高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

一杯のきつねうどん。

2016-11-20 | 日記
昨夜は賑やかな一夜となりました。
バタバタする時間もあり、
細部まで心遣いの届かいない所もあったかと
思いますがお許し下さい。


以下、長文にて。
「一杯のきつねうどん」


多くの方が気にかけて下さっている、息子の闘病生活。
おかげさまで、今は比較的体調は落ち着いております。

これから完治に向けて、本格的な治療を迎える準備を
いろいろと整えております。


私は店のこともあり、また夏の事故の事故の治療が思ったより
長引き、通院もあるので、平日はなかなかお見舞いに行けません。


もう4か月も入院していると、
流石に病院食も飽きてしまうこともあるようです。


普段、私はレトルト食品やカップのインスタント食品を
極力口にしません。

ですが、厳しい食品衛生管理下でも食せるとても貴重な
食事だということを今回痛感しました。
人の知恵は自分の思いもよらないところで
活かされているものなのですね。


先日、お見舞いに行くと、
彼は昼食に全く手を付けておりませんでした。



が、特に苦い薬を服用した後味を消すには
レトルトカレーが一番だそうです。


それを温めるために、
病院食は私が食べて、その容器を洗浄。
温めたカレーを口にしてくれました。


日々、料理をする身です。
病院食がいかにいろいろな制約があるか、
本当に頭が下がる思いです。

ただ、作り置きされたうどんは
はやりあまり美味しくはありませんでした。。。
ですが、嬉しかったのです。
少しでも彼のために食事できたことが、
本当に嬉しかったのです。
彼と話をしながら
たまに笑顔で食事できることが。

確かに、今の状況は家族にとって、
本当に大きな試練となっております。

でも、大きな試練の中で、
いやだからこそ、
たくさんの気づきもあります。


信じる事、前向きに。


普段、美味しさとはなにかを探求するのですが、
ある程度は理屈で片が付きます。
でも、そこから先は感情、情の世界へと移ります。


美味しさだけが楽しさでないということ。


一杯のきつねうどん。
その食事の時間は、私とって本当に
とてつもなく嬉しい食事の時間となり、
こうやって文字にして
残そうとしています。

目に見えるものだけない、なにか。
食事の時間とは何なのでしょうか。。
この食事のことを私は一生忘れないと思います。

料理人として、
いつかそんなことを感じて頂けるように。
日々を大切に頑張ります。


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