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日本経団連が規制改革で借家の正当事由制度の見直し政府に要望

2006年06月30日 | 最新情報
日本経済団体連合会は、6月20日に15分野の「2006年度日本経団連規制改革要望」を発表した。その中の「土地・住宅・都市再生・観光分野」で、「借地借家法における正当事由の見直し」、「定期借家制度の見直し」の要望を政府に提出した。「正当事由の見直し」は今年度新規の要望事項としている。
 「借地借家法における正当事由制度の見直し」では、規制の現状として『建物賃貸借契約においては、契約終了時に貸主に「正当事由」がない限り、契約の更新拒絶が認められていない。現状、建物賃貸借契約の「正当事由」はなかなか認められず、また、相当程度に劣化し、物理的・機能的・経済的に陳腐化した建物であっても、裁判になれば、更新拒絶(正当事由)が認められるためには「正当事由」を補完するものとして、莫大な「立退料」の支払を裁判所から求められている。』としている。
立退料の上限を用途別に設定
 要望内容としては、『建物賃貸借契約における正当事由制度は廃止すべきである。仮に正当事由制度を存続させる場合においても、立退料の上限としては、以下の何れかの方法が考えられる。①用途別(例:オフィス系は賃料の2年分、商業系3年分、住居系は1年分が上限)、②建替目的別(例:全てのテナントの立退き完了後2年以内に解体工事に着手する場合は上限あり)、③築年数別(例:築30年以上の建物については上限あり)。
 要望理由としては、『①上記の通り、更新拒絶に関して裁判所が高額な立退料を認定していることから、特に都市部において土地機能の更新(建物の建替え)の大きな障害になっている上、都市の防災上の観点からも好ましからざる状況になっている。②不動産の流動化が進んでいる現在、特に開発流動化案件においては、立退き料の算定について予測可能性が低いことが、事業化に際しての大きなリスクの要因となっている。この点、上限を設定することにより、貸主側としては上限以内の立退き料を暫定的に借主側に支払うことで立退きを実現し、おって裁判等により金額を確定することが可能となり(すなわち迅速な明渡しが可能となる)。③借家における正当事由制度は、住宅不足が懸念されていた戦時中の昭和16年に立法化された制度であり、借家が十分に存在する現在においては、既に社会的使命を終えている。④立退き料が高額なので、結果的に、立退き料目的の不正業者の介在を助長している。』と「正当事由制度」を敵視する主張を繰り返している。
既存契約から定期借家への切替も
 なお、定期借家制度の見直しについては、従来から定期借家推進協議会が提言している内容と同じ内容で、①既存の借家契約を合意解約し、定期借家契約に変更できるようにする。②定期借家契約に際しては、書面交付・説明義務を廃止すべきである。③居住用借家の中途解約権を廃止する。以上である。
 正当事由の廃止等は定期借家推進協議会の提言に沿った内容で、今後借地借家法改正の議員立法提出に拍車がかかることが予想される。

借家人の居住と営業の権利を脅かす借地借家法の改悪に反対しよう /hiyo_do/}

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