脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

小布施町「脳リフレッシュ教室」テーマソング(続)

2011年07月29日 | 各地の認知症予防活動

ブログを見た小布施町在宅介護支援センターの皆さんからお返事がきました。
「皆さん」は変と思われるかもしれませんが、差出人が「在介一同」となってました。みんな一丸となって認知症予防活動をしているということなのでしょうね。ちょっとうらやましい感を持つ保健師さんもいらっしゃるのでは?

ところで、小布施町の在宅介護支援センターは、小布施町健康福祉組織が集約されている「千年樹の里」にあります。これもまたすてきな名前ですね。

「先日送らせていただきました歌詞をさっそく見ていただきうれしく思います。
ブログも!

K沢さんにもご報告させていただきました。
北部の皆さんは教室時、お話することも楽しんでいます。
みんなの普段話すことをそのまま歌詞に書いたというK沢さんのおっしゃった言葉もまた感動です!」

テーマソングをもう一度味わってみてください。
それからこれも。3/7にアップしました。H

一つの理想的な教室ができていると思います。このような考え方を教室に集まる皆さんが共有することが大切です。
「すごいなあ」と感動する保健師さんも多いでしょうから、なぜこのような考えや雰囲気ができあがったのかを検討してみてください。どんな条件が整ったのでしょうね?

中伊豆ワイナリー2011_0723_141900p1000156 7月に富士山が見えるのは珍しい。        のん兵衛さんには目の毒?2011_0723_143300p1000158_2


かくしゃくヒント10-いつからでも遅くない

2011年07月27日 | かくしゃくヒント

久しぶりのかくしゃくヒント!
先月紹介しました「ここに幸あり」花壇ー奥州市年とらんと会の活動の大津美子さんのサイン「ここに幸あり」の続報です。

今日、その大津さんから暑中見舞いをいただきました。
「・・・今年靖国神社のお盆のぼんぼりの揮毫10選に選ばれましたの。記念にお送りさせていただきました。・・・」
10枚セットのはがきが同封されていました。去年貢納された全作品の中から10点選ばれたのです!お習字の三点を紹介します。Img_0001

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


三作品とも、作品としての完成度の高さとともに、言葉の意味も、今の日本へのエールになると思います。
「ここに幸あり」を奥州市稲瀬年とらんと会にお送りしたのも、同じような意味でした。

倉本聰さんは、あの「北の国から」の脚本を描いた方です。
東日本大震災は、荒んだ人々の心にもカツを入れたのだと思っています。
8月15日を前に、もう一度かみしめるべき言葉ですよね。

そして元台湾総統の李登輝さん。
天沼熊野神社の渡辺宮司さんの解説です。
「この『誠実自然』の意味するところは、李登輝先生が(新渡戸稲造著の)『武士道』を読まれて、「日本人がすばらしいのは、一人一人が誠実な心を持っていることであり、それを育んだのは日本のすばらしい自然である。このことを心に留めてください」という意味だと、私は理解しています」()内高槻記
あの大震災に対しても、日本人が持った感覚は、欧米の人たちとはちょっと違っているかもしれませんねぇ。

大津さんのお手紙や作品集を眺めながら思い出しました。

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あの百歳の成田きんさんを訪問した時のこと。
秋、「きんさん人形・ぎんさん人形」のラベルの揮毫を頼まれたそうです。「おめでとう」と書こうとしても書けなかったといわれるのです。
「不思議なほど書けんかった」そこで奮い立つところがきんさんの真骨頂なのです。
「毎日習字の練習したんだよ。時間はいくらもあるもんでな」と見せてくださった半紙の量は50センチは超えていたと思います。下の方から抜き出したのが、一番左。上の方から抜き出したのが真ん中の作品です。

傍からおうちの方が「お正月には書き初めもしたものね」と声を添えてくださいました。そしてその作品が一番右!
秋に「おめでとう」も書けなかったのに、お正月には立派に漢字で書き初めですよ。人間の脳って素晴らしいものだと思われませんか。

その後、2年くらいたったころでしょうか、またご連絡をいただきました。
「靖国神社に習字を奉納したんですよ。言葉はみんなで考えて『平和』としました。なかなかいい作品でしたよ」
この「平和」は、その年のお盆のぼんぼりに揮毫されたものに違いありません。

7月23日中伊豆の田。もう穂が2011_0723_150800p1000160_2














大津さんのお手紙やはがきを拝見しているうちに、きんさんのことを懐かしく思い出しました。
「何でも挑戦してみようという意欲を持っていて、たゆまない努力を楽しむことができるがんばりやさん」
まさにかくしゃくヒントそのものです。


よくよく聞けば、小ボケの入り口

2011年07月25日 | 二段階方式って?

