森友学園や加計学園に対して「便宜を図った」との疑惑に関する政府の答弁は、頭ごなしに「違う」、「知らない」、「関係ない」と言い張っているだけ、さもなくば黙殺剣で答えない、と説明の体をなしていないように見受けられます。数の優位を背景に騒ぎは時間が収めてくれると思っているかのようです。そして、数の多い方の人たちは口をつぐんで我知らずを決め込んでいる感があります。自民党元副総裁の山崎拓さんは5月23日付の朝日新聞朝刊へ次のコメントを寄せていました。「各党から1選挙区につき1人しか公認されない小選挙区制は結果的に、与党トップの力を強める一強政治を招き、政界や官界に『ヒラメ現象』を広げることにつながりました。」これはどういうことでしょう。私たちは選挙を通じて国会へ代表を送ります。公民の授業では間接民主制と習いました。その私たちの代表が「ヒラメ」になってしまい自分の意見が言えないとすれば、国政が民主制ではなく独裁制に委ねられる危険性をはらんでいることになります。現在、内閣支持率が高いのは、政治の内容が悪くないと人々が思っているからでしょう。しかし、私は内容もさることながら政治の進め方、形式が大事だと考えています。何かおかしくなった時に内容は修正すれば良いですが、いったん出来上がった形式を変えることは容易ではないからです。まともな説明をしない、議論をしない、今の政権のあり方を見ると、やりたい放題の何でもありになってしまうのではないかと危うさを感じざるを得ません。成蹊大学で比較政治学を教える高安健将教授は、本日の朝日新聞朝刊で加計学園問題への政府の対応について、「有権者は政権の説明不足に慣れてしまってはいけない」と警鐘を鳴らしています。説明せずに時間の経過でうやむやにしてしまう手法を「あり」にさせない良い手立てはないものでしょうか。