shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

INABA / SALAS特集

2020-05-07 | B'z
 稲葉さんは B'z 本体での活動に加えてソロ・アルバムも何枚か出しているが、更にもう一つ、ギタリストのスティーヴィー・サラスと INABA/SALAS というユニットを組んでアルバムを2枚出している。メジャーなグループのメンバーのソロ活動というのはどちらかと言うとヤル気が空回りして期待ハズレな結果に終わることも少なくないが、このイナサラに関しては良い意味で期待を裏切ってくれるというか、B'z では絶対にやらないようなことに敢えて挑戦し、こちらの予想を遥かに超えたカッコ良い音楽を作り上げているのだ。ちょうどこの4月に彼らの 2ndアルバム「Maximum Huavo」が出たところなので、この機会に3年前に出た 1stアルバム「Chubby Groove」と一緒に取り上げるとしよう。
 まずは 1stアルバム「Chubby Groove」だが、モノクロでブタさんのドアップにピンク色のタイトル文字と、CDジャケットの第1印象は “何じゃいコレは???” という感じだったが、いざ中身を聴いてみると、ファンキーなビートに乗って稲葉節が炸裂! “B'zとも稲ソロとも全然違うけどめっちゃカッコエエやん(^.^)” とすっかり気に入ってしまった。
 中でも一番のお気に入りが④「Aishi-Aisare」で、元々はサラスが Natalie Janz という女性歌手に提供した「The DJ's Burning」という曲を稲葉さんが気に入り、それに日本語詞を付けてカヴァーしたものなのだが、これがもう実にカッコイイ曲に仕上がっているのだ。原曲のノリの良さに加えて稲葉さんの書いた日本語詞のライミングが絶妙で、“ものなどなっあっあい♪ ‐ オーラッアッアイ♪”や“ごめんなさっあっあい♪ ‐ 取戻したっあっあい♪” のラインが稲葉さんのネチコいヴォーカルによって強烈に脳内リフレインを誘発するという実に中毒性の高いナンバーだ。
INABA / SALAS “AISHI-AISARE”

INABA / SALAS “AISHI-AISARE” . ORIGINAL USA VERSION by NATALIE JANZ / SALAS " The DJ´s Burning"


 ノリノリの②「Overdrive」も聴いててウキウキワクワクさせてくれる曲で、上記の「Aishi-Aisare」と甲乙付け難い素晴らしさ。イントロの爽やかなギターのリフから一気に引き込まれ、思わず身体が揺れてしまう強烈無比なグルーヴでグイグイ引っ張って行かれる快感を何と表現しよう? まるで稲葉さんの新たな魅力をサラスが引き出しているかのような感じなのだ。B'z の松本さんとはまた違ったリズム感で繰り出されるギターのサウンドをバックに力強い歌声を聞かせる稲葉さんがめっちゃクールでカッコイイヽ(^o^)丿
INABA / SALAS “OVERDRIVE”


 続いてはこの4月に出たばかりの 2ndアルバム「Maximum Huavo」だ。ブタの次はニワトリかよ!と思わず突っ込みを入れたくなるジャケット(←次は牛か?)は鮮やかな黄色が印象的で、タイトルにある “Huavo” はスペイン語の“卵”をスラングにした造語らしいが、“ファボ” と “チャボ” を引っ掛けてるのかもしれない(←考えすぎか...)。
 このアルバムで一番好きなのは前作の「Aishi-Aisare」を正常深化させたような⑥「Demolition Girl」で(←そういえばスタローンの映画に「Demolition Man」っていうのがあったが、girl だから「女版壊し屋」みたいな感じか...)、グイグイくるシンセのビートがえもいわれぬグルーヴを生み出し、80年代の洋楽ヒット曲を想わせるキャッチーなメロディーを気持ちよさそうに歌う稲葉さんのヴォーカルと見事にマッチしている。黄色いグラサンやら絵文字スタンプやらで軽~いノリを前面に押し出したミュージック・ビデオも楽しさ満載で、洋邦問わずこんな感じのポップな曲って最近なかったなー、と懐かしい気分にさせてくれるキラー・チューンだ。敢えて難を言えば間奏部分の稲葉さんの語りが声を加工しすぎて何を言ってるのか分からないのが玉にキズか。
INABA / SALAS “Demolition Girl”


 稲葉さんは例の “B'z HOME Session” を YouTube チャンネルにアップする前にこのアルバムの⑦「Irodori」という曲をサラスとリモート・セッションした動画をイナサラ・チャンネルに上げているのだが、注目すべきは歌詞の一部を “大事な家さえもなくしてしまう” から “自分の家だけが唯一の居場所” へと変更しているところ。外出自粛でストレスが溜まっているであろうファンに寄り添おうとする姿勢はさすが超一流のアーティスト。この曲はコロナ以前に書かれたものだが、“当然なはずの自由を根底から脅かされ...” とか “それでも闘う人々にゃ敵わぬ...” とか、現在の世界の状況をピタリと描写したような歌詞には驚かされる。今のご時世、“ああどんな辛い試練でもこの人生の彩...♪” という詞を聴いて元気をもらった人も多いだろう。この曲に限らず、稲葉さんの書く歌詞は基本的なところで私達を励ましてくれる。イナサラであれ、B'zであれ、稲ソロであれ、この人の歌を聴いているとファンで本当に良かったなぁと思えるのだ。
INABA / SALAS “IRODORI” session