東京多摩借地借家人組合

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賃貸マンション:家主に更新料の返還を命令 京都地裁

2009年07月30日 | 借地借家人組合への入会と組合の活動
 京都府長岡京市の男性会社員が家主のマンション経営者(京都市中京区)に賃貸マンションの更新料11万6000円の返還を求めた訴訟で、京都地裁は23日、借り主である男性の訴えを全面的に認め、全額を返すよう家主に命じた。辻本利雄裁判長は「両者の賃貸契約は借り主の利益を一方的に害するもので消費者契約法に反し無効だ」と述べた。更新料の返還を命じた判決は初めて。

 判決によると、男性は06年4月、同市下京区のマンションの1室を1カ月5万8000円で借りる契約を結んだ。期間は2年で、男性は家賃2カ月分の更新料11万6000円を支払い、08年3月に更新したが、5月には解約して引っ越した。

 男性は昨年10月、更新料条項が「借り主には賃料の支払い義務しかないのに、正当な理由もなく費用負担を強いるものだ」として提訴。家主側は更新料について、▽家賃を補充する性質がある▽更新を拒絶する権利を放棄する対価でもある--などと反論していた。

 判決は、「使用期間の長短にかかわらず支払わねばならない更新料を賃料の一部とは評価できない」と判断した。更新拒絶権放棄の対価とする家主側の主張についても「合理的理由がない」と退けた。

 辻本裁判長は「男性が家主側から、更新料特約の趣旨について具体的かつ明確な説明を受けたとは認められない」とも述べた。

 男性は敷金35万円の返還も求め、全額認められた。

 同様の訴訟では、京都地裁と大津地裁が「更新料は賃料の補充であり契約条項は有効」として請求を棄却、共に大阪高裁で係争中。

 男性側の谷山智光・主任代理人は「消費者保護の理念からすれば当然の判断。家主側は更新料など不当な条項をすぐに排斥すべきだ」と話した。家主側代理人は「十分な審議をせず、拙速な判決が出され遺憾」としている。【熊谷豪】

(毎日新聞 7月24日)


 判決文全文掲載


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賃貸トラブルに防止法 国、家賃保証・管理業を規制方針

2009年07月30日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 増加する賃貸住宅の滞納・明け渡しトラブルを防止するため、国土交通省が検討している規制の概要が明らかになった。一部業者による追い出し行為が批判されている家賃保証業に加え、不動産管理業に対象を広げた規制法を作り、登録制を柱に違反業者への行政処分や罰則を盛り込む方針だ。次期通常国会への法案提出を目指す。

 08年度に国民生活センターに寄せられた賃貸住宅の相談は約3万3700件。原状回復や敷金返還をめぐる紛争のほか、昨秋以降は、一部の管理業者や保証業者らが家賃を滞納した借り主宅の鍵を交換したり、家財を処分したりする「追い出し屋」被害の相談が目立つ。

 賃貸住宅の関連法には、借地借家法や宅地建物取引業法があるが、対象は家主や不動産仲介業者などに限られ、管理業と保証業の規制法はない。このため、国交省は法令による規制がトラブルの解決や予防に有効と判断している。

 国交省によると、不動産管理業に従事する事業所は全国に約2万8千(06年)。民間の賃貸住宅は全住宅の約3割を占める約1200万戸あり、家主が業者に管理委託する物件は7割超に達している。一方、保証業者は約70社あり、国交省は約30社の契約書で違法性の高い記載を確認している。

 管理業について、賃料徴収、契約更新、解約などを主な業務範囲と定め、過剰な取り立て・明け渡し行為の禁止や契約時の書面交付、重要事項の説明などをルール化する。違法な業者の排除を目的に無登録の営業を禁じ、違反時には登録を取り消す。

 保証業についても、あわせて家賃回収に対する夜間の訪問禁止などを並べたガイドラインをまとめ、借り主が入居前に契約内容を確認できるシステムもつくる。

 今秋以降、国交省は有識者や消費者団体などから聞き取り調査をし、管理業と保証業の規制を1本の法案にするか二つに分けるかを含め、詳しい中身を詰めたいとしている。国交省は31日に開く社会資本整備審議会の部会でこうした考え方を示す方針。

 賃貸住宅トラブルをめぐっては、各地で追い出し行為を受けた借り主の訴訟支援に取り組む「全国追い出し屋対策会議」も独自に規制法案をまとめている。(室矢英樹)

(朝日 7月29日)

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