魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

安全第一

2016年04月05日 | 日記・エッセイ・コラム

東京メトロの電車が、ドアにベビーカーを挟んで走り、非常ベルを鳴らしても、止まらなかったのは、新米の車掌が、非常停止をためらったからだそうだ。
これも、射手座・土星の硬直現象だが、新人の車掌が、定時運行を狂わせる可能性を冒して、非常停止する決断ができなかったのは無理もない。

日本の電車は、世界に類を見ないほど時間に正確だ。これを維持するために、どれほどの無理と圧力があるかは、すでにJR福知山線の脱線事故で明らかになっている。
日本の鉄道マンにとって、おそらく、最大の潜在的恐怖は「遅れ」だろう。
その自分たちの恐怖心故に、一分遅れても、車内放送で謝ったりする。

しかし、客にとって最大の欲求は「安全」だ。鉄道会社が安全を大前提で運行していると信じているからこそ、遅れに不満を言う。
鉄道マンにとっても、毎日事故は起こらないが、遅れと謝罪は日常的に起こる。すると、定時運行が最大の関心事になり、遅れのリスクを冒してまでも、電車を止めることができなくなる。安全第一の実感が無くなるのだ。

教育を受けたばかりの新人が、「安全」が最大の優先事項であることを忘れてしまうのは、何と言っても、会社組織の責任だ。これも、福知山線の事故で証明されている。
ことに、新人は受けた教育に忠実だ。

非常ベルを聞いたとたん、反射的に「安全」をはかろうとする、思想教育と訓練ができていれば、非常停止することを怖がるような事態は、夢にも起こらない。
また、教育が間違っていても、ある程度経験を積めば、自分の判断力も養うことができるから、今回のようなことは起こらなくなるだろうが、それで、会社組織が責任を果たしたわけではない。

しかしまた、行動規範は身につけても、先日のバスの運転手のように、自分が全員の命を請け負っている責任者との覚悟がなければ、想定外の事態に、自分の判断と決断で対処することができなくなるだろう。

今回、子供が降りていたことで、大事故にならなかったのは、偶然の幸運に過ぎない。


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