典型的な、小ボケの入り口のケースに出会いました。

今月初めの軽井沢は霧の中でした。ショー記念礼拝堂2011_0701_105700p1000108_2

エイジングライフ研究所の二段階方式では
・脳機能検査
・生活実態のチェック
・最近の生活歴聴取

この三本柱を省略することはありません。
三つともに同じように重要です。

さて、この方の脳機能検査結果は
MMS は25/30でした。
できなかったのは、計算と所。所に関しては検査終了時には完全な正答になりました。

前頭葉テストは、立方体透視図模写は合格。
動物名想起は、正答数6個で、35秒から「思い浮かんでも言葉として出てこない」という発言がありました。
かなひろいテストは、正答数15、内容把握もでき、いちおう合格でした。

いちおうと断ったのは、H22年9月に二段階方式を実施してあったために8か月前のデータと比べることができたからです。
軒並み低下していました。(MMS28/30.かなひろいテスト正答数20)中山道つるや2011_0701_110000p1000109_2

一般的な検診結果と同じように、経過を追って検査結果があると脳機能もより精密に変化がわかります。

7月17日のブログ「アルツハイマー型認知症が進行するスピードは?」にも、検査結果を追ってみていくことが、より理解を深めることになると書きましたね。

「経過を追って理解する」ということよりも先に強調しておかないといけないのは、保健師さんたちの多くは、目の前の相談者に対して実力よりもより良く理解したいと願っているということです。
「脳機能テストは正常だし、生活実態にも一つしか丸が付いていない」
「あー、よかった。正常だわ」

一般的な検診結果で、血圧や血糖値が正常下限で、本人に自覚がない状態を想像してみてください。
何の指導もせずに帰しますか?
1.自覚症状は本当にないのかのしつこいほどの確認。
2.念のために、生活改善指導。このふたつには力を注ぐでしょ?

認知症も同様に考えてください。
二段階方式では、生活歴聴取という最後の柱がありますね。必ずここまでやるのですよ。
たとえ、脳機能と生活実態が正常でも、その正常を支持する生活歴がなくてはいけません。つまり最近生活がコロッと変わって何もしない生活に陥ってはいないかという確認です。

私には全く関係ないのですが、おしゃれな結婚式場2011_0701_110100p1000110

この方は
「5月に二回交通事故にあって、足の打撲。二回ともぶつけられて・・・」と自分には非がない口ぶり。

でも、交通事故は要注意です。
小ボケになると注意集中・分配力が低下しますから、ちょっとした小さな事故をよくおこします。
「スピードが遅すぎて怖いんです」を読んでみてください。

小ボケの人は、ごく普通にこのような表現(自分は悪くないけど・・・)ができますから、「真実はどこにあるのか」というつもりで聞いていってあげないといけません。
脳機能テスト結果から、この方の場合は、生活のターニングポイントは半年から一年前だと想定できました。

そこで生活歴です。(相談者:C 保健師さん:保)聖パウロ教会2011_0701_114200p1000112

保「まだ一年はたってないと思いますが、それまでの生活ぶりと比べると、生活が大きく変わってしまうような出来事がありましたね?」
(このように聞きます)

C「5月に事故にあったのですが、月一度の食事会と薬草の会は続けています」

保「じゃあ、何をやめたのですか」

C「料理教室を4月にやめました。でも工作の会はやってます」

保「そのほかに生活上の変化はありませんでしたか?」
(この時保健師さんは「料理教室はみんなと一緒にやらなくてはいけない。工作の会はマイペースでやればよい。やはり前頭葉機能低下が起きている」と確信したそうです。お見事!)

