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図書館カウンターでの出来事

図書館カウンターでの出来事
 カウンターで「いくつ(何冊残っているか)?」と聞いたら、27歳と答えてきた。これはこれで有意義な答ですね。

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17文字のヘッドコメント 第4章 歴史編 2/2

4.5.1 自由を求める
 ・日本は意思の力を外に向けて拡大
 ・国民国家の意思の力の限界
 ・国家以前は地域が単独に存在
 ・フランス革命後、国民国家に向かう
 ・意思の力の元で全体主義があった
 ・軍がローカルを支配する専制主義
 ・ローカルから反発
 ・ローカルから支持される民主主義
4.5.2 不平等な社会
 ・日本の超国家への道
 ・米国支配で日本は超国家はなれない
 ・國を超える人間が必要
 ・コミュニティは地域と異なる存在
 ・生活者意識でネットとつなぐ
 ・ライブラリで知恵を蓄積させる
 ・危機感を共有し、コラボで行動する
 ・国および超国家と双方向でつながる
4.5.3 多様な地域
 ・トルコは農業国から観光立国に
 ・地域が安定し、世界からの融資
 ・コミュニティが主役に躍り出た
 ・同一価値観で世界の位相を変化
 ・観光立国は地域のエネルギーと知
 ・グローバル企業は支援に回っている
 ・コミュニティが地域を活性化
4.5.4 平等を求める
 ・GmLに踏み出したのは、グーグル
 ・グローバル企業は先が見えてきた
 ・ローカルを吸収して、グローバル化
 ・テロとか環境問題での反発
 ・ローカルは目覚めて、方向を転換
 ・グローバル企業は国を超える
 ・ローカルを活かす道を進んでいる
 ・国民国家も超国家で課題解決を図る
4.6.1 137億年の歴史
 ・家族制度の見直し
 ・組織の中の人間が市民意識に目覚
 ・意思の力から存在の力に変わる
 ・地球的規模の課題に対応
 ・2050年までには環境社会になる
 ・情報共有から市民意識を変える
 ・地域からサファイア社会を目指す
 ・経済的・自然的・環境的クライシス
 ・ライフスタイルを環境社会に変える
4.6.2 組織の時代
 ・クライシスで社会は変革してきた
 ・元へ戻ることはしない
 ・新しい人間が生まれ、仕組みが構築
 ・簡単にクライシスは起こった
 ・歴史のコード化で頻繁に起こる
 ・依存の地域は連鎖的崩壊を起こした
 ・国は画一的な対応
 ・ローカルの多様性を活かす
 ・歴史のページを先に進める
4.6.3 共有の動き
 ・多数決から行動できる意思決定
 ・都市国家レベルとしての地域
 ・地域の武器は、市民の存在の力
 ・ソーシャルネットで情報共有
 ・何を行うかを決め、自ら行動する
 ・コミュニティを知識と意識でカバー
 ・意思決定はテーマとグループ中心
 ・統合で国全体をカバー
4.6.4 存在の時代
 ・変革のための情報共有
 ・ソーシャルは情報共有係数を上げる
 ・思いが確認できて、行動につながる
 ・歴史を変えるために、ツールを準備
 ・インターネットがソーシャル
 ・柔軟なつながりが可能になった
 ・市民の生活が情報共有でつながる
 ・企業・行政も対等な関係でつながる
 ・社会ライブラリで知の共有が可能
4.7.1 意識変革
 ・市民からコンパクトな単位で活性化
 ・状況把握で各自の望みが分かる
 ・基本はコミュニティ
 ・コミュニティで環境哲学を生かす
 ・存在の力で生き抜く地域を生み出す
 ・分化した個人が適応する
 ・コミュニティに参画できる
 ・市民の価値観で行政に要望
 ・行政を変えさせる
4.7.2 組織が変わる
 ・地域インフラの再構成
 ・地域の多様性により地域インフラ
 ・インフラも分化と統合で作られる
 ・考え方が異なるコミュニティ
 ・コミュニティのシナリオ
 ・組織の隙間から仕事を創出する
 ・成功体験を集約して、行政を変える
 ・儲かる仕掛けを企業の協力で作る
 ・地域インフラを再構成
4.7.3 国家の方向
 ・国を比較し、方向を知る
 ・500万人規模の国で実験
