山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

06年 北陸・中四国晩秋の旅(第17日)

2008-11-30 06:09:25 | くるま旅くらしの話

第17日 <11月29日()

 道の駅:貞光ゆうゆう館→貞光の二層うだつ町並み散策→(R192他)→道の駅:藍ランドうだつ(徳島県美馬市)→(県道・R438)→道の駅:ことなみ(香川県琴南町)→(R438・県道・R193他)→道の駅:津田の松原(香川県さぬ  き市)(泊)   <92km

この道の駅にお世話になったのは初めてだった。3年前に四国に来た時は、トイレにちょっと寄った程度だったと思う。昨日は暗闇の中をやって来たので、周辺のことは良くわからなかったが、朝になって近くを歩いてみると、R192の向こう側は吉野川の大きな河川敷で、なんとパークゴルフ場もつくられているではないか。パークゴルフは北海道だけのものかと思っていたが、ここにつくられているのを見て、何だかホッとした。今度来るときにはパークゴルフができるように、用具を持参して来ようと思った。

この道の駅のあたりからは剣山は見えないけど、旧貞光町と旧一宇村が合併して出来たつるぎ町は、拓には魅力的な町だ。今日は近くにある貞光町の二層うだつの古い町並みを見学することにしているが、又今度来た時は、機会を作って一宇村の巨樹たちに会いに行きたいと思っている。屋久杉の屋久島も巨樹の島だが、一宇村のそれも有名だ。巨樹には人間以上の生命力のすごさを感じるからである。

明日は、旅の大切な友人のTさんと道の駅「津田の松原」で会うことにしているので、今日は夕刻までにはそこへ行って泊ろうと思っている。その間、この辺りで有名な貞光と脇町のうだつの町並みを見学し、どこか温泉を探して入ることにしたいと考えている。

先ずは朝食の後、車はそのままにして歩いて貞光のうだつのある町並みに向う。うだつというのは、「うだつが上がらない」と言う時のあの「うだつ」のことである。そしてそれは、漆喰で固めた防火用の壁のことを言うものであり、その壁は町並みに軒を連ねる隣家との境に作られている。以前来た時は脇町のそれを見ただけだったが、今日は先ず貞光町にあるものを見ることにしている。貞光町のうだつは、二層うだつと言われ、うだつの作り方が二層になっているらしい。江戸時代には、商家は競ってこのうだつの豪華さを自慢したとか。

20分ほど歩いて、貞光の古い町並みに入る。なるほど、二層構造をした立派なうだつのある家がいくつか残っていた。ここは脇町よりも保存が難しかったのか、うだつの残る家は少ないようだ。狭い道の両側にぱらぱらとあるだけだった。200mほどの距離を往復すると、もう帰りとなる。軒下でタバコを吸っておられた90歳を超えていると思われるご老人から、昔のこの通りの賑わい振りと今の寂れた有様を嘆く話を聞かされた。半分くらいしか意味が分からなかったが、他所からやって来るうだつの見学者に何かを訴えずにはいられないご老人の気持ちはよく分かる。

   

貞光の二層うだつの家。重厚な雰囲気がある。うだつの残っている家は少ないのが残念。

車に戻り、今度は脇町のうだつを見ることにして出発。もともとうだつのことなど拓にはさっぱり分からなかったのだが、邦子どのの影響で知ったことなのである。彼女は以前江戸東京博物館のたてもの園でボランティアガイドなどをしていた時、古民家やお寺などの建造物にかなりの関心を持ったようで、かなりの資料や本などを集めていたが、うだつのこともその時に知ったらしくて、前回はこの脇町を歩かされた次第である。

20分ほどで脇町にある道の駅「藍ランドうだつ」に到着。脇町のうだつの町並みは、よく保存整備がなされており、来訪する観光客も多い。今日もかなりの人が訪れていた。

   

脇町のうだつ。貞光と比べると豪勢さは劣るかも知れないが、こちらは町並みが残っており、往時の雰囲気を味わうことが出来る。

邦子どのとは途中まで一緒で、どこかでうどんでも食べようと思ったのだが、店が見つからないので食べるのは諦め、うどん(乾麺)を売っている店に入り、うどんを1箱買って拓だけ先に車に戻ることにした。うだつの方はざっと見ただけだが、別に研究しているわけではないので、それで充分だ。邦子どのは、うだつは卒業して、今は藍染めや地元の工芸品などに関心があるらしい。拓とは別の世界の話なので、別行動の方がお互い嬉しいのである。拓は車に戻り、うどんを茹でて昼食とする。その後は一眠りである。

