成果を出したいと考えています。思いはあったほうがいいに決まっていますが、たまたま担当することになってしまった場合でも、「これさえあれば、生活指導はできる」手技です。
毎回毎回、ほんとに内容が同じということはありません。少しでも内容が良くなるようにという工夫を、この10年間続けています。

今回の感想を尋ねました。
      「やみつきになりそう」
      「早くやってみたいです」
      「今までの方には迷惑をかけたみたい」
      「とても気になる親戚がいるので、すぐにやってみます」
      「母子や精神にも使えますね!」などなど
若い保健師さんには、私たちが力をいただきました。
      「高齢者にかかわる仕事がしたかった」
      「これで、ボケ予防ができそうです」.

一ヶ月以内にレポート提出を宿題にしています。どんな研修成果が出てくるかハラハラしながら待っています。


シルバー専科日和ー大ボケ介護のエキスパート

2005年11月11日 | 米沢市「なごみの部屋」の実践

P506iC0008454412 一言で言えば、通所介護施設。勿論ヘルパーさんや訪問看護の体制も整っています。ボケがあっても、「できるだけその人らしく生きていってほしい」という思いをもって、永田則子さんが、個人的にはじめたのです。
永田さんは、大きな施設の総婦長という立場でも、実践を積んで成果を挙げましたが、
「自分のやりたい方法で、ボケた人の世話をしたい」という希望を実現させてしまうところがまさに永田さんの真骨頂です。天の恵みのように競売物件が入手でき、最初の施設を立ち上げたのが12年12月。 「付いて歩けば散歩 」「一緒にやればできることがたくさん」と事もなくいいますが、いろいろ大変なことがあったことは想像に難くありません。

家族の負担を軽くし、悩みを共有することはいとわないけれど  家族の協力が得られ、家庭と日和と両方で見ていくことがポリシー。

在宅のまま最期を迎えさせてあげられた事を職員の方々が喜びとして話されていました。

P506iC0008651042さまざまな出来事を、笑い飛ばしてしまう永田さんは魅力的な女性です。仏壇の上に亡くなられた方の写真が飾ってありますが「『あれ、私の写真がないねえ。私のも飾って』っていうから『ちょっと早いんじゃないの。今度ね』っていってあげるのよ。そして一緒にチーンってねP506iC0008585505

露天風呂もありました。庭のバラ(すべて挿し木で増やしたそうですが)の花びらをたくさん取って、なんとバラ風呂。
写真に取ると、首まで浸かってるために別のシーンに見えて困るそうです。喜ぶ人ともったいないと怒る人といるそうです。(この写真は利用者ではなく優秀なスタッフです)

P506iC0008519950

囲炉裏もあります。
くつろいで、昔仕事をしてくれる方が多いそうです。(目は離せませんがP506iC0008323327

2軒目は15年10月オープン。そのくにみのマスコットは
シーズー犬のルーとノノ。スタッフの栄子さんと一緒に出勤するのですが、利用者と同じように、ここは私の居場所と思っているようです。

P506iC0008388862

くにみの前の畑です。
上手に畑仕事をしてくれて(目は離せませんが
収穫は皆さんで楽しむのだそうです。

永田さんの対応は、「もしもボケたら、ここで暮らしたい」というほど自然なやさしさを感じさせてくれます。
「大ボケのどんなタイプでも大丈夫ですか?」という私の質問に、ちょっと黙った後で「ええ、時間がかかる人もいるでしょうが、落ち着いてすごしてもらえます」

その永田さんが、「ボケは予防が一番。私たちはボケてもその対応はできるけど、でも、誰だってボケない方がいいでしょう。本人も。家族も。財政的にだって」さすがエイジングライフ研究所とおんなじ主張をされました。

「シルバー専科日和」や「なごみの部屋」が、地域へ対して認知症予防講演会を企画する・・・この動きはちょっと先駆的、感動的です。


認知症予防講演会in岩見沢市

2005年11月09日 | 各地の認知症予防活動

認知症予防のための実務研修会

日時:11月19日~20日 場所:浜松市アクトシティ

詳細資料はエイジングライフ研究所あてFAXで

FAX:0557-54-2650

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久しぶりの北海道でした。
出発した7日の東京は暑くて半袖だったのに、今日の旭川は雪!