 ・方向を探っている
 ・北欧の経済体制などが先行
 ・国も単独では不安定になる
 ・日・中・韓の余計な争いを起こす
 ・国を超える可能性を導き出す
 ・フィンランドはEU全体を視野
 ・地域活性化で国を超える
 ・ギリシャはEUの中で、思考停止
 ・トルコはイスラムとEUの接点に活路
4.7.4 超国家の構築
 ・地政学、民族に頼らない国
 ・価値観によって、組み合わせる
 ・コミュニティの組合せで国を定義
 ・国を組み合わせて、超国家
 ・EUは北欧、独仏+東欧、に分かれる
 ・中近東はトルコ+南欧とアラブ連合
 ・アジアは中国中心の東アジア
 ・インド中心の西アジア
 ・アメリカは南北アメリカに留まる
4.8.1 市民と国家
 ・国での歴史は考えられない
 ・分化した社会を平和にしていく
 ・破滅か生き残るかの選択
 ・市民の分化が辿り着く先
 ・どのような形になるかを示す
 ・市民の分化の目的は環境社会に移行
 ・情報共有で危機感を共有する
 ・地域インフラをコミュニティで作る
 ・国への拘りを捨て、超国家の平和
4.8.2 地域と超国家
 ・日本のモノづくり
 ・地域と超国家と二元化の時代
 ・日本が地理的条件から別個の存在
 ・LL=GGでは市民と超国家がつながる
 ・地域コミュニティと超国家の仕組み
 ・ソーシャルネットで社会の位相化
 ・日本はシナリオから孤立する
 ・中国は分解して、個別に参画する
4.8.3 地域と国家
 ・日本を500万人に分割
 ・数学から、歴史の必然を見ていく
 ・社会の位相化を取り込む歴史
 ・内なる歴史で未来を考えるとLL=GG
 ・歴史を時空間とし、社会の位相化
 ・近傍の考えで社会を位相構造にする
 ・市民はコミュニティと共に自立する
 ・市民を組織から離脱させる
 ・情報共有で個人の分化の範囲を拡大
4.8.4 市民と超国家
 ・LL=GGという歴史の分岐点
 ・意思の力から存在の力への移行
 ・社会のコンパクト化が前提になる
 ・今の社会は耐えられない
 ・環境社会の哲学で存在の力に変わる
 ・内なる世界でLL=GGに向けて、加
 ・地域コミュニティでインフラが変化
 ・社会の位相化をカタチにする
 ・2050年の歴史の分岐点を向かえる

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17文字のヘッドコメント 第4章 歴史編 1/2

4.1.1 全体主義は支配
 ・圧倒的な暴力を行使するのは民意
 ・現象を増幅して、いい所取りをする
 ・60、70歳で歴史学を習得する準備
 ・歴史は戦間期から分析を始めた
 ・民主主義から共産主義化を阻む
 ・全体主義で沈黙の螺旋に陥った
 ・時代が合えば、個人が全体を支配
4.1.2 共産主義は平等
 ・個人の意思は全体の意志にならない
 ・全体の意志が個人の意思になる
 ・民主主義の究極が共産主義
 ・ロシアに共産主義が生まれた
 ・革命は独裁者に横取りされた
 ・地方分権の中国は中央集権化の手段
 ・国民を支配する共産主義が生まれた
 ・GNP的な政治体制で中間層を取り込む
4.1.3 民主主義は自由
 ・ソーシャルは個人の活力を引き出す
 ・存在の力で情報共有を力に変える
 ・国民国家から市民主体国家に向かう
 ・存在の力をソーシャルがつなげる
 ・公共がグローバル支援を可能にする
 ・共和制をソーシャルネットで変革
 ・平和な世界を求める
 ・依存した国民から自由な市民に
4.1.4 自由と平等
 ・国民国家の限界
 ・グローバル化で国を超えた
 ・多様な地域を吸収しきれなくなった
 ・民族問題は解消できない。
 ・歴史の流れに法則と見解がある
 ・ローカルとグローバルの関係で見る
 ・ローカルで争い、国が生まれた
 ・国家は国民を集約し、富を分配した
 ・国と国民の間にグループができた
 ・地球規模の課題に対応する
4.2.1 中央集権
 ・独裁は魅力的に映る
 ・的確に、全ての要求を織り込める
 ・破滅に向かうのは美学
 ・グローバルは全体効率を目指した
 ・有限を意識して、崩壊が始まる
 ・国民への分配は限界に来ている