C「実は去年の11月にご詠歌をやめました」

保「ご詠歌は余程お楽しみだったのですね。どういう理由でおやめになったのですか」

C「夏ごろから緑内障が悪化してきて・・・とうとう無理になったのです」

この方のターニングポイントは、去年夏の緑内障の悪化でしょう。それまでのその人らしい生活が困難になったところから、脳の老化が加速されてきたと考えるのです。
ちょうど半年から一年以内前!ぴったり一致します。Img

そのつもりで脳機能検査結果をみると、「緊張している」とか「上がっている」とかの言い訳が多く見られました。

A4版の白紙では日付を一日間違えてしまいましたが、最確認を促すと自己修正ができました。

立方体透視図も苦労しています。

文も、ちょっとなおしたりしていますね。

このような場合は
「脳機能検査結果はまだ正常なのですが、お話しを伺うと、去年緑内障が悪くなってから、生活の楽しみが減ってしまい、趣味も生きがいもないナイナイ尽くしの生活になってしまいましたね。そのために脳が元気をなくして、老化が早まっていこうとしています。
ここで元気を取り戻さなくては、老化がどんどん早まってしまいます。緑内障のことは先生によくご相談されて、してはいけないこととすべきことをよく教えてもらってください」

その後脳のリハビリの指導に入るのです。この方のように病気や痛みがある場合はドクターから「していいこと」「してはいけないこと」を指導してもらうように勧めてください。病気などに注意を配りながら、なお「できること」そして「楽しみになること」を一緒に探して行く過程が生活改善指導です。


小布施町「脳リフレッシュ教室」テーマソング

2011年07月22日 | かくしゃくヒント

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小布施町から手紙が届きました。
「7月11日、北部地区の教室がありました。T中S郎さんをはじめ、みなさんニコニコ、ワイワイと非常に活気のある教室でした。その中で「青い山脈」の替え歌をK沢S雄さんが作ってくださいました。在介も一緒に歌い、特に4番には感動しました」ということで私にも感動のおすそわけをしてくださいました。

小布施町の取り組みは何度も紹介していますが、この北部地区の教室は7年前から開催されたところです。当初からまとまりよく、自主的な活動も、体操、作品づくり、社会見学など幅広く楽しまれているところです。

この春に7年間のまとめをしてみたら、一回目の脳のリフレシュ教室を開始した山王島地区とともに、担当の保健師さんもびっくりするほどの好成績をあげたのです。
「長期間追跡した脳機能テスト(小布施町と豊科町)」

2011_0627_154000p1000101 「教室が長く続くほど脳機能がよくなる!年齢は重ねていくのに(つまり歳は取っていくのに)」というのが上の報告です。

やはり教室に参加し続けることで脳の健康を維持するための「いい生き方」がしっかりと身につくのですね。

「脳にとってのいい生き方」は、いろいろな説明の仕方があります。
*正統的に脳機能からの説明をすれば、前頭葉がイキイキと関わるようなことをする。

*あっという間に時間がたってしまったと思うようなことをする。趣味にしろ運動にしろ交友にしろ、当然右脳重視の楽しいことですね。

*趣味を超えて、人のために何かをする。そして、そのことを生きがいと感じることができる。

*大切なことは体を動かすことでしたね2011_0613_100000p1000065

K沢さんがこの歌詞を考える時、仲間の喜ぶ顔やびっくりする顔を思い浮かべ、そして喜ばせてあげようと思ったはず。

内容は脳リフレッシュ教室にマッチしたものであるように、そしてみんなが歌いやすいようにと、さまざまに考えたはず。

そんな時に、K沢さんの前頭葉がイキイキと働くのです。
ボケ予防教室のテーマソングを作って、何より作詞者がボケ予防をしたということになりますね!

K沢さん、ありがとうございました。歌詞は完璧、パーフェクトです!


アルツハイマー型認知症が進行するスピードは?

2011年07月17日 | 二段階方式って?

北海道のS保健師さんから、ケースの相談がありました。

「地元のドクターに相談したら、認知症が進行したので、精神科受診ということですが・・・
H21年の検査と比較してみると、MMSの結果からも通常の認知症の進行とは違うパタンが読み取れます・・・」

「生活面から見ると、6月7日ころよりおかしな言動が目だつようになったのです」
・ボーとしていて、朝昼の時間がわからない。
・食事をとったことを忘れ、何度も確認する。
・ところが食事内容や尋ねに行ったことを覚えていたりする。
・パジャマのままで、着替えない。
・別の日には着替えて公民館に忘れ物を取りに行ったり、買い物に行ったりする。
・トイレのふたを開けずに排尿してしまう。
・居眠りが目立つようになった。
・ここ数日、鍵穴とずれた場所に鍵を入れようとする。

今日は、富士花鳥園でのスナップ(6/13)
ベゴニア大きいのが雄花、ひっそりと小さいのが雌花!2011_0613_092600p1000043 2011_0613_092900p1000045  

