ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)で撮影された渦巻銀河「M77」
これは「くじら座」の方向約4700万光年先にある渦巻銀河「M77」(メシエ77、NGC 1068)です。M77は活動銀河の一種(セイファート2型)に分類されていて、その中心には狭い領域から強い電磁波を放射する「活動銀河核(AGN)」が存在しています。画像のピンク色は若い大質量星が形成されている星形成領域を、赤色はM77を取り巻くガスのなかにある細いフィラメント(ひも)状の構造を示しています。
ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、活動銀河核は電波のバーストを放出するものや放出しないもの、可視光線で明るく輝くものや比較的穏やかに輝くものに分類されますが、どのタイプも「塵を含むトーラス(ドーナツ状の構造)に囲まれた超大質量ブラックホール」という基本的な構造は同じだとする「活動銀河核の統一モデル」が1990年代に提唱されました。このモデルでは、観測されている活動銀河核の種類の違いについて、地球から見たトーラスの角度の違いによって生じていると解釈しています。
注:トーラス
(torus) ドーナツの表面のような曲面。空間内の一平面上に互いに交わらない円と直線とを考え、その直線を軸として平面を一回転させれば、円は一つの曲面を描く。これをトーラスという。
参考:Ice Cube ニュートリノ、NGC 1068 巨大銀河から 南極国際実験で特定!
@↑ ニュートリノの発生源の一つとして以前紹介したのがM77です。4700万光年だそうですが、よく撮れていますね。ウェッブ、顔負けです。
活動銀河核の統一モデルを説明するために、トーラスに対する観測者の視点(△印)と活動銀河核の種類(右側)の関係を示した動画