 ・独裁が魅力的に映る
 ・ローカルは同一価値観でまとまる
 ・グローバルはローカルを支援する
4.2.2 自由を保証
 ・フィンランドの地域
 ・市民を括る単位として地域がある
 ・中核となり、国とかEUと関係づける
 ・歴史は国が基準で、民族が絡む
 ・国の関係で歴史認識を見ていける
 ・フィンランドは市民主体で存在感
 ・トルコは地域の要で、変革の源
 ・ギリシャは国民国家のあり方を示す
 ・韓国は地域と一体化した国の姿
4.2.3 国家形態
 ・国民国家と民族
 ・日本は国と民族が一致する幻想の
 ・不一致を前提にした解が必要
 ・国という単位で歴史を変わっていく
 ・従来は民族で国を作ろうとした
 ・小国は独立のために勇気を示した
 ・アフリカ ・中欧は民族争いに終始
 ・アジアは覇権争いが激化
 ・超国家発想と地域連携が現実的
4.2.4 国民の状態
 ・地球規模の課題
 ・国単位での解決が無理
 ・地域と超国家で対応
 ・分化と統合で未来を創る
 ・未来を考える三つのファクター
 ・環境問題のような国を超えた対応
 ・ローカルの多様性からの変革
 ・グローバル化の拡大での不安定さ
 ・国を超えるものは個人の変革が必要
4.3.1 国民の意識
 ・個人が歴史を変える
 ・革命家は時代からの意図を感知
 ・存在を賭けて行動する
 ・歴史は動き出す。あとは偶然
 ・歴史の行方を、ローカルから考える
 ・個人は流れを作ることはできる
 ・国民国家は民族から限界にきている
 ・宗教は同一価値観で歴史を変える
 ・個人の多様性を生かすソーシャル
 ・メディアが歴史を変える
4.3.2 グローバル化
 ・グローバル化は統合のために必要
 ・異質なものを取り込むことが前提
 ・歴史はグローバル化に向かってきた
 ・日本は、明治維新で国民国家になる
 ・植民地政策に向かった
 ・米国のグローバル化に負かされた
 ・グローバル化は格差で地域を圧迫
 ・米国はグローバル化を追求
 ・ロシア・中国との資源剥奪を繰返す
4.3.3 多様化
 ・健全なローカルは育つ
 ・グローバルが支援する動機になる
 ・グローバル化とローカルの多様性
 ・ローカルから発生したテロが脅威
 ・ローカルは自らの存在を掛ける
 ・自立したローカルを保証する
 ・安定させる時が来ている
 ・グローバルはローカルを支援する
4.3.4 国家の分裂
 ・歴史の数学モデル化
 ・空間認識で歴史に先行できる
 ・数学はモデル化でゼロから考える
 ・歴史にサファイア循環が存在する
 ・循環から、世界が見えてくる
 ・全体を見て、先を知る数学モデル
 ・国民国家は限界だが、地域は健全
 ・地域インフラは知恵を体現化
 ・生活のエネルギーは地域で作り出す
4.4.1 歴史を知る
 ・多くの人を幸せにする
 ・環境問題の方程式は人口×負荷
 ・人口×力にする仕組みを考える
 ・環境は人が増えれば悪化する
 ・増えるほど良くなる方法
 ・個人が分化し、互助すること
 ・図書館と生涯学習が知恵を作り出す
 ・地域など周縁の変化が全体に及ぼす
 ・統合のためには相互関係を理解する
4.4.2 歴史は時空間
 ・歴史は国単位で後追いしない
 ・人類の変革の方向を示すもの
 ・歴史哲学が必要
 ・国民国家から分化と統合の二元化
 ・根幹の歴史哲学からまとめていく
 ・平和を主張する世界
 ・存在の力をベースにする
 ・社会構造を数学的に認識する
 ・サファイア循環で歴史哲学を作る
 ・知識と意識を市民に展開する
4.4.3 階層関係
 ・分化と統合の動き
 ・分散したものを集合し、組織化した
 ・市民が分化し、連携する
 ・国は統合で全体効率を示す
 ・地域ガバナンスで、要望に合わせる
 ・仕組みを市民自ら作り出す
 ・地域を活性化して、中央にアピール
 ・地域のエネルギーを最大限にする
 ・歴史を変えて、平和の道に向かう
4.4.4 数学的解釈
 ・歴史における偶然の意味
 ・歴史は時間軸を扱う
 ・偶然は結果になるが、揺れ戻される
 ・ローカルな観点から歴史を捉えた
 ・グローバルでサファイアの仮説
 ・歴史の中の偶然は意味をもつ
 ・必然の揺れ戻しで方向が決まる