このように日より」、急におかしくなるアルツハイマー型認知症はありません。
もちろん、今まで徘徊はしなかったけれども、初めて山狩りをしてもらうはめになったとか、今まで排便の失敗はなかったのにとうとう・・・というように重度症状を
日に初めてしめすことは当然あります。その時には、その症状に先立って、もう少し軽い症状を長期にわたって示しているものです。2011_0613_092700p1000044

徘徊ならば、
よく知っている場所に行くのに迷う。(小ボケ)
危なっかしくて、1人でバスや電車に乗せられない。(中ボケ)
自宅の近所で迷う。(大ボケ)
自宅なのに帰らなくてはと言い張る。(大ボケ)
このような症状が、小ボケから数えると数年にわたって見られた後に徘徊という事件に到達するのです。

このケースの場合、経過の報告もありました。
「H18年5月、妻が急病死。何でも相談してきたのでショックが大きかったが、くよくよしても仕方がない。いずれ自分もあの世に行くのだから。
ゲートボールを楽しんでいたが、H21年5月から、玉が見えなくなり止めた。
その代わり夏場は毎日パークゴルフへ行き、1時間半も歩く。
老人クラブは毎週参加。
朝の散歩30分。
野菜作り、家事全般。
日記、新聞は毎日。
子どもたちが交代で顔を出してくれる。
近所に住む妻の弟との交流もある」
九輪草2011_0613_101800p1000078                                                                                         

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この町では、「脳のいきいき度チェック」として希望者の方に対して二段階方式を実施しています。
このケースはH21年10月に、二段階方式を実施していました。その時の結果は。MMSが合格。前頭葉テストが不合格という典型的な小ボケの状態でした。
ちなみに30項目問診票では、自己評価が①③⑤⑥⑦⑧/⑭という結果で、これも小ボケ状態ですね。
もちろんここに至った原因は、3年半前に起きた妻の急死が大きく影響していることは明らかです。独居になった後は、上記のように「ナイナイ尽くし」とは言えない生活ぶりではありました。けれども妻相手に二人で仲良く暮らしていた時に比べると、生きる意欲には欠ける、つまり前頭葉が活発に働くような生活ではなかったのでしょう。2011_0613_101900p1000082

食事作りの負担が大きくなって、今年4月より、共生型住まいの場に入居。
入居後は人間関係はじめ生活全般で適応もよく、表情も明るく楽しそうに生活していたそうです。

そして2か月後、急に上記のような症状が出始めたという経過です。

そして、ドクターは、「認知症の進行」と診断されたのです。

Img Img_0001                        

左がH21年10月実施分。右がH23年6月実施分。
確かに右の方が、脳機能が低下していることはよくわかりますね。
・キチンと書けていた文字が不ぞろい。
・文もややおかしい。
・五角形の模写がほとんどできない。
・立方体透視図模写の崩れが激しい。

これを認知症の進行と、エイジングライフ研究所二段階方式では考えません。
理由は
1.あまりにも急激な変化だからです。
ここまで確に生活実態を観察できていたからこそ「急激」と断定できます。たまたま、共生型住まいの場に入所していたことと、二段階方式ではケースを理解するためには脳機能テストとともに生活実態を的確に知るという条件があることを認識されているということでしょう。

2.生活実態に、認知症で見られる全般的な脳機能低下でない症状が起きていること。ギャップが大きい。

3.MMS下位項目を検討すると、老化が加速された場合と低下順が異なっている。想起が1/3できるのに、見当識が不安定。図形の模写が全くできない。模写不能は強く右脳障害を示唆している。

4.脳機能としては中ボケレベル(実際的には小ボケの可能性もある)を保っているのに、30項目問診票で30(大小便を失敗し、後始末ができない)に丸が付いている。

二段階方式では、このように、2011_0613_094300p1000055
・MMSの低下順に問題がある場合。
・脳機能レベルと生活実態にずれがある場合。
・あまりにも急激な変化の場合は、脳機能の老化が加速されたアルツハイマー型認知症とは考えずに、「専門医受診」と判定します。

私たちは、脳の老化が加速されたアルツハイマー型認知症だからこそ、生活改善指導が奏効すると考えていますから、それ以外は「専門医受診」となるのです。
このケースの場合は、正常圧水等症、慢性硬膜下血腫、脳内病変などが考えられますから、精神科ではなく脳外科受診につなげることになります。
そしてその結果は???画像診断で「異常なし」と言われることは、残念ながらとても多いです・・・2011_0613_094200p1000054

「脳腫瘍」

「続ー脳機能は悪いのに生活実態はいい」

「器質と機能ー形と働き」

「器質と機能ー形と働き(続)」

「器質と機能ー形と働き(続々)」


米沢市「なごみの部屋」の「かくしゃくの会」代表!

