山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

くさびら行から:その4「思いつきの旅も楽しい」

2008-11-08 05:15:45 | くるま旅くらしの話

いい加減といえばいい加減なのだが、くるま旅というのは、突然の変更が可能である。普通の旅だと、突発的な事件や障害事項が発生しない限りは、旅の予定を突然変更するなどということはできない。泊まる宿を急にキャンセルすれば違約料を払わねばならないし、新たに宿を頼めば、素泊まりとなりかねない。

しかし、くるま旅はそのような心配やトラブルは皆無である。宿を背負って走っているのだから、目的地に着くのが早かろうが遅かろうが、はたまた目的地を変えてしまおうが自由なのである。くるま旅を始めた頃は、現役時代のスケジュール管理という自縄自縛の罠に囚われて、一旦決めた旅の予定を変更するのはあってはならないなどと思ったものだったが、今はそのような囚われからは解放されている。

というわけで、今回のくさびら行の帰り道に、途中で突然思いついて、喜連川の温泉行となったのである。中央高速の八王子ICを出て、R16号に入ってそのまま直進すれば千葉県の野田市まで行って、県道で住まいのある守谷に向うのだが、16号に入って何度か信号待ちしているうちに、何も今日中に帰ることも無かろうという気持ちが突然湧いてきたのだった。家内は介護のため不在だし、2世帯住宅の2階に住む倅は、どうせ夜遅く帰るに決まっているし、わざわざ早く帰って夕食の準備をすることもあるまいと思ったのである。

思いついたのは、少し遠回りとなるけど、このところご無沙汰している栃木県は喜連川の温泉に入るということだった。喜連川の温泉は、気に入っている温泉の一つで、時々入りに行っている。割引となるチケットも買って持ち歩いている。喜連川は平成の合併でさくら市となったが、町の時には町営の温泉施設が3ヶ所あり、そのうちの露天風呂というのがいつも行く場所なのである。露天風呂は文字通り露天風呂だけしかない、天然掛け流しの本物の温泉である。小さな洗い場があるけど、シャワーなどは無く、お湯は温泉の源泉をそのまま使っている。掛け流しというのは、源泉を加熱も加水もせずそのまま使っていることをいうのだが、喜連川ではここだけではないかと思う。

というわけで、R16を埼玉県の春日部から左折してR4に入る。その頃はもう辺りはすっかり暗くなって、ヘッドライトを点灯しての運転となった。これから先の道が混んでいると、20時までに届かないことになるかもしれないが、その時には明日の朝に風呂に入ることにしようと決めたのだった。R4を走るのは久しぶりである。以前東京の東村山市に住んでいた頃は、東北方面の旅にはこの道を良く利用したものだった。しかし守谷に住んでからは、こんな時でもない限り宇都宮方面へ行くのに、この道を使うことはなくなってしまった。暗くなったので周辺の様子はさっぱり判らないけど、宇都宮までは道路も整備され、順調な流れだった。宇都宮市街も大した渋滞も無く通り抜けて、19時には温泉の駐車場に着くことが出来た。それでも4時間近くの連続走行だったので、やれやれという感じである。

駐車場からは、露天風呂の湯気が立ち上るのが見える。少し気温が下がってきているので、湯気は一層元気が良いのかも知れない。何時もだと家内と一緒なので、グズグズにイライラ知るのだけど、今日は一人旅なので、それは無い。自分のペースで(というと、かなりせっかちなのだが)直ぐに風呂に向う。毎度のことだけど、ここに入りに来るのは殆どがジサマばかりである。若者を見るのは稀であり、今日も入っているのはやっぱりジサマばかりだった。斯く言う自分もジサマなのだから、偉そうにコメントはできない。

いい湯だ。塩分を含んでいるので少ししょっぱい。湧出温度が少し高いので、熱めの温度となる。あまり暑い時は傍にある水道の栓を捻って、勝手に加水して入っている。これは天然掛け流しの状態ではなくなるのだが、ジサマたちはそのようなことは全く気にもせず、世間話をしながら少し温度が下がるのを待っている。今日は少し熱めだったが、加水するほどではないと思ったのに、ジサマの一人が水道の栓を捻っていた。殆どの人は町の中や近郊に住む常連の人たちで、栃木弁の飛び交うのを聞きたい時は、ここへ来れば本物を味わうことができる。今日は人数が少ない所為か、栃木弁の量はほんの少しだった。

小1時間ほど入って、十二分に満足しながら車に戻る。今夜の宿は500mほど離れた所にある道の駅:喜連川である。この道の駅にもプールつきの温泉が併設されているけど、今までそこに入ったのは、1回きりである。露天風呂の良さを知ってしまってからは、もう虜(とりこ)となってしまって、他の湯に入る気になれない。道の駅には申し訳ないけど、いつも泊まらせていただいているだけである。今日も裏庭の方の、騒音の少ない場所に車を停めて、早速ビールで一人乾杯して、旅の最後の夜を味わったのだった。 

明日から昨年の秋に、北陸・中国・四国などを回ったときの旅の記録を紹介することにします。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする