<3793> 奈良県のレッドデータブックの花たち(227)ヒメビシ(姫菱) ミソハギ科(旧ヒシ科)
[学名] Trapa incisa
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種(環境省:絶滅危惧Ⅱ類)
[特徴] 池沼や濠、水路などに生える浮葉植物の一年草で、全体にヒシ(菱)よりやや小さい。茎の先から長さが5~15センチの葉柄を放射状に多数互生して伸ばし、群生することが多い。
葉は長さが1.5~3.5センチの菱状三角形に近く、先は尖り、基部は広さび形で、上部の縁には粗く鋭い鋸歯が見られる。表面は濃緑色で光沢がある。葉柄には膨らみのあるものとないものがある。
花期は7~10月で、白色または淡紅色の直径6~8ミリの4弁花をつける。実は倒三角形の小さな石果で、4個の刺がある。ヒシ(菱)は1科1属で、ヒシのほか変種のオニビシ(鬼菱)とヒメビシ(姫菱)があり、オニビシとヒメビシには4個の刺があるのに対し、ヒシは2個の違いがある。
[分布] 本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、台湾、中国東北部、ロシア、インドネシア、ベトナム、インド等。
[県内分布] 奈良市、生駒市、広陵町。
[記事] ヒシは全国各地の池沼でよく見られ、池一面を覆うこともあるが、ヒメビシは全国的に少なくなっており、環境省は絶滅危惧Ⅱ類に指定している。減少要因は水辺の整備や除草剤の流入があげられる。
写真はともに広陵町の巣山古墳の環濠での撮影〈2016年9月〉で、左の写真については菱状三角形に近く粗い鋸歯の葉によってヒメビシと判断した。ただ、右の写真は葉や葉柄の形状等からヒシとヒメビシの中間タイプ、もしくは雑種のようにも思われる。実の確認はしていない。最近、改修工事の影響か、見当たらなくなった。
生に姑息はつきもの
どの程度の姑息なら
許容されるかである
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