今日の朝日新聞朝刊に「歴史の巨大な曲がり角」と題する社会学者・見田宗介さんへのインタビュー記事が掲載されていました。今の社会状況を、「成長の限界は必ず来るし、本当はすでに来ているという理論もあります。現代の社会は、限界を過ぎても無理やり成長を続けようとする力と、持続可能な安定へと軟着陸しようとする力とのせめぎ合い」と捉える見田さんは、成長しない社会であっても、「生きる歓びは、必ずしも大量の自然破壊も他者からの収奪も必要としない。禁欲ではなく、感受性の解放という方向」に明るい可能性があると述べています。物欲に対して精神的な満足が支配的になれば、「成長=最高」の近代の価値観から解放されるかもしれません。しかし、そのような価値観の転換が不十分なままでは、依然強欲がのさばり続ける余地が残り、「感受性の解放」はマッチのともし火の中に満足を見出しながら凍え死にした「マッチ売りの少女」の悲しい結末につながる恐れがあります。価値観の転換が自然の成り行きで進むのか、社会の枠組みを変えるような営みを必要とするのか、見田さんは語っていません。インタビュー記事は次のように結ばれています。「今、私たちは、人間の生きる世界が地球という有限な空間と時間に限られているという真実に、再び直面しています。この現実を直視し、人間の歴史の第二の曲がり角をのりきるため、生きる価値観と社会のシステムを確立するという仕事は、700年とは言いませんが、100年ぐらいはかかると思います。けれどもそれは、新しい高原の見晴らしを切り開くという、わくわくする宿題であると思います」 私は、随分大きな宿題をもらっちゃったなぁと思いました。