このところ森友学園問題が各メディアで報じられています。よくもまあ、胡散臭いことが次から次へと出てくるなとびっくりですが、少なくとも土地の売却価格を誰がどう決めたのかは明らかにして欲しいと思います。問題が出始めた頃、教育勅語を幼児に暗唱させることが取り上げられました。教育勅語が軍国主義と結びついていった経緯があるので、教育の場で今また用いられることの是非はあります。また、稲田防衛相が「教育勅語の中の親孝行とかは良い面だ」と衆院予算委員会で発言したことが朝日新聞に出ていました。教育勅語の中から徳目的なものをつまみ食いすれば良いとのお考えなのか、徳目で教育勅語の国家主義的なものをカムフラージュしようと考えられているのか、私には分かりませんが、徳目それ自体も使い方によっては弊害を生むのではないかと思います。それは徳目が権力や権威主義と結びついた場合です。例えば、稲田防衛相がおっしゃる「親孝行」ですが、普通の意味では何の問題もありません。立派な徳目です。しかし、これが上から強制されるとどうでしょうか。大体において、徳目は行為の外面的な部分の表現であり、具体的な意味内容は捨象されることが多いです。ですから、徳目が上から押し付けられる場合、自らに都合の良いような意味内容を盛り込むことが可能です。「親孝行」と称して理不尽な命令に服従することを強いることも出来ます。徳目を強要する側が恣意的に行為の中身を決めてしまう危険性があるので、教育勅語を幼い子どもたちに刷り込もうとすることは如何なものでしょう。特に、教師の権威が圧倒的に強く、生徒の判断力が充分ではない小学校においては、なおさら賛成出来ません。
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