花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

チョンキンマンションのボスは知っている

2020-06-07 16:50:00 | Book
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる」

 香港に住むタンザニア人の助け合いは「ついで」に基づく。負担にならずついでに出来るなら、ご飯をおごる、どこかへ連れて行く、ビジネスの手助けをするといった具合に。例えば、仕入れた商品をタンザニアへ送るためコンテナを出す際、すき間があれば、だれかの荷物をついでに運んであげる。それを可能とするのは、ITネットワークで多くの人々がつながっていること。ネット上に上げたリクエストに、ついでのだれかが応えてくれる。

 助ける方が気軽なら、助けられる方の負い目も生じない。ギブアンドテイクで、その都度ごとにプラスマイナスが釣り合っているか、貸借対照を行う人間関係の窮屈さが、そこにはない。

 過度な負担や権威がないまま、分け与え続ける分配システムが、広いネットワークを通じて実現することに、著者は期待する。

小川さやか著「チョンキンマンションのボスは知っている」(春秋社刊)から。

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