 ・ローカル・グローバルでの歴史観
 ・全体主義とか超国家の意味が見える
 ・ローカルの動きで未来が決まる

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日中戦争と戦時動員

『近現代日本史との対話』より 日中戦争 日常化する動員体制
国家の経済への介入--大政翼賛会が唱える「翼賛経済体制の建設」は、計画経済として構想されます。ソ連の第一次五ヵ年計画(一九二八-一九三二年)=計画経済が、国家による経済への介入であることと同様の特徴を有しています。
財界や既成政党はこの介入に反対し、第二次近衛内閣でも、(財界=既成勢力を代表する)小林一三・商工大臣と、(革新官僚である)岸信介・次官との対立が見られました。「計画経済」を「赤化」(=共産主義)と認識するゆえに、一九四一年には、(企画院の調査官である)和田博雄、勝間田清一らが治安維持法違反で逮捕される事件も生じました(企画院事件)。
システムBIは、恐慌に対し、国家が介入--統制する動きであり、世界的な共通性を持ちます。アメリカのニューディールもまた、その一つです。恐慌に対抗する政策--型としての、統制経済に始まる日本型、ソ連型、そしてアメリカ型の国家介入です。
となると、ファシズムとニューディールは、これまで対極に位置づけられてきましたが、むしろ共通性に目がいきます。イデオロギー的に、また政治勢力として、ファシズム、ニューディール、共産主義は対立し、それぞれ敵対していましたが、一九三〇年代の恐慌への対応--経済的対策における型の差異とすることができるでしょう(山之内靖『総カ戦体制』二〇一五年)。
このかんの日本の動きを、世界的な体制の変容のもとでの一つの型として把握したいと思います。システムBIとする理由です。
むろん、大政翼賛会の持つ排他性と独善性、それと表裏する「日本」の強調--ナショナリズムを見逃すことはできません。ただ、アメリカ型、ソ連型にもナショナリズムは組み込まれています。
第二次近衛内閣は一九四〇年七月二六日に「基本国策要綱」を閣議決定しています。「大東亜ノ新秩序」建設のために「国防国家体制」をつくりあげることを目指し「国家奉仕ノ観念ヲ第一義トスル国民道徳」の「確立」を唱えました。そして、「日満支ヲ一環卜シ大東亜ヲ包容スル皇国ノ自給自足経済」、および「官民協カニヨル計画経済ノ遂行」、とくに、主要物資の「生産、配給、消費ヲ貫ク一元的統制機構」の「整備」をいいます。日本型の構想がここに見て取れます。そのことを前提としたうえで、目を社会に向け、日本社会のありようを探ってみましょう。
詩人の萩原朔太郎は「日本への回帰」(『いのち』一九三七年一二月)を唱えます。これまで「西洋は僕等にとつての故郷」であったが、いまやそれは「現実の東京」のなかにあり、その「現実の故郷」に帰ってきた、と萩原はいいます。
 僕等は西洋的なる知性を経て、日本的なものこ作一求に帰って来た。(略)今や再度我々は、西洋からの知性によって、日本の失はれた青春を回復し、古の大唐に代るべき、日本の世界的新文化を建設しようと意志してゐるのだ。
と、近代を達成したゆえの課題として「日本的なものへの回帰」をいうとともに、その営みを旧来の「国粋主義」の動きからも区別します。あらたな選択肢としての「日本への回帰」の認識です。ファシズムが、近代を前提としてその超克をいうとき、近衛新体制-大政翼賛会に至る動き(システムBI)はそれに近似しています。萩原朔太郎の議論も、そのことを感じ取ったうえでのものだったのでしょう。
こうしたなかで、あらたな表現者たちが登場します。既成の文学者ではなく、戦争という現場にいる兵士たちが、文学や美術の領域で活動するのです。戦争の当事者による報告として、かれらの表現は重視されます。さきに紹介した火野葦平は、そうしたあらたな表現者たちの代表的な存在でした。
別のいい方をすれば、システムBIのもとでは、知識人と大衆の差異がごくわずかなところまで縮まるということです。知識人が、表現や認識において、一般の人びとに優位性を持つという「錯覚」は、戦時体制では不可能とされます(橋川文三「ファシズムと抵抗権」『東京新聞』 一九六〇年六月四日-六日、『歴史と感情』 一九七三年)。「国民」と「臣民」の概念の再編成も見られました。いや、双方が局面によって都合よく利用され、主体性を喚起してのあらたな統制が図られます。