今回うかがった岩見沢市は、去年と今年二人ずつ保健師さんが研修会に参加されました。
http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/

二段階方式を導入して、ボケ予防をやることの意味がはっきりつかめ
ないと少し不安げだった保健師さんが,、研修の終わりには、
「なんだか見えてきた気がします!」と元気に帰っていったのでした。

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::二段階方式を導入してボケ予防活動をするというときには
::  脳の健康教育という視点を持つ                           
::  そのためには、脳機能テストは不可欠                  
::  ③脳機能テストは、あくまでも生活指導のために行う   
::  ④地域自主活動として、                                         
::    ボケ予防教室が継続できる工夫と働きかけが必要 
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研修会後に宿題が提出されたときから、「これは、使える」と感じてくれたことがよくわかりました。

今回わかったことですが、まず、リハビリ教室参加者の方に実施したそうです。脳卒中の方でも、後遺症にはさまざまなパタンやレベルがあることが、二段階方式では簡便に理解できるのですから、このアプローチはテスター・テスティーともに役立ちます。
それに、「物忘れとかちょっと気になる方の健康相談」を広報で呼びかけたところ、今までにすでに数十人来所されたそうです。そしてその半数の方たちに、前頭葉機能低下がはっきりありました。その人たちの話を聞き取るうちに、生活歴にも納得のいく変化があることがわかってきたと、話してくださる保健師さんの目が輝いています。
うまく生活歴が聞き取れたら(脳の使い方が変化していったきっかけがわかったら)、それは生活指導がほとんどできたことを意味します。岩見沢の保健師さんたちは、うまくいったたびに、皆でその驚きや喜びを共有しているそうです。
勿論、聞き取りの際、何かもう一つすっきりしないこともあるそうですが、そこを感じられるのですから、これからに期待したいと思います。がんばってくださいね。

ケース指導も行いましたが、その時にテスターをやった二人の保健師さんたち、ぴったり20分間。やさしくスムーズなテスター振りでした。このところ全国的に皆さん上手になっています。これからも、マニュアルを読んで確実な検査を心がけてください。(新マニュアルをほめてくれました)

iwamizawa 講演会は立ち見が100人くらいもいたでしょうか、大盛況でした。
市長さんとも少しお話しました。町の将来を考える首長さんにとっては、エイジングライフ研究所が謳うボケ予防はとても魅力的なテーマのようですよ。


綾町(宮崎県)と小布施町(長野県)

2005年11月03日 | 各地の認知症予防活動

綾町の町会議員さんたちが小布施町に視察に行かれたお話です。

aya  綾町は宮崎市の近くです。

http://www.town.aya.miyazaki.jp/ayatown/

日本有数の照葉樹林を町の宝と考えて
あの列島改造の嵐が吹き荒れた時にも、守りきった町なのです。
自然を大切にする心と、文化を大事にする心には共通点があるのでしょうか?

綾町は、クラフトの町としても有名で、染織・陶芸・木工・ガラス工芸家等がたくさん住んでいます。

ボケ予防活動に関しては、宮崎県国保連合会の後押しもあって
かなり早くから取り組んできています。教室も数ヶ所継続されていますし、
綾町は、ボケ予防に関しては結構がんばっている町なのです。
そのようななか、議員さんたちが視察研修先について、保健師さんにも打診。
宮崎県国保連合会から推薦を依頼してこられました。
綾町がもう一段階ステップアップするには、教室が自主的に継続されることが目標になります。

小布施町は、各地区で行政主導の教室を開催し、1年後には自主活動として継続していくというシステムがスムーズにいっている町です。地区ごとの特徴を見せながら、教室が展開されていくのを見ていると、「ボケのない町づくり」も実現可能な気持ちになってきます。私は、最初から4年目の今年まで継続してかかわっていますから、お顔見知りの方も増えてきて、残りの地区のことも楽しみなくらいです。

