東京多摩借地借家人組合

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コロナ禍で賃貸困難の相談増 要配慮者「居住支援」増す重要度

2020年11月04日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/820458.html

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的打撃を受け、低額所得者や高齢者など「住宅確保要配慮者」とされる人の円滑な入居をサ
ポートする居住支援の活動が重要度を増している。静岡県内で最初に居住支援法人の指定を受けた「WAC(ワック)清水さわやか
サービス」(静岡市清水区)によると、感染が拡大し始めた春以降、失職した人からの相談件数が高水準で推移。しかし、制度の歴史
が浅く認知不足や、支援団体の少なさから県全域をカバーする体制が敷かれていないのが現状だ。
 勤務先の自動車部品工場の業績悪化で、2月に派遣契約を突然解除された男性(38)が10月上旬、同法人を訪れた。現在は在職
中と同じ家賃約4万2千円のアパートに住んでいるが、コロナ禍で再就職の求人が少なく、生活保護を受給して暮らしをつなぐ日々。
静岡市の家賃補助の上限額である月3万9千円以内のアパートを探している。鈴木久義代表が低額所得者に理解ある不動産会社の中か
ら、男性の希望に合う物件を提案した。男性は「生活保護を受けていると話した途端、物件を紹介してくれない不動産会社も多い」と
支援の必要性を語る。ワック清水では、必要に応じて不動産会社との交渉や入居後のサポートを行う。
 ワック清水によると、今年9月までの相談は64件で、すでに昨年1年間の相談件数を超えている。活動を始めた2018年当初
は、家が見つからない高齢者や障害者からの相談が多かったが、感染拡大と共に派遣切りにあった人からの相談が上乗せされたとい
う。男性も初めてワック清水を訪れたのは今年5月。鈴木代表は「社員寮に入っていた人は雇用契約解除で即退去となる。今現在家が
ある人はどうしても優先順位が下がってしまう」と人手不足を嘆く。
 県内には他に三つの居住支援法人があり、活動は広がりつつある。しかし各法人の活動区域は団体の所在地中心なのが現状。鈴木代
表は「支援を県内に行き届かせるには法人数がまだ足りない。要配慮者に認知が広がらない要因にもなっている」と話す。

 ■入居後の見守り、交流の場を/静岡県立大短期大学部 佐々木隆志教授(社会福祉)

 社会福祉が専門の県立大短期大学部の佐々木隆志教授は、物件所有者が低額所得者や高齢者への賃貸契約をためらうのは、家賃滞納
と物件の価値が低下することへの二つの懸念が要因と指摘する。
 生活保護受給者は真面目に働かないという誤解は根強く、入居者が高齢の場合は孤独死の可能性も考える大家も多いという。そのた
め賃貸契約の仲介だけでなく、入居後の見守りを行う居住支援は今後一層重要になる。
 居住支援は制度としてまだ新しい。佐々木教授は「行政が周知活動に努めるべき。空き家問題の解消にも一役買うはず」と話す。そ
れと同時に、住民同士が自然に交流できる場を設け、多様性を受け入れる地域づくりも進める必要があるとした。

 <メモ>居住支援法人 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を図るため、住宅情報の提供、相談、見守りなどの生活支
援を行う組織。2017年に施行された改正住宅セーフティーネット法を基に、都道府県が指定する。県内ではWAC清水さわやか
サービス(静岡市清水区)、天竜厚生会(浜松市天竜区)、静岡生活振興会(袋井市)、ふじのくにコンシェルジュ(富士宮市)が指
定を受けている。静岡生活振興会は県内全域を活動区域としているが、東部地域の相談はメールや電話相談が主という。


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