「人生の本舞台は常に将来に在り」(憲政の父・尾崎行雄)
この言葉を、私が尊敬する憲政記念館の石田事務局長に教えていただき、随分時が経ちました。
この言葉について、「尾崎は74歳(満年齢)のとき、三重を遊説中に風邪をこじらせ中耳炎を併発。心身共に疲弊する中、まるで天からの啓示のごとく、突然この言葉が浮かび上がったといいます。「昨日までは人生の序幕に過ぎず、今日以後がその本舞台。過去はすべて人生の予備門で、現在以後がその本領だと信じて生きる」―という人生観です。」というように教えていただきました。
勿論、その通りなのです。「生を燃焼させるべし」という強い意志のあらわれた言葉であることに違いはありません。
しかし、昨日、「将来とは、自分が死んだ後の世の中のことではなかろうか」という思いが、ふと、頭をよぎりました。
自分が生きている間にやって来たことが、本当に実を結ぶのは、おそらく自分が死んだ後でしかない。だからこそ、生きている限り、子や孫の世代が幸せになるように全身全霊を注いで力を尽くす。
自分が生きているうちにやったことが、死後、日本社会で受け継がれ、活かされていくことこそが、自分の人生の意義であったのだ、と尾崎行雄は、病の床で考えたのではなかろうかと思うのです。
還暦を迎えた爺になったからこそ、このように考えてみることも出来たのだと思います。
そうすると、「人生の本舞台」「将来」という言葉が、また今までとは違った迫力で心に迫ってくるように感じました。