「臣民」が日本の固有性と結びついているのに対し、「国民」は普遍的な意味合いを持ちます。戦時においては、まずなによりも「日本国民」としての自覚=主体が強調され、人びとは「日本国民」として動員されます。このとき、「婦人」と「少国民」、そして植民地の人びとは、雑誌などメディアを通じてのキャンペーンと、地域や学校、軍隊などでの運動(実践)によって、ことさらに「国民」としての自覚を促されます。(参政権が与えられないなど)これまで「二流の国民」とされてきた人びとに対して、総動員体制のもとで「国民」に昇格されるかのような幻想が与えられるのです。
他方、「臣民」としての意識の強調は、一九四〇年一一月に「紀元二六〇〇年」の奉祝行事が催されたことに象徴的です。式典が催され、ラジオで実況放送がなされるとともに、展覧会をはじめ数々の催しが開かれました。
「時間」の意識からするとき、人びとは「西暦」と「元号」、それに(神武天皇が即位したとされる年を基準とする)「紀元」という三通りの年の数え方によって、自己を確認することとなります。(システムAI・AⅡのもと)「西暦」と「元号」を用いて近代化を推進してきましたが、(目標が達せられたという認識のもと、システムBIのなかで)「紀元」という時間によって世界の新段階にあらためて向き合おうとします。政府もまたこの時間に合わせ、オリンピックや万国博覧会の招致を図りました。
陸軍主導で、その名も「国民服」と定められた服が半強制的に浸透するのも、同じく一九四〇年のことでした。子どもたちは「少国民」となり、小学校も一九四一年四月から国民学校として再編されます。国民学校は、「国民ノ基礎的錬成ヲ為ス」ことを目的としました。じわじわと、しかし身動きできないように、参加=統制が身体化され、内面化されていきます。システムBIが、日常化していくのです。
『信濃毎日新聞』主筆で、軍部に対する批判的な記事を書いて退社した言論人・桐生悠々は、主宰する個人誌『他山の石』(一九四〇年三月二〇日)に、
 革新派は革旧派たることが多い。現状打破は動もすれば、旧状回復となり易い。この頃の革新派は議会主義を打破して、中世紀の暗黒時代に復原せんとしてゐる。
と記しました(「雑音騒音」)。「革新」を標榜する革新官僚や統制派の軍人たち--あらたなシステムBIを批判し続けます。そのため桐生は軍部から抑圧されますが、それ以上に、人びとから孤立させられていきます。これまで既成の秩序に抑えっけられていた人びとは、統制による息苦しさを感じつつ、「革新」--改革の幻想を振りまく、あらたな動き(システムBI)に期待を寄せていったのです。
また、植民地では、すでに「国民」概念の対抗が見られます。一九三六年のベルリンオリンピックで、朝鮮人の孫基禎がマラソンで金メダルを獲得します。しかし、孫基禎は日本の選手として出場しており、日の丸のゼッケンをつけていました。これに対し、『東亜日報』が胸の日の丸を塗りつぶして報道しました(山本典人『日の丸抹消事件を授業する』一九九四年)。(日本は)植民地の人びとに「日本」を強制し、それに対して(朝鮮は)「日本」を消し孫基禎の快挙をたたえました。帝国主義/植民地という非対称的な関係が続くなか、朝鮮はシステムBIに対抗して、システムAの理念(「民族」)で対抗しています。あらためて、「国民」が焦点となるのです。
統制経済--システムBIは、満州国でも進行します。満州国では、生産力を拡充していくために「満洲産業開発五年計画綱要」(一九三七年)が制定され、実業部次長であった岸信介らによって実践されます。この計画は、「重要産業統制法」とセットになっており、国防に重要な産業として、鉄鋼や石炭とともに、自動車や航空機産業の育成が国家主導で図られます。有事を想定し、鉱工業から農業・畜産、交通・通信などの生産力を増強し、満州国内での「自給自足」と、日本で不足する資源の「供給」が方針とされました。