2011年07月14日 | 米沢市「なごみの部屋」の実践

 

前回に続けて、認知症予防教室生の優秀ぶりを報告します。長く続けるほど、脳機能の改善がみられる!という具体例です。考えたらすごいことですね。老化は、誰にしても角度の違いこそあれ直線的なのに・・・

山形県米沢市の「なごみの部屋」主催の、一般市民を対象にした講演会に行ってきました。

「なごみの部屋」はこのブログでもたびたび取り上げていますが、直近のブログに目を通してください。
米沢市「なごみの部屋」再訪ー「高専賃ではないのです」
中でも注目していただきたいのが「かくしゃくの会」

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「この際、『かくしゃくの会』も6年目くらいになりますよね。ちょっとまとめて見ませんか」と声かけをしてみました。「なごみの部屋」のスタッフの皆さんの勉強会資料にするつもりでした。A    

頂いた私もうれしかったですが、「かくしゃくの会」に携わったスタッフの皆さん方もうれしかったはずです。
「93%が効果あり」の結論なのですから。

「確かに皆さん元気だなと思っていましたけど」
「はっきりお元気になられたねと話してる方もいるんです」
「だいたい、会自体が楽しいんですよね」

口々に自分の中で確信されていることが言葉になって出てきます。

テストを実施しようとすると、嫌がる方はいます。でもこうやって全体的な評価をするためにテストをするのではありません。
エイジングライフ研究所が考え指導しているテストはあくまでも個別生活指導のためなのです。複数回実施すれば、比較をして個別に適切な指導(改善中の方にはその調子!と評価し、維持の方にはもう一工夫を一緒に考え、低下の方には生活の中の低下要因を探る)をしてあげるべきものです。データをとるためにテストするわけではなく、テストはあくまでも受けた方々のためであり、有益なものとして有効に使う覚悟で実施すべきです。

その蓄積で、その教室や事業の成果を客観的に評価することもできると考えてください。

Photo_2豊科町、小布施町そして「なごみの部屋」と最近続いてまとめを見ることができました。認知症予防教室では、その取り組みが長いほど、歳をとっていくにもかかわらず改善群が増えていくことがはっきりしています。

左は豊科町の結果です。

全体的な傾向としては、ほとんど同じことが、わかりますね。こういう結果からも「ボケるか、ボケないでかくしゃくでいられるかは生き方の問題」ということにもっと自信を持っていいのです。

このような資料もできました。同じ方のテスト結果です。                               23

 

 

 

 

 

専門的に検討しなくても6年前に比べるとはっきりと改善していることがわかりますね。
さて、講演会当日に「かくしゃくの会」参加者の方々もいらっしゃっていました。
上記テスト結果のご本人。見るかからにかくしゃくとなさっていてしかも最高齢の斎さんに、インタビューをしました。

「趣味のビーズ工作は作ることもだけど、『なごみの部屋』や友人にあげて飾ってもらうのがうれしい」(会場にたくさんの作品がありました)
「小脳梗塞をしたけれども、『かくしゃくの会』があったおかげで、参加したくて頑張った」
「今日もおしゃれをしてるけど、もっとしてくればよかった(笑)」
「『かくしゃくの会』は楽しいですよ~」

事前の打ち合わせなしで満点の応答ぶり!

実は「なごみの部屋」は、とうとう自前2011_0514_172700p1000338の立派な施設を持つようになりました。2011_0514_173000p1000340

レベルに分けたデイサービスがあり、居住部分も充実したものでした。入所の皆さんにも二段階方式の脳機能テストを実施していますから、どのくらいの生活ができるか的確に理解されています。
丁度であった入所者の方です。
「お元気なのですよ!体は車いすですが、脳が!そうすると、ご自分で車いすも上手に運転されるし、お部屋も見てください。楽しんでいらっしゃいます」2011_0514_172200p1000337 2011_0514_172100p1000336 

 

 

 

 

 

このように脳機能を理解しながら対応していくことは、入所されている方のメリットだけでなく、スタッフの側にも仕事のやりやすさや、納得につながっていくからこそ、民間でありながら「なごみの部屋」が二段階方式を導入している意味なのでしょう。

さんにお手紙をさし上げました。前半ですが。

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89歳の方に、ボランティア活動を勧めることができる喜び。いいですねえ。

 

 

 


