山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

06年 北陸・中四国晩秋の旅(第8日)その1

2008-11-17 00:30:23 | くるま旅くらしの話

第8日 <11月20日()

道の駅:クロスロードみつぎ→(しまなみ海道尾道大橋を経て向島ICにて降りる)→向島:吉原家(尾道市)→向島:洋ランセンター →向島:高見山→(因島大橋経由)大浜PA→大浜崎キャンプ場駐車場(尾道市・因島)(泊)   <74km

御調の朝は霧が立ち込め、視界不良の状態だったが、何となく良い天気になる予感がした。

  

道の駅:みつぎの早朝の様子。霧が次第に晴れて、今日こそは良い天気になりそうである。

ところで「御調(みつぎ)」という地名は昨日知ったばかりである。最初はどうしても「ごちょう」とか「おしらべ」などと呼んでしまう。ここに住む人たちには当たり前の読み方なのだろうが、初めての人には難しい地名だ。後で調べたら、御調の「調」というのは古代の税目「租()(よう)調(ちょう)」の「調」で、貢物(みつぎもの)を意味するらしい。その昔この地からは貢物として水が献上され、水の貢物ということから御調という地名が生まれたのだというようなことが、合併する前の御調町の商工会のホームページに書かれていた。今は尾道市に編入されて、やがては消えてゆく地名なのかもしれない。いつの時代でも行政は過去の歴史を無視して、当世のご都合だけを主張するという特性を有しているようである。

さて、今日は愈々瀬戸内の島暮らしの第1日となる日だ。今回の旅のメインの目的の一つが島暮らしである。どんなことになるのかわからないが、多分本格的な島暮らしの下見的なものになるのではないかと思っている。尾道からしまなみ海道をつなぐ島々を一つずつ辿って行くことにしている。そして気に入った島の、気に入った場所でのんびりした時間を過ごしてみたい。さて、さてどうなることか。9時頃出発。

島に渡る前に、尾道の千光寺公園に行ってみようと思い、狭い坂道を登って行ったのだが、法外な駐車料だったので引き返して島に渡ることにした。くるま旅では駐車場の問題は、料金との関係で結構悩ましい。来訪者は可能な限り無料を願うのだが、場所によっては経営者の方は可能な限り外来者から料金をひったくりたいと考えており、その一番酷(ひど)いのが京都のお寺などではないかと思っている。法外な駐車料は、もう来るなといっているに等しい。

例えば醍醐寺では、SUN号は2千円也の駐車料を要求され、その上で拝観料なる高額のお金を求められた。こちらの方は、2人分だから両方合わせると我々の一日の食費に匹敵するぐらいの額になる。勿論そのような横暴には耐えられないので、醍醐寺は敬遠するしかなかった。千光寺はそれほど酷くはなかったが、四桁の料金は我慢が出来ない。一体観光地というのは、車社会を単なる稼ぎの場としか認識していないのであろうか。わっと押し寄せ、ワッと引き上げる団体さんだけを観光資源として大事にするという発想だけなのであろうか。

衆生を救うことが、そもそもお寺さんや坊さんの発願であった筈ではないか。それなのに、来訪者から法外の金をふんだくるという行為は、仏の念願に反してはいないのか。京都にはもっともっと行って見たいと思っているけど、京の表の街にはそういうわけで行くのが難しいので、おかげさまで裏の方(日本海側)はかなり詳しくなった。現世は真に厄介なことになっているように思う。ちょっと言い過ぎたかな。(反省)

先ずは尾道から尾道大橋を渡って、向かいにあるその名も向島(むかいしま)へ。ここは尾道とさして変わらない感じがしていた。しかし向島ICを降りて島内を走ってみると、やっぱりここは島なのだなというのを実感した。道は細く、住宅が密集している箇所は都会とは無縁の地域だというのがよく分かる。昔から近しい人たちが肩を寄せ合って暮らしてきたのが、そのつくりで理解できる。吉原家というその昔の庄屋さんの旧宅を訪ねたのだが、生憎休みで中に入ることは出来なかった。この家は国の重文に指定されているとか。外から見ても歴史の重さを実感できる造りだった。

     

国重要文化財指定吉原家 先祖は藤原の鎌足第18代の末裔親能という人で、1470年代ごろこの地に移り、江戸時代初期に帰農したとか。代々島の庄屋を勤めたという。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

06年 北陸・中四国晩秋の旅(第8日)その2

2008-11-17 00:29:54 | くるま旅くらしの話

その後は、蘭の栽培をしている洋ランセンターというのがあるので、そこへ行ってみることにした。洋ランセンターは山の中腹にあり、立派な本館の建物の他にビニールハウスのような建物が幾つかあってその中で蘭の栽培が行なわれていた。本館は展示室になっていて、胡蝶蘭をはじめ何種類かの蘭の花が艶やかさを競っていた。