日本と満州を一体とした体制のもとで「日満経済ブロック」の形成を目指しており、外部を取り込み拡大していくシステムBIの具現化です。
同時に、満州における統制経済に携わった軍人-実業家―革新官僚たちが、人脈をつくりあげました。東條英機、岸信介をはじめ、(満州の国務院総務長官)星野直樹、(日産コンツェルン総帥)鮎川義介、あるいは(南満州鉄道株式会社〈満鉄〉総裁)松岡洋右らの名前が取りざたされます。満州での人脈が、戦後日本の保守政治にも影響力を持ったことは見逃せません。
植民地での統治--動員は、「内鮮一体」を提唱し、朝鮮人を「臣民」としようとする皇民化政策として進行します。一九三〇年代後半から四〇年代にかけて、植民地では人びとの皇民化(皇国臣民化)が図られ、神社参拝、日本語の使用が強制されました。それに先立って、一九二五年に朝鮮神宮が建てられています。
国民精神総動員朝鮮連盟の愛国班により、宮城遥拝、「皇国臣民ノ誓詞」斉唱が強制され、一九四〇年二月には、朝鮮民事令の改正によって創氏改名が実施されるに至ります。「創氏」は、宗族(血族集団)による朝鮮の家族制度を、日本のような家族制度とすることであり、朝鮮社会の破壊ということになります。同化政策であるとともに、血族集団を優位とする習慣が、天皇家の絶対性と置是をきたすという理由によっているといいます(水。
あわせて、「内鮮結婚」が奨励されました。一九三五年に二五〇組であった、朝鮮内での朝鮮人と日本人との結婚は、一九三九年には二四〇五組と激増しています。一九三八年八月に、朝鮮総督府に時局対策調査会が設置され、「内鮮人ノ通婚ヲ奨励スル適当ナル処置」を講ずることがいわれ、「模範的な」夫婦を表彰しました。夫(朝鮮人)--妻(日本人)の夫婦が強調されます。
日中戦争が進展すると、朝鮮人を兵士として動員しようとします。一九三八年二月、陸軍特別志願兵制度が実施され、三月には朝鮮教育令の改正がなされました。日本語教育を徹底化することと、兵士としての参加を重ね合わせ、普通学校(朝鮮人学校)で日本語を教え込みます。七月には、総督府から『支那事変と半島同胞』という「美談集」も刊行されます。のちに見る、アジア・太平洋戦争のときのような兵士不足による動員ではなく、皇民化の推進として行われたといいます。
他方、朝鮮から日本への渡航は一九三〇年代前半以降、抑えられていましたが、一九三九年に変化しました。この年から、朝鮮から日本への労働者の移出が始まり、一九四〇年ごろからは強制的な要員確保が行われます。一九四四年八月の閣議決定を受け、翌九月からは朝鮮人の徴用の実施、強制連行を伴う動員が始まり、炭鉱などでの重労働が課されました。

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社会学における家族と男女

『大学4年間の社会学が10時間で学べる』より
社会に走る見えない線引き
 1章で見たように、〈社会〉は個人をその構成要素としています。そして、個人が相互作用したり、あるいは集合体を作ったりすることで成り立っています。同時に〈社会〉は政治の世界、経済の世界、教育・学校の世界、親族家族の世界など、複数の領域からできあがっています。それらの領域は互いに重なっており、とても複雑です。
 社会学では、そのような〈社会〉を維持するために何か必要か、そして、社会の維持を担う集団や制度は何かを明らかにしようという観点から、〈社会〉の線引きを行います。〈社会〉を存続させるには、生産と再生産を維持し続けなければなりません。ここで言う生産とは、労働によって衣食住に必要な物資を作り出すことを意味します。他方の再生産とは、生産を担う労働者を生み出したり(出産・育児)、エネルギーの摂取や休息を通して労働力の回復を目的とする活動(家事労働)を指します。
 前者のような領域を生産領域あるいは公的領域と呼び、後者の再生産を担う世界を再生産領域または私的領域と呼びます。
 近代社会の特徴は、生産と再生産の世界を明確に区別し、前者を資本主義制度、後者を家父長制家族としての近代家族とした点にあります。昔の商家や農家であれば、家族は現代と同じく再生産の場であると同時に、家族全員が労働者となって生業を支える生産の場でもありました。しかし、資本主義経済の発達とともに両者は分離し、再生産・私的領域としての近代家族が形成されます。本章では生産から切り離された家族(近代家族)の歴史と特徴について学んでいきましょう。
