今回の旅行では金閣寺を楽しみにしていました。この有名なお寺をまだ訪れたことがなかったことと、三島由紀夫の「金閣寺」で主人公の心を虜にし、一緒に燃え尽きてしまいたいと思わせるほどの美しさとは如何ばかりかと期待していました。天気は快晴、青空を截然と切り取って、そこに嵌め込んだかのように黄金に輝く究竟頂(くっきょうちょう・3階部分)や、究竟頂に場を譲った青空を目がけて今にも飛び立たんとする鳳凰の姿を想像しながら、仁和寺から金閣寺へ向かいました。しかし、世の中では期待が裏切られることがままあります。実際にこの目で見た金閣寺は金色にまばゆく光っているものの、そのまばゆさがのっぺり感につながり、心を虜にするとか、荘厳な印象を与えることにはなっていませんでした。もしかすると快晴でまぶしい陽光を受けた金色が一切の陰翳を奪い去り、それがあだになったのかもしれません。では、がっかりしただけかと言えば、そうではなく、金閣寺に付け足したような感じで鏡湖池へ差し渡された漱清(そうせい)は、金閣寺に比べれば可愛いくらいに小さく、造りはいたって簡素、金ピカの正反対で渋くくすみ、その地味な漱清が金閣寺に寄り添い対照的な姿を見せることで、かえって侘びの趣が際立っているようでした。こちらは期待外の目っけものでした。
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