「おいっ。あれってやっぱり、剃っとるで」
と、主人が朝、真剣な顔をして私に言った。
このように前フリなしで、いきなり指示語で話が始まるのは、
老化現象のひとつではないかと私はときどき心配になるのだが、
主人はお構いなしだった。
私「あれ、・・・って何でございましたっけ」
夫「頭、ザビエルの頭。教皇みたいな帽子かと思っとったけど、
あれは、司祭だか司教だかの、剃髪なんやね」
私「そうなんだ?カッパの皿のように?」
夫「うん。今、フランスのドラマの『モンテ・クリスト伯』を
観よったんやけどさ、ブゾーニ神父に変装したとき、
ダンテスの頭、ザビエル・カットでハゲとんよ」
私「へえええ~」
言われて主人の言う録画を改めて一緒に観てみたら、
確かに、ブゾーニ神父は、ショートボブのような、
黒々と豊かな頭髪を切り整えたヘア・スタイルをしていて、
頭頂部だけが、楕円形に剃られていた。
まさに、これはフランシスコ・ザビエルの頭だ。
ネットで検索してみたところ、このヘア・スタイルは
「トンスラ(tonsure)」という名称だそうだ。
私の読んだ記事によると、司祭になるときの通過儀礼で、
俗世との交わりを断つ、ひとつのかたちとして頭頂部を剃る、
ということと、もうひとつ、キリストのイバラの冠に似せて、
頭に輪をかぶるようなスタイルに剃る、
という両方の説が書いてあった。
私は知らなかったので、つい、ここにこうして書いてしまったが、
トンスラの件は、2005年に『トリビアの泉』でも取り上げられ、
『75へぇ』だったそうだ。
もしかして有名な話でしたら、すみません。
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