大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年04月23日 | 植物

<3023>  余聞 余話 「葱坊主」

       蝶も蜂も 花なれば来る 葱坊主

   野の道を歩いていると、畑を菜園にしていろいろな野菜を育てているのに出会う。最近はホームセンターなどで園芸用の道具から肥料、各種苗や種子まで容易に入手出来、素人でも野菜作りが楽しめるようになっている。しかし、単に植えて置けば収穫できるかと言えば、やはり手入れが必要で、こまめに世話をすれば、収穫も違って来る。

   我が家でも猫の額ほどの庭に菜園を拵え、土いじりが好きな妻が野菜類を率先して育てている。今年の冬はブロッコリーとエンドウを植え、初挑戦のタマネギも植えた。ブロッコリーは収穫を終え、エンドウは今が収穫最盛期で、タマネギは一、二か月後であろう。順調に大きくなっている。

              

   この間は、ブロッコリーの後に、トマトを植えた。トマトは連作を嫌うので、三年間ほど場所替えをしながら植えている。これまでは順調で、十分に収穫出来た。果たしてこの夏はどうだろうか。ほかにもトマトとともにナスを植えた。ナスは結構難しい。

 ネギとシュンギクは毎年どこかに植え、両方とも丈夫で、ほとんど失敗なく、いつも庭先で見ることが出来る。殊にネギは強く、年中見られる。今日はそのネギ(葱)の花について触れてみたいと思う。野菜は花の咲く前に収穫するので、花を見る機会は少ないが、いつまでも放置して置くと花が咲く。花が咲くと、野菜の花は結構可愛らしく、楽しめるのに気づく。

                       

 そんな野菜の中で、ネギも花を咲かせるが、ネギの花は一風変わっている。ネギはシベリア、アルタイ地方または中国原産とされるユリ科の多年草で、重要な野菜として栽培され、日本には古くに渡来し、『日本書紀』に秋葱(あきき)として見え、その名が「キ」の一字によったので、女房詞でヒトモジ(一文字)とも呼ばれて来た。葉は中空の円柱形で、先が尖り、切ると粘液が出る。

   ネギは地中の根の方の鞘になった白い部分を食べる根深ネギと地上に現われた緑色の部分を食べる葉ネギに大別され、主に根深ネギは東日本、葉ネギは西日本と言われ、食文化の違いが見られる野菜として知られる。料理の多方面に用いられ、日本の家庭料理には欠かせない親しみのある野菜の一つにあげられる。

 説明が長くなったが、その花は初夏のころで、葉によく似た花軸が伸びて、その先に白緑色の小花が球状に多数密集した直径3センチから5センチほどの花序をつける。所謂、この球状に密集する小花群の花序が葱坊主である。このネギの花を見ていると、花が葉の変質したものとするところがわかる気がする。