2時間ほど経って、邦子どのがやや興奮気味で戻ってきた。何かと思ったら、どうやらうだつの町並みの中で、TVドラマの撮影があったらしく、何時もTVで見ている役者さんを見てきたらしいい。ドラマというのは、内田康夫氏の小説の殺人事件シリーズの中の一作らしい。多分「藍色回廊殺人事件」かなんかじゃないかと思った。邦子どのは内田康夫氏の推理小説の大ファンで、彼の作品は全て所蔵している。お陰で拓も彼の全作品を読んでいる。日本各地の名所旧跡などを取り入れたストーリーは実に巧みで、すごい作家だなとも思っている。それで興奮冷めやらずということらしい。

もう一つは竹細工の店で、そこの製作をされているご主人と話し込み、何やらいろいろ感銘を受けたらしい。なんと拓用にと穂先が竹で出来た筆を一本買って来てくれた。珍しいことではある。拓は、最近筆を手にしたことが無い。その昔はそれなりに書道というものを自習していたのだが、この頃は専らパソコンのワープロばかりで、万年筆も毎日つける日記に使うだけである。旅から戻ったら、久しぶりに何か書いてみようと思った。

3時間ほど脇町で過ごして、さてどこの温泉にしようかと迷ったが、比較的近くの、入浴施設のある琴南町の道の駅「ことなみ」に行くことにした。思ったよりもかなりの急坂を登って、1時間ほどかかって道の駅に到着。「エピアみかど」という名の温泉施設が併設されていた。さっそく準備をして温泉へ。中へ行って見ると、お湯の質は良さそうだったが、露天風呂も無く設備はそれほど充実してはいなかった。600円という料金は少し高いなというのが正直な感想だった。

風呂から出て、暗くなりかけた道を吉野川沿いにしばらく走って、脇町からR193に入って一路さぬき市を目指す。途中長尾で県道に入り、この辺りなら昔何度も通ったことがあるから大して迷うことも無かろうと、高を括って行ったのだが、次第に暗くなってどこをどう走っているのかがその内に分からなくなってしまった。それでもどうにかR11に出て、もうそうなれば安心。道の駅「津田の松原」に着いたのは、丁度18時だった。

Tさんが来られているのではないかなと思いながら来たのだが、予想に違わず、それらしきキャンピングカーが停まっていた。行って見るとやっぱりTさんだった。今回は、バスではなく息子さんのキャンピングカーで来られたようである。息子さんのキャンピングカーは拓のSUN号と同じメーカーの2世代くらい後の新しい車である。Tさんと並べて車を停めて、再会の嬉しい挨拶を交わす。

Tさんは、何年か前北海道の旅で知り合って以来の友人であり、今では親友といっていい。大阪で鉄工所を経営されていた方だが、それをきっぱりとやめられて、今はくるま旅くらしを中心に悠々自適の生活を楽しんでおられる。拓とは同い年で、奥さんも邦子どのと同い年の似たようなコンビなのである。くるま旅に関しては、これはもうTさんの経験には遠く及ばない。それにTさんは旅くるまの愛好会の一つであるHMCCの関西支部の会長さんでもあり、旅くるまの装備に関しては、恐らく日本でも有数の知識と技術の持ち主ではないかと思う。機械も電気も全く無能な拓から見ると、Tさんは神業を備えた知恵者のように思えて、尊敬せずにはいられない。拓が勝(まさ)っているといえば、酒飲みということくらいだろうか。

夕ご飯を食べかけていたTさんに、SUN号に来て頂いて、それから後は、23時過ぎまで、あれこれ楽しい歓談の時を過ごす。Tさんは、今回これから愛媛の方へ行って瀬戸内の島をフェリーで渡って山口の方へ行き、錦帯橋辺りで奥さんと一緒になるということだった。いろいろな旅の仕方があって、Tさんからは学ぶことが多い。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする