トラバァチャン

バァチャンはここのところずっと朝から晩までシソ畑で、雑草取りと間引きにかかりきりだ。葉を収穫する前段階のこの苦労を見ていると、とてもこの仕事は引き継げそうにないように思われる。

昔の農家の嫁を立派に勤め上げたバァチャンは、働き者であり苦労人でもあり人間が出来ている。名前はタマというおとなしい猫みたいな名前だ。名は体を現すで普段は温厚でやさしいバァチャンである。
しかし、このバァチャンが先日、朝食の席で突然ブチッ切れた。テーブルを叩いて怒りまくった。嫁いで来てから50年余の怨念をすべて出し尽くすぐらいの激しさだった。
本邦初公開であることは間違いない。　
「女は弱し、されどババァは強し」だ。



何で怒ったかは話しが長くなるので省略するが、あの獰猛さは猫ではなく間違いなくトラだ。
この朝以後、オジサンはタマバァチャンのことを陰でトラバァチャンと呼んでいる。
あの元気があるうちは、まだまだ大丈夫だ。