紹介するとき、二つの町に共通する「わが町はこうでありたいというポリシー」や「文化の香り」も、感じていました。そうそう綾にはそば焼酎雲海の「酒泉の杜」http://mori.unkai.co.jp/
小布施には市村酒造「スクエアワンー枡一」http://www.masuichi.com/があります。
この二つのサイトは、それぞれの町の特徴を良く伝えてくれます。

obuse 小布施は、葛飾北斎・栗・花の町(オープンガーデンや中島千波美術館)
魅力ある景観の町並、小粒ながら独特の魅力をたたえた町です。
←北斎の天井大鳳凰図

http://www.town.obuse.nagano.jp/

さて視察後、団長さんはこういわれたそうです。「自主的な活動のためにはボランティアが大切ですね。」

遠く宮崎からいらっしゃて、ポイントをつかんでお帰りになったなと、私はうれしく思いました。

「ボケ予防教室」は、行政がやってあげるのでは足りません。
自主的に継続することこそ、教室開催の目的なのです。
ボケ予防はその人の生き方の問題なのですから。
その時必要なのが、かくしゃく老人とボランティア。
そして、地域ぐるみで行うことも継続には不可欠です。

協同参画事業のテーマとしては「ボケ予防」は最高ですよ。

行政側は「皆にボケられたら財政的に破綻する」
住民側は「ボケるくらいなら死んだ方がまし」

こんなに利害が一致するテーマはほかには思い当たりません。

綾町も小布施町も、それぞれの町らしいボケ予防を進めてください。


通所介護施設「なごみの部屋」のボケ予防活動

2005年11月03日 | 米沢市「なごみの部屋」の実践

お今度の研修会は、平成17年度の最終研修会です。

     日時:11月19日~20日  場所:浜松市アクトシティ

問合せは、エイジングライフ研究所FAX:0557-54-2650

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山形県米沢市の「なごみの部屋」は居宅介護支援事業所です。
訪問看護ステーションやデイサービスやヘルパー派遣のほか
ユニークなことをやっています。
民間アパートを高齢者共同住宅に改築(全部個室)。現在4ヶ所ありますが、
高齢者はその大家さんと契約します。
「なごみの部屋」は、大家さんから管理委託を受けて
住居以外の食・風呂・洗濯・掃除そしてデイサービスを行うのです。

DSC00148 そのうちのなでら荘併設されたデイサービス
右奥がアパートで、ほとんどの入居者は昼間は
左側のデイサービスに参加しています。
訪問時も風船バレーで盛り上がっていました。
身体状態の悪い人は自室で介護を受けていました。

キメ細やかな工夫された「介護」が主になるのは仕方ありません。

一方で、「なごみの部屋」の我妻厚子社長は、「本当に正常な高齢者に対する『ボケ予防』をやりたい。それは本人の希望だろうし、国の財政を考えてもどうしても必要なこと」という思いをもって、エイジングライフ研究所の二段階方式を導入されました。

我妻社長は上記の信念を話されて「本当のボケ予防教室をやりたい」と訴えられました。私たちは「ボケ予防」は収入に結びつかないので市町村のやることだと思っていました。経営的に見れば、人件費を始め持ち出しに決まっています。ただ、「なごみの部屋」の基本理念のアピールにはなるはずです。

私は7月に講演会に伺いました。
それをきっかけに「かくしゃくの会」が二つ立ち上がり
8月から活動を開始した報告がありました。動きの早さにびっくりしました。

そして今回もう一度講演会にお邪魔しました。

DSC00140  市内巡り:五百羅漢190年前のものですが色彩鮮やか!

DSC00143




講演会後、きよしのズンドコ節で盛り上がりました。
江刺市では「高原列車は行くよ」だったので
早速、江刺市から振り付けを教えていただきました。

DSC00145じゃんけんペタンク・十二支ビンゴ・ソリテリア。

DSC00146 



講演会後、次回の打ち合わせをする
「かくしゃくの会」のメンバー
発言は、スタッフよりはるかに活発。

担当スタッフの皆さんは、高齢者がこんなに力があることに驚いたと異口同音に語ってくれました。
 「やってあげる」ことに慣れていたのがよくわかった。

 初めての水墨画でも、各人が工夫して楽しむ。
 意見やアイディアがちゃんと出てくる。

スタッフが元気をもらっているような気がしました。
日本で初めての試みを大切に育てていってほしいと願っています。

 


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