shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Princess Leia's Stolen Death Star Plans / Palette-Swap Ninja

2020-05-17 | Beatles Tribute
 私はパロディというジャンルが大好きで、これまでもことあるごとにこのブログで取り上げてきたのだが、今回紹介するのはその最高峰を極めたと言っても過言ではない大傑作パロディ・アルバムだ。タイトルは「Princess Leia's Stolen Death Star Plans(レイア姫がデス・スターの設計図を盗んだ)」で、何とビートルズの「サージェント・ペパーズ」のアルバム1枚丸ごと全13曲を替え歌にしてあの「スター・ウォーズ・エピソード4~新たなる希望」のストーリーを再現した壮大なスペース・オペラ作品に仕上げているのである。
 これまでのビートルズ・パロディといえばもちろん曲単位のものしかなかったので、ポピュラー音楽史上最高のトータル・アルバムである「サージェント・ペパーズ」を元ネタとしてスター・ウォーズ・シリーズの原点とでもいうべき「エピソード4」とのパロディ・マッシュアップ・アルバムを作ろうという発想が何よりも凄い。ひょっとすると最初は“ビートルズとスター・ウォーズの組み合わせで何か面白いモンできひんかな... せや、“サ・ァ・ジェ・ン・ト・ペ・パー・ズ” と “プ・リ・ン・セ・ス・レ・イ・ア” で同じ8文字やし “ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド” は “ストールン・デス・スター・プランズ” でバッチリ合うやん...” みたいな軽~いノリだったのではないか。そして最初はタイトル曲1曲だけのつもりだったものが、「サージェント・ペパーズ」の他の曲もあれこれ替え歌にしているうちに “おっ、いけるでコレは...(^.^)” ということになって企画がどんどん膨らんでいったのかなぁと想像をたくましくしてしまった。
 この作品は Palette-Swap Ninja というデュオによるもので、アルバム全体で1つの映画のストーリーを完全再現してみせただけでも前代未聞の快挙だというのに、更に映画の各シーンを上手く組み合わせて全曲のミュージック・ビデオを製作しており、これがもう見事というか、絶妙な神編集で歌詞としっかりリンクしているのだ。
 細かい点に目を向けてみると、例えば随所でビートルズのオリジナルの歌詞としっかり韻を踏んでいたりとか、「Fixing A Hole」の中にさりげなく「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」を組み込んだ楽曲アレンジだったりとか、神秘的なフォースのくだりをジョージのインド曲と組み合わせたりとか、「Reprise」の冒頭のカウントが反乱軍の秘密基地のある “ヤヴィン4” に引っ掛けた “One, two, Yavin, four!” になってたりだとか、至る所にビートルズとスター・ウォーズ両方のマニアをニヤリとさせるような遊び心溢れる仕掛けがしてあるのだからこれはもう凄いという他ない。
 とにかくこれほど完成度の高いパロディ・アルバムはこれまで見たことがない。その高い音楽性と抜群のユーモア・センスで聴く(or 観る)者を飽きさせない、まさに笑撃のケッサクである。ただ、歌詞の内容が分からないとその面白さも半減、いや、それ以下に激減してしまいかねないので、在宅ワークの合い間を縫って全曲の対訳をやってみることにした。ということで明日から自作の対訳を1曲ずつ、そのミュージックビデオと共にアップしていくつもりですので興味のある方は楽しんでくださいな。