私たちの家族は特別
 近代家族とはどのような家族のことを言うのでしょうか。私たちが家族に対して抱いているイメージを少しあげてみましょう。「男女が恋に落ちて結婚し家庭を作り、子どもが誕生する」「家族は職場とは切り離され、プライバシーで守られている」「家族は強い愛情で結ばれており、その主役は子ど乱父が主にお金を稼ぎ、母が家事を担う」などが一般的なところではないでしょうか。
 およそこうした三つの特徴を持つ家族のことを、社会学では時代区分にしたがって近代家族と呼びます。最近の研究によると、都市の中産階級を中心にこうした近代家族の風景が完成するのは、欧米では1920~30年代、日本では1950~60年代だと言われています。
 近代家族の特徴の一つ、恋愛結婚を例に考えてみましょう。右の図を見てください。日本の場合、いわゆる恋愛結婚の割合が見合い結婚の割合を上回るのは1960年代後半です。それ以前の社会では、愛し合って結婚するというより、紹介されて結婚するのがごく一般的でした。これは一つの事例にしか過ぎませんが、家族や愛のカタチも、それぞれの時代の社会の中でその姿を大きく変えていることが理解できると思います。
 1章では、社会学では個人の思考、心理(動機)、嗜好を〈社会〉が生み出す現象として捉えると紹介しました。社会学を理解するうえでもう一つ大切なことは、その〈社会〉は時代(歴史)によって変化するということです。
男性と女性の役割はなぜ違う?
 右の図を見てください。この図は近代家族の特徴である性別役割分業を典型的に表すと言われます。
 私たちの社会が存続していくためには、二つの活動が必要だと述べました。一つは、生存に必要な食料・物資を調達する活動(生産)です。もう一一つは、食事をとって1日の疲れを癒やし、翌日の生産活動に備える活動(労働力の再生産)です。また、誰しもやがて死を迎えるので、次の世代の労働力を生み育てておかなければなりません。この活動も労働力の再生産に含めることができます。
 資本主義が発達し、社会全体が効率性を求めると、社会を支える生産労働と再生産労働は分担されるようになりました。こうして社会は生産を担う公的領域と、再生産を引き受ける私的領域に分かれていくのです。これがおよそ「職場」と「家族」に対応します。
 農業を主とする伝統社会では家族と職場は未分化で、家族全員が生産に従事していました。やがて子を生む性である女性が私的領域(家族)で再生産活動に、男性は公的領域(職場)で生産活動に専念することになります(男は外で仕事、女は内で家事)。江戸時代の武士の家では子どもの教育に責任を持っのは父親でしたが、近代家族では父親の役割は薄れ、母親が子育てにおいて重要な存在になります。
 性別役割分業の存在を表すのが、女性の就労人口が表すM字型就労です。女性は結婚前と出産後は男性と同じく外で働きますが、家事と子育てに専念するために一時的に公的領域を離れます。それがM字となって現れるのです。
愛しているのは君だけ、あなただけ
 男性と女性が結ばれ、子どもを産み育てる家族は、いつの時代にも存在しました。しかし近代では、子どもを中心に、内(家事)と外(仕事)の役割分担がはっきりした近代家族が構成されました。この近代家族は、ロマンティック・ラブという考え方によって支えられています。ロマンティック・ラブとは、唯一のパートナーとの愛と性の関係を永続的に望み、結ばれることを言います。
 現代に生きる私たちを支配する性道徳として、愛と性行為の一致があります。性行為は愛情の延長にあり、両者は切り離すべきではないという考え方です。また、愛情と性行為のパートナーは、1人に限定すべきだとも考えられています。さらに、男女の性的関係は結婚を前提としています。つまり、私たちが持っている性愛の道徳の原則は、愛と性行為は一致し、かつ一夫一婦制の家族の中でだけで公認されるというものです。