小布施町から嬉しい報告

2011年07月06日 | かくしゃくヒント

小布施町の認知症予防活動は、「各コミュニティに、おのおの一つの脳のリフレッシュ教室(認知症予防教室)を」目標に頑張ってきました。とうとう最後の地区伊勢町になり、立ち上げのための講演会に行ってきました。

ちょうどその日の須坂新聞の朝刊に「ボケ予防教室で脳いきいき」という記事が掲載されました。タブロイド版一面を使っての大きな特集記事でした。

このテーマは長期間追跡した脳機能テスト(小布施町と豊科町)として、このブログでも3月に報告しました。

今回の須坂新聞では、小布施町最初の教室である、つまり最も長期間継続している山王島の教室が取り上げられています。嬉しいことにこの記事は、写真に掲載されている岩井茂松さん(H9年のこのブログも是非読んでみてください)が、今回の講演会場である伊勢町公会堂に持ってきてくださったのです。
新築の伊勢町公会堂
2011_0702_122700p1000117

講演も聞いて下さるというので、これ幸いと質問攻め。

私「教室が始まる時は、いかがでしたか?」

岩井「何をやるのか全然わからず、まあ、無理のないところで井戸端会議の延長線でやればいいのかな、と思いました。やりだしたらキャッチフレーズが浮かびました。
『自分の健康は自分で守る』
『みんなでズク(やる気、根性)を出しましょう』でした。センターの指導もよくて、みんなすぐにいろいろ楽しみ始めましたよ。
ボケ予防という目的がはっきりしていることがよかったと思います」

私「岩井さんが教室後心がけていらっしゃることは?」

岩井「しっかり脳を使うこと」

私「具体的には?」

岩井「まず、毎日千曲川の土手を散歩している・・・」

私「すごい!よく続けていらっしゃいますね」間髪いれず

岩井「今までではなくこれからが勝負!」という力強い返事がありました。続けて

「趣味の水墨画では教室を始めて、10人ほど集まって、教えながらみんなで楽しんでる」
                        公会堂の一隅に碑が2011_0702_123000p1000120

74歳から82歳。
8年間の歳月は、外見的には岩井さんに現れていると思いました。私も同じ!
でも、場所をわきまえた話し方と言い、態度と言い、8年の歳月を感じさせるどころか、岩井さんの人柄をはっきりと皆さんに伝えていました。

元々素晴らしい方ではありましたが、確かに脳機能が改善したという証拠を見せてくださったような気がしました。
私の言葉、講演内容を体現してくださった岩井さん。ありがとうございました、これからもお元気で山王島の皆さんの牽引車でいてください。

伊勢町公会堂からの町並み2011_0702_122700p10001182011_0702_122900p1000119

以下は付録①です。
栗と北斎とはなの町と言われる小布施町は人口12000人なのですが、年間数十万人もの観光客が訪れる町なのです。
その一つの柱が町並み修景事業
懐かしく整えられた魅力的な町並みのベースには、単に昔風な建物を再現するというレベルではない意図や意気込みがあります。小布施の風土に根差した独自のものを生かそうという姿勢です。
右の写真は、伊勢町公会堂の前のお宅です。
壁だけをとっても、この様に残された土壁を研究し、使われている砂の組成、練り方などを細かく検討して、町並みを整えていきました。

「各コミュニティに、おのおの一つの脳のリフレッシュ教室(認知症予防教室)を」という取り組みも、各地区で運営の主体が違っていて、老人会が中心だったり、定年後の比較的若い層が取り組んだり、保健委員さんが世話役を務めたり。これが小布施町の風土にあっているということでしょうか。認知症予防の小布施方式ですね。

付録②です。
認知症予防活動の指導をしていると、「自分や家族のためになりました」という言葉をスタッフの皆さんから聞きます。2011_0701_153700p1000114

在宅介護支援センターの皆さんは、活動が10年近くなって来ていますから、認知症予防は生活習慣を改善すれば可能であることが、種々の具体例を通して実感としてわかってきていると思います。8年たっても、脳機能は改善するのですから!

ところで、折角立ち上げた教室が、お休みになっているというので、ここでテコ入れをすることになりました。その話し合いの会合に用意された「おまけ」。
ご丁寧にもくじ引きをして、番号によって花や野菜の種がもらえるという「おまけ」でした。
スタッフ皆さんの遊び心いっぱいです!
生活の中に、このような小さな楽しみを見つけたり作ったりすることは、間違いなく前頭葉の力です。さすがに「脳の健康」のことが分かっていると感心しました。これからも楽しんでくださいね。


ブログ村

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