  

左は展示室の中のカトレア。この他に胡蝶蘭などがたくさん飾られていた。右はランの苗たち。温室中にぎっしりと元気のいいランの分身たちが並んでいた。

一体蘭というのは、優雅さを通り越して、ある種のグロテスクさを覚えさせる花もある。何のためにこれほど飾りを尽くすのかよく分からないが、彼らにとっては命を永らえ、種の保存を期す為に昆虫などを招来する必死の手段なのかも知れない。このことは、われわれ人間どもにもかなりの部分で当てはまるような気がする。しかし、人間の場合は作為が大きく関わるので、本当に美しい人というのは滅多にというか、皆無といっていいほど見たことがない。ま、そのような余計なことを考えながら1時間ほど園内を散策する。

洋ランセンターを出た後は、島の中の最高峰高見山(標高282m)に登る。この島は勿論国立公園の中にあり、風光明媚な場所であることはいうまでもない。その景観を味わうのは、何といっても高所の展望台であろう。ここでは高見山が一番の条件を満たしているらしい。行って見ると、予想に違わぬ素晴らしい景観だった。

   

高見山山頂からの瀬戸内の島々の景観。右の上の方に因島に架かる因島大橋が見える。

瀬戸内にたくさんの島々があることは承知していたが、実際この展望所から見渡してみると、とても数え切れず、覚えきれるものではないなと思った。尾道の方を見ると、そこはもう人間どもの住処(すみか)が開発され尽くしているような感じがした。島から見れば異常な地域と映るに違いない。

高見山を降りて、次は因島(いんのしま)に行くことにする。昨日買った島々の案内書によると、向島には利用できそうなキャンプ場などはなさそうだった。因島なら何とかなりそうなので、今日は因島に行って泊るところを探そうと思っている。向島ICから因島大橋を渡って、あっという間に因島へ。

   

因島大橋の景観。向こう側が向島。明石海峡大橋ほどの迫力はないが、それでも壮大な夢の橋であることがわかる。

直ぐにICを出るのは勿体ないので、ICの手前にある大浜PAに入り、ここにSUN号を停めて今渡ってきた因島大橋をもう一度歩いて往復してみることにした。このPAからは遊歩道が作られていて、歩いて因島大橋を往復することが出来る。以前この先の多々羅大橋を半分まで行って引き返したことがあるが、これらの巨大建造物から見下ろす海は、高所恐怖症の気のある拓には、必ずしも愉快なものではない。しかし、歩かなければ、橋のすごさは体感できないのだから、とにかく勇気を出すしかない。というわけで最初はおっかなびっくりだったが、やがて少し慣れて40分かけて因島大橋を往復する。

 

左は因島大橋内部の自転車道。人は無料だが、自転車や軽車両は通行料50円。右は橋のほぼ中央部と思しき辺りにある、因島と向島の分岐点表示。

因島には、北と南の二つのICがあるが、尾道方面からの出口は北ICである。今日は最終的には大浜崎というところのキャンプ場を利用したいと思っているが、その前に凡その島の状況を知っておこうと、一回りすることにした。小さな島なので、大して時間もかからないのだが、うっかり漁師町に入ると道が細くなって、にっちもさっちも行かなくなるのを恐れて、R317を中心に廻った。

   

因島を一周する間に、因島から見た因島大橋。少し判りにくいが、海の青、空の青に映えて白い橋が美しい。

釣をしたいので、どこかで餌を手に入れなければならない。しかし釣道具屋がなかなか見つからなくて往生した。ようやく見つけたのは、なんと予定していたキャンプ場のすぐ近くだった。初めからここに来ておれば何の苦労もせずに済んだのに! キャンプ場は、通年利用可と本には書いてあったが、実際は閉鎖されていて、開いているのは駐車場だけだった。少し遠いが水場やトイレもあるので、ここの駐車場にお世話になることにした。目の前は海だけど、内海であり、風除けの山が直ぐそばにあるので、心配は無い。釣りをするにも好都合の場所である。近くに岸壁があり釣り糸を垂れている人もいる。これで、今日の宿は決まりである。

さっそく釣竿を下ろして釣りの準備をする。近くの岸壁で投げてみたが、潮の状況があまり良くなくて、釣果はさっぱりだった。10cm足らずの小鯛を何匹か釣ったが、これは獲物とはいえない。一応魚は居るようなので、安心して下見を終え、明日早朝の本番に期待することにして車に戻る。

夕方になると人気は殆ど無くなり、浜の駐車場には我々だけが残ったようだ。少し寂しい気もしたが、まあ、大丈夫だろうと施錠などをしっかり行なって、夜を迎える。夕食後時々沖を行くタンカーなどの大型の船のエンジン音が聞こえてくるが、気になるほどではなく、瀬戸内らしい一夜を過ごすことができた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする