花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

知の旅は終わらない

2021-06-26 17:25:59 | Weblog
 評論家の立花隆さんが4月30日に亡くなっていたと先日ニュースが流れました。享年八十。立花さんの最後の著書(たぶん?)「知の旅は終わらない」(文春新書)の中に、人生観を次のように語った箇所があります。

 「すべての人の現在は、結局、その人が過去に経験したことの集大成としてある。」
 「ふりかえってみれば、僕の人生も大きな意味での『旅』でした。それは見知らぬ土地を訪ねる物理的な旅もあれば、さまざまな興味に導かれてさまざまな分野に広がっていく『知的な旅』でもあります。」
 「旅の意味をもう少し拡張して、人の日常生活ですら無数の小さな旅の集積ととらえるなら、人は無数の小さな旅の、あるいは『大きな旅の無数の小さな構成要素』がもたらす小さな変化の集積体として常住不断の変化をとげつつある存在といってよいでしょう。」

 「人は集積体である」と言われれば、「なるほど、一日一日を大事にしなきゃなぁ」と思いますが、立花さんだから集積するのであって、普通の人の場合、集積する前に忘却してしまうのではないかとも思います。立花さんなら知的な旅と言えるものも、私のとっては足踏み、あるいは後退にならざるを得ないような気がします。でも、それだからこそ、立花さんのような方の存在意義があるのであって、惜しい人を亡くして残念です。

 立花さんが臨死体験をテーマにした時、「脳科学の最新の知見を踏まえて、臨死体験は死後の世界体験ではなく、死の直後に衰弱した脳が見る『夢』に近い現象であることを科学的に明らかにした」と、「知の旅は終わらない」で振り返っています。また、そのことで「結局、死ぬというのは夢の世界に入っていくのに近い体験なのだから、いい夢を見ようという気持ちで人間は死んでいくことができるんじゃないか。そういう気持ちになりました」と述べています。果たして、立花さんはどんな夢を見ながら旅だってゆかれたのでしょうか。

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