<2923> 大和の花 (977) ヒヨクソウ (比翼草) ゴマノハグサ科 クワガタソウ属
山地の日当たりのよい草地や林縁に生える多年草で、高さは25センチから70センチほどになり、茎には軟毛が密に生える。葉は長さが2センチ強の卵形で、先が尖り、縁には鈍鋸歯が見られ、両面に茎と同じく軟毛が密生する。また、脈が細かく浮き立つ特徴があり、茎を抱くように対生する。
花期は6月から8月ごろで、葉腋から細長い花序を対に伸ばして、その先の部分に淡紅紫色乃至は淡青紫色の直径が1センチに満たない小さな花をつける。この花序の対の姿に鳥が広げた両翼を連想し、ヒヨクソウ(比翼草)の名を得た。花冠は4裂し、濃い条が見られ、ほぼ平開する。花冠裂片の縁にも毛が生え、全体的に毛が多い。雄しべは2個で、葯は白色。雌しべは1個で、花冠、雄しべ、雌しべはほぼ同長。実は蒴果。
北海道南西部、本州、四国に分布し、国外では中国、インド、パキスタン等に見られるという。大和(奈良県)では自生地が限られ、金剛山や紀伊山地のごく限られた場所でしか見られておらず、レッドデータブックには希少種としてあげられている。 写真はヒヨクソウ。群生する花期の姿(左)、花序が対生して伸び、比翼になって花を見せる個体(中)、花のアップ(右)。いずれも天川村の山中。 障子戸に鳥影動く冬日かな
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます