山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

Ⅱ.旅くらしの実際:4.旅くらしの眠り(その2)

2007-03-12 00:13:13 | くるま旅くらしの話

このように書きますと、むちゃくちゃな理屈に聞こえるかも知れません。確かに現役時代のように様々な計画や予定が組み込まれ、そのスケジュールにしたがって仕事を捌(さば)き、こなしてゆかなければならないという状況においては、私の言うような時間の使い方は出来るわけもなく、不眠に悩むというようなことは日常的かも知れません。事実、私自身もそのような生活を長い間して来たのですから。

しかし、リタイア後は、何度も言いますように有り余る時間をフリーに使うことが出来るのです。それをわざわざ不自由に使うことは無いのではないか、というのが私の主張なのです。還暦を過ぎても不眠に悩まされるなどというのは、実に哀しくも愚かなことのように思います。眠りはあの世への旅立ちですが、より強く快適に生きて行くための体調整備の時間でもあるわけです。身体がそれを要求するままに従えば、それでいいのではないでしょうか。身体がそれを要求していないのに、自分の考えに従わせようとしてもそれは無理なことなのだと考えるのが自然だと思います。

くるま旅くらしの中では、例えば車を運転していて急に眠気がさすことがあります。そんな時には、「おっ、眠り君がお出でなすった!」というように考えて、直ぐに駐車できる場所を探し、車を停めて一眠りをするようにしています。運転席で窮屈な格好で眠るのではなく、ベッドにもぐりこんで手足を伸ばして眠るのです。時には2時間も眠ることがありますが、大抵は1時間も寝ればすっきりと目覚めることが出来ます。日中の眠りは長さではなく、深さが大切なように思います。

夜は、実は私は不断夜遅くというより朝まで起きていることが多いので、眠らないことに対しては少しも困らないのですが、くるま旅くらしでは、夜中を起きているのが照明や冷暖房等の問題で難しいのが悩みです。眠りたいのに眠れないというのではなく、眠りたくないのに寝なければならないという悩みなのです。 (不眠の悩みとは、実際はこのような悩みが多いのではないかと思います)これをどう克服するかについては、専ら次の二つを実践しています。

②寝禅の実践

眠れない時に羊の数を数えるという方法がありますね。 「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、……」と眠くなるまで数えるというやり方。あれもいいですが、寝禅という、似たようなやり方があります。寝禅というような正式な言葉があるのかどうか分かりませんが、普通は座って行なう禅の修業を寝た状態で行なうので、私はこれを寝禅と呼んでいます。寝なければならない時には、寝床に入ってこれを行ないます。

その方法ですが、先ず仰向けに寝て、両手を自然に体の側面に伸ばし、リラックスした状態で呼吸に集中します。座禅は呼吸法の一つであり、寝禅もそれを取り入れて実践するわけです。その基本は、吸う息(吸)よりも吐く息(呼)の方に時間をかけるようにすることです。例えば1呼吸において、15秒かけて吸った息は、20秒かけて吐くようにします。ゆっくり吸って、更にそれ以上時間をかけてゆっくり吐くという繰り返しが、寝禅の内容です。しかし、それだけでは長続きしにくいので、呼吸の数を数えるようにします。「一つ、二つ、三つ、……」というように、眠り君がやって来るまで続けます。この呼吸を数えるというのが、先の羊の数を数えるというのに似ているわけです。違うのは、寝禅の方は呼吸に集中するということです。

この呼吸法は、勿論腹式呼吸です。座禅では、出来る限りゆっくりと行なうのがベターとされますが、慣れてくると1分間で1呼吸くらいのレベルになります。私の場合は、寝禅では1分間に2呼吸くらいが普通です。つまり、60を数えると30分が、120で1時間が過ぎたということになりますが、まだ100を超えたことはありません。座禅の場合は、眠りが許されませんが、眠りを待つ寝禅では、それでいいのだと思っています。

尚、座禅では無念夢想などと言われますが、それは嘘で、無念無想などあるわけがありません。逆にたくさんのイメージが湧いてきて頭の中を駆け巡ります。それらに囚われずに、一つ一つバラバラにそれらの想念を切ってゆくのが座禅の中身だと私は考えていますが、寝禅の場合は、湧いてきたイメージが良いものならば、呼吸を数えることなど忘れて、そのイメージを追いかけてみるのも楽しいことです。その様なことをやっていると、眠りのことなど何処かへ行ってしまいますし、眠り君がやって来たらそのままあの世へ行けばいいだけのことなのです。

③時には良薬の眠り薬も大切 

順序が逆になってしまいましたが、もっと気楽に安眠につなげる方法があります。それは適量のアルコールと好きな本などを読むことです。ラジオを聴くことなどもいいかもしれません。睡眠薬のような薬ではなく、天然の睡眠剤を自分なりに作っておくことをお勧めします。

アルコールは人によっては無理な場合もあり、あまり強調することは出来ませんが、大丈夫な人は自分の適量を楽しむというのが、大いに安眠に役立つような気がします。私はセミアル中を自認していますが、酒は人生の友であり、眠りには欠かすことの出来ない良薬です。

寝る前に好きな本を読むというのが私の長年の習慣なのですが、旅に出ると寝床の条件が変わってしまい、照明なども自分一人で自由にはならないため、これが出来ないのが残念です。もっと条件に恵まれた旅車であれば、私にとって眠る前の読書は、安眠のための良薬となるに違いありません。

この他いろいろな良薬を自分なりに作ってみては如何でしょうか。眠りと対立するのではなく、眠りと仲良くなって眠りを楽しむという、そのような考え方が、あの世へ行くまでの眠りのあり方のような気がします。

コメント
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