 しかし、ロマンティック・ラブを女性の側から見ると、両義的な性格を持っています。この場合、ロマンティック・ラブによって、昔の一夫多妻の時代から女性と男性の平等が進んだと見ることができます。他方、こうした観念の結果、無償の愛の名の下に女性が家族の内部に隔離され、すべての家事負担を負わされると見ることもできます。この場合、ロマンティック・ラブは家事負担のためのイデオロギー(支配的な社会制度を正当化するための思想や観念)と見ることも可能です。このように、―つの現象や制度が持つ二面性につねに注意を払うというのも社会学の特徴の一つと言えます。
新しい家族のカタチ
 私たちがこれまで前提としていた男女の区別と異性愛に支えられた家族(再生産を担う近代家族)に対して、本章ではそうした家族の姿にとらわれない多様な性のあり方についてお話ししてきました。しかし吐の多様化だけでなく、家族そのもののあり方も大きな転換期にさしかかっています。
 離婚するカップルの割合は、およそ3組に1組と言われ、かつ結婚するカップルのうち、男女いずれかが再婚である割合も上昇傾向にあります。離婚した男女が再婚すると、新たな子どもをもうけるケースも含め、生みの親が異なる子どもたちが生活を共にする可能性が高くなります。こうした家族をステップファミリーと言います。
 また、現代では生殖補助医療技術の進歩によって、新たな家族のカタチが生まれます。代理出産によって、生みの母と育ての母が異なるケースはいうまでもなく、人工授精によって夫婦以外の提供された精子もしくは卵子での出産が可能となり、遺伝子上まったく血縁関係のない親子が誕生するようになります。
 全世帯のうち、単独世帯の割合が増える傾向にある一方、一つの住宅を複数の個人や世帯で共有するシェアハウスやコレクティヴハウスという生活形態に注目が集まっています。高齢化が進むと、家族との同居ではなくシェアハウスやコレクティヴハウスのような共同生活を選ぶ人も増えると予想されます。こうした社会学の知見に立てば、血縁のある家族とは別の他人との共同生活の可能性に社会が目を向ける時期にさしかかっていると言えるでしょう。

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豊田市図書館の21冊

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331『マクロ経済学』
135.5『デリダ 歴史の思考』
334.31『東大塾 これからの日本の人口と社会』
364.02『転機にたつフィンランド福祉国家』高齢化福祉の変化と地方財政調整制度の改革
336.2『NOロジック思考』論理的な考え方では、もはや個の時代に通用しない!
778.8『NHKドラマガイド まんぷく Part2』
336.3『マネージング・イン・ザ・グレー』ビジネスの難問を解く5つの質問
374.97『100年未来の家族へ』ぼくらがつくる〝弁当の日〟5.7.5
210.6『近現代日本史との対話【戦中・戦後-現在編】』
361.9『OECD幸福度白書4』より良い暮らし指標:生活向上社会進歩の国際比較
673.93『セレモニー・イベント学へのご招待』儀礼・儀式とまつり・イベントなど
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022『本をつくる』書体設計。活版印刷、手製本--職人が手でつくる谷川俊太郎詩集
498.3『14歳からの瞑想「超」入門』風と太陽と月のエネルギーをカラダいっぱいに感じる13の瞑想法
332.9『島嶼学 Nissology』「嶼」を何と読むのかで一苦労。
361『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』
726.5『美しい情景イラストレーション ノスタルジー編』情緒的な風景を描くクリエイターズファイル
949.64『静寂とは』
010.4『人物図書館』~ひとはだれでも一冊の本である~ ⇒ 二次元では表せないでしょう。
023『これからの本